男女共同参画社会の実現をめざす決議

 1985年国連で採択された「女子差別撤廃条約」では、女性に対する差別が権利の平等原則及び人間の尊厳の尊重原則に反するとして、女性が男性と平等の条件で政治的、社会的、経済的、文化的活動に参加するうえでの障害となるあらゆる形態の差別撤廃の措置を求めている。日本政府が国内外の批准を求める声に押されてこの条約を批准してから16年、1999年には「男女共同参画社会基本法」が制定された。
 法的な整備は一定おこなわれたが、あらゆる場面に張り巡らされたジェンダー(社会的、文化的につくられた性差)により、社会生活や雇用における真の平等の実現は、ほど遠い実態にある。表向き制度上は平等といわれる公務の職場にも根強い間接差別・性差別が存在し、配置や処遇における男女格差が残っている。昇任には転居を伴う転勤の可否が問われ、休暇の取得状況がチェックされ、異動の回数、果ては夫の職務もチェックの対象になるなど、さまざまな間接差別の網が縦横に張り巡らされているからである。
 雇用における女性の対等な参画を困難にしている背景には、日本の長時間・過密労働、家族の生活を考慮しない一方的な転勤などがあげられ、このような実態に目を向け、家庭責任を果たせるような条件の確立をはかることが、女性の参画の促進に大きく貢献することは、ヨーロッパ諸国の状況を見れば明らかだ。労働時間の短縮、男女ともに家庭責任を考慮した異動ルールの確立、家族的責任を果たすための諸制度の定着と制度の改善を迫る取り組みは、この点からも重要である。
 政府は昨年12月、2010年までを念頭に置いた男女共同参画基本計画を閣議決定した。基本計画は、国の政策・決定過程への女性の参画拡大をかかげ、国が率先垂範するとして、女性国家公務員の採用・登用等の促進を総合的かつ計画的な取組の推進を掲げて、人事院と各省庁に対し早期に「指針」の策定を求めている。こうしたもとで、政府の基本計画を受け、要求をまとめ、人事院・当局への取り組みを強めることが重要となっている。平成10年度に国家公務員の在職者に占める女性比率は、給与表適用職員で14.5%だが、行政職(一)の9級から11級になるとわずか約1%という実態にある。国家行政の政策・方針決定課程への女性の参画は、重要な政治的意義がある。その点でも国公労連の運動が試されている。
 基本計画は、国及び地方自治体の責務を定めると同時に、企業、各種機関、団体に対しても広く女性の参画を呼びかけている。労働組合も、女性比率に対応した女性役員の確立をはじめとして女性の参画を追求することは、21世紀の労働組合の発展にとって欠くことのできない課題である。
 女性も男性も人間としての尊厳が守られ生きることができる社会の実現をめざし、職場・地域・家庭などあらゆる分野で女性と男性の対等・平等な共生を実現するため、当面する課題での取り組みを強め、不断の努力を決意するものである。
 以上、決議する。

2001年2月2日

国公労連第110回拡大中央委員会


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