国民犠牲の「構造改革」に反対し、
国民生活と雇用の拡充を求める決議


 日本経済はかつてない深刻な危機におちいっている。7月の企業倒産は、販売不振、売掛金の回収難などが原因の「不況型倒産」が全体の78%を占め、過去最悪の水準となった。完全失業率も過去最悪の水準が続き、有効求人倍率、消費支出など、どの指標をとってみても景気の回復を感じさせる要因は何一つない。
 この状況をもたらした大きな原因は、バブルに踊った責任を何ら反省することなく、大企業の利益を最優先させ、そのツケを国民に転嫁することで乗り切ろうとする自民党政治にあることは明らかである。
 そして、小泉内閣がかかげる「聖域なき構造改革」とは、こうした国民への負担と犠牲をさらに強化するものであり、「社会保障の自立・自助」「不良債権の最終処理」「規制緩和と民営化」などにより、国の責任を放棄し国民に大きな痛みを強いる逆立ちした改革にほかならない。「構造改革」の具体化として、8月に示された来年度予算の概算要求基準では、社会保障費の削減をはじめ、中小企業・教育・農業予算の減額を通して、国民生活を切り捨てる内容となっている。また、「小泉改革」を大企業が先取りし、NTTの11万人削減をトップに、日立2万人、東芝1万7千人など、未曾有の大リストラ計画が次々と発表されている。
 いま、「不況を打開し、くらしを守りたい」という、当たり前でささやかな国民の願いが渦巻いている。労働者・国民にいっそう過酷なリストラ・雇用破壊、中小企業つぶしをもたらす小泉内閣の「構造改革」を、私たちは、国民生活を守る行政の最前線で働く国公労働者として断じて許すわけにはいかない。
 切実に求められているのは、深刻な不況を打開するための緊急対策であり、そのためにルールなき資本主義を横行させる「規制緩和」をやめ、「首切り・リストラ」自由の大企業の横暴を規制し、法律違反の不払い・サービス残業をただちに根絶するなど「働くルール」を確立することと、「公共事業50兆円、社会保障20兆円」の逆立ちした財政構造を抜本的にあらため、社会保障を充実して老後の不安を解消することこそが、真の構造改革とも言える不況打開への道しるべである。
 全労連は2001年秋期年末闘争で、小泉内閣の「聖域なき構造改革」路線に反対し、「働くルール」の確立と雇用確保を求めて、「くらしと雇用を守る全国キャラバン」を10月にスタートさせる。私たちは、民主的な公務員制度を確立するたたかいとも大きく結合し、すべての労働者・国民に共通する要求をかかげ、全労連への結集を強めつつ、「国民の中へ、国民とともに」を合い言葉に、小泉内閣の悪政と正面から対決し、全国津々浦々で奮闘する決意である。
 以上決議する。

 2001年8月30日

日本国家公務員労働組合連合会第47回定期大会


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