「1月6日」をあらたな出発点に行政民主化のとりくみに全力を
− 省庁再編にあたって全国公労働者によびかける −
 国公労働者のみなさん
 今日1月6日は、政府・財界が、明治維新、戦後改革に次ぐ「第3の改革」の突破口と位置づけた省庁再編の日です。
 新しい世紀の最初の年に、行政機構の改革がおこなわれるのは偶然ではありません。80年代から一層激しさを増している多国籍企業間の経済競争で、日本企業の生き残るために最適な社会に、「この国のかたち」を変えていくことが、政府・財界の「21世紀戦略」となっているからです。
 富の分配が世界的に広がる時代をむかえ、日本の大企業は利益追求のため、コスト削減・減量経営を勤労者・国民への犠牲の押しつけですすめてきました。その押しつけは、90年代のバブル経済の崩壊によって、さらに加速し、1995年に日経連が作成した「新時代の『日本的経営』」に示されるように、戦後の社会をささえてきた仕組みを、根本から「改革」することがめざされるまでになりました。そして、大企業のコスト削減・減量経営を後押しする政策の立案と、それを執行する行政体制づくりが、政治上の重要課題に位置づけられました。省庁再編は、大企業中心の行政をさらに加速し、「この国のかたち」改革を企画・立案し実施するための行政の体制づくりです。

 国公労働者のみなさん
 「この国のかたち」改革のめざすもう一つが、国際社会で軍事的な役割をになう国づくりにあります。今、国会の場では、第9条をはじめとする憲法「改正」論議が重要課題となっています。90年代の後半、政府は、米軍用地特別措置法の改悪と在日米軍の強化、戦争法(ガイドライン法)など自衛隊の海外派兵の体制づくり、「日の丸・君が代」法や盗聴法など国民の基本的人権抑圧法制などを次々に成立させてきました。軍事大国化が、この間の一貫した政治課題であり、その延長線上で、今、憲法「改正」がめざされているのです。
 国の内では、多国籍大企業の活動と利益確保を中心とする行政、財政、司法に一層純化し、国民負担と基本的人権の抑圧をぎりぎりまで追求する「この国のかたち」が、国の外に対しては、日米を機軸とする軍事同盟での積極的な役割を発揮する「この国のかたち」がめざされているのです。
 このような「この国のかたち」に作り上げていくために、政治主導の名目で内閣府が設置され、公務員を「この国のかたち」改革推進のスタッフにしていくために公務員制度改革が次の行革課題とされています。独立行政法人制度にみられるように、行政実施部門での合理化が当然のこととされ、国立病院などにもみられるように、公共サービスを提供する部門が真っ先に廃止、民営化の攻撃にさらされるのも、治安、防衛などの実施のみを国の責任とする「改革」だからです。

 国公労働者のみなさん
 大企業の利益が国民生活の向上にむすびつかないことは、消費不況といわれる昨今の状況からも明らかです。軍事一本やりの安保・外交政策が破綻し、日本の軍事大国化はアジアの脅威にさえなっています。「公共事業50兆円、社会保障20兆円」に象徴される開発中心の財政運営や、銀行への70兆円の公的資金投入に対する国民批判にも示されるように、大企業中心の行財政のいきづまりは明らかです。
 みなさん、過ぎさった20世紀は、悲惨な戦争に彩られた一面もありましたが、その戦争への反省ももとに、国民一人一人が尊重される国づくりがめざされ、基本的人権の保障がめざましく発展し、植民地体制が世界的に崩壊し、自由放任の資本主義への規制が強められた世紀でした。
 世界の大きな流れは、そのような20世紀の貴重な財産を21世紀に引き継ぎ、発展させる方向にあります。そして、その逆流が、いまこの国で進められている「この国のかたち」改革であることはもはや明らかです。

 国公労働者のみなさん
 私たちの先輩は、戦後の間もない時期に、「官庁民主化と生活・労働条件改善」の旗をかかげ、「天皇の官吏」からのくびきを断ち切るため、国公労働組合を結成しました。そして、レッドパージや首切り合理化などの攻撃にさらされながらも、行政と職場の民主化のためにたたかい続けてきました。
 21世紀を迎えて、先達のたたかいを引き継ぎ、勤労国民と国公労働者に対する理不尽な攻撃、「この国のかたち」改革と対峙して、国民生活中心の行財政・司法への転換をせまる取り組みに全力をあげることが、国公労働運動の最重要課題となっています。
 国公労働者のみなさん
 「1月6日」を新たな出発点に、国民生活中心、平和と民主主義を大切にする「この国」をめざすたたかいに、あらたな決意で取り組みましょう。団結と連帯を強め、公務員制度改悪など、あらたな行革攻撃に立ち向かう決意と、国民との共同・連帯への確信を深めましょう。
 21世紀の展望を自らのたたかいで切りひらくために、国公労連とともにたたかいに立ちあがろうではありませんか。

  2001年1月6日
日本国家公務員労働組合連合会
中央執行委員長 堀口 士郎

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