「チェックオフ制度」の禁止等にかかわる法「改悪」に反対する
(書記長談話)
 自民党労働部会は、4月12日、賃金から労使協約にもとづいて組合費を控除する「チェックオフ制度」の禁止及び、労働組合の会計報告の公表を強制する労働基準法、国家公務員法などの「改正」法案の国会提出を決定した。マスコミ報道などによれば、自民党の法案は、「衆議院選挙を控え、民主党応援団の連合に打撃を与えたい」との思惑から出発したと言われる。
 党利党略、以外のなにものでもない思惑で、結社の自由や団結権などの基本的人権を侵害・制限する労働組合運動への介入・干渉となる法案に、国公労連は反対の意思を表明する。
 チェックオフ制度は、労働基準法第24条にもとづき、労使協定を締結することで、労働組合費等を控除して賃金を支払うことを認めるものである。改正「法案」では、労使協定によって控除ができるものの内、労働組合費のみを対象に、その禁止を求めている。
 また、労働組合・職員団体にたいして、1)構成員に対する会計報告等の公表義務、2)一般に対する会計報告等の公表の努力義務を課することも求めている。
 労働組合は、労働者の権利と生活をまもるために自主的・自発的に結成されるものであり、国際的にも、「チェックオフ制度」を組合保障条項として、法による禁止を否定しているILOの立場が確認されている。組合員多数の合意を前提にして、円滑な労働組合活動を保障するために「チェックオフ制度」を選択するか否かは、労働組合の自主性に委ねられるべきである。
 また、労働組合・職員団体の構成員にたいして、収支を明らかにして会計を公表することは、自主的・民主的な団体としては当然のことである。不明朗な会計処理は、労働組合への信頼感を損ない、団結を阻害するものであるが、それも国家が口出しすべき性質のものではない。いわんや、営利活動をおこなわない労働組合が、第3者に会計報告を行わなければならない必然性はどこにもない。そればかりか、構成員以外に公表することで、結社の自由や団結権が、国家や使用者によって侵害されることさえ危惧される。
 労働組合が特定政党支持を構成員に強制し、そのために「チェックオフ制度」を「活用」し、あるいは構成員にさえ会計報告を隠蔽することなどは、その基本的性格をふみにじるものであることは言うまでもない。政党からの独立、資本からの独立を基本に、労働者の自主的結集を強め、組合費徴収や組織運営の透明性を高めるために不断の努力を傾注することは、労働組合運動の基本である。国公労連は、国家の介入・干渉を許さないための毅然とした組織の確立にむけ、その基本を堅持することをあらためて表明する。
 同時に、「自民党・野中幹事長が、「(労働組合などの)国会周辺抗議活動への対応」を警視庁に要請する意向を示したと報道されているように、同党が正当な組合活動さえ敵視する姿勢を強めていることが明らかになっている。政権の延命のために、民主的な運動を抑圧するという民主主義のルールさえ無視した自民党の姿勢は、国民的な世論でただしていく必要がある。国公労連は、そのための取り組みを積極的に展開する決意である。

  2000年4月17日

日本国家公務員労働組合連合会
書記長  福 田 昭 生


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