日本国憲法を蹂躙し、国際社会の平和を脅かす
「有事法制」に反対します
 小泉首相が2月4日の施政方針演説で述べたとおり、政府は今国会での「有事法制」の制定を明言しており、防衛庁長官もこの内容をうけて法整備の着手に入るとしています。
 私たちは日本国憲法のもと、国民のための行政や司法に働く者として、戦時を対象とした有事法制のこれらの動きに、強い憂慮と危惧を表明するものです。
 政府が検討している「有事法制」は、日本が直接武力攻撃を受けた場合の防衛出動を対象にしているだけでなく、「周辺事態」発生時に国を挙げて対応するという、1997年9月に改定された新ガイドライン法を、より実効力をもたせていく法の整備が中心になっています。
 これは日本国憲法を真っ向から蹂躙し、国際社会の平和への努力に逆行するものといわざるをえません。有事法制は本格的な軍事行動のため、いわゆる戦時において、国家機関に強力な権限を集中し、「人」「物」を総動員し戦争に対処することが想定されます。そのためには国民総動員体制を可能とするため、「物資の収用、土地の使用、業務従事命令」等に反した場合には、罰則規定により処罰するとしています。当然公務員には、業務従事命令を含んだ罰則についてもふれられることは明らかです。
 このような、有事法制の最大の問題は、憲法の理念からも大きく反するものと思います。もともと憲法は交戦権を放棄し、戦力の保持を禁じているものであり、戦争を想定した法律を作ることが許されないことは明白であるからです。
 私たちは、組織結成以来一貫して、憲法を擁護し、軍事費の増大やいかなる戦争政策にも反対してきました。テロ問題や報復戦争にも、法の裁きと、平和のための外交努力、国際貢献を果たすことこそ日本の役割として、その立場を貫いてきているものです。
 いま、準備されようとしている有事法制は多くの国民と働く者を戦争協力に駆り立てようとすることであり、歴史的立場からも到底認められません。平和憲法をもつ日本が、いまこそ、世界平和の実現に向かっていっそう努力すべきことを心から願い、次のことを要請いたします。

 要請項目

1、世界平和の実現を願う世論に逆行する、有事法制の計画を中止すること。

2、日本国憲法9条を守り、これを広め、国際紛争の平和的解決への貢献を積極的に進めること。

以上

2002年2月27日
日本国家公務員労働組合連合会

内閣総理大臣
 小泉 純一郎 殿


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