労働基本権ふみにじる
一方的な大綱決定は許さない
11・30中央行動に国公から最大規模の3800人

 政府・行革推進本部が12月中旬にも「公務員制度改革大綱」の策定をねらうなか、国公労連は11月30日、「労働基本権ふみにじり人事管理強化ねらう一方的な『大綱』決定は許さない!」「国民に痛み押しつける公務員づくり阻止、民主的公務員制度の確立」をかかげて、最大規模の3800人が参加して11・30秋季年末闘争第3次中央行動を展開しました。この行動には、全運輸から過去最高の915人の参加をはじめ、各単組が全国から最大結集の怒りの上京団を組織。文字どおり総務省を包囲するなど“霞が関騒然”と呼ぶにふさわしい大きな取り組みとなりました。

 スタートの取り組みとなった総務省前早朝宣伝行動には、前日からの各単組上京団の仲間も含め150人が参加して、できあがったばかりの緊急宣伝ビラを6千枚配布し、宣伝カーからは各単組代表が、国民に背を向ける政府の公務員制度改革を告発しました。
 その後、午前中は、公務労組連絡会主催の国会議員要請行動に結集して、衆参の内閣委員・総務委員に対して民主的公務員制度の確立を求める要請を行うとともに、国公労連として政府・行革推進本部事務局交渉や、子どもの看護休暇の制度化を求める人事院要請行動を行いました。

 ★怒りの霞が関行動に公務の仲間5000人
  −総務省を何重にも包囲−


 明日から12月と思えないような、あたたかな日差しがさしこめる絶好の行動日和となった昼休み、総務省前・行革推進事務局前・文部科学省前で並行して要求行動(公務労組連絡会第2次中央行動、全労連「公務員制度改革」対策本部(以下、対策本部と略)主催「怒りの霞が関行動」)を、5000人の仲間が結集して展開しました。
 総務省包囲行動には4300人もの仲間が結集して、怒りの人垣で総務省を何重にも包囲する取り組みとなりました。
 冒頭、主催者あいさつに立った対策本部・堀口副本部長(国公労連委員長)は、「政府のすすめる公務員制度改革には2つの問題点がある。1つは、公務員労働者の基本的人権を侵害するものであることだ。政府は能力・実績主義の給与制度導入と各省の人事管理強化をねらう一方で、労働基本権の代償とされる人事院の権限を縮小しようとしている。これは、給与や昇任・昇格にかかわる各省権限を強化し、労働者・労働組合の権利は後退させるというもの。しかも、給与の基準となる評価制度は当局が勝手気ままに行える。労使の交渉によって労働条件を決めることが当然のルールであり、労働基本権は労働者にとって生きていく権利だ。2つは、国民全体の奉仕者としての公務員のあり方を変質させる狙いがあることだ。この間、対策本部や各単産が広範な諸団体と懇談を実施しているが、この中で、『公務員が悪政の推進役になれば国民生活は破壊される』『国民生活に直結する分野はもっと充実して欲しい』という強い要望が出されている。私たちは日々の仕事をつうじて、国民の生活の安定・向上に寄与したいと奮闘し、そこに働きがいがある。小泉構造改革による悪政推進の担い手・行政マンになることを断固拒否して、労働基本権回復を基本とする民主的公務員制度を確立し、全国の仲間が生き生きと働ける職場をつくるため全力をあげよう」と呼びかけました。
 各単産からは、国公労連を代表して全運輸の村上青年部長が、今中央行動の全運輸お揃いの青いハチマキをきりりとしめて、「全運輸は、きょうの行動をマイルストーンと位置づけ、全国から1千名近くがかけつけた。政府による改悪が行われると国民そっちのけで、当局や上司の目だけを気にする公務員にされてしまう。これを阻止するために全力でがんばりたい」と力強く決意表明し、つづいて、全教、郵産労、福祉保育労、自治労連の代表が決意を表明しました。総務省包囲行動の最後に4300人が声を合わせ、霞が関全体に響く怒りのシュプレヒコールを政府・総務省にぶつけました。

★労働条件の一方的な不利益変更は許されない
 −行革推進事務局前行動−


 行革推進事務局前要求行動には、400人の仲間が参加。主催者あいさつで対策本部・熊谷副本部長は、「失業率が5.4%になったと報道された。政府と行政はこの現実にどう応えていくのかが問われている。しかし、小泉内閣は、改革に伴う痛みは当然だとして、労働法の改悪、会社法の改悪などリストラ解雇の推進に手を貸し、医療や福祉の改悪を押しつけている。国民の命とくらしを守る最前線で働く公務労働者の働きがいを奪うものと言わざるをえない。そして、労働条件の一方的な不利益変更は、民間企業はもとより、世界でも通用しない。きょうの行動で流れを大きくかえよう」と述べました。
 各単産からは、「平和と憲法を守って、住民のための仕事がしたい。赤紙を配る職員にならない決意でがんばる」(自治労連名古屋市職労・海老原常任中執)、「いまこそ働くルールを官民で確立するときだ。ILO87号は公務といえども勤労者で労働3権が保障されるべきと明記し、日本政府も批准している。人勧制度が機能しているから制限してもいいというのが政府の言い分であり、人事院の権限を縮小して、労働基本権をそのままというのは理屈があわない。職場では、8割の管理者が、『公平な評価などできない、評価を強行すると職場が混乱する』と言っている。安心して業務に専念できる職場を作るために奮闘したい」(国公労連を代表して全経済・泉部委員長)、「政府の改革は、天下りの緩和が見え隠れしている。27日に7つの特殊法人の民営化・廃止が決定されたが、ヤミ取り引きの中で作られた。住宅問題は政府の仕事ではなくなったのか。リストラされローンが払えなくなった人は、どこに住めと言うのか。特殊法人労連は、年末を大きなヤマ場と位置づけ大規模なビラ宣伝など全力で奮闘する」(特殊法人労連・竹内事務局長) とそれぞれ決意表明がありました。最後に、「一方的な大綱決定は許さないぞ!」「労働条件は労使の合意で決めろ!」と推進事務局に怒りのシュプレヒコールをぶつけました。

★日比谷野音満席で立ち見多数、熱気あふれる総決起集会

 午後1時半からは、日比谷野外音楽堂で中央総決起集会を開催(正式名称は、労働基本権の回復、小泉「構造改革」反対、テロ・報復戦争反対、民主的公務員制度確立11・30中央総決起集会)。集会は、音楽家ユニオンの仲間「アンサンブル・ブリランテ」による金管五重奏の華麗な演奏で幕が開きました。オープニングの演奏が終わる頃には会場は満席となり、立ち見の仲間が多数出る熱気あふれる集会の開会あいさつに立った対策本部・堀口副本部長(国公労連委員長)は、「社会の主人公である労働者・国民に痛みを強いる政治、憲法を改悪し戦争する国に変質させようとする政治に、私たちの未来を託すことはできない。イチロー選手がリードオフマンとしてMVPを獲得したように、全国に組織を持つ公務の仲間1人ひとりが世直しのリードオフマンとなって、国民に背を向ける改革をストップするために奮闘しよう」と述べました。
 つづいて、対策本部・坂内本部長(全労連事務局長)は、「政府と大企業の言いなりになる公務員づくりを許さないたたかいを全労連は全力で進めていく」と主催者あいさつし、激励連帯あいさつにかけつけた日本共産党・宮本岳志参議院議員は、20日の参議院総務委員会での給与法改正案の審議で宮本議員が「人事院が果たしている代償機能は、官民較差の水準にとどまらず、それを職員にどう配分するかにも職員の声を反映するという機能を担っている。能力等級別の人員枠を一方的に各省庁が決めるのであれば問題だ」と指摘したのに対し、人事院・中島総裁は「おっしゃる通り給与水準をどう配分するかを含めて代償機能」、「級別定数は職員の勤務条件」と答弁したことや、宮本議員が「人事院がこう答弁している以上、この問題を先送りしたままで『大綱』を発表することは許されない」「大臣が衆議院で『労働基本権と代償措置はパラレル』と答弁した以上、定数の配分の代償機能でいくのか労使の交渉事項とするのかの問題が横たわっている」とただし、片山総務大臣が「現行制度では総裁の言う通り」などと答弁したことを紹介し、労働基本権を棚上げにすることは許されないと述べました。
 また、この集会には、JMIU、自交総連、通信労組、全印総連など民間の仲間もかけつけ、代表して、JMIUの三木書記次長が「政府は民間のものまねをすれば国や地方の財政もよくなると言っているが、まったくのデタラメだ。小泉政権の不良債権処理の先取りとたたかっているJMIUの池貝の仲間など、民間では雇用破壊が横行し、日本経済を支えてきたものづくりの伝統や技術さえも破壊されようとしている。この攻撃を官民一体ではねかえそう」と連帯のあいさつを行いました。
 各単産の決意表明で国公労連・小田川書記長は、要旨以下のように発言しました。
 80年代から定員削減、人件費抑制、人事管理の民間化などが進行し、その一方で、天下りなどがすすみ、補助金行政が蔓延。その中で、事務次官の汚職事件に代表される腐敗が進行した。行政サービスを切り捨てることが、行政改革・構造改革とする状況が、キャリアのモラル低下を招いている。
 推進事務局の後ろ盾となっている橋本元首相は、『公務員の不祥事が相次ぐのは、人事院の試験制度が悪いから』とまで発言。官僚と政治家が癒着して利権をむさぼる自民党政治の腐敗には目をつむり、公務員の質や意識の問題にすりかえる発言には怒りを覚える。
 「労働条件は労使の協議と合意で決定すべき」とする国公労連の追及に対して、推進事務局の一部官僚は、「最後は国会が決めれば労働基本権問題は起きない」「国会が決めるのだから政権党と事前に協議するのが民主主義」とまで発言。一部政治屋の権力を背景に、労働者の労働条件まで私物化する発言には、「茶坊主行政」と言いたくなるほどの嫌悪感をおぼえる。
 構造改革の名で、国民生活をふみにじり利権にしがみつく政治家、行政サービス向上や公務の労働条件改善よりキャリアの利益確保にひた走る官僚、これとのたたかいの1つの焦点が公務員制度のたたかいだ。
 職場・地域で公務員制度改革の不当性を訴え、一方的な「大綱」決定を許さないたたかいを一丸となってすすめる。

 各単産の決意表明の後、国公労連・山瀬副委員長が、大石内蔵助に扮し赤穂浪士の討ち入り姿で登場。会場をわかせながらも、気合いの入ったシュプレヒコールを轟かせ、最後は「エイ、エイ、オー!」でしめ、断固たたかいぬく決意をアピールしました。
 最後に集会アピールを採択し、公務労組連絡会・駒場議長の閉会あいさつと団結がんばろうで集会をしめました。
 引き続いて国公労連は、デモ送り出しパフォーマンスをユニークに展開。全気象は、沖縄からかけつけた2人の青年が舞台に登場。久米島分会・山城浩さんが、沖縄言葉(うちなーぐち)で、「ちゅらさんでおなじみの、暑い沖縄から来ました。気象事業には、信賞必罰や競争原理はなじみません、こんな公務員制度改悪に反対して、沖縄でもがんばります」と決意を語り、となりで大城広司(地本書記長)さんが同時通訳の大役を果たしました。
 全経済は、本部の上野さんと飯島さんが「きしゃ、きしゃ、しゅっぽ、しゅっぽ」の替え歌、「スト権、返せ、返せ、しゅっぽ…、ぼくらの権利、しゅっぽ…、スピード、スピード、出世主義、キャリア人事はいけないよ、ダメだ、ダメだ、ダメだ〜、撤廃だ、撤廃だ、楽しいな〜」とステージから合唱しました。
 全法務は、花咲か(実)じじい(実川副委員長の扮装)が登場。「暗い話題ばかりじゃが、みんなでがんばって花をぱぁ〜っと咲かせましょう」と、全法務の若者を激励し、会場は爆笑の渦につつまれました。
 以上のような各単組から趣向をこらしたパフォーマンスが行われ、参加者は元気いっぱいに国会請願コースと行革推進事務局コースに分かれてデモ行進へ出発。行革推進事務局前には約1時間にわたるデモ隊列が、「公務員制度の改悪はやめろ!」「労働条件は労使合意で決めろ!」などのシュプレヒコールをこだまさせ、参加者の怒りと決意を推進事務局にぶつけ、中央行動を終了しました。

 ★参加者の声

 〇全通信沖縄支部の男性の方
 昨夜の全通信主催の公務員制度改革学習会に引き続き、朝早く起きて総務省前早朝宣伝行動に参加しました。私は沖縄総合通信事務所で、無線局の許認可などの業務をしています。いま国民のための電波行政をするために、業務対策活動(行政研究活動)に取り組んでいます。まだまだ私たちの仕事は一般国民に知られていませんが、自分たちの行政の必要性を訴えつつ、自らの仕事も国民の視点で見直しながら、自信をもって運動を展開したいと思います。本日の行動の内容を、沖縄の職場の仲間みんなに伝えます!

 〇全運輸中国支部の女性の方二人
 今日の中央行動にいっぱい参加者が集まっていて、すごいパワーを感じました。たくさんの旗が色とりどりあってびっくりしました。
 ちなみに私たちの持ってきた旗には、蓮花の花が描いてあるんです。今年7月に女性協を立ち上げたんですが、蓮花のように地面に根をはって、みんなの要求が浸透するように…という願いを込めている旗なんですよ。私たちはまだ独身ですが、将来子どもを持つようになってもいきいきと働けるように育児休業・介護休暇の改善を実現してほしいですね。これからも明るく、民間のみなさんとも共同していきながら、仕事も組合もがんばりたいです。

 〇全法務新潟支部の男性の方
 このような中央行動にはじめて参加しましたが、人が大勢いてびっくりしました。私は法務局に勤務していますが、個人の登記の相談件数が増えており、人員削減で業務量が増えています。公務員制度「改革」の能力主義では、国民本位の法務行政を行う事ができません。先日、公務員制度の学習会を開催しましたが、公務員に競争はそぐわないと改めて実感しました。私は青年部長として、新潟支部全体のレクリエーションの企画などを担当していますが、これからもみんなと力をあわせて楽しく活動していこうと思います。

 〇全国税北海道地連の男性の方
 岩見沢税務署から20センチの雪をかき分け上京しました。職場には65名職員がいますが組合員は私一人です。でも職場新聞をつくり、職場の仲間に配布して活動しています。公務員制度「改革」問題は重要で大きな問題なのに、地方ではまだまだ怒りが浸透していません。今こそ、公務員攻撃を跳ね返すため、単組と連携し地区労連とも相談しながら、職場・地域で宣伝行動を展開したいと考えています。私たちの仕事が国民生活に密接に影響しているということを心から訴えたいです。

 〇全港建塩釜港支部の男性の方
 今日の行動に家族全員で参加するつもりでしたが、上の子どもが38度の熱をだしまして朝から病院に行ってパニック状態でした。結局私と下の子どもだけの参加になってしまい残念です。今朝の新聞に健保3割負担など医療大改悪の記事が掲載されていましたが、社会保障に対する不安は深刻です。子どもたちの未来のためにも、私たちが運動して、よい世の中にしていきたいと心から痛感します。

 〇全建労秋田支部の男性の方
 雪の降るなか、朝早く秋田から参加しました。職場は不安で冷え切っています。今日の集会の熱気を持ち帰り、これからもがんばります!

 〇全厚生神奈川県支部の男性の方
 中央行動の参加者がいっぱいで、すごいな〜!と思いました。私は保土ヶ谷社会保険事務所で働いていますが、窓口は相談に駆けつける国民でいっぱいです。今日の午前中は公務員制度の学習会を行い、「評価制度」は公務になじまない制度だとつくづく痛感しました。いま青年部活動をしていますが、これから支部活動を若いパワーでがんばっていきたいです。

 〇静岡県国公の男性の方(全司法)
 早朝7時に出発し、県国公からバスで30名参加しました。11月7日の公務員制度学習会で「11・30中央行動にみんなで参加しよう!」と意思統一し、学習と運動を積み上げてきました。いま報道されている医療制度改革と公務員制度改革は根っこは同じです。公務員制度「改革」の弱肉強食の論理は、国民に犠牲を強いることになるし、労働組合の存亡にかかわる重要な問題なので、みんなの力をあわせて本気になって取り組むべきです。2002年春闘がスタートしますが、12月の春闘討論集会を経て、運動強化の体制を確立していくため静岡県国公もがんばります!

以上

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