国公FAX速報 2002年7月31日《No.1287》

3500人で人事院を怒りの包囲
許すな!マイナス勧告7・31中央行動


 最高気温34度、ヒートアイランド東京では体感でもっと暑く感じた7月31日、国公労連は公務労組連絡会に結集して、夏季闘争7・31第3次中央行動をくりひろげました。“マイナス勧告は許さない”と、バスを貸し切って参加した宮城県国公や長野県国公をはじめ、各単組の上京団の仲間など、2500人(公務労組連絡会全体で3500人)が結集し、猛暑をふきとばす中央行動を展開しました。

 中央行動のスタートを切って、郵産労による中央労働委員会への斡旋・調停の申し入れに対する速やかな対応と賃上げをはじめとする諸要求の実現を求め、午前11時より中央労働委員会前で要請行動を行いました。
 主催者を代表して、全労連・岩田事務局次長は、「最低賃金審議会は今年はじめて改定を見送った。パート労働者が年間2千時間働いても年収130〜140万円という低賃金でどうして安心して暮らし働けるというのか。人勧もマイナスとなることが公然といわれている。使用者は労働者と誠意を持って交渉を行い労働条件を決定するというのは世界のルールだ」と、使用者側は誠実に交渉に応じるよう求めました。
 郵産労・廣岡書記長は、情勢報告の中で「初任給1万5000円引き上げ・非常勤職員の時給1000円以上等を求めて春闘をたたかってきたが、総務省当局は『回答できる状況にない』などとの答えに終始し、やむなく中労委に斡旋・調停を申し入れた。しかしいつまでたっても事情聴取を行わないし、人勧が近づいているこの時期にもかかわらず調停委員会を開かない」と、中労委の不誠実な対応を批判しました。
 国公労連からは飯塚中央執行委員が連帯あいさつに立ち、「国営企業の賃金と、非現業国家公務員の賃金とは深く関係している。さらに独立行政法人の多くが人勧準拠を基本としており、郵産労の仲間のたたかいは独法の職場にも大きな影響を与える。郵産労のみなさんと連帯してヤマ場のこの時期おおいにたたかおう」と決意を表明しました。
 最後に、郵産労・田中委員長が「交渉での有額回答がされず、中労委へ斡旋・調停を求めるにいたった。しかし通常なら1カ月で見解が出されるのに、いまだに出されないことに怒りを持っている。郵産労は1万2000人の職員からアンケートを集め、その65%が『今の生活は苦しい』と答えている。中労委はこの実態をふまえ、有額回答の見解を示すべき」と訴えました。

 ★5カ所で要求行動を展開!“霞が関騒然”の熱い昼休み
  〜オレンジ一色で人事院を圧倒


 つづいて、昼休みに、霞が関5カ所での要求行動を並行して実施。公務労働者の怒りのエネルギーで、文字どおり“霞が関騒然”の状況となりました。
 国公の仲間は、人事院・財務省・行革推進事務局前で要求行動にとりくみ、総務省前で自治労連、文部科学省前で全教の仲間がそれぞれ行動にとりくみました。
 昼休みの人事院包囲行動パート1は、この中央行動のイメージカラー=オレンジ(オレンジ色の手拭いを参加者に配布)に合わせ、髪を染めて望んだ国公労連・岡部スーパー部長(組織教宣部長)の司会で始まり、人事院をオレンジ色で包囲しました。
 冒頭、主催者あいさつで、公務労組・堀口副議長(国公労連委員長)は、要旨つぎのように述べました。
 この間の交渉で、人事院は、本俸・一時金のマイナス勧告や諸手当の改悪を示唆している。本来、賃金をはじめとする労働条件は労使の話し合いで決めることが労使関係の基本だ。人事院が一方的にマイナス勧告を行うことは公務労働者の権利の否定だ。
 人事院は、3年連続引き下げで公務員の生活が悪化していること、職場では定員削減のもと、過酷な長時間労働が強いられ、自殺や過労死が続発している事実を直視すべきだ。人事院は生計費原則と労働の実態をふまえて、利益擁護の使命を果たすべきだ。
 政府のすすめる公務員制度改革。その方向は、公務労働者の一層の権利の後退であり、私たちを無権利のまま、使い勝手のいい公務員に変質させようとするもの。今回の勧告をめぐる動きでもわかるように、労働基本権確立・公務労働者の権利保障が、私たちの労働条件を守り、国民本位の行政・教育を行う上で、何よりも重要であることを確認しあい、たたかいをすすめよう。
 つづいて、民間の仲間からの連帯あいさつとして、全国一般・福本書記次長が、「私たち中小・零細企業に働く労働者は、大企業の横暴や不況により、一層厳しい状況におかれ、国・自治体の公的援助がますます必要となっている。行政サービスの充実とともに、不況を打開するためには、すべての労働者の賃上げが必要だ。賃下げ攻撃を人事院勧告に波及させないために、共同のたたかいをすすめよう」と語りました。
 闘争報告では、国公労連・小田川書記長が要旨つぎのように述べました。
 昨日の勤務条件局長交渉では、(1)較差がマイナスとなることは確実、本俸引き下げ必至の状況認識で作業、(2)本俸配分については国公労連の要求もふまえ、若い級の引き下げ率を低くする方向で検討、(3)配偶者手当の削減を検討、(4)俸給の調整額の経過措置の見直しが必要、(5)一時金については、3月期を6月と12月に振り分けるとともに、期末勤勉手当の支給割合を7:3程度となるよう見直し、(6)勧告の実施時期は法制度的には法施行後となるが、4月時点の官民賃金比較を行っていることから、必要な精算措置(年間支給額で官民が均衡するよう精算)を講ずる、(7)超勤縮減、男女共同参画、非常勤職員の均等待遇などは報告でふれる、などと回答。
 賃下げの悪魔のサイクルを先導・固定化しかねないマイナス勧告という暴挙を、単に民間準拠の一言で片づけることは断じて認められない。
 一度払った賃金を後から精算の名で取り返すような実施時期問題や、一時金の支給内容にまで民間準拠をストレートの持ち込む勤勉手当の支給割合増は、マイナス勧告という激痛にくわえて国公労働者を足蹴にするものである。
 来週後半と想定される勧告にむけ、“賃下げノー!”“ダブルパンチとなる賃下げ精算は認めない”“公務員制度を先取りする勤勉手当支給割合はやめろ”の声と運動を集中する。各級機関からの要請電、8月6日からの人事院前座り込み行動などを背景に、たたかいと交渉の一段の強化をはかろう。

 ★各ブロック国公が地方のたたかい持ち寄りパワーアップ

 決意表明では、「宮城では、きのう民間の仲間も含めたこの中央行動への送り出し集会も実施し、バスを貸し切り30名でかけつけた。7月19日には、東北ブロックで、人事院東北事務局前座り込みを中心とする怒りの総行動を成功させた。マイナス勧告は到底納得できない」(東北ブロックを代表して宮城県国公・昆野事務局長&怒りの人間ムシロ旗コンビ)、「愛知県国公は、日頃から民間の仲間との共同をすすめてきた。マイナス勧告の危険性が高まるなかで、多くの民間の仲間から今度は支援いただき、文字通り官民一体のたたかいをすすめている。人事院中部事務局は、私たちとの交渉をつくすべきなのに、様々な制限をかけるなど不当な対応だ。8月6日には再度、人事院中部事務局を包囲する」(東海ブロックを代表して愛知県国公・伊藤議長)、「近畿では、のべ700人の仲間が5日間連続で人事院近畿事務局を包囲してきた。人事院は存在意義が問われている。近畿事務局も交渉でまともな回答をしていない。人事院は、私たちに対して、道理あるきちんとした説明をする責任がある」(近畿ブロック・秋山事務局長)と、各ブロックからそれぞれの行動をふまえた怒りの発言がありました。

 ★民主的な公務員制度の確立を〈行革推進事務局前行動〉

 行革推進事務局前要求行動では、公務労組・浜島事務局長が、「私たちは、対等・平等の交渉で新しい労働条件は決めるべきと主張してきた。労使合意にふれない大綱の具体化を承服せず、世論を背景に政府を追いつめよう」と主催者あいさつ。つづく闘争報告では、国公労連・山瀬副委員長が、「公務員制度改革の課題は三つ。(1)日本の民主主義発展に重要な意義をもつこと、(2)『政治家の働きかけアンケート』結果が示すように行政民主化に重要な意味をもつこと、(3)もの言わぬ公務員づくりが民間労働者に影響することなどだ」と述べ、決意表明では、「新人事制度の2次案は、労働基本権を棚上げにして能力実績主義をもちこむもの。評価制度は、職場の例で言えば、天気予報を出すまでには多くの人が関わり協力しあって成り立っており、導入されると混乱するものだ」(全気象東北地本・佐々木書記長)、「大綱による公務員像は政権党への従属を強めるもの。能力業績主義による弊害は職場のまさつを強め、目標管理で競争が激しくなるなど、国税の荒廃した職場実態がすでに示している。人事評価制度の施行は断じて認められない」(全国税・本田書記長)、「小泉改革は、大企業に奉仕するためのもの。郵便貯金の財政投融資は、国民の暮らしに密着した育英会、住宅公団などの事業に使われてきたが、それを切り捨て“市場での運用に回す”のは危険なたくらみだ」(水資労・山本書記長)と、それぞれ発言がありました。

 ★国民本位の予算策定へ転換を〈財務省前行動〉

 財務省前要求行動では、国公労連・遠山副委員長が、「軍事基地の新設に予算を使い、社会保障を切り下げる予算の使い方にはノー!の声を大きくし、生活と権利を守るたたかいに奮闘しよう」と、主催者あいさつを行いました。民間からの連帯あいさつでは、生協労連・桑田委員長が、「流通業界に働く労働者としてみなさんのたたかいを激励したい。消費を拡大せずに不況の克服はありえない。750万人に影響のある公務員賃金は、消費拡大のためにも引き上げるべきだ」と述べ、決意表明では、「いま職場は猛烈な繁忙の上、人が減らされる中がんばっている。こんなに職場でがんばっているのに、マイナス勧告などとは、何を目標にすればいいのか。マイナス勧告は青年層の生活を直撃する。朝飯も食べずに、残業する生活を続けろというのか」(全司法中国地連青年協の伊藤さん)、「昨年、差別是正でたたかってきた裁判が、最高裁で勝利した。しかし、関税局当局は、まともな是正をしようとしない。みなさんの力もかりて、大きな前進を勝ち取りたい」(全税関・古木名書記長)、「医療大改悪の強行は、深刻な受診抑制を考えると、もはや緩慢な殺人だ。財務省は、国民負担を考える前に、国民本位の税金の使い方を考えるべきだ。いま行政はもうけの手段の場となっている。“住民に奉仕”から“住民に君臨”するものとなり、自治体が自治体でなくなっている。財政赤字は、国民が作ったのでも、私たちの賃金が高いからでも断じてない」(自治労連・若井副委員長)と語られました。

 ★ストップ!悪魔の賃下げサイクル〈人事院包囲パート2〉

 5カ所での昼休みの行動の後、1時15分からは、3500人が全員結集しての人事院包囲行動パート2が行われました。はじめに公務労組・駒場議長は、「マイナス勧告の危険という、かつてない緊迫した情勢にある。公務労働者の両手両足を縛っておいて問答無用に賃下げを行う、これが代償機能といえるのか。マイナス勧告を許さないたたかいは、国民のための公務員制度確立、公務労働者の労働基本権回復のたたかいに連動するもの。全力をあげたたかおう」と主催者あいさつしました。
 激励にかけつけた建交労・江沢書記長から、「人勧は、民間労働者にとっても人ごとではない。財界による“賃下げ春闘”攻撃の上に、マイナス勧告となると、さらに民間での賃下げに口実を与え、まさに悪魔の賃下げサイクルは必至だ。共同のたたかいを一層強めよう」と、力強い連帯あいさつを受けました。
 つづいて、決意表明では、「失業率5.4%、失業者数368万人と最悪の雇用情勢の上に、小泉構造改革が生活を直撃している中で、人勧による影響は従来にも増して大きい。マイナス勧告を阻止し、賃下げの悪循環にストップをかけない限り、労働者の生活改善も景気回復もない」(国公労連・伍副委員長)、「4月に実施したアンケートでは、“教育費が高く、日々の生活が苦しい”“これでは結婚しても子どもを生めない”など、岩手の自治体労働者の3年連続年収マイナスへの悲痛な叫びが寄せられている」(岩手自治労連・黒沢執行委員)、「私たち岡山高教組が、人事委員会勧告の不完全実施などを不当としてILO提訴した件について、ILO理事会は、私たちの訴えを認め、日本政府に勧告を行った。このILO勧告から、人事委員会や人事院勧告は、“賃上げ勧告”を前提とするものであり、賃下げ勧告など国際労働基準に照らして考えられないことは明白だ」(岡山高教組・田中特別執行委員)と、それぞれの立場からマイナス勧告への怒りが語られました。

 ★職場・地域でスーパーセーブくりひろげよう

 中央行動の最後は、日比谷野外音楽堂での総決起集会(全労連と公務労組の共催)が行われました。この集会には、通信労組、生協労連、JMIU、建交労など民間単産の仲間もかけつけてくれました。
 主催者を代表して全労連・坂内事務局長は「本日は国会会期末。今国会では医療改悪法の成立が強行された。耐えがたい痛みをせまる小泉内閣に、怒りを込めて抗議するとともに、まともな審議さえ許さなかった有事法制阻止の運動の広がりに確信をもとう。デフレスパイラルを断ち切り、公務労働者と国民全体の生活改善のため、マイナス勧告阻止を強く訴える」と、たたかえば展望を切り開ける情勢であることを訴えました。
 連帯あいさつにかけつけた農民連・白石副会長は、「私は北海道で農業をやっているが、BSE問題で大変な状況にある。輸入農産物激増により国内農産物は暴落し、いまや地域最賃も下回る現状だ。輸入冷凍ホウレンソウが日本の残留農薬基準の2〜300倍に達するなど食の安全が深刻だ。労働者のリストラ・賃下げ攻撃と農民に対する攻撃の根っこは同じ。ともにがんばろう」と、力強いエールを送ってくれました。
 つづいて公務労組・浜島事務局長が情勢報告を行い、「マイナス勧告の動きが強まっている。8月6日から予定している人事院前座り込みに結集し、不当な人事院の動きに抗議しよう。また公務員制度問題も秋に向けて大きなヤマ場。200万署名をやりとげよう」と行動提起しました。

 各単産のパフォーマンスによる決意表明のトップを飾ったのは、浪速の霊長類最強のゴールキーパー・カーン山瀬(国公労連・山瀬副委員長)と精鋭イレブン(各単組・国公労連本部混成チーム)。「公務員賃金カットと公務員制度改悪は、ぁカーン」と題したワールドカップ・パフォーマンスで会場を席巻。マイナス勧告を阻止するためには、参加者全員が、スーパーセーブを連発するカーンになる必要があると、壇上から精鋭イレブンがボールをシュート。この日のために、自毛のロナウド大五郎カットでシュートした全国税のロナウド田山(田山中央執行委員)など、超個性的な精鋭イレブンの華麗なプレーに会場は大いに盛り上がりました。最後は、「きょうのスーパーセーブを職場・地域でくりひろげ、マイナス勧告をはねかえそう!」とシュプレヒコールで参加者の心をひとつにしました。
 その後、横断幕を持った自治労連、七夕の短冊を手に持つ全教の決意表明に続き、近畿公務共闘がテレサ・テンの「時の流れに身をまかせ」バージョンで「公務の仲間と手をつなぎ/駒ちゃん(公務労組連議長)の胸に寄り添い/賃下げ阻止するそのため、みんなここに集まった/だから団結みんなでたたかお/絶対に賃下げは許さない」を替え歌で合唱しました。
 最後に集会アピールを確認し、公務労組・堀口副議長(国公労連委員長)の閉会あいさつと団結がんばろうでたたかう決意を固め合い、国公の仲間は、行革推進事務局コースでデモ行進を行い、中央行動を終えました。
 中央行動の中で、「賃金改善署名」を、国公労連からは11万3169筆、公務労組全体で26万6千筆を人事院へ提出し、賃下げ勧告は絶対にやめるよう人事院に強くせまりました。

 ★参加者の声

 ○宮城県国公の方(全通信)
 朝6時30分に出発し、バスで30名が参加しました。昨日の夜、200名が結集し、春闘共闘・公務関連共闘・宮城県国公の3者で「7・31参加のための激励集会」とデモ行進を実施。宮城県の仲間の力を結集した「マイナス勧告断固阻止」というみんなの思いを胸に、本日の行動に参加しました。「怒!賃下げ」というムシロはちょっぴりチクチクするけど、心も決意も熱いぞ!

 〇全建労中国地本江の川支部の方
 子どもが2人いますが、これ以上賃金が下がると生活は大変です。今日は、中国支部の仲間を代表して参加しました。これから仲間を増やしてがんばりたいです。

 〇全労働鹿児島支部の方
 3年連続のマイナス勧告で、日々の生活を切り詰めています。私たちのガマンも限界です。情勢は厳しいけれど、みんなで力をあわせて笑顔でがんばりましょう。

 〇長野県国公の方(全法務)
 マイナス勧告を絶対阻止する意気込みで、バスを貸し切り40名が参加しました。今国会で医療制度が改悪され、だまっていても賃下げじゃないか!長野県国公は、ずく(精をだす)だしてがんばるぞ!

 ○全建労東海地方本部沼津支部の方
 3年連続の一時金切り下げでさえ許せないのに、マイナス勧告なんて信じられません。人事院は、公務員の給与をどのように思っているのでしょうか。子どもはいま1歳、これ以上支出を減らすことはできません。今回の中央行動では人事院に対し怒りをぶつけましたが、マイナス勧告を阻止するためこれからもがんばります。

 ○全厚生京都支部の方
 マイナス勧告は絶対に許せません。万が一、マイナス勧告となった場合でも、不利益部分の遡及実施は断じて認められません。厳しい生活の中で、これ以上の生活の切りつめはできません。政府の一員となって賃下げを行おうとする人事院の姿勢を厳しく追及していきます。

 ○全経済中国経済局支部の方
 組合員からは「今年はマイナス勧告になるの?」「明日からどうしょう」という不安と怒りが渦巻いています。私は職場新聞を作成し人事院勧告の情勢を仲間に伝えるとともに、中国経済局を代表して、今回初めて上京団中央行動に参加しました。この怒りを職場の仲間に伝えたいです。「数は力」だと、今日の行動に参加して確信をもちました。今後、怒りをバネに組織拡大・強化のためがんばります。

以上

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