(国公労新聞第988号98年5月21日付より)

「行革法案」衆院で強行採決
--悪政NO!の声広げ「行革法案」を廃案に

 5月12日の衆議院本会議で、「中央省庁等改革基本法案(行革法案)」が強行採決され、自民党、社民党、さきがけの賛成で通過し、参議院に送付されました。  4月10日に審議が開始されて以来、実質的な討議日数は10日程度であり、国民と国との関係を「改革」し、21世紀の「この国のかたち」を決める法案としては論議が尽くされたとは到底言えません。十分審議を尽くさないままに、「数の力」で悪法を次々に成立させる自民党・橋本内閣の暴挙を許すわけにはいきません。
◆失政への反省もないまま暴挙を繰り返す橋本内閣
 政府は、5月12日の閣議で、「行革法案」とならぶ橋本「改革」の軸である「財政構造改革法」の一部修正案などを国会に提出しました。  これは、内外から強まる景気対策の要望に「応える」ために、障害となっている「2003年度の財政赤字を国内総生産比3%」にするという「目標」を2年間先送りするものです。  「目標」を先送りして実施する「緊急経済対策」は、消費税率引き下げなどの恒久減税や、社会保障費への国庫負担を増やすなど、国民生活の実態に目を向けたものではありません。  「社会資本整備」の名のもとに、国債発行残高を6兆円あまりも膨らませる一方で、従来型の大型プロジェクト中心の浪費を続ける内容です。  98年度末の国債発行残高が、285兆円をこえる「借金財政」への反省も無ければ、その借金ゆえに社会保障費を削りつづけ、国民負担増の押しつけと将来不安で不況を深刻にした失政をあらためる姿勢もありません。  98年度予算の成立からわずか1ヶ月で「16兆円規模」の補正予算を出すこと自体、橋本内閣の政策能力のなさを示しています。
◆政府はあくまで「行革法案」の成立に固執  政府は、参議院での「行革法案」審議の前に、財政構造改革法の修正を先行するとしています。「5月22日衆議院通過、5月中成立」をめざし、衆議院での法案審議がはじまっていないのに5月13日には参議院で「修正案」などの趣旨説明を強行するという異常な国会運営がおこなわれています。そして、「行革法案」は、6月1日から1週間の参議院審議での成立を目論んでいます。  補正予算の審議を会期末におき、労働法制改悪や国鉄債務処理法案などの重要法案の審議を先送りしてでも、財政構造改革法の修正や行革基本法案の成立がめざされるのは、「橋本改革」を進める両輪に「行財政改革」が位置づけられ、その成否に内閣の命運がかかっているからです。
◆「綱渡り」の政局--橋本内閣は追いつめられている
 参議院選挙の日程が、7月12日で動いていることから、会期が延長されても6月18日までが一杯と言われています。その期間の中で、橋本内閣不支持率急上昇の原因となっている「橋本改革」の中心課題が審議されます。国民からも、財界からも「退陣要求」が突きつけられる内閣に、このまま21世紀の「国づくり」を任すことはできません。与党の連立体制にも亀裂が生じている今、悪政反対の国民世論をさらに広げていくことが、「行革法案」の成立を許さず、「橋本改革」の流れを変えさせる最短の道です。1日の余裕もない審議で、追いつめられているのは橋本内閣です。
◆職場・地域から「橋本改革」許さないたたかいを大きく 今、私たちのたたかいも正念場です。衆議院段階のたたかいでは、全国の仲間のたたかいで、政府が当初意図した「連休前に行革基本法を衆議院で通す」もくろみを遅らせてきました。47万をこえた「行革大規模署名」や、衆参あわせて68名となった請願紹介議員にも見られるように、「行革法案」反対の世論は確実に広がっています。  これまでのたたかいをさらに発展させ、法案の廃案の条件を主体的に作り出しましょう。  そのために--  (1)この新聞を利用して、私たちのたたかいで「行革法案」成立阻止の条件がつよまっていることを確認しましょう。  (2)参議院議員に対して、「行革法案」反対の声を今一度、地元から届けましょう。  (3)「1の日宣伝行動」などを全国で取り組み、国民に「行革法案」の危険性と、橋本「内閣」の悪政をうったえましょう。  (4)一日一日が大切な時期です。全組合員の力を寄せ合って、「行革法案」成立阻止に全力をあげましょう。

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