子どもの看護休暇の新設にあたって(談話)
2002年3月25日
日本国家公務員労働組合連合会書記長 小田川義和

 人事院は2002年3月19日の国公労連との最終交渉において、「子どもの看護休暇を4月1日から実施する」旨回答し、3月25日に規則を公布した。
 2001年8月8日の人事院勧告は、仕事と家庭の両立支援のための制度拡充について子どもの看護に係る休暇について早期導入の方向で検討をすすめる、とする報告をおこなった。
 現行の介護休暇制度は、1994年9月、民間に先駆けて導入されたが、3月の取得期間や取得要件がネックになり、とりわけ、短期の子どもの病気に適用されないため、改善を求めてきた。私たちは昨年の勧告・報告以降、当面、「子どもの看護休暇14日」の早期実現を重点要求として運動を展開してきた。今回の措置は、民間が厚生労働省令で企業に対する努力義務を課したのみという状況のなかで、国家公務先行で実施したことは私たちの切実な要求に応えたものとして評価する。
 実現した子どもの看護休暇は、(1)特別休暇の中に新たに「子どもの看護のための休暇」を追加、(2)職員一人につき年間5日の範囲内とする、(3)対象となる子どもの年齢は小学校就学前までとする、(4)2002年4月1日から実施するというものである。
 国公労連は、3月22日の交渉において、(1)昨年の人事院勧告以来、交渉・協議をおこなってきたにもかかわらず、実施わずか1週間前の回答は唐突といわざるをえない。従来から、制度の周知徹底に必要な時間的余裕と事前の労働組合との十分な協議を要求してきたことからも今回の対応は十分な協議が尽くされたとはいえない、(2)制度内容については、要求が14日に対し、5日はほど遠い、厚生労働省通知にある企業に対する指導目安をそのまま公務に取り入れていること、根拠としている民間の実施状況の細かな内容分析も不十分である。(3)緊急に職場に周知徹底をはかること、(4)引き続き看護休暇の内容改善と家族看護休暇の実現を要求した。
 子どもの看護の実態は、さまざまなケースが考えられる。制度の導入後は普及状況の把握と問題分析をおこない、休暇日数の拡充、家族看護の実現などについて労働組合の要求を聞き、制度見直しをおこなうべきと考える。
 各府省が「女性国家公務員の採用・登用の拡大計画」を策定し、その同じ年に育児休業と介護休暇の期間延長など両立支援の制度の充実と子どもの看護休暇が新たに設けられたことは、意義深いものがある。男女共同参画社会を実現していくため、従来からある男性は仕事、女性は家事・育児・介護とする役割分担の考え方を改め、男女がともに仕事と家庭生活を両立し人間らしく働き、くらすことのできる労働条件の確立を求め運動することが大変重要になっている。
 男女共同参画基本計画は、今、我が国が造ろうとしている男女共同参画社会は男性も女性も互いにその人権を尊重し、喜びも責任も分かち合いつつ、性別にとらわれることなく、その個性と能力を十分に発揮できる豊かな社会である、としている。
 21世紀にすべての人の人権が尊重される社会の実現をめざし、両立支援の諸制度と合わせ子どもの看護休暇の定着と更なる改善のとりくみに向け引き続き奮闘するものである。

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