26日午前の行革特別委員会質疑
--(国公労連「行革闘争ニュース」1999年5月26日付その2)

【紹介議員70人に】
 国公労連の行革大規模署名の紹介議員は、衆参で70人となりました。内訳は、衆院46(共産26、民主13、社民6、自由1)、参院24(共産15、民主3、社民4、自民1、無所属1)です。

<5月21日以降、新たに紹介議員となった議員>
5/21付 参院 菅野壽(社民・比例)、池田幹幸(共産・比例)、立木洋(共産・比例)、宮本岳志(共産・大阪)、筆坂秀世(共産・比例)渕上貞夫(社民・比例)
5/24付 参院 富樫練三(共産・埼玉)、吉川春子(共産・比例)、林紀子(共産・比例)、笠井亮(共産・比例)、井上美代(共産・東京)、村沢牧(社民・長野)、清水澄子(社民・比例)、斉藤勁(民主・神奈川)、田村公平(自民・高知) 衆院 山元勉(民主・比例近畿)
5/25付 衆院 島津尚純(民主・比例九州)、葉山峻(民主・比例南関東)、松本惟子(民主・比例九州)

26日・衆院議面行動2日目
80人が結集、「不当な法案の中身を広く国民へ訴えよう」
 国公労連は、26日、衆院議員面会所行動を行い、各単組・国公労連役員80人が結集、行革関連法案の成立強行を許さない意思を硬めあいました。
 行動の冒頭、国公労連・藤田委員長があいさつに立ち、「行革関連法や盗聴法など国の進路に関わる法案が重大局面を迎えている。幅広い共同の条件がある。共同を広げるために、われわれは行革関連法案の成立阻止に全力を挙げよう」と呼びかけました。ついで、共産党・平賀高成(ひらがたかしげ)衆院議員が、国会報告を行いました。その中で、平賀議員は、「行革関連法案は、独立行政法人化で、国民サービス部門を切り離すことと、トップダウンで戦争協力できる体制を作ることが柱。他の党は、「手ぬるい」、「民間ではもっと人減らししている」という議論が多い。独立行政法人は、「確実に実施されることが必要な事務、事業」といいながら、評価委員会で廃止民営化まで検討されることは、矛盾ではないかと追及したところ、総理は、「矛盾でなく制度のねらい」とはっきりと答弁した。25%削減も自自連立の結果としかいわない。25%削減で、国に残る国家公務員は41万人、自衛隊は28万人で、これは軍事体制国家だ。こういう反動的な中身を分かりやすく国民に訴え、政府のごまかしをうち破ろう」と訴えました。さらに、全労連西川副議長が激励のあいさつに立ち、「ガイドラインでも幅広い共闘が出来た。努力すれば実る。省庁再編も、分権法案も戦争が出来る国のフレームづくり。ガイドライン法が成立しても矛盾は広がっている。共同をさらに広げよう」と訴えました。
 単組からの決意表明は、全港建、全気象、全建労が行いました。全港建平田中執は、「これまでも行革闘争では最大限の闘いをしてきたが、これからも最大限の闘いをする。政府与党は、より国民犠牲の牙をむいてきたし、審議も地方分権一括法というまったく性格の違うものと一括審議するという無節操ぶりだ。署名はまだ目標の45%、目標達成まで頑張る」と決意表明、全気象錦織副委員長は、「測候所は、国民の財産。当局の統廃合許さず闘う」と決意表明、全建労古沢中執は、「大型プロジェクトに偏重した結果、公共事業のむだ遣いの批判が起きた。どういう公共事業が必要か、広く国民に訴えている。自治体決議も300上がった。今後も頑張る」と決意表明しました。
 行動の最後に、小田川書記次長が、1.審議の内容・事実を職場・地域に広く訴えよう、2.紹介議員をさらに広げるため、地元、単組など様々なチャンネルで働きかけよう、3.全労連の座り込みが6月1日から4日まで予定されているので、結集しよう。特に、1、2日は、国公労連として集中日にしているので、大きな結集を要請する、4.傍聴行動、議面行動を成功させよう。議面行動は、100を超える結集を、の4点を行動提起しました。

26日午前の質疑
<自民党・山口俊一、細田博之議員の質問>
山口俊一議員:今回の行革は、内閣機能の強化が一番大きな柱だ。内閣府の経済財政政策や総合科学技術政策は重要政策。総理のリーダーシップ発揮が必要だ。財政経済諮問会議や総合科学技術会議は審議会とどう違うのか?
太田総務庁長官:内閣府設置は内閣官房強化とならんで大きな柱。内閣府は、行政各部の総合調整を助ける。各省より一段高い位置づけだ。事後調整だけでなく事前調整も行い、内閣の総合戦略の一端を担う。合議制機関は、総理のリーダーシップの下、関係閣僚、有識者の意見を合議する。内閣府の主任の大臣は、総理であり、総理と閣僚の関係が法的、制度的支えになる。
山口議員:経済財政諮問会議は、1ランク上の機関。総理が強力にリードするし、各省に置いても大臣がリーダーシップを発揮する。副大臣、政務官が設置されることに諸手をあげて賛成する。これと対で政府委員の廃止が図られる。これで政治家自身のディベートが国会で行われる。自民党総裁として、副大臣、政務官は適材適所の配置を。
小渕総理大臣:行革のポイントの第1は、総理、内閣のリーダーシップ強化だ。総理の発議権、副大臣、政務官の設置などだ。今日は、各省には大臣と政務次官のみだが、副大臣、政務官設置で、かなりの人が役所に入り、行政各部で力を発揮するようになる。議会において、議員と政治家たる副大臣、政務官が丁々発止のやりとりをすることを期待する。政府の仕組みが変化する端緒となろう。
山口議員:ごった煮と言われる総務省だが、どのような機能を期待しているのか?特に総務本省と郵政事業庁の分担はどうなるのか?今までになかったサービスを提供できるものに大化けするのではないかと思う。郵政省はこれまでワンストップサービスを追求してきたが、自治省と一体となることで、国民サービスの窓口になる。
太田長官:郵政事業庁と本省の関係は、本省が制度、経営の基本の企画立案を行い、郵政事業庁は営業の実務を担当する。
野田郵政大臣:郵便局は、国民にあまねく公正にサービスを提供している。自治省と一緒になることで、ワンストップサービスの加速を図る。
山口議員:分権法案は、前進であり、自治体の首長も評価している。自治体に権限移譲して終わるものではない。住民自治を進めなければならない。そこで、住民投票が全国であらゆる課題でやられている。議会と住民の対立を生んでいて、国の整理が必要だ。原子力やゴミ問題は住民投票になじまない。一方橋の建設やそのルートについてなどは、住民の意見が反映する必要がある。ルール作りが必要。
野田自治大臣:法律上は、住民投票を禁止してもいないし、制度化もしていない。一方、条例で住民投票が行われる。代表民主制をとっており、議会の権能、首長の機能と責任との関係で、投票に適する事項と適さない事項がある。分権推進委員会では、住民投票制度の有効性を確認し、代表民主制との関係の整理、適用事項について慎重に検討するとしている。分権推進計画でも慎重検討となっている。時間かけすぎず、論点を絞り、精力的に勉強し、なじむ事項なじまない事項をはっきりさせたい。
細田博之議員(自民):財政構造改革はとん挫したが、国税収入は47兆円、その一方81兆円の予算を組んでいる。財政構造改革は何とかしなくてはいけない。所得税は世界一低い。大蔵大臣の心構えを聞きたい。
宮澤大蔵大臣:有意義なご指摘だ。国税収入は47兆円、平成2年度は60兆円あった。10年逆戻りしている。経済が正常に成長しているならあり得ない。こうした状態はいつまでも続けられない。国債依存率も当初予算で37.9%にもなる。経済が成長軌道に乗ったら財政構造改革は必ず必要で、出来るだけ早く着手する必要がある。
細田議員:スリム化についてだが、25%の削減は出来るのか?
太田長官:困難な目標であり、しかも一律に減らせない。増員が必要な分野もある。そのため、25%を超える切り込みをしないといけない。ぜひ実現するという覚悟で臨む。
細田議員:独立行政法人は、柳沢大臣が自民党行革推進本部時代に発案した。所期の構想について述べてもらいたい。
柳沢金融再生委員長:切り口は、官から民へということ。日本の国は、天子様の官僚という考えがあって、森羅万象何でも相談に乗ってくれるという意識があった。官から離れて民が活躍するため、ルール化が必要になっている。これまで日本は設置法による行政まで認めているが、近代法治国家では認められないことだ。作用法がないところに行政はないとしないといけない。もやもやした設置法を断ち切り、企画立案と実施を分かち、国民と接する行政は、行政法を背負った独立の行政とし、透明性を確保する。仕事作る人と仕事をやる人がこれまで一緒だったが、行政の肥大化、天下り先の確保をしたということもなくもなかった。仕事やる人と作る人を分かつ。評価についても、批判にたえるものにするため、目的をはっきりさせ、目標もはっきりさせる。カンパニー制のように、何をやっているところか分かりやすくする。
細田議員:対象の選定は大変だった。身分、雇用問題で抵抗があった。アルコール専売の民営化、貿易保険の独立行政法人化、文部大臣も国立大学の独立行政法人化を決断いただいた。造幣、印刷も何とかエージェンシー化の決断をされた。もっともっと加速してもらいたい。定員の25%のカットも大変だ。民間は努力している。堺屋長官は、著書で、官僚は非常に優秀であるために、自分の権限に固執してしまうので、菅野力を弱めないといけない、と言われているが?
堺屋経企庁長官:行革はとても早くできるとは思っていなかった。行政機構の数が減ったのは戦後改革の時だけだ。大宝律令の左大臣、右大臣が明治まで残ったわが国である。欧米に追いつけ、の時代は欧米の事情をよく知っている官僚が道筋を示すのがよいと考えられた。こういう時代から、消費者主権、自由主義の時代に変わった。大きくて強い政府から、小さくてしなやかな政府に、また、トップダウンで総理や、内閣が主導する政府にし、政策評価も出来るようにする。経済財政諮問会議は、単なる審議会ではなく、行政機構の真ん中にある。分権によって、地方の自主的判断を広げる。大変な尽力で、よくここまで来た、というのが実感だ。
細田議員:人事評価に当たり、仕事を減らしたら評価されるようにすべき。橋本前総理に、人事、採用、研修の交流で、省のために仕事をするのでなく、国のために仕事をするように変えることが必要と申し入れた。公務員制度について聞きたい。
太田長官:公務員制度については、細田委員の試案も随分議論したが、一括採用に踏み切れなかった。総合的、戦略的、機動的にし、縦割りを排除するため、公務員制度について、人事交流を図り、特に内閣府のようなところでは、どこの省にいたのではなく、どの人がどう働いたかで考えるようにする。また、官民交流を進める。人材情報の総合的管理を図る。着実に、大胆に進める。
細田議員:人事院総裁もお呼びしていたが質問時間なくなった。ぜひ縦割り意識をなくして、行革に取り組むことを評価するような仕組みにしてくれるようお願いする。
 東京都知事選の中で、東京都民は190万円税金を納め、60万円しか還ってこないという議論がされたが事実に反する。東京は人口の9.8%、国税は31.1%納めているが、本社が東京にあるため、日本国中で活動したものが納められるからだ。
野田自治大臣:ご指摘の通り、人口、企業活動規模以上に国税が集中しており、これが都民の活動の結果と見るのは問題が多い。
細田議員:今後、過疎法や合併促進が出てくる。農山村、離島対策をおろそかにしないようにすべき。とし、農村ともに尊重しなくてはいけない。
小渕総理:都会も地方も公平に発展できるようにする。

<自由党・西川太一朗議員の質問>
西川太一朗議員:民主主義の学校は、地方自治。一括法は、明治維新、戦後改革に匹敵する。今回の改革は地味だが、経済、社会の大改革をやらないと、国際社会での価値ある国にならないという意識で進められているのが、前の改革と違う。総理の認識はどうか?
小渕総理:ご説の通りだ。この改革を成功させなければ、21世紀はない。特に、行政に関わって、きちんとした改革をする、地方自治も、中央集権的体制から、国と地方があい携えていく体制に変えていく。こうした改革で、発展の基礎を作りたい。
西川議員:機関委任事務を廃止し、自治事務と法定受託事務になる。国の主管権がかぶせられているが、かなり自主性が高まっている。法定受託事務は、条例化できるのは、法令で明示的に委任されている聞いているが?
野田自治大臣:法令に違反しない限り、自治事務、法定受託事務とも条例化できる。制約は個別法との関係。法定受託事務は、法律で基準を定める例が多く、結果として条例化の対象が少なくなる。
西川議員:都市計画に認可相変わらず自治体には100%任せられていない。河川も、承認が必要だが、地元自治体が一番知っているのであり、必要ない。反映、平和に関することは国の仕事であり、国を壊す自由は自治体にはない。
関谷建設大臣:都市計画は、土地収用権限が付与されているものであり、強制力発動の公平、中立性確保のため、第3者の審査が必要。これは、日本独自の、土地は非常に大事な財産と考え、公共性を大事にするという考えが少ないということに関係する。それが変わらないと国の関与の必要性はなくならない。河川も同様。河川審議会では、国と地方の分担について中間報告の予定だ。
西川議員:条例権の制約につながらないか?
野田自治大臣:機関委任事務は、包括的指揮監督権を定めているが、これは他の法令を根拠としていない。自治事務、法定受託事務にわけられるが、法または政令で関与を定める点は大きな前進。手続きルールは、公正、透明性飛躍的に上がる。紛争処理制度は、関与を慎重にさせ、関与を適正にするものだ。
西川議員:決定に参加させれば責任を持つ。地方自治の促進、分権ぜひ進めてもらいたい。国の直接執行事務にするということで、地方事務官が廃止されるが、東京の例でいえば、高齢者の人材開発センターや専門学校卒業生の職業紹介については、地方の情報が重要で、国と自治体の連携が必要。
甘利労働大臣:職業紹介を中心とする雇用行政は、本省、各県、安定所の体制だが、各県の部分が地方事務官だった。これを国に一本化する。都道府県と国の業務は、現状でも連携している。雇用対策では、国の施策とあわせ、地方の協力もいただく。雇用情勢と、地方の生活関連情報を連携させていく。
西川議員:地方自治法で、20万人以上の市は特例市となれる。23区は特例市の対象から外されているというが、なぜか?
野田自治大臣:東京特別区は、人口が高度に集中し、行政の一体性確保の観点から、特別に作られており、特例市に与えられる開発行為事務、保健所設置事務はすでに与えられているなど、40法律の事務が与えられているが、特例市は15法律事務が与えられるだけだ。
西川議員:第2次地方分権推進計画は、公共事業での国の役割の見直しと地方への権限移譲を進める点で大きく資するもの。具体的内容は関係審議会で検討するとなっているが、なぜ政治主導でやれないのか?
小渕総理:第2次計画は、国と地方の分担を変え、協調協力関係を築くもの。直轄幸治の範囲の見直しは、計画に明記してある。具体的措置については、結論を早く得る。
太田長官:直轄工事の見直しは、来年度予算に入れる。
西川議員:機関委任事務は、数え方では2000ある。地方にただ働きさせていた面もある。権限を移譲したら財源も付けるべき。ぜひ独立した経営のためにも、起債許可を協議に変えることについて、経過措置が平成17年度まであるが、一律でなく、財源の大小、需要等、条件のあるところは早めに協議制に移行できないか。
野田自治大臣:起債は、長年の懸案。平成18年度以降協議制に。地方債への信用に関わる問題もあり、そうしたが、それまでの間でも条件のあるところは、事実上の協議制出来るように検討する。

<民主党・岩國哲人議員の質問>
 岩国 哲人(民主党)
 130年前の黒船来航、そして50年前のマッカァサー以降に続く大改革だ。総理は明治維新、そして戦後に続く改革の決意を述べられた。
 50年前は進駐軍が数かずの手を加えた改革であった。今こそ、痛みを伴う改革を。
 しかし、いくつかの疑問があり。私は、鈴木改革時に専門委員として、週2回ほど上京し、仕事をした。その改革案の中には、背景に利権などで日の目を見ないものもあった。
 現在、行おうとしている改革に韓国も注目している。韓国の担当大臣は◯◯て、わたしの十年来の友人であり、参考にしたいと述べ、同時に日本より早くすすめたいと言っている。日本の改革は、スピード感で欠如しており、欠陥だ。二年前の消費税率を2l引き上げのとき、行革推進を担保として約束した。このことは、3年前の総選挙で自民党は行革推進を約束した。まずこのことを確認したい。
 小渕総理大臣
 行革推進と、消費税率2l引き上げの双方に責任を持つものである。
 岩国 引き上げの条件として、必ず行革を推進すると国民に約束した。私は、行革をやって消費税率の引き上げの順を主張した。どちらが先か、については今では明確に結果が出ている。消費税率引き上げが、後であった。なぜならば、税収が減ったではないか。もっと、早く行革をやるべきだった。それが私の願いでもある。
 正論は支持される。当時の世論調査でも圧倒的多数が、行革先行であった。大事な選挙公約を反古にし、このことは国民を侮辱したことでもある。前幹事長は、自民党が自由で民主的な政党だから、候補者それぞれの意見があるだの発言をしていたが、どうか。
 小渕 それは、党としての基本政策であった。いっぽう、候補者は自分の意見もある。党を預かる者としては、国民に負担をかけることから、党の立場に立ってもらいたい。
 税率引き上げは必然性があった。2l引き上げは、社会保障を推進する事情があり、それとこれは関連があるが、別問題だ。
 岩国 そのことは、選挙時にしっかり言って欲しかった。私の地元では、竹下さんは引き上げの必要性を堂々と主張されていた。140人の議員が、総選挙の公約と別の態度をとった。この中(特別委員)にも、含まれている人がいるだろう。
 さて、総理は「空間倍増計画」を発表された。私は、賛成だ。私の選挙区の世田谷では、数かずの倍増がすすんでいる。リストラで職場の密度が、おじいちゃんが死んで家の容積などが倍増している。しかし、国会や霞ヶ関では実現していない。カイより始めよ、だ。書類と利権を減らし、それを民間と地方に移し、次に人を減らし、しかる後に22機関を減らすべきだった。22機関を13機関にすることは、小さい風呂敷から大きな風呂敷にして包むことにしか過ぎない。成果が挙がってなく、これでは大風呂敷改革でないか。
 小渕 委員のおっしゃる手続きは、なるほどのプロセスで、大事。しかし、なかなか、そのようにはいかない。かって、1省1局削減もやった。ドラスチックに減らし、中央官庁のスリム化をはかる、したがって権限を移譲し、仕事も整理整頓していくことになる。是非、ご理解を。
 岩国 総理が訪米され、まずシカゴに行かれ、始球式に臨まれたことには賛成。本当のアメリカを知るためには、いい着眼点だ。4月22日付けニュウヨークタイムスに寄稿されているが、総理が書いたのか。
 小渕 プロット(考えたの)は私。日本語から英語に変えたのはプロだ。
 岩国 一流新聞に書くことはよいことであり、素晴らしいことだ。総理の離米後に「日本の静かなる改革」の見出しで(行革を)報道。その十日後に「英国の静かなる革命」の報道となった。このように、なぜ日本の改革が評価されないのは、理由がある。例えば、国土交通省では、八つの地方整備局をつくる。でも、仕事は誰がやるのか。中央から派遣された公務員であり、これは分権でなく、分散だ。不透明な仕事を地方に飛ばすことでないか。
 政策銀行としての銀行統合にしても、三つの省庁が関与。これは簡素化、効率化、透明化と全く逆行するもの。行革も同じようになるのではないか。
 行革は、1銭でもコストを下げることが目的だ。しかし、行政のツケを国民に回しているではないか。この2年間の国民負担を見ても、銀行とゼネコンに地60兆円、低金利政策で金利減が30兆円、消費税率の引き上げと医療制度の改革で9兆円、合計99兆円にもなり、国民は汲々している。まさに、役人の役人による役人のための行革になるのでは。総理の所感を聞きたい。
 − 誰が答弁するかで閣議席が若干ザワザワ −
 大田総務庁長官
 委員の発言の大半は、行革とは違う世界の話だ。政治的プロパガンダだ。正確に話して欲しい。空間倍増計画では、国家公務員の数は下がっている。それを更に下げるものだ。日本は、アメリカの三分の一、ヨーロッパ各国の二分の一で少ないのに、相当の覚悟で更に削減しようとするもの。国民を間違った方に、引っ張らないでように。
 岩国 別次元の話でない。同じ内閣、同じ人間がやるのだから、両方が一緒になるのではないか、と聞いているのだ。
 さて、行革はスピードが重要。地方分権(パネルを示しながら)では、国と地方の仕組みを変えることだ。ところが、国の地方への関与が一方通行だ。地方分権では、国と対等と言ってきたのにワンウエイになっている。地方が国に、例えば公共事業で迷惑だから、やめて欲しいと言えるのか。
 野田自治大臣
 現在の地方自治方では、自分たちの意見を国に上げることは可。それを自治体の関与と言えるかどうかだ。事業の主体は自治体だから。しかし、国のそれと同じと言えるかどうかだ。
 岩国 鳥取と島根が中海開発で共同事業をすすめている。両県は反対したが、国はすすめた。県が反対できるのか。
 大田 私は、所管していないので、自治大臣に。
 岩国 行革の一般論として聞いているのだ。責任大臣ではないか。
 国の関与でもう一つの疑念がある。分権法に「是正の指示」があり、A、B、Cとなっている。Aは国が県に対し、Bは県が市町村に対し指示し、これらの必要の事情はわかる。問題はCで、行き過ぎだ。市町村に対しては、知事がBでやっている。対等でなくとも相互信頼だ。AとBだけで十分であり、Cは不必要だ。
 野田 先ほどは、発言通告になかった(所管問題)ので調べ中だ。
 国の移管は、今回二つに分離。法定受託の中の市町村については、県を通じて指示。Cは、県を飛び越して市町村に。
 岩国 現地は、霞ヶ関でなく、現地が一番知っている。(所管問題は)建設大臣など、他の大臣のことでもある。Cは地方分権の趣旨に反するし、地方への冒涜だ。削除すべきだと主張しておく。
 野田 包括的な指揮監督権が従来のものであり、Cは従来よりも前進している。
 岩国 後退と評価する。
 さて、前日の答弁で阪神高速道路公団の負債の返却は271年かかるとの答弁の一方、建設大臣は58年と答えた。調べるとのことだった。1日も経過したから、どちらが正解だ。
 関屋建設大臣
 私は、本州四国連絡橋公団について答えた。答えの内容が違っていた。
 岩国 271年には驚く。58年後には見通しに拠れば、日本人は500万人、271年後には1人くらいになっている。1人ではトキではないが繁殖できなくなる。
 行革はカタチでなく、仕事のやり方の問題だ。中海開発は40年前に着工、今は休止しているが、まだ必要か。検討を。多額の借金を抱えて、完成したとき、誰が責任をとるのか。そのようなケースが、日本中に多い。
 私は、小さい市の市長をやっていた。その頃、職員の意識を変え「7割の職員で10割の仕事」をやってきた。行革とは、そのことだ。賛成例もある。例えば、鈴木改革のいくつかと、今回の環境・外務省の強化だ。しかし、それが住民、国民本位に変えられるか。環境庁長官どうか。
 田辺環境庁長官
 行革は変革の立場ですすめる。30年周期くらいで変革必要と考えている。それがなければ、組織の活性化ない。環境庁がスタートして、28年が経過し、その時期だ。
 環境問題は、地球規模から国民1人1人に及ぶまで、総合的にやっていく。そのためには、人材確保も必要であり、省庁再編の中ですすめる。
 野田 法務省の強化も、憲法の諸人権のため必要だ。世界人権宣言についても、この人権の中に含まれているか。総理の見解は。
 小渕 世界人権宣言は、政治的な意識を守ることから含まれている。
 岩国 政治的な人権も当然、含まれている。
 東京と地方の関係では、東京は2分の1人権とか、5分の1しか持っていない人もいる。差別だ。これは、世界に例がない。アメリカの例を挙げる人もいるが、補う策(具体例あげ)あり。日本は民意が反映していない。定数格差の是正を人権の最も大切な面として。
 法務省に、これをやらせるべき。行革の中で。
 小渕 基本的人権の中に政治的人権を含み、それを擁護していくのは当然だ。定数問題は、国会で決定し、最高裁での(違憲でない)判例もある。(指摘されたことが)それを犯すものでないが、ひとえに国会での選挙制度の議論の中でやって欲しい。
 岩国 分権は、仕事・人・カネの3元セットで。いっぽう、自治体の合併が避けられない。地方議会の定数是正は平成15年1月1日まで先送りするのか。合併を平成12年から実施するなら同時に是正すべきだ。15年に統一地方選あるから、そこまで延ばしているだろうが、先行して。
 野田 定数は、条例で定めることになっている。法はその上限を定めているが、理解を求めてすすめる。意見は検討する。早めなければならないことは、わかる。


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