<国公労新聞第981号98年3月1日付より>

国公産別一体で国民本位の行政実現へ全力
【「中央省庁等改革基本法案」に対する各単組委員長の見解】


■国民と国公労働者に瀕死の重傷与えるもの(全気象労働組合・一色政廣委員長)  汚染物質が複合的にからみ合い、害毒を強める大気汚染と同様、「橋本行革」も、つの「改革」が互いにからみ合い、国公労働者と国民に、瀕死の重傷を与える毒素になりかねない。「中央省庁等改革基本法案」は、そのなかの典型的な悪玉菌ではないか。  個々の悪玉菌と局所局所で切り結ぶ「対症療法」とともに、「橋本行革」という病根そのものを壊滅する「原因療法」なしでは、完治は望めない。このためには、国公産別をベースに、国民的世論という万能薬をつくりだす以外にない。  すでに、職場には、「行革」とは名乗らないまま、測候所廃止のようにその先取りがすすめられている。 これらを含め、3月8・9日におこなわれる春闘での大きなアピール行動、2大署名(国公労連の「行革大規模署名」と「気象事業整備拡充署名」)を軸に、全気象も行革闘争に全力をあげたい。
■巨大利権官庁化で国民の願いに逆行(全運輸省港湾建設労働組合・後藤英輝委員長)  「法案」は、財界とアメリカの押しつけによる国民に犠牲をしいる行政機構改悪をねらうものであり、憲法をも蹂躙する行政責任放棄そのものです。  公共事業については、公共事業4省庁を「国土交通省」という巨大利権官庁化をねらうとともに、国の責任で実施すべき事業実施部門については減量化を図り、民間委託や民営化に移行させようとするものであり重大な問題です。阪神・淡路大震災で重大な被害が発生した教訓からも、国・行政が責任をもって実施することこそ、国民が求める安全・良質な社会資本の整備ができます。  私たちは、憲法を遵守する国の行政機関に働く労働者として、このようなまやかしの「行革」法案は、断じて認められるものではなく、国民の求める政・官・財のゆ着構造にこそメスを入れなければならないと考えます。  全港建は、この悪法の撤回・廃案を求めて国公労連の行革闘争に結集し全力をあげるものです。
■運輸行政をゼネコン開発行政に従属させ安全切捨て(全運輸省労働組合・田中茂冨委員長)  橋本ニセ「行革」を具体化する「中央省庁等改革基本法案」の国会上程に対し、全運輸は怒りをもって抗議し、その撤回を強く求めます。  この「法案」は、行政組織の反動的再編と国民生活関連行政の切り捨てを柱としています。とくに、巨大な「公共事業」官庁である国土交通省への運輸省の統合は、運輸行政の本来の役割・機能をわい小化し、高速道路や整備新幹線、空港などの建設拡充を重点にしたゼネコン優先の開発行政に従属させるもので、到底受け入れられません。  また、交通事業を野放しにする「需給調整規制の撤廃」や、航空・自動車などの安全行政・検査業務の切り捨てを打ち出していることは、国民に対する行政責任の放棄であり、絶対に反対です。  全運輸は、安全確保と国民の足を守るための総合的・一元的な運輸行政を確立するために、「交通省」の設置を掲げ、組織の総力をあげてたたかう決意です。
■国民犠牲の上に新たな利権構造づくりねらう(全建設省労働組合・牛島高信委員長)  「法案」は、行革会議の最終報告を「忠実に法案化」したものであり、国民が求めている「政・官・財のゆ着構造の根絶」には応えず、「国民犠牲」の上に「規制緩和」と一体で「大企業に新たな利潤追及の場」を提供しようとする「利権構造の再構築」と言わざるをえません。加えて法案は、首相への権限の集中や内閣機能を強化し、国の統治強化を図るとしています。  これらを内容とした「法案」は、「21世紀にふさわしい新たな行政システムへ転換」していくことを目的に、「行政のスリム化」「効率化」と称して行政を「官から民へ」「国から地方へ」そして「行政へ市場原理を導入」するなど、国としての行政責任を放棄するものであり、この法律の成立は断じて許すことはできません。  全建労は、国民本位の行政改革確立と国民本位の公共事業推進をめざし、国民の理解を得ながら広範な労働者とともに協力・共同し奮闘していく決意です。
■労働者保護行政を大幅に後退させるもの(全労働省労働組合・堀口士郎委員長)  「中央省庁等改革基本法案」がねらう労働福祉省創設は、労働者・国民のための「あるべき労働行政とは何か」について十分議論され導き出された結論ではありません。  数あわせ、はじめにスリム化ありきの検討方向は、労働者・国民生活にもっとも密接な行政を縮小すると同時に、労働者保護や雇用の安定など、国が果たさなければならない役割をないがしろにし、労働行政の埋没・分断・変質をもたらすものと言わざるを得ません。  いま必要な改革は、わが国の労働者の過酷な労働実態を議論の「出発点」とし、労働行政機構の充実強化、真に人間らしく働き続けるためのルールとしての労働法制の充実・改善、規制の強化です。  全労働は、現状を改革していくために、労働行政の独自性・専門性をいっそう高め、引き続き真に労働者・国民のための労働行政を確立するために全力をあげます。
■医療・福祉・年金のさらなる切り捨て(全厚生職員労働組合・大倉修二委員長)  全厚生は「労働福祉省」創設について、医療・福祉・年金など社会保障がいっそう後退させられるおそれがあるとして反対してきましたが、「法案」が上程されたことによってその危惧がさらに強まっています。  「法案」の第25条では「社会保障制度の構造改革を推進」「労働政策と社会保障政策との統合・連携の強化を推進」「福祉サービスの分野において、民間の能力の活用及び利用者による選択の拡大を図る」などと規定しています。この方向は社会保障制度から国家責任を放棄し、社会福祉分野での「営利企業化」を積極的に推進するというものです。  このように財界・大企業の要求にこたえた国家的リストラの大きな流れのなかで、社会保障制度の構造改革がもっとも重点的な分野として攻撃の矢面にたたされているいま、全厚生は多くの国民・労働者とかたく団結し、厚生行政の充実への道を切り開くために総力をあげてたたかい抜きます。
■国立医療を「解体」し国の公的責任を放棄(全日本国立医療労働組合・遠山亨委員長)  橋本内閣は、広範な国民の国立医療の存続拡充という、強い要求と願いをも無視し、国立病院・療養所を強引に独立行政法人化という、国の公的責任を放棄する「中央省庁等改革基本法案」を国会に提出しました。  80年代の土光「臨調」による再編成計画に次ぐ連続した、国立医療切り捨てであり、今度の内容は、質的にも、量的にも戦後最大の国立医療の「解体」という、まさに、生きる権利と働く権利を奪う徹底的な攻撃となっています。  国公労働者とともにこのたたかいを勝利させることは、いま、現に強行されている医療の連続改悪や年金・社会保障の改悪、さらには金融機関への30兆円の投入など国民的課題での諸闘争をいっそう発展させることになります。  全医労は、このたたかいの勝利のために全力をあげてたたかう決意を明らかにします。
■雇用や地域経済破壊し弱者切り捨てる政策導入(全通商産業省労働組合・泉部芳徳委員長)  「中央省庁等改革基本法案」が国会に提出されました。  経済産業省の編成に関しては第21条に示されていますが、その骨格は行革会議の「最終報告」どおりであり、「市場原理の尊重」「中小企業の保護・支援行政の縮小」「技術開発の重点化」等が中心となっています。  今日の日本の不況は、消費税の引上げや医療費の個人負担増による政策不況です。日本経済の均衡ある発展のためには国民生活重視の政策が必要であり、雇用や地域経済の安定化のためには中小企業に対する支援が求められています。今回の政策転換は、弱肉強食の市場原理による弱者切り捨ての危険性を持つものです。  また、研究機関等の独立行政法人化や民営化は効率化やスリム化のみを追求するものであり、行政サービスの切り捨てや組合員の身分保障にも重大な支障をもたらします。このような「法案」は、絶対に認められません。
■行政組織を大企業優遇・国民犠牲の機構に改変(全法務省労働組合・岩波薫委員長)  「中央省庁等改革基本法案」はすでに批判している通り、国民が求めている政・官・財のゆ着構造の解消には触れないまま、国の行政組織を大企業優遇・国民犠牲に改変するもので、絶対に認められません。とりわけ、行政機構に独立行政法人制度を導入することについては、それ自体に重大な問題が内包されているばかりでなく、今後の行政組織スリム化などの場面で、登記行政が対象になることは、これまでの経過からしても避けられず、制度導入自体に全面的に反対するものです。  また、2001年の総定員法改正・以降の10年間での定員の10%の削減についても、これまでの増員闘争をいっそう困難なものにするばかりでなく、法務行政遂行そのものを不可能にするものです。  さらに、地方支分部局の統合や本省庁の局・課の一律削減も、国民の期待する行政執行を妨げることになるため反対し、たたかう決意です。
■国民の求める大蔵改革は政官財ゆ着なくすこと(全国税労働組合・井ノ上繁利委員長)  今回の「中央省庁等改革基本法案」では、行革会議の「最終報告」で記述されていた「国税庁の独立性の確保」が書き込まれず、「地方との徴税一元化」と「税制簡素化、通達行政縮減」にとどまりました。  大蔵省の外局である国税庁ですが、その最高幹部は大蔵省キャリア官僚によって占められており、上意下達、秘密主義によるピラミッド型の人事システムが今回の汚職事件の最大の要因となっています。  また、税務職員で組織する全国税を弾圧・差別しA省内のチェック機能である労働組合を圧殺し続けてきたのも大蔵特権官僚です。  超特急の昇進、退職後の華麗な天下り生活、さらには政・官・財のゆ着構造を生み出す権力の集中の是正こそが、国民の求める大蔵省改革であり、行政改革です。  内閣機能の強化を主眼とし、国民サービスの低下を招く今回の「法案」に断固反対します。
■これでは大蔵行政への国民の信頼回復は不可能(全国税関労働組合・麻生捷二委員長)  相次いで大蔵官僚(現職・OB)が逮捕される事件の根源に、大蔵省と業界のゆ着体質や不透明な行政、天下りや特権官僚優遇人事があることは明白です。単に省名を変えたり、「金融庁」を内閣府に分離する「基本法案」では、国民の大蔵行政に対する信頼を回復することはできません。  「中央省庁等改革基本法案」では、「税関と他省庁との連携強化」が盛り込まれています。すでに、大蔵省・税関当局は、「臨調行革」や大企業本位の「規制緩和」を積極的に推進してきました。そのため、国民の安全や健康を守るためのチェック機能や国内産業保護のための関税・税関行政は形骸化されてきました。  「橋本行革」がめざす行政の減量・効率化や定員削減がすすめられれば、増大する業務量に対して、国民が期待する公正・適正な通関、行政サービスを確立することはできません。全税関は、国民生活を守る行政を確立するため奮闘する決意です。
■重大な外局化・独立行政法人化・民間委託化(総理府労働組合連合会・納谷理憲委員長)  「中央省庁等改革基本法案」は、本来やらなければならない政・官・財のゆ着構造の是正や大型公共事業の削減にはまったく手をつけず、権力の再編・集中をねらうものであり、国民の願う行革とはまったく無縁のものです。  総理府労連関係では、独立行政委員会である公正取引委員会は総務省の外局に置かれる、科学技術庁の各研究所は独立行政法人化の対象とされる、総務庁統計局統計センターは業務の民間委託化が推進されるなどの重大な問題点を指摘しなければなりません。  また、大企業奉仕と労働者・国民総犠牲の政治をいっそう推進するために内閣機能の強化も意図しています。  総理府労連は、今国会において、「法案」の成立を阻止することが国民の生活を守り発展させることになり、私たちの要求実現に結びつくことに確信を持ち、全国の仲間のみなさんとともに、よりいっそう、たたかう決意を新たにするものです














































































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