■国公労連第113回中央委員会
(2002年2月1日)■

委員長あいさつ(国公労連・堀口士郎中央執行委員長)

 皆さん方のこの間のご奮闘に心より敬意を表します。
 本日の中央委員会の主たる任務は、統一要求の確定と行動補強について意思統一をおこなうことにあります。

 情勢の進展をふまえ、若干の問題意識を申し上げます。
 まず強調したいことは、国民生活と日本経済の悪化がいっそう深刻となり、国民の生活不安、将来不安、閉塞感の高まりと、「小泉構造改革」との矛盾がますます拡大してきたということです。
 その意味では、今春闘は局面を転換するチャンスであり、私たちの努力によってそのうねりを確かなものにしていきたいと思います。
 完全失業率は5.6%となり4ヶ月連続して史上最悪を更新し続けていますが、エコノミストの予測では今後さらに悪化するであろうといわれています。
 また、高卒就職希望者の4割近くは就職先がないという状況、倒産件数は戦後2番目の高水準、自己破産は前年比15.2%増、株価の低迷、消費者物価が3年連続してマイナスとなるなどデフレの深刻化、等々、国民の痛み、経済状況の悪化は深刻です。
 さらに小泉内閣は、医療制度の改悪にくわえて、課税最低限の引き下げや消費税率の引き上げなど大衆課税の強化・負担の増大を重要な政治課題としています。
 小泉内閣発足後の9ヶ月を見るとき、景気が一段と悪化し、その痛みが労働者・国民に押し寄せているということが、一つひとつの事実をとおして再確認できると思います。

 これまで、小泉内閣の悪政推進の基盤は高い支持率といわれてきました。
 この高支持率は、自民党による利権と腐敗の政治をなんとかして欲しいという国民の素朴な期待感や、マスコミによるワイドショー的世論誘導によってもたらされたものだと思います。
 私はこの間の動きで次の点を見ておきたいと思います。
 1つは、年明け以降の世論調査の変化であります。
 支持率は依然として高いものの、小泉内閣の政策を支持するのは1割台となり、また、中高年層の支持が急速に低下してきたという事実があります。
 これは経済状態の悪化もありますが、私たちの世論喚起の地道な運動が実を結びつつあるという確かな手応えであり、今後の確信にしたいと思います。
 2つは、今回のアフガニスタン復興支援国際会議へのNGO代表の参加をめぐる問題です。 この処理をめぐって小泉内閣の支持率が下がるだろうといわれています。
 この問題の本質が政権党の特定議員による行政への不当な圧力・介入にあるのではないか、というのが国民の疑念であり一致した見方だと思います。
 しかし、小泉首相はその真相をおおいかくしたまま、密室政治の手法による人事更迭によって決着をつけようとしています。国民はその姿勢に強く反発すると同時に、この問題をとおして「構造改革」の痛みに対する不満が一気に高まってきたというのが、ここ数日の特徴であり、高い支持率が「砂上の楼閣」であったことが明らかになったと思います。
 3つ目は、この変化を「構造改革」路線に対する労働者・国民の総反撃のうねりとして、発展させていかねばならないということです。
 国民の要求は、景気の回復、雇用の改善、社会保障の充実であり、そのことは世論調査や国公労連のアンケートでも明らかです。
 「構造改革」とは誰のための改革なのか、国民の痛みの先にあるのは、より強い大企業・大銀行だけがぬくぬくと利益を享受する社会ではないのか、ということを「外に打って出る」運動によって大きな世論にしていかなければなりません。
 国公労連は「雇用、くらし改善、賃上げ要求の実現で景気回復を」の要求を掲げ、積極的な役割をはたしていく決意です。
 2月から3月の行動を旺盛に展開しながら、4月12日に予定されている国民総決起の行動成功にむけて全力を上げたいと思います。

 政府はいよいよ、有事立法制定の動きを強めてきました。
 政府の狙いは憲法9条を蹂躙し、アメリカがおこなう戦争に日本国民を強制的に動員することにあります。
 しかし、戦争の最大の被害者は一人ひとりの弱い国民であることは歴史上の最大の教訓です。国公労連は「平和なくして労働者のしあわせはない」との立場でこの動きを押しとどめるために、全力で奮闘したいと思います。

 次に公務員制度「改革」について申し上げます。
 昨年12月25日に「大綱」が閣議決定されましたが、国公労連はこの間の交渉の経過、内容に即してこれを認める立場にないことは明らかです。
 同時に、私たちの運動によってスケジュールや内容の具体性という点で政府の思惑どおりにものごとを運ばせていないということも見ておきたいと思います。このことに確信をもちつつ「大綱」の矛盾を拡大し、各府省内と国民の世論を大きくしていく運動を強めたいと思います。
 「大綱」に示されたキャリア優遇の制度化や「天下り」の原則自由化などは国民世論に背を向けるものであり、能力・等級にもとづく新人事制度が労働条件の悪化、人間性無視の労働強化・競争に結びつくことは明らかです。
 労働条件決定の仕組みや評価制度の議論を詰めていけばいくほど、労働基本権を中心とする公務員労働者の権利のあり方、行政のありようということが大きな課題になってきます。
 また、NGO代表の国際会議参加問題での政権党議員による行政のねじ負けという事実を見るとき、今回の「改革」が行政の公平性や透明性を損なうとともに、政権党に従属する公務員づくりにその狙いがあることもはっきりしてきたと思います。
 今後、「大綱」の具体化は各府省当局においても大きな課題・矛盾を抱えることになります。その矛盾を全国の職場からいかに拡大していくかが求められています。
 たたかいが新たな段階に入った今日、政府のすすめる「改革」の狙いと本質、そして、民主的公務員制度の確立を求める国公労連の要求をあらためて全組合員のものにして奮闘したいと思います。

 最後に組織拡大について申し上げます。
 今回の中央委員会では「組織拡大4カ年計画・チャレンジ30」を骨格として確認いただくことになっています。
 各単組には、定員削減や職場の繁忙化、青年層の価値観の多様化といったきびしい状況のもとで大変な努力をお願いしていますが、今日の情勢をふまえるとき国公労連全体として新たな課題への挑戦が必要となっています。
 今回の計画は、非常勤職員の組織化や独法部門の組織強化・拡大、人勧関連法人との関係強化などの課題を設定しながら、従来の発想にとどまらない広範な分野での挑戦を提起しています。
 議論を深めていただき具体的実践に向けた決意をかため合いたいと思います。

 積極的なご討論をお願いしあいさつを終わります。

以上

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