中央労働委員会・労働者委員の不公正
任命の撤回・再検討を強く求める(談話)
2001年3月30日
日本国家公務員労働組合連合会
書記長  小田川義和
 政府・厚生労働省は、独立行政法人制度の発足にともなう中央労働委員会委員の選任について3月30日、記者発表をおこなった。それによれば、全労連、国公労連などが推薦し、公正任命を求めてきた熊谷金道・全労連副議長を排除し、連合が推薦した者のみを選任するという許し難い偏向任命をおこなった。国公労連は、法の下の平等をさだめた憲法第14条にも抵触する不公正任命に強く抗議するとともに、その撤回と再検討を強く求める。

 国家公務員身分を持つ特定独立行政法人職員は、現業国家公務員と同様、争議権が制約され、「代償措置」として、中央労働委員会の強制仲裁制度が設けられている。ナショナルセンターの系統を別にする労働組合は、賃金要求などで主張が異なる。連合系のみの委員選任では、仲裁裁定で、全労連系および中立系に属する組合の主張・要求を正しく反映させ得ないおそれがある。また、中央労働委員会は、特定独立行政法人の不当労働行為救済の機能を担うが、連合系と全労連系の差別的取り扱いをめぐる問題も発生する可能性もまったく否定はできず、その場合、労働者委員が連合系に独占されていては、申し立て組合との間で理解と信頼の関係を築くことが困難になるおそれがある。それだけに、労働省が1949年に発した通達(いわゆる「54号通牒」)で示したナショナルセンターの系統別組織状況に配慮した選任を求める趣旨は、今回の労働者委員の選任では、より厳格に運用されて当然である。

 今回の選任の対象となる特定独立行政法人の組合員数で見ると、連合系と全労連に所属する国公労連とでは、ほぼ拮抗している。3年後に国立病院・療養所が移行した場合、全労連系が圧倒的多数を占めることになる。また、今回、中立系組合のほとんども熊谷氏を推薦している。さらに、公正任命をもとめる団体署名は6000団体近くにのぼっている。こうしたことを見るならば、熊谷氏を選任しない理由はない。

 委員選任が行政の裁量であるとしても、恣意的であってはならず、合理的な法的制約がされなければならない。政府・厚生労働省は、今回の選任が恣意的でないというなら、委員選任の基準や、今回の選考経過を明らかにしなければならない。政府の行政改革会議ですら、最終報告で「行政が公正な政策判断を保つためには、その意思決定を透明かつ明確な責任の所在の元に行うことが不可欠」としているのである。今回の事態は、この要請にも反する行政運営の非民主性を象徴するものであると言わなければならない。

 国公労連は、以上の点から、選任経過の公開、選任手続きのやり直しをもとめ、全労連、労働委員会民主化対策会議とともに、国会での追及やILOへの提訴など可能な限りの対応手段を講じ、徹底して追及するものである。また、中央労働委員会が、全独立行政法人職員の利益を守る役割を果たすよう、ねばり強く闘いを進めていく決意である。

以上


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