声    明

1.私たちが27年間闘いつづけてきた「税関賃金差別裁判」は、10月25日、最高裁第一小法廷において、横浜・大阪・神戸の3事案いずれも上告を棄却する判決を下しました.
 最高裁は、横浜事案について、国による団結権侵害を認めて250万円の支払いを命じた二審判決を支持し、国の敗訴を確定させました.
 もっとも注目すべきことは、最高裁が労働組合に対する国の違法行為を断罪した初めての画期的な判決である点です.

2.一方で最高裁は、大阪・神戸の事案について、「当局に組合差別の意思までは認定できない」とする矛盾した判決を下しました.
 全税関に対する当局の支配介入(団結権侵害)は、大蔵省・関税局の統一した指導の下で行われたことは明らかであり、大阪・神戸も例外ではありません.関税局や東京税関のマル秘文書からも明白です。大阪・神戸の判決は最高裁が決着を急いだ政治的判決であり、とうてい容認することは出来ません.
 今回、深澤裁判官が大阪・神戸についても当局の「支配介入があった」として、審理を大阪高裁に差し戻すべきだとの反対意見を述べたことは常識的な判断であり、最高裁は責任を放棄したものといえるものです.

3.この裁判は、74年六月、東京・横浜・大阪・神戸の4支部と430名の原告が4億5千万円の損害賠償を求め提訴したものです.以来27年、地裁、高裁で375回の公判を重ね、約40万の個人・1万の団体署名、3千名の日比谷大集会などを成功させ、展望を切り開いてきました.
 この間、28名の原告が志半ばで他界、187名の原告が解決を見ずに退職を余儀なくされました.
 横浜事案の勝訴確定は、全税関労組全体の汗と涙の結晶だと確信します.
 私たちの闘いを支えてくださった、全国の皆さんに心よりお礼を申し上げます.

4.現在、東京事案が最高裁に系属中であり、私たちは東京の裁判勝利に全力を上げる決意です.
 同時に、全税関は昇任・昇格の差別など労使間の問題は、話し合いで解決すべきだとして、当局に対し自主解決を迫ってきました.
 私たちは、当局に対し、最高裁の判決を踏まえ、
 (1)組合・原告への謝罪、是正、補償を行うこと
 (2)労使正常化を実現すること.
を要求してその解決を迫る決意です.
 全国の皆さんの27年間あまりにわたる暖かいご支援に感謝すると共に引き続くご協力を訴えるものです.

 2001年11月1日    

                     全税関労働組合中央執行委員会

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