「核兵器のない世界」を実現するために、日本政府に核兵器廃絶への積極的なイニシャティブを求める決議
 広島・長崎への原爆投下から、55年が経過した。この原爆投下によって、21万人が犠牲となり、さらにその後の後遺症により約10万人が亡くなった。今なお、30万人近くもの被爆者が、苦しみ、不安な日々を送っている。
 21世紀を目前にして、核兵器廃絶・核戦争阻止、被爆者援護のたたかいは、国連や世界各国政府を動かし、世論と運動が大きく広がってきている。昨年の国連総会では、「すみやかな核兵器廃絶の誓約」を求めた決議に100カ国以上の賛成で採択され、今年5月の核兵器不拡散条約(NPT)再検討会議では、「核保有国による完全な核兵器廃絶への明確な約束」が合意された。国連の場で「核廃絶は究極目標」と主張し続けている日本国政府の立場は、もはや世界からも孤立している。これは、一貫して「核兵器の緊急廃絶」を追求してきた運動の大きな前進である。こうしたなかで開かれる国連ミレニアム総会は、核兵器廃絶を実現させる重要な場となる。
 また、長崎原爆松谷訴訟での全面勝利は、日本政府の被爆者補償のあり方に見直しを迫るものとなった。被爆者の高齢化がすすむなかで、すべての被爆者に対する国家補償の実現こそが求められている。
 一方、地球上には依然として3万発もの核兵器が存在し、アメリカは核兵器の「改良」や新たな開発計画を進め、未臨界核実験を強行している。広島・長崎の原爆投下以降も、ビキニでの第五福竜丸をはじめ、世界各地で核実験の犠牲者が生まれている。核兵器が存在する限り常に全世界を脅かす危険はなくならない。
 唯一の被爆国であり、「戦争放棄」と「戦力の不保持」を憲法で明記しているにもかかわらず、日本政府はアメリカの戦争に全面協力する新ガイドライン(戦争法)を強行成立させ、沖縄サミットでは、沖縄をはじめとした日本国内の米軍基地の撤去をめざすどころか、基地機能のいっそうの強化が確認された。40年間にわたって、政府が「核密約」の存在を国民に隠してきたことも、アメリカの公文書によって明らかにされた。
 新しい世紀を迎えるにあたって、核兵器による人類絶滅の危険を一掃しよう、核兵器のない21世紀を実現しようとの思いは、いま、世界の多くの人々の新たな決意となっている。私たちは、日本政府に対し、「核兵器のない世界」の実現のために積極的なイニシャティブを発揮し、国際的にも国内政治においても、被爆国政府にふさわしい役割を果たすよう、次のことを強く要求する。

一、日本政府は、国連ミレニアム総会において、核兵器廃絶の国際協議を直ちに開始するために全力をつくすこと。核兵器のすみやかな廃絶を求める諸決議に賛成すること。
一、「核密約」を公表し、非核三原則の厳守・法制化をはかること。沖縄・名護への新基地建設をはじめ、すべての米軍基地を撤去・縮小し、米軍による超低空飛行訓練などを即時停止すること。新ガイドライン法(戦争法)の具体化・発動を行わず、日本国憲法の平和原則を厳守すること。
一、原爆症認定や被爆地域の是正・拡大など、被爆者援護行政の抜本的見直しを行い、国家補償に基づく被爆者援護を実現すること。

 以上、決議する。

  2000年 8月30日
日本国家公務員労働組合連合会
第46回定期大会

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