国公労新聞 第1232号

◆「小さな政府」反対に全力

 後半国会の焦点である「行政改革推進法案」の本格的審議が、3月29日から衆院行政改革特別委員会で始まりました。
 一方、政府と連合は3月20日、公務員制度に関する政労協議を行い、「労働基本権を付与する公務員の範囲」について検討する場を設けることで合意。ILOが「公務員への労働基本権付与」などを求めた3度目の勧告(3月29日)も「追い風」に、公務員の総人件費削減攻撃への反撃と、「小さな政府」反対の世論を広げることが求められています。


◆強まる総人件費削減攻撃

 政府・人事院が春闘期最終回答

 政府・人事院は3月23日、国公労連の06年統一要求に対する春闘期回答を行いました。
 基本的な回答は、「人勧制度の維持・尊重」(政府)、「官民較差に基づき適切な水準を確保」(人事院)と、従来回答にとどまりました。同時に、政府が「行革推進法案」を提出したことなどもうけ、「職員の雇用の確保などセーフティネットの整備に最大限努力」(総務省)、「被用者年金一元化や宿舎のあり方については(勤務条件として)適切に対応」などの回答も行いました。 

◇民調「小規模企業も調査対象に」と言及

 また、人事院は、民間給与実態調査は「100人未満50人以上の小規模企業も調査対象に加える」との回答を行いました。
 これは、昨秋来、人事院に設置された「研究会」が、「最も低い県の(民間従業員の)カバー率が約5割を確保」できることなどを理由に、「比較企業規模は引き続き検討」としつつ、5月から実施する調査は「企業規模50人以上に拡大」することを求めたことに応えたかたちをとっています。実質は、政府の要請に応えた「賃下げの条件づくり」を狙ったものであり、人事院の役割を逸脱した「受け容れがたい回答」です。 

◇最終回答に厳しく抗議し声明を発表

 国公労連は、これらの回答に厳しく抗議するとともに、「賃下げとなる官民比較方法見直し」に断固反対し、総人件費削減攻撃に反撃するたたかいを継続・強化する「中央闘争委員会声明」を同日、出しました。


◆5%純減!拙速な「中間とりまとめ」

 行政減量・効率化有識者会議が決定

 行革推進事務局の行政減量・効率化有識者会議は、3月30日、「(5%純減方策の)中間とりまとめ」を決定しました。わずか2カ月の論議で、「重点8事項(農林・食料、統計や職業紹介、社会保険事務所など)にかかわって、たとえば「労働保険と社会保険の適用・徴収業務の一元化」を求めるなど、極めて拙速な「まとめ」の内容です。
有識者会議では、追加7事項(登記・供託、気象関係など)も加えた15事業に焦点を絞り、4月以降、純減の「上積み」を求めるとしています。
 また、「地方支分部局に重点を置いて純減を確保」、「IT化により、内部管理業務の定員を3割以上削減」などとし、毎年の定員査定での純減確保も迫っています。
 国会で審議が進む「行革推進法案」成立反対のとりくみともあわせ、「5%純減の具体化計画」を許さない政府追及の強化が求められます。


◆全国キャラバンで国民にアピール

 「全国縦断キャラバン」が全国をかけめぐっています。▼「四国・中国コース」は3月20日に香川県からスタート。高松市内の商店街を約100人でデモ行進し、買い物客にアピール▼「西日本コース」は3月22日に福岡県からスタート。大分県への要請行動を地元テレビが報道するなど、反響がありました▼「東日本コース」の山梨県では、「山梨県民医療ネット」と共同して実現した医療改悪反対の宣伝署名行動に100人参加しました▼「北陸・東海コース」は4月5日、北海道は4月10日、沖縄は4月12日からスタートします【詳細は全労連「もうひとつの日本」闘争本部 http://www.another-japan.jp/

 

◆高知、岩手県議会で意見書採択

 地方から「構造改革」への批判強まる

 「公共サービスの安易な民間開放は行わず、充実を求める意見書」採択のとりくみで、これまでに59地方議会(趣旨採択含む・4月4日現在)で採択が行われました。
 その中には、昨年は成果に至らなかった県議会での請願、意見書採択が、岩手県、高知県の二県で達成され、新たな意見書採択議会も30を超えています。政府がすすめる地域切り捨ての「構造改革」への批判が強まっていると同時に、各県国公での奮闘の結果です。
 岩手県国公は、「くらし安心署名」と議会での意見書採択のとりくみを一体で展開。県議会最大会派の民主・県民会議と共産党の紹介議員を獲得し、岩手県議会での採択を勝ち取りました。
 高知県議会では、陳情は「不採択」とされたものの、重要性を受けとめた共産党の県議が、同一内容の請願として提出。県議自ら各会派を回る中で、自民党を含め全会一致で採択されました。高知県国公は「あらゆる集会や行動で公共サービス商品化の危険性を訴えた結果」と総括しています。
 新潟県公務共闘とも共同し、県内35自治体議会への請願・陳情行動を展開している新潟県国公、2月に44自治体議会に意見書採択の要請行動を展開した愛知県国公、など追い上げの運動もすすんでいます。
 「もう一つの日本」闘争本部の全国キャラバン行動成功も糧に、「6月議会」に向け、さらに地方からの世論を広げましょう。
 

◆「いかなる戦争にも加担しません」

 すべての職場で憲法遵守宣言を

 ◆国民投票法案は9条改憲と一体

 3月30日、衆議院憲法特別委員会で国民投票法案の「論点協議」が始まりました。
 この「論点協議」は、これまで自由討議や参考人質疑で議論されてきた投票資格年齢や国民投票運動におけるマスメディア規制などの「論点」について、自民党と民主党がすりあわせをおこない法案をとりまとめることが目的です。
 しかし、こうした動きは矛盾を抱えています。何より、国民世論は国民投票法制定を求めていません。

 ◇国民は国民投票法を求めていない

 NHKの世論調査(3月10〜12日実施)では、国民投票法案について「よく知っている」が3%、「ある程度知っている」が24%、「あまり知らない」が48%、「まったく知らない」が18%(図表1)です。
 また、「よく知っている」「ある程度知っている」と答えた人に国民投票法案の成立時期をどう考えるかを聞いたところ、「慎重審議」が60%、「今の憲法がいい憲法だと思うから改正すべきではない」が16%(図表2)でした。



 ◇9条改憲のための国民投票法

 「憲法改正がもう目の前にきている。その中で手続き法を整備する大きな責任がある」(船田元・自民党憲法調査会長)、「9条を最大の論点として加憲論議を進めているが、その筋道を定めるべく早期に成立させたい」(斉藤鉄夫公明党衆院議員)と、国民投票法案が「9条改憲」のためのものであることをあけすけに語っています。
 同時に改憲勢力は、「憲法96条が憲法改正手続きを定めているのに国民投票法を整備してこなかったのは『国会の怠慢』だ」という議論まで持ち出しています。
 「国会の怠慢」が問題となるのは、法律がないために国民の権利が侵害され直接的な損害が生じる場合です。国民投票法がないために改憲ができず、国民が損害をこうむっている状況はありません。
 世論調査(「毎日新聞」05年10月5日付)でも、「戦後の日本の平和維持に、憲法9条が実際に役立った」と80%(図表3)が回答しています。
 国民世論の多数は、9条改憲に反対です(図表4)。アメリカとともに海外で「戦争をする国」をめざす9条改憲は、国民の平和の願いとは決定的に矛盾しています。
 「九条の会」をはじめ、憲法を守り抜こうという国民的共同が広がっています。「憲法9条を守れ」の声と運動をさらに広げ、改憲勢力のたくらみを打ち破りましょう。


 ◆「小さな政府」づくりと連動する改憲

 ◇憲法をくらしと行政にいかそう

 軍事や治安、「国際競争力強化」に必要な部門、そして企画立案部門に働くものだけを公務員とする「小さな政府」づくりは、憲法改悪の動きと連動しています。憲法9条の改悪で狙われる「戦争をする国」への転換は、同時に、「生存権」などの人権実現より多国籍企業の海外進出や、アメリカとの軍事同盟強化を重視する施策と結びついています。
 医療制度改悪など連続的な社会保障改悪や定率減税廃止などの庶民増税で生存権を脅かされるまでに国民生活と地域経済が疲弊している現実にも目を向けて、「憲法9条改悪反対」「憲法をくらしと行政にいかせ」の運動をさらに強める必要があります。
 国公労連は、5月3日の憲法記念日を前にした4月10日から28日を憲法遵守旬間に設定し、この期間にすべての職場で「憲法遵守職場宣言決議」の採択運動を提起しています(図表5)。




 ◇「国民を抑圧する国家の手先」にはならない

 自民党の新憲法草案にみられるように、改憲の目的は、日本を「戦争する国」につくりかえることや、国民の基本的人権より「国家の利益」(公益や公の秩序)を優先する社会への転換にあります。
 このような改憲がおこなわれたら、公務員の役割は、「国民共同の利益実現の担い手」から「国民を統治、抑圧する国家の手先」に変質することになります。
 改憲の具体化が進められるなか、今年の「憲法遵守職場宣言決議」は、国民のくらし、いのちを守り、安心・安全・平和な社会づくりのために働きたい、という公務員労働者の思いと決意を込め、とりくみましょう。集約した決議は、5月26日の中央行動で政府に提出します。


 ◆日本全土を侵略拠点にする米軍基地強化

 9条改憲の狙いを浮き彫りにするのが、在日米軍基地の再編・強化です(図表6)。
 2月6日に発表された米軍国防総省の「国防計画見直し」では、「時代遅れとなった冷戦的駐留による固定的防衛を捨て、地球各地の紛争地点に急速に兵力を集中させる」とし、「対テロ長期戦争」のための殴り込み機能の強化をあからさまに在日米軍に求めています。こうしたアメリカの戦略に対応するための9条改憲というわけです。日本の安全と無縁のアメリカの戦争のための基地は必要ありません。




◆国公労連「憲法コース」開講式ひらく

 国公労連は、勤労者通信大学の「憲法特別コース」に現時点で1230人の受講者を組織しています。このうち東京では、国公労連や各単組の本部役職員128人と在京組織の役員50人が受講、今後中央本部の受講生を中心に全国で憲法学習と憲法闘争をリードしていく必要があるため、3月17日、霞が関の商工会館で「開講セミナー」を開催、43人の受講生が参加しました。堀口委員長の開会あいさつに続いて労教協の山田敬男副会長から「憲法闘争の意義と課題」のテーマで記念講演を受け、学習を深めました。


◆〈日航907便事故裁判〉一審判決は「無罪」

  東京地裁 個人責任追及を否定

 【全運輸発】東京地裁は3月20日、2001年1月に静岡県焼津市上空で発生した日航機ニアミス裁判において、業務上過失傷害罪で起訴されていた航空管制官2名に対し、無罪判決を言い渡しました。
 判決理由として東京地裁は、両管制官に刑法上の注意義務違反はなく、管制官の便名の言い間違いが直ちにニアミス事故につながったわけではないなど弁護側の主張をほぼ認めており、まさに完全勝利というべき内容となっています。
 さらに判決は、今回の事故について、「諸事情を考えると刑事責任を管制官や機長という個人に追及することは相当ではない」としました。
 これは、様々な要因が複雑に絡まって発生する「システム性事故」においては、個人責任を追及すべきでないとする私たちの主張を全面的に裁判所が認めたものであり、画期的な判決と言えます。
 このことは、ひとえに全運輸の運動に共感していただき、「公正審理を求める署名」などに積極的に携わっていただいた国公労連をはじめとした公務労働者の支援のたまものです。ここであらためて感謝し、お礼申し上げます。

 ◇東京地検が控訴、反撃のたたかいを!

 しかしながら、東京地検は3月31日、東京地裁の無罪判決を不服として控訴しました。控訴の理由を「指示と事故との因果関係はあり、有罪は明らか。証拠の判断に誤りがある」としています。
 この事件は、検察の航空関係者への挑戦であり、本件の控訴審で勝利することは、検察の安易な起訴を許さないためにも大切です。「システム性事故」で個人を起訴させない運動を盛り上げていくことが重要になっています。

◆〈北から南から〉 

 ◇広島 元気に官民合同集会・デモ

 【広島県国公発】3月16日、早朝を中心に全職場で職場集会、夕方は官民合同の県民集会をひらきました。辻岡事務局長が全気象・全法務・全労働の職場実態と公共サービス商品化の問題点を訴えました。その後、「光るブレスレット」を旗、帽子、リュックなどを思い思いにつけ、しゃれたデモ行進となりました。
 3月17日は網の目キャラバン。24日は人事院中国事務局との春闘要求回答交渉。交渉に先駆けブロック国公主催の広島合同庁舎包囲デモも行い、民間労組や公務労組の仲間とともにデモ行進。交渉団にとって大きな力づけになりました。
 3月27日はキャラバン事前学習会をひらき、国公労連盛永副委員長が「小泉改革への反撃を全国各地から」をテーマに講演。翌日は自治体要請、県庁前宣伝など全国キャラバンを展開。福山市宣伝では、地区国公の仲間が奮闘しました。

 ◇青森 早朝集会、民間と連帯深める

  【青森県国公】青森県国公は3月16日、早朝時間外集会を開催し、8単組約150名が参加しました。「総人件費削減計画反対」「官民比較方法見直し反対」「社会保障の切り捨て、大増税反対」を集会決議し、意思統一しました。
 集会には県労連、東青労連、建交労(7名)の仲間が駆けつけました。県労連からは「『小さな政府』で国民の暮らしはよくならない。もうひとつの日本闘争本部に結集しよう」と呼びかけ、建交労東北測量分会からは「県国公からの解雇撤回闘争支援に感謝する。公務の攻撃も一緒にたたかおう」と連帯あいさつがありました。
 県内網の目キャラバンでは、「高齢者医療費引き上げや増税は本当に困る」と切実な国民の声が寄せられるなど、小泉「構造改革」反対の世論が着実に広がっています。
 今こそ、官民一体となって、格差が拡大する一方の小泉構造改革にストップをかけましょう。


◆第36回国公女性交流集会

 ●と き 5月26日(金)14:00〜27日(土)12:00
 ●ところ 札幌 定山渓「定山渓ビューホテル」
      北海道札幌市南区定山渓温泉
      TEL011-598-3223 FAX011-598-3222
      ○宿泊費 10,000円(1泊2食)
      ○参加費 1,500円(資料代等)
 ●メインテーマ 
  「平和な未来のために、今できることを」
   サブテーマ「北の大地から届けよう、私たちの声を」
 ●記念講演 「命に国境はない」
        〜報道の見えない壁の向こうで、
         イラクでは何が起きていたのか?
       講師 高遠菜穂子さん(イラク支援)ボランティア

 ○高遠菜穂子さん バクダットで薬物依存に走り始めた路上生活の子どもたちに「子ども支援プロジェクト」として就職斡旋と職業訓練、ファルージャでは、破壊された学校を再建する「ファルージャ再建プロジェクト」をイラク人と共に進めています。

 ●アトラクション よさこい ソーラン
 ●分科会


◆メーデー写真コンクールに応募を

◇写真の題材
全国各地のメーデー集会・デモ等の写真
◇応募数   
一人何点でも可
◇応募資格 
国公労連または県国公加盟の組合員
◇応募作品 
1)プリント写真(白黒・カラーとも可)
2)デジタルカメラの写真(画素数は1280×960以上)
◇応募方法

1)プリント写真
 画題・写真の簡単な説明(100字程度)、住所、氏名、年齢、支部・分会名を明記した紙片を写真の裏に貼り国公労連まで送付のこと。宛先は、「メーデー写真コンクール」係
2)デジタルカメラの写真
 上記事項を明記した上で、メールによる送付も可。ただし、3MBを超えものについてはメール送付不可(3MBを超えるものはプリントにするか、上記事項を明記した紙片とCD-Rで送付してください)。
 E-mail photo@kokko.or.jp 件名は「メーデー写真コンクール」
◇締め切り   5月20日(土)(消印有効)
◇審査発表  賞は「最優秀賞」1点(図書券1万円)、「優秀賞」2点(同5000円)、「佳作」若干名(同3000円)
審査結果は、6月10日付国公労新聞で発表します。
◇その他  ○審査は連合通信社写真部と国公労連教宣部が行います。○応募作品は返却しません。応募作品の版権は国公労連に属します。


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