有事法案を阻止し、平和憲法の
発展をめざす決議

 小泉政権が成立をめざしていた「有事関連三法案」は、与党による一方的かつ大幅な会期延長にもかかわらず、野党と広範な労働者・国民による国会内外のたたかいによって、先の通常国会で成立を阻止することができた。この「有事関連法案」は、自衛隊の軍事行動をさらに拡大し、アメリカ軍の戦争に参戦するため、国民の人権や自由を大幅に制限しようとするものにほかならない。
 しかし、政府・与党は、秋の臨時国会でその早期成立を狙うとともに、官房長官の「非核三原則見直し」発言や官房副長官の「核兵器使用は違憲でない」発言、沖縄県名護市沖への埋め立てによる米軍新基地建設の基本計画決定のほか、8月1日の全省庁担当局長連絡会議で、自民党国防部会が打ち出した「国民保護法制」や米軍の行動円滑化に関する法制などの法案作業にむけて体制強化を指示するなど、日本を「戦争する国」に変質させ、アメリカの軍事戦略を補完するための動きを着々と強めている。
 また、小泉首相や閣僚の靖国神社公式参拝、公立学校卒業・入学式での「日の丸」「君が代」の全面的な強制、教育基本法の改悪策動などに加え、8月15日に愛媛県教育委員会が侵略戦争賛美の「新しい歴史教科書」を公立一般校で全国初の採択を決定したことも、こうした危険な動きと軌を一にしている。
 こうした中で、アメリカ・ブッシュ政権は、イラクを「悪の枢軸」国家と決めつけ先制攻撃も辞さないとの発言をエスカレートさせており、8月15日公表の「2002年国防年次報告」でイラクを改めて非難する一方、核兵器使用も含めた先制攻撃の必要性を強調するなど、緊迫した事態となっている。
 このような危険なアメリカの戦略に対し、中東・イスラム諸国をはじめ、NATO諸国からも次々に批判の声があがっている。日本でも、小泉首相のアメリカ追随姿勢とは対照的に、今夏の平和宣言で広島市長が「米国政府はパックス・アメリカーナ(米国主導の国際秩序)を押しつけたり、世界の運命を決定する権利を与えられているわけではない」と批判し、長崎市長は「米国政府は…国際社会の核兵器廃絶への努力に逆行している。一連の米国政府の独断的な行動を、私たちは断じて許すことはできない」と断じている。
 第2次大戦において自国民と多くの国々に多大な犠牲を強いたわが国が、その惨禍と反省のうえに築きあげた日本国憲法は、人類の英知の結晶である。その前文は、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起きることのないようにすることを決意し」「全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う」と結んでいる。
 憲法遵守の義務を負う私たち国公労働者は、憲法の平和理念を守り発展させ、戦争のない日本と世界を築くため、「憲法・平和学習強化月間」の取り組みと「憲法遵守職場宣言」運動を重視し、職場・地域から草の根の運動の先頭に立って奮闘する。そして、政府・与党の「戦争する国」づくりを断じて許さず、当面する「有事関連法案」の成立阻止とアメリカの対イラク戦争阻止のたたかいに全力をあげるものである。
 以上、決議する。

 2002年8月30日 

日本国家公務員労働組合連合会第48回定期大会

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