改めて「公務員制度改革大綱」の
撤回・修正をもとめる(談話)
−第90回ILO総会の結果にかかわって−

 6月3日から開催された第90回ILO総会が終了した。この総会では、昨年に引き続き、日本での公務員制度改革が論議となり、その進め方、内容の両面から、日本政府の対応に国際的な批判が集中した。日本政府は、この事実を真摯にうけとめ、昨年12月25日に閣議決定した「公務員制度改革大綱」の撤回・修正を決断すべきである。国公労連は、国際労働基準にも合致する公務員制度の民主的改革のため、「大綱」にこだわることなく、政府が交渉・協議をつくすよう強く求める。

 今次のILO総会・基準適用総会委員会では、6月11日(現地時間)に、日本における98号条約(団結権及び団体交渉権についての原則の適用に関する条約)の実施状況が個別審査の対象とされた。これは、日本政府が進めている公務員制度改革が、その進め方、内容ともにILO条約に違反しているとする全労連や連合のILOへの提訴を背景としたものである。
 日本政府は、基準適用総会委員会の場で、「推進事務局が設置されて以降、職員団体とは91回の交渉・協議を行った」、「(大綱)では、人事院の代償措置を維持するとしており、労働基本権の代償措置は確保される」などとして、条約を「誠実」に履行していると強弁したと伝えられる。しかし、それに対する日本の労働者代表の反論や、「98号条約が保障している労働基本権適用の適否をその国の事情にゆだねるなら、国際基準たりえない」などとする他国の労働者代表の追及の前に、日本政府は「ILO原則をふまえ、引き続き関係する職員団体と誠実に交渉・協議する」と表明せざるを得なかったと伝えられている。

 そして、これらの論議を受けた議長集約では、1)(日本の公務員が)賃金決定への参加をいちじるしく制限されていることに懸念を表明し、2)「国家の運営に関与しない」公務員について、雇用条件が団体交渉の奨励と促進によって決定する目的で、公務員制度改革が行われることへの強い希望を表明し、3)関係する労働組合などとの十分な協議を求めた。
 このような議長集約の内容は、「労働基本権制約は現状維持」とする「大綱」の内容が、98号条約の「完全な履行」からはほど遠いとする認識が前提にあるものと考える。

 政府・推進事務局は、「労働基本権制約にかかわる相応の措置」の内容について、その明確化のための交渉・協議を迫る国公労連の要求に、今日段階でもまともに応えようとしていない。ILO総会の結果にてらせば、「相応の措置」の交渉・協議を先延ばしすること自体が、ILOをはじめとする国際社会の批判にさらされていることは明白である。
 国公労連は、労働者の労働条件は「当該労働者の参加する団体交渉によって決定されるべき」とする、国際労働基準が公務員制度改革をつうじて実現することなど、公務員制度の民主的改革にむけた取り組みをさらに強める。当面、その目的で取り組みを開始した国会請願署名の成功をテコに、国内での世論喚起に全力をあげ、その取り組みを背景に「大綱」の撤回・修正を政府に迫っていく。
 全労連など第90回ILO総会の日本労働者代表の奮闘で、たたかいの前進につながる成果があったことを心から歓迎し、引き続くとり組みに総力をあげる決意である。

2002年6月21日

日本国家公務員労働組合連合会
書記長 小田川義和

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