【国公労連第112回拡大中央委員会】

2001年12月14日

中央執行委員長あいさつ

国公労連中央執行委員長 堀 口 士 郎


 中央委員会にご出席いただいた皆さんがたの、この間のご奮闘に心より敬意を表します。
また、大変ご多忙の中、激励のためにお出でいただきましたご来賓の皆さま方に、日頃のご指導、ご協力に対する感謝とあわせて心からお礼を申し上げます。
 
 国公労連は、本中央委員会を例年より1ヶ月半ほど繰り上げて開催いたしました。
 それは、国公労働者や国民生活をめぐる今日の状況を見るとき、要求前進の展望を見いだすためには、来春闘での早い立ち上がりと、運動の充実が必要との思いからであります。
 私たちは、今年度の運動の目標として、「行革」・公務員制度「改革」と雇用問題など、全労働者の生活基盤を守るたたかいを一体的にとりくみ、国民共同の運動をつうじて、「聖域なき構造改革」路線を押し返していく、ということを確認してまいりました。
 労働者・国民の状態悪化のいっそうの深刻化と日本の進路ということを考えるとき、来春闘での国民的運動の高揚が求められていることはいうまでもありません。その立場から本中央委員会での討論をつうじてお互いの決意を固め合いたいと思います。
 
 来春闘をたたかう上でまず強調したいことは、「小泉構造改革」と大企業の横暴を徹底して追及することが、要求前進をはかる上で決定的に重要だということです。
 小泉内閣の発足後7ヶ月余が経過しましたが、ほぼすべての諸階層において国民生活の破壊的ともいえる悪化の状況が鮮明になってきました。
 完全失業率は過去最悪、潜在失業率は10%を超える状況を記録し、歯止めのない悪化が続いていますが、その原因が大企業の人権と労働法を無視したリストラ・人減らしにあることは明らかです。
 その結果、国内総生産はマイナス基調が続き、日本経済は縮小の方向に向かっています。 これは、リストラ・産業空洞化による労働者の収入減少、消費の落ち込みが経済の停滞を招いているあらわれであり、小泉「改革」を元凶とする消費不況という深刻な事態が、国民生活を直撃していることは明らかだと思います。
 さらに小泉内閣は、有期雇用の拡大、解雇自由の基準づくり、派遣労働者の対象業務の大幅な制限緩和など、労働分野での全面的な規制緩和や、患者・国民に大幅な負担増を強いる医療保険制度の大改悪を予定しています。
 いま、国民保険料や医療費が払えず病院にもかかれない、あるいは電気・水道代や学費・給食費が払えない家庭の急増、高校を出ても5割の生徒が就職できない状況など、生活・将来不安は高まっており、国民に耐え難い痛みを強いる「構造改革」の強行が、経済の危機と社会の荒廃をもたらしています。
 今後、電気、自動車、NTTなど、大規模な人員削減計画が目白押しであり、政府・大企業の責任は重大だと思います。
 これらの攻撃は、労働者の働く権利はもとより、人間としての最低限の生きる権利さえふみにじるものであり、労働組合の使命と役割の発揮が今ほど求められている時はないと思います。
 いま、政府がなすべきことは、大企業の社会的責任を明確にした、解雇規制のルールを確立し、雇用の確保をはかること、長時間・過密労働の規制やただ働き残業の是正、国の責任による医療・社会保障の充実など、労働者の切実な要求にそった国民生活の安定であり、そのことをつうじた消費需要の拡大だと思います。
 全労連は、賃金底上げ闘争の強化とあわせて、国民の生存に直接かかわる「雇用」「くらし」「いのち」を共通の重点と位置づけ、要求の前進を拒んでいる根源である政府・大企業に対して、国民総ぐるみのたたかいを呼びかけています。
来春闘にむけて国公労連が取り組んだ「私の要求アンケート」では、7割近くの仲間が生活の苦しさを訴え、また、政府に対する制度要求では、年金・医療制度の充実、消費税減税、失業対策や解雇規制を多数の仲間が要求しており、全労連の提起は私たちの要求にそったものとなっています。
 国公労連は、全労連の提起を真正面からうけとめ、アンケートに示された仲間の要求と怒りを基礎に職場闘争を強めるとともに、全国に組織を持つ国公労働者の有利性を生かし、地域からの春闘構築に積極的な役割を発揮していく決意であります。 
 
 同時に、各職場で働いている非常勤職員の皆さんの実態を直視し、とりくみを強めることは、私たちに課せられた重要かつ緊急の課題だと思います。
 各分野での雇用形態はさまざまですが、不安定雇用、低賃金など劣悪な労働条件は共通しており、国民に対する国の行政責任のあり方や私たち自身の労働条件、民主的な行政や職場の確立とも関連する課題だと思います。
 したがって、非常勤職員の賃金引き上げをはじめとする処遇の改善と連携の強化を、具体的に追求していきたいと思います。

 次に当面する公務員制度「改革」について申し上げます。
 国公労連は、労働基本権の回復、信賞必罰などの公務員制度改悪反対、天下りなど制度の民主的改革、の3つの要求を掲げたたかってきました。
 この間、各単組、ブロック・県国公の皆さんのご奮闘によって、職場の仲間や各省当局の問題意識が深まると同時に、中央・地方での宣伝、各団体への申し入れ、懇談等をとおして社会的関心と理解が高まってきたことは確信にしたいと思います。
 これらの地道な努力の積み重ねが、過去最大規模の参加による11・30中央行動の成功に結びついたと思います。
 これらのたたかいの積み上げによって、制度の内容にかかわる検討スケジュールを遅らせ、「大綱」が抽象的にならざるを得ないという状況をつくりだしてきたのだと思います。
 しかし、政府・推進事務局は、新たな人事管理制度における労働条件決定システムのあり方や、各府省の人事管理権限の強化に対応した労働基本権回復の仕組みなどは提起しないまま、能力・実績反映の新人事制度の導入を基本とする「大綱」決定を強行しょうとしています。
 これは、労働基本権については、与党協議を優先させ、自民党の意向にそってきわめて不十分な現行の枠組みに押し込めながら、信賞必罰の給与・人事制度の導入は貫徹しようとする狙いが明確であり、国公労連はこの動きに断固反対するとともに、作業の中止を要求するものです。
 今後のたたかいはいっそう重要であり、国公労連は引き続き職場での学習と当局追及、国民世論の支持拡大のとりくみを強め、一方的な作業を許さないため全力を上げます。

最後に、憲法擁護の課題について申し上げます。
 政府は、9月11日の同時多発テロ発生を契機に、テロ対策特別措置法の成立、自衛隊の海外派兵を強行しました。これは憲法違反であることはもとよりですが、アメリカが引き起こした戦争に、戦後初めて日本国民が実際に参戦するということであり、この事実は極めて重大だと思います。
 また、政府は、戦後民主教育の基本とされてきた教育基本法の「改正」にむけた諮問を強行するなど、憲法改悪に直結する動きも強まっています。
 国公労連は、このような動きをふまえ、憲法を基本とする国づくりと国民生活の改善を要求して、内外へのアピール行動を強めたいと考えています。21世紀の日本の進路を考える時、憲法を学び、行政・職場とくらしにこれを生かす運動の重要性をあらためて確認しあいたいと思います。

みなさん方の熱心な討論と、いっそうのご奮闘をお願いして、あいさつを終わらせていただきます。

                                 以上

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