国立病院・療養所の廃止・民営化、独立行政
法人化に反対して存続・拡充を求める決議

 政府は、昨年12月の「行革大綱」で、国立病院・療養所の2004年度からの独立行政法人化にむけて、来年の通常国会に個別法案を提出する方針を明らかにしている。一方、1986年に発表した「国立病院・療養所の再編成(全体計画)」にもとづき、全国86施設を対象に自治体に対して移譲や統廃合への合意をせまり、独立行政法人化を前にした2003年度中に国立病院・療養所の再編・「合理化」計画の完了をめざしている。そのため、「立ち枯れ作戦」で医療を荒廃させ、自治体には、病院廃止をちらつかせた恫喝で病院の受け入れをせまるなど、なりふりかまわぬ攻撃を強めている。
 全国の国立病院・療養所は、地域住民に対する一般医療を担いながら、高度先駆的医療や救急医療、重症心身障害、結核医療などの専門医療、さらには、過疎地、離島・僻地の不採算医療など、民間病院や自治体では困難な医療分野を担い、地域の期待に応えている。こうした実態からも、国立病院・療養所を充実させ、それぞれの地域で担っている一般医療を継続するとともに、国の「政策医療ネットワーク」を住民の医療要求にもとづいて充実させていくことが求められている。憲法で保障された生存権にもとづき、国は国民のいのちと健康を守る責務を担っている。地域医療を切り捨てる国立病院の廃止・民営化、独立行政法人化は、国の責任を放棄するものであり、断じて許されるものではない。
 また、移譲にともなう職員の雇用については、職員の希望を最大限尊重するとの国会答弁をふみにじり、移譲後の病院に不採用とされる問題がおこっており、職員の雇用不安をまねいていることは重大である。現在、湯田川病院でおきている4名の不採用問題の解決にむけ、厚生労働省・鶴岡市・鶴岡医師会は、雇用責任を果たし、ただちに希望者全員を採用すべきである。
 政府・厚生労働省は、年金制度や健康保険の改悪など社会保障制度を後退させ、国民へのいっそうの負担をせまっている。こうした制度改悪とも一体ですすむ国立病院・療養所の再編・「合理化」は、すべての国民にかけられた攻撃である。いま、国立病院を存続させようと、国のすすめる縮小・再編政策に反対して、全国各地に組織された「守る会」などの活動が、地域住民のなかに共同をひろげながら、旺盛に展開されている。そうした各地の運動が、政府の再編計画をおしとどめる原動力となっており、今後とも地域住民と連帯してたたかう決意である。
 国公労連は、2001年春闘方針で、「国立病院統廃合・移譲反対、独立行政法人化反対署名」を国公産別課題として取り組むことを決定した。この方針にもとづき、統一宣伝、シンポジウム、自治体要請など全国で世論に訴える多彩な行動を展開し、国立病院の廃止・民営化、独立行政法人化を阻止するために全力をあげるものである。
 以上、決議する。

2001年2月2日

国公労連第110回拡大中央委員会


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