<国公労新聞第981号98年3月1日付より>

国民犠牲の「行革法案」(中央省庁等改革基本法案)の成立は許さない

−「行革法案」では政・官・財ゆ着が根絶しないばかりか国民サービス切り捨ては必至
 2月17日、政府は「中央省庁等改革基本法案」を閣議決定し国会に提出しました。行革会議の「最終報告」を「忠実に」法案化したとされるこの法案が、国民生活と国公労働者の労働条件に悪影響を及ぼすことは明らかです。今後は、法案成立を許さない取り組みを国公産別一体として全力で展開し、行革闘争を飛躍的に発展させることが求められています。
◆法案の構成  「基本法案」は、@(行政改革の目的等を明らかにする)総則、A内閣機能の強化、B国の行政機関の再編成、C国の行政組織等の減量、効率化等、D関連諸制度(公務員制度など)の改革との連携、E中央省庁等改革推進本部の6章で構成され、63条からなっています。行政改革の中心的な目的は、第2臨調発足時から一貫してめざされている「首相の権限強化」と「行政スリム化=公務のリストラ合理化」であることを法案の構成が物語っています。  法案では、このような行政改革の推進を「国の責務」としています。行政改革のフレームを決めるこの法律案が成立すれば、国会審議までも拘束する危険性を持っています。
◆中央省庁等改革の基本方針等  「基本法案」では、@内閣総理大臣の指導性の明確化と内閣補佐支援体制の整備、A主要任務(別表参照)を機軸とする省編成、B規制緩和、地方分権推進などによる国の仕事の減量、C政策の企画立案機能と実施機能の分離、D政府全体の総合性の確保、E政策評価機能の強化、F行政運営の透明性の向上、G行政機関編成の弾力化の8点を基本方針として掲げています。  そして、これらの基本方針のもとに、法の施行後5年(仮に通常国会で成立すれば2003年)以内、出来れば2001年1月1日を目標に「新たな体制への移行開始」を宣言しています。
◆内閣機能強化の内容  内閣機能強化については、「内閣総理大臣の発議権」、「内閣官房の権限強化と行政組織内外からの人材登用」、「内閣府を国政上重要な事項の調整機関に位置づけ」などがその内容であり、事務次官等の「幹部職員」の任免について「内閣の承認」を必要とすることも盛り込んでいます。  このような機能強化の内容は、総理大臣とその周辺(内閣官房と内閣府)への権力の集中と、任免=人事権を使った内閣への各省官僚の従属の仕組みを法制化するものです。議院内閣制のもとでの内閣は、政権与党そのものです。現状では、自民党の「政策」実施のために、このような仕組みを使って、これまで以上の従属を迫るものにほかなりません。そのことは、結果として、悪政推進に加担する公務員を作り出すことは明らかです。
◆行政組織等の減量、効率化  行政組織等の減量、効率化は、規制緩和等による「仕事べらし」を前提に、企画・立案と実施機能の分離を基礎に、実施部門の減量が徹底してめざされることが明記されています。  その内容は、「現業の改革(郵政事業の公社化など)」、「民営化そのものである独立行政法人の創設」、「施設等機関(国立病院、試験研究機関など)の減量化の先行」、「地方支分部局の整理、統廃合」などが柱となっており、「10年間で1割の定員削減」などの数値目標も盛り込まれています。  マスコミ等が主張する「行政のスリム化」が、行政サービスを直接提供する実施部門に集中する内容となっています。
◆「基本法」成立阻止に全力を  大銀行支援のために30兆円もの税金投入を強行する一方で、社会保障や教育など国民生活の基盤を支える予算を率先して削り、国民いじめを強める橋本「改革」に対する怒りが広がっています。また、橋本「改革」が進めば進むほど不況が深刻化することも事実として明らかになっています。  そのような中で、財界からも「行財政改革の棚上げ」が公然と主張される事態も生まれています。その点では、「基本法」を廃案に追い込める条件が生じてきているのが現状です。  「基本法」の実施で「政・財・官」の癒着は払拭されないこと、国民生活の不安定さをますこと、国民への行政サービス切り捨てが「改革」の狙いであることなどを国民に徹底して明らかにしていくことが「基本法」廃案の鍵です。  「300万人との対話」を目標に進めている行革大規模署名を中心に、ビラ配布や宣伝行動、要請行動をさらに大きく展開するために、全組合員の力を結集しましょう。




























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