国公FAX速報 2002年12月4日《No.1350》


参院本会議で独立行政法人通信総合研究所法一部改正法案が可決強行
与党三党・社民は法案に賛成、反対は民主・共産

 11月29日、14時から開かれた参議院本会議で、「独立行政法人通信総合研究所法の一部を改正する法律案」の採決が行われ、自民・保守・公明の与党三党、社民党などの賛成多数で可決成立しました。政党として反対したのは、民主党と共産党です。
 本会議では、総務委員会山崎力委員長から「独立行政法人通信総合研究所法の一部を改正する法律案」の総務委員会における審査の経過と結果の報告が行われた後、採決が行われました。採決の結果は、投票総数215、賛成131、反対84で、法律案は可決・成立しました。
 参議院委員会での審議は、26日に趣旨説明、28日に質疑、討論、採決の1日のみであり、十分な審議は行われませんでした。
 なお、28日に行われました審議・討論内容と附帯決議は以下のとおりです。

■審議■
<谷川秀善(自民党)>

谷川秀善議員:3法案について、行政改革、財政改革から言うと、特殊法人の整理統合、民営化、行政機関のスリム化としての独法化は一番大切。出発として昨年57法人が独法で出発し、第2弾として46法案が審議。当初考えていたのは、特殊法人は基本的には全部民営化し、各府省の機関の中で国が直接運営する必要のない事業、大学や病院については、国から分離をし独法にすると思っていた。役所の機関も民間経営の手法を取り入れ競争原理を導入できる部分は独法化すべき。しかし、何でもかんでも独法にし、身分は公務員のまま。これでは独立採算できず、国費を投入することになる。看板の掛け替えにすぎない。
片山虎之助大臣:特殊法人等の改革については、仕事の徹底的な見直しをやり、廃止民営化をし、そぐわないものは独法化にする、ということを行政改革会議で決めた。前回は国の機関を、今回は特殊法人や認可法人について独法化していく。3年から5年経ったら評価をし、廃止や民営化の見直しを行う。現在、特定独法にしているところも、中期計画が終わって見直しをし、特別な理由を立証できなければ非公務員型に変えようと決めている。
谷川秀善議員:3〜5年で中期目標を見直すということだが、その場合総務省に第三者機関の評価委員会ができるのか。各省にもできるのか。総務省の第三者評価機関とはどういうものか。
岸宏一政務官:独立行政法人制度は、法人に自立的弾力的に運営を行わせる一方、厳格な事業評価、それを踏まえた見直しを行うことで、業務の効率化、質の向上を図るもの。そのため、事後評価は重要。客観的中立的な機関として通則法に基づく各省の評価委員会が設置され、各法人の業務事業、高度の専門知識を持つ人や組織運営の見識を有する外部有識者が、業務性格を客観的立場から見て評価基準を作成し、各年度、中期目標終了時に評価を行っている。
谷川秀善議員:評価結果の公表が義務付けられている。しっかり人選をし、しっかり公表をしていただきたい。今回、3法案出てるが、特殊法人はわかるが、認可法人とはどういうものか。民間法人のどう違うのか。
岸宏一政務官:認可法人とは、一般的に特別の法律に基づき、民間などが発起人となり、主務大臣の認可を得て設立させるもの。民間の法人とは違う。
谷川秀善議員:本来、特殊法人にしなければいけないものを認可法人にしていると思われ、ある程度整理されることはいいこと。
 (以下、平和記念事業特別基金及び地方公務員災害補償法に関する質問)

輿石東(民主党)
 (地方公務員災害補償法に関する質問)

<内藤正光(民主党)>
内藤正光議員:独法の評価のあり方について聞きたい。現行の評価体制は、各省の評価委員会が第1次評価をし、総務省の政策評価委員会が評価をし、ダブルチェックと言うと思うが、一歩間違えれば、甘い評価にお墨付きを与えることになる。調べたらペーパー審査という内容。政策評価委員会は、どういう観点で再評価しているのか。
塚本政府参考人(総務省行政評価局長):評価委員会の他にワーキンググループを作り、週3回以上開催している。観点については、基本的には評価システム全体を見る観点から評価そのものの信頼性や実効性を確保向上していく基本的視点がある。実際の作業として、個々の評価結果の適切性の点検、実効性の横断的な把握を行い、意見を言っていく。
内藤正光議員:6月18日の議事要旨を見ると、各省の評価結果について、政策評価委員会で評価を行っていくに当たって、両者の間でコミュニケーションを図っていくことが必要という発言があった。評価の仕組みを適正に機能させるためどういう工夫をしているのか。
塚本政府参考人:各府省との連携について、緊張関係を持ちながら意志疎通を図っている。それにより評価の水準を上げている。それにより独法制度の国民からの信頼を確保していくことが重要。8月30日に各府省委員会の委員長と政策評価委員会の委員長が意見交換を行い、いろいろな意見をもらった。今後もやっていきたい。委員の選任基準について、外部の第三者、有識者が資格。幅広い知見を持っている人が選任されている。評価基準について、各府省の委員会はそれぞれの基準を持っている。それが縦軸とすれば、政策評価委員会の基準は横軸。評価の信頼性実効性の向上確保の観点から、各府省の基準に沿って評価がされているか、政策評価委員会で押さえるべきもの。各府省委員会の基準を踏まえた評価の妥当性、各独法の主旨、業務の適切効果的な運用、サービスの向上、財務内容の健全性、コスト削減の努力、こうしたものが、評価の作業の中で、どのように生かされているか、改善されるよう踏み込んだ評価になってるか、評価の根拠などが、国民に納得のいく形で示されているか、等々は、政策評価委員会の基準観点ではないか。またよい評価のものを他の府省に示せる。
内藤正光議員:会計検査院は憲法90条に基づき設置され、検査院法によれば内閣に独立した権限を持つ。実際に検査報告は総理大臣に報告される。確認するが、当然、会計検査院からの報告は真摯に受け止めるのか。
片山虎之助大臣:言われるとおり。報告が出れば、しっかり踏まえ取り入れていく。評価委員会も尊重していく。
内藤正光議員:独法も会計検査院の検査の対象か。
友寄説明員(会計検査院総括審議官):当該独法の資本金に対する政府の出資が1/2以上であれば検査院法22条により必ず検査する。1/2以下でも検査院法23条第1項4号により検査の対象になる。出資金がなくても、運営費交付金を受けていれば検査院法23条により検査の対象となる。
内藤正光議員:57の独法があるが、ほとんどが22条による検査対象でよいか。その場合、ほぼ毎年検査するということでよいか。
友寄説明員:毎年検査している。
内藤正光議員:検査院法20条によれば、正確性、合規性、経済性に加え、効率性、有効性、ここは政策評価と思うが、こういった観点から検査を行うことになっている。またH14年の会計検査の基本方針では、評価を施行した検査を行っていくとともに、特殊法人等は財務状況の検査の充実を図っていくとなっている。独法の評価に当たり、会計検査院の方針を聞きたい。
友寄説明員:会計検査上、必要な観点から検査を行う。
内藤正光議員:独法の評価をしてるもの3つある。各省の評価委員会、政策評価委員会、会計検査院が評価している。会計検査院と総務省の評価委員会の評価を一体としようとしても無理があるが、会計検査院の評価も厳粛に受け止めなければならない。総務大臣は会計検査院の評価をどのように活用していかなければならないと思っているのか。
塚本政府参考人:会計検査の評価を前提に、各府省の評価を出してもらうことが重要。政策評価委員会でも、会計検査院の評価がどのように生かされたか、それがどのように評価されているかという観点で、政策委員会として評価していくことが、正しい姿と思われる。
内藤正光議員:思われると言ったが、そうしなければいけないと言うことですね。
片山虎之助大臣:そのとおり。会計検査院が指摘したことは、生かされなければおかしいし、生かされたかどうかを見ていく。
内藤正光議員:評価結果の予算への反映について聞きたい。通信総合研究所の業務の実績に関する調査結果があるが、評価の結果を来年度の予算に反映させたのか。
若松謙維副大臣:衆議院でも質問があり、今年の4月から業績評価制度ができていて、H15年度に予算に反映させようということで答弁した。アメリカでは、93年に法律ができ、予算書に業績評価の結果が今年から反映されている。9年かかっている。日本は早くやろうということで試行錯誤の中、15年には何らかの形でやろうということで検討している。
内藤正光議員:検討中というが、予算編成作業は最終盤を迎えている。検討中というのはあり得ない。反映したのか。
若松謙維副大臣:成果は、11月11日に取りまとめたものを政策評価委員会で1次意見ということで出している。それが各府省の15年の予算編成の中で活用されていると思っている。
内藤正光議員:この評価は各府省が独自で評価したもの。いわゆるプレーヤーと審判が同じということ。本当にそれで正しく反映されるのか。
若松謙維副大臣:1次意見というのは、各府省が出した意見を総務省が全般的に再度チェックした意見。かなり客観性公平性を確保した意見ということで理解してくれ。
内藤正光議員:それが実際に各府省で反映されたかどうか、総務省としてはわからないということか。
若松謙維副大臣:フラットが大事な制度。
内藤正光議員:本来、予算は財務省、評価は総務省の所管。この評価を正しく予算に反映させていくとするならば、財務省と総務省の連携なくしてはできない。ヨーロッパでは財務省が評価して予算に反映している。評価が正しく予算に反映されるには、どうあらねばならないか、財務省との関係も合わせて聞きたい。
若松謙維副大臣:個人の考えであるが、財務省の主計局と総務省の行政評価局が一体となった組織は先進国の一部にはある。これも一つの検討課題と思っている。現制度でも、主計局と行政評価局が連携を取っている。各識者の意見が予算に反映されるよう、フォローアップしていく。
内藤正光議員:現行でも連携取っているといったが、もう少し詳しく話してくれ。
塚本政府参考人:予算と独法の関係だが、主計局がイニチアシブ取り、概算要求の中でも、運営費交付金についてH13年度の評価を15年度に反映させるということになっている。各府省評価委員会の評価結果を政策評価委員会が評価した。各法人の予算計画、事業計画に反映させるものがある。主計局にも意見を言ってある。
内藤正光議員:評価を正しく予算に反映させるという熱意は感じる。来年度は独法だけではなく、各省本丸も評価の対象になってくる。今のままの連携では心許ない。
片山虎之助大臣:おそらく明日の経済財政諮問会議で来年度の予算編成の基本方針を決める。全体について政策評価の結果を予算活用すると書くことになっている。
内藤正光議員:総務大臣と財務大臣がしっかり連携してやってくれ。

高嶋良充(民主党)
 (地方公務員災害補償法に関する質問)


<山下栄一(公明党)>
山下栄一議員:特殊法人等改革推進本部が決定した基本方針があるが、法人の組織形態を器の見直しにとどまらず事業の見直しを徹底してやることが重要と言っている。また財政支出についても見直しを厳格に反映させ、新独法への支出の縮減合理化を進めるとなっている。今回の独法化について、国民は改革ができると思っていない。国民自身も監視していかなければと思っている。そういう観点で質問する。
 (平和記念事業特別基金に関する質問)
山下栄一議員:情報通信研究機構、これは特定独法になる。これも分かりにくい。認可法人通信放送機構の職員55名は公務員になってしまう。官から民という基本方針に逆行する。
稲村政府参考人(総務省政策統括官):通信放送機構を廃止し、公務員型の通信総合研究所と統合し、新たに法人作る。TAOは民間型の法人。通信総合研究所は古くからある大事な研究所。
山下栄一議員:研究所は公務員型の独法。10月18日の基本方針に中期目標の期間終了時に非公務員に移行することを基本とすると書いてある。いずれ非公務員型にしないと納得できない状況。
片山虎之助大臣:研究所は先に独法になり国の機関としてやってきた。特定独法が適当だと思っている。TAOは50数人で吸収合併。わかりやすく公務員型にしようということ。ただし、中期目標が終わった時に見直しをし、特別な理由があるものを除き非公務員型にする。評価を見て、議論によっては非公務員型もある。
山下栄一議員:合併する必要ないのでは。TAOの役員は公務員ではない。そのまま新法人の役員になると公務員になってしまう。公務員を辞めた人がまた公務員になってしまう。検討する必要があるのでは。OBが新しい法人の役員になることは避けないとダメだ。
稲村政府参考人:TAOの理事は、法律上4名いてもいいとなっているが3人にしている。通総研の理事は3人で、統合によって新法人の理事を5人に減らす。役員の人事は適材適所で行うが、総務省の人事の一環という批判を招くことがないよう人事が行われるべきと思う。
山下栄一議員:減るのは非常勤。郵政出身のOBがまた公務員になることは見直すとか、8人の役員を常勤にしないで非常勤にするとか、国民から見てわかりやすくしないとダメ。役員にはOB以外も採用すべき。
片山虎之助大臣:統合によって、理事長は2人から1人、理事は7人から5人、監事は4人から2人に減らす。全部常勤にするかどうかは検討が必要。民間に本当にいい人がいれば来てもらうことも検討するが、なかなか難しいのでは。基本的には適材適所、経費の効率化の観点から検討していく。
山下栄一議員:民間にもすばらしい人いる。天下りの批判が激しい。変革のチャンスだから、前向きに検討してもらいたい。
 (地方公務員災害補償法に関する質問)
山下栄一議員:独法になって改革が進んだのか、鍵を握るのは政策評価委員会と思う。中期目標終了時に、法人の主要な事務事業の改廃に関し、主務大臣に勧告できることになっている。政策評価委員会の使命について聞きたい。
片山虎之助大臣:全部に通じるのは目標管理。自立性弾力的に運営し、第三者による評価を行い、場合によっては、役員を辞めさせ、給料を下げ、仕事をやめる、独法そのものを廃止する、というところまで踏み込める。各府省で評価し、総務相の評価委員会で横断的に評価するため使命は重い。13年度の評価が出そろい、二次評価を試行錯誤の中行っている。具合わかれば、相当な機能を果たす。各府省の評価委員会と連携取りながらやっていく。
山下栄一議員:総務省所管の独法の中に運営の自立性効率性を図ることがポイント。総務省所管の中で、一つくらいは理事長に民間人を採用すべき。
片山虎之助大臣:検討に値するが、ふさわしい人がいるかどうか、総合的に検討させていただきたい。

<宮本岳志(日本共産党)>
宮本岳志:通総研について、特定独法になっているのはなぜか。
稲村政府参考人:役職員の身分は通則法で、業務の形態が国民生活又は社会経済の安定に直接且つ著し支障を及ぼすと認められる場合などに、特定独法として役職員に国家公務員の身分を付与することになっている。通総研は周波数の標準値の設定及び標準時の通報など、国民生活の基本となる仕事をやっている。その他、電波の伝わり方、観測予報、情報通信技術の基礎的な研究開発などの業務をやっており、業務の性格から独法となっている。
宮本岳志議員:国民生活や社会経済に対し重要な業務を行ってるということだ。今回、TAOとの統合後も特定独法のままでいくということは、この重要な業務を引き続き続けるということでいいか。
稲村政府参考人:今回、特定独法とするのは、非常に業務の形態が国民生活等の安定に直接著しい影響を及ぼすということと考えているので、引き続き行われるということ。
宮本岳志議員:通則法35条では、中期目標の期間の終了時において当該独法の業務を継続させる必要性、組織のあり方、その他その組織及び業務の全般にわたる検討を行い、その結果に基づき所要の措置を講ずると、改めて検討することになっている。くれぐれも国民生活や社会経済の安定に不可欠なこれらの仕事を投げ出すことのないように、中央省庁改革基本法41条の主旨も踏まえて進めることを求める。
 (地方公務員災害補償法に関する質問)

松岡滿壽男(無所属の会)
 (平和記念事業特別基金に関する質問)

<又市征治(社民党)>
又市征治議員:独法化に伴う役員数の増減について伺う。総務省の数字では減るとなっているが、それは今回の38法人で監事を除く数となっている。24日の毎日新聞では、独法効率化のはずが役員3倍増、半数天下りの記事が載っている。独法になった59の法人が独法化前に対応する審議官数に比べ3倍ということだ。役員の給与は指定職とほぼ同様だから、役員給与が3倍になったという事だ。なぜこのようになるのか。
松田政府参考人(総務省行政管理局長):指摘の毎日新聞についてだが、国の機関の一部として、59法人を独法化させた。独法化に伴い、運営責任者が指定職でなかったところも、自立的な運営を行わせることから、その責任を負ってもらうため、最小限必要な陣容を整えた。実態は、移行前の指定職は91人で、理事長、理事が168人、常勤は149人だが、そのうち34人は課長級の給与、幹事は118人で常勤は28人、という実態。
又市征治議員:新聞の根拠は、衆議院調査室の報告書と思われる。しかし、総務省も行革推進事務局も把握していない。今の答弁は報道の内容を認めたと理解する。役員給与、退職手当について、ある程度通則法で規制すべき。衆議院で、通則法52条で給与の上限を定めるべきと提案したが、石原大臣は、絶対額ではなく削減率を持ち出し、大法人と中小では違うから無理という答弁をした。問題のすり替え。率ではなく絶対額で定めてよいはず。
堀江政府参考人(特殊法人等改革推進事務局長):衆議院委員会で議論あり、通則法52条による現行制度を申した。法人の自主性自立性を尊重しつつ、透明性高める方策ができている。法律で上限を定めることについてはしんちょうでなければならないと言った。その後石原大臣から、特殊法人の給与退職金の削減を3月にやったということに触れ、一律削減するのは難しいのではないかと述べている。
又市征治議員:上限持つことは可能だ。自主的というなら、税金を投入しなければ赤字な訳だから、役員給与の大幅カット、人数も減らすということは当然のことだ。10月18日、関係大臣で役員給与1割、退職金3割引き下げを合意し、今回移行する法人から適用することだが、自主性があるはずの発足済みの59法人も退職金引き下げを行う。なぜ右ならえなのか。
松田政府参考人:独法の役員報酬については、自立性透明性を図る観点から、通則法において、国家公務員の給与、民間役員の報酬等、当該役員の実績を考慮して、法人が支給基準を定め、主務大臣に報告し公表することになっている。退職金について、独法は従来の特殊法人と同じ算定方法をとっている。特殊法人の引き下げの方針が決まったことを踏まえ、独法でも基準の見直しがされるものと思っている。
又市征治議員:自主性と言ってるが、実態は行政指導に近い。役員の内容について、毎日新聞には、半数が官僚OB、常勤役員では占有率が9割を超えている。経営を独立せよと言うが、官僚を役員に天下りさせ、給与退職金という重い負担を背負わせてる。今後も独法化していくと思うが、指定職と独法役員数を合算し定数管理すべき。どういう具体策を持っているのか聞きたい。
堀江政府参考人:通則法20条に役員の任命の規定があり、法人の長は主務大臣が任命、それ以外の役員は、法人の長が任命する事になっていて、法人の役員としてふさわしい人が任命される。その業績が評価委員会でチェックされ、低業績の役員は解任される。公務員が独法役員に一律なってはいけないというものはいかがなものか。OB人事の一環として機械的に取り扱われないようにしたい。
又市征治議員:人材活用そのものを否定しているわけではない。OBが9割も占めていると言われ、もう少し定員管理をすべきではと言ってる。営利企業の天下りについて、人事院承認制を廃止し、大臣承認制を導入すると言っているが、国民の求める公務員制度改革にならない。大臣承認制はお手盛りにつながる。マスコミも人事院も世論に逆行するという意見。しかし、石原大臣は、各省大臣の政治的責任につながるから天下りは減ると言っている。独法への天下りは、その所管大臣の責任でやっているのに、なぜ大量の天下りが生まれるのか。独法への天下りを減らすことができないのに、民間企業への天下りについて大臣承認制なら減らすことが可能なのか聞きたい。
春田政府参考人(内閣官房行政改革推進事務局公務員制度等改革推進室長):公務員制度改革の中の天下りについては、様々な形で強い批判を受けている。しっかり受け止める必要がある。営利企業への再就職について大臣承認制をとるという考えは、再就職について国民に対する責任を明確にするということ。内閣が基準を定め、各省大臣が責任を持って承認するということ。人事院が、意見の申し出、実施状況についての勧告を行う、再就職後の行為規制を設け違反行為に罰則を導入、詳細に公表する、など、二重三重の仕組みをとるということ。承認基準は、これまで以上に厳格、明確なものにすることが強く求められている。
又市征治議員:減っていくという実感は持てない。一括天下りを審査し、総枠を規制する仕組みが必要。
 (平和記念事業特別基金に関する質問)

■討論■
<八田ひろ子(共産党)>

3法案全てに反対の討論を行う。最大の理由は、この改革が看板の掛け替えにすぎず、改革の名に値しないからだ。国民が期待する改革は、無駄を削減する、国民生活に必要な部門は拡大充実させる、官僚の天下りをなくし、利権と癒着にメスを入れることだ。国民の期待に応える内容は皆無だ。個別に見れば、平和記念事業特別基金等に関する法律一部改正案は、戦争犠牲銘記、平和祈念事業について国の責任を縮小するもの。通信総合研究所法一部改正案は、統合の合理的理由は見当たらず、研究開発能力を低下させかねない問題がある。地方公務員災害補償法一部改正案は、補償に先立つ認定審査の構成公平な運営への改善が全く見られない。共産党は、真の特殊法人改革に全力を尽くす。

 採決は、賛成多数で可決。ついで自民党、保守党、民主党、公明党、社会民主党の共同提案による付帯決議が採択されました。

 平和記念事業特別基金等に関する法律の一部を改正する法律案、独立行政法人通信総合研究所法の一部を改正する法律案及び地本公務員災害補償法の一部を改正する法律案に対する附帯決議

政府は、本法施行に当たり、左記の事項について適切な措置を講ずるべきである。

一  独立行政法人への移行に当たっては、自律的、効率的に運営を行うという制度改革の趣  旨が十分発揮されるよう政府の関与や規制を極力排し、その運用に万全を期すること。

二  独立行政法人等への移行後においても、事務・事業や組織の見直しを行い、経営の一層  の合理化、効率化と経費の削減に努めること。

三  独立行政法人の業務の実績に関する評価が、専門性及び実践的な知見を踏まえ、客観  的かつ中立公正に行われるようにするため、中期目標の設定、評価基準の作成、評価委員  会の委員の選任等に十分配慮するとともに、各府省設置の評価委員会と総務省設置の政  策評価・独立行政法人評価委員会の連携の強化に努めること。

四  独立行政法人等への移行に当たっては、その業務の内容を積極的に公表すること等を通  じて、その組織及び運営の状況を国民に明らかにすること。

五  独立行政法人の役員の選任においては、当該分野に関し識見を有する適切な人材を幅  広く起用するよう十分配慮すること。

六  独立行政法人の役員の報酬及び退職手当については、独立行政法人通則法の趣旨を  踏まえ、法人の業務の実績及び役員の業績を的確かつ厳格に反映させるとともに、独立行  政法人の役職員の報酬・給与及び退職手当の水準について、国家公務員及び他の独立行  政法人の役職員と容易に比較ができる形で公表し、国民の理解を得るよう努めること。

七  独立行政法人等への移行に当たっては、これまで維持されてきた、当該法人職員の雇用  安定及び良好な労働関係に配慮するとともに、移行後の法人運営に当たっては職員が安心  して業務に邁進できるよう努めること。

  右決議する。

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