国公労新聞 第1231号

◆誇りもって働きたい 均等待遇実現、賃金底上げを

 06春闘 青年・女性・パート3.10行動に2500人

 全労連は3月10日、東京で青年・女性・パート中央行動を展開しました。実効ある男女雇用機会均等法改正、均等待遇の実現、青年の雇用創出、ヘルパーの待遇改善などを求め、国会請願や厚労省要請、集会、パレード、日本経団連前行動などを終日繰り広げました。この行動に連動し、公務労組連絡会は06春闘第一次中央行動にとりくみました。
 全労連は昼休み、日比谷野外音楽堂で決起集会を開催。「誇りを持って働きたい!輝きたい!輝こう!」のスローガンが掲げられた会場には、全国の青年や女性の組合員ら2500人が集まりました。
 主催者あいさつした熊谷金道議長は、「春闘ヤマ場に向け、全体のたたかいを大きく前進させる中で、パート時給の引き上げや、青年、女性の要求が前進する春闘にしたい」と述べました。
 集会にかけつけた韓国非正規労働センターのキム・ジュファン企画局長が韓国における非正規労働者の現状について報告。会場から連帯の拍手がわきおこりました。

 ◇「行革推進法案」反対の国会行動も

 国公労連は、公務員賃金・労働条件改善などの06春闘要求実現、「小さな政府」反対、「行革推進法案」反対などの諸要求をかかげ、午前中の総務省・人事院の要求行動に参加。パレードのあとは全労連「もうひとつの日本」闘争本部に結集し、当日閣議決定された「行革推進法案」に反対して、国会議員要請行動にとりくみました。行動では、衆参すべての議員を対象にして、「市場化テスト法案」や「行革推進法案」に反対し、格差社会を是正し、安全で安心して暮らせる社会の実現を要請しました。

◆金属大手が春闘回答

 国民春闘共闘も健闘

 自動車や電機、鉄鋼、造船重機など金属大手は3月15日、金属労協(IMF−JC)加盟労組に06春闘回答を一斉に出しました。
 3年連続で1兆円を超える利益を上げたトヨタは1000円ですが、「上乗せされる1000円は、必ずしも全員に行き渡るのではなく、戦略的に配分される」(東京)といわれています。電機は(500〜1000円)横並びがくずれ、造船重機や鉄鋼は回答の先送り継続となりました。
 「業種や企業間で『競争力向上』に懸ける戦略の差」(日経)、「500円玉1枚、2枚の低額回答では、パートや中小企業との格差是正や景気底上げへの波及効果も限られそう」(朝日)などマスコミの評価は厳しいものです。
 一方、国民春闘共闘委員会は3月15日、第一次回答を発表。産別平均で2200円から6853円(定昇込み)で、前年同期比で100円から415円上回っており、引き続き、JMIU、通信労組などはストライキで職場から追い上げをはかっています。


◆岩国住民投票「米艦載ノー」反対票87.4%

 「有権者の過半数」の歴史的勝利

 3月12日、山口県岩国市で米空母艦載機部隊移転の賛否を問う住民投票が行われ、投票率が58.7%で投票を成功させ、“移転ノー”が投票者の87.4%かつ有権者の絶対過半数を占めるという、歴史的・画期的な勝利となりました。
 今回の住民投票は、米軍基地再編をめぐる全国初のケース。昨年10月に日米両政府が米空母艦載機部隊の岩国移転に合意したことから、「艦載機受け入れ反対に○をする会」などの市民団体が「これ以上の基地強化は許せない」として幅広い運動を進めてきました。
 山口県国公は、県労連に結集して「反対に○をする会」の諸行動に参加。国公労連も県国公の要請で最終盤に山瀬副委員長が岩国市内の国公職場を激励するなど、住民投票の成功にむけて奮闘してきました。
 今回の投票結果は、小泉・ブッシュ政権の米軍再編・日米合意に痛打を与え、全国の基地反対運動を大いに激励するものです。岩国への艦載機移転計画の撤回はもとより、在日米軍基地の強化・恒久化反対、憲法改悪反対に全力をあげることが求められています。


◆STOP! 行革推進法案

 3月10日、小泉内閣が重要法案と位置づける「行政改革推進法案」が閣議決定され、国会に上程されました。同じ日に上程された「公益法人改革関連法案」や、2月10日の「市場化テスト法案」とあわせ、「行革関連3法案」として、衆議院の「行革」特別委員会で審議がおこなわれます。
 小泉「構造改革」の継続を宣言する「行政改革推進法案」と「市場化テスト法案」について、その内容と問題点を明らかにし、両法案の成立に反対するたたかいの強化を呼びかけます。

 ◇国民そっちのけ、企業のための「行革」

 ◇「小さな政府」づくりが自己目的化

 「行政改革推進法案(簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案)」は、昨年末に政府が閣議決定した「行政改革の重要方針」をそのまま法律にしたものです。法の目的などを規定する「総則」、「行政改革」の重点分野ごとに改革の方向を示す「改革の基本方針」、「行政改革推進本部の設置」の3章で構成されています。
 「総則」では、「簡素で効率的な政府を実現することが喫緊の課題」と規定していますが、どのような理由で「喫緊の課題」なのかは明確ではなく、「小さな政府への改革」が自己目的化しているようです。

 ◇国際競争力強化のための「行革法案」

 「行政改革」は「我が国の国際競争力を強化」するため、「民間活動の領域を拡大」し「行政機構の整理、合理化の措置を講じて国民負担の上昇を抑える」ことを中心におこなうよう規定しています(第2条)。行政は、国民の暮らしや命・安全を守ることが役割、という考え方を否定し、「国際競争力の強化」が最大の行政課題と「宣言」する条文であり、「行政改革推進法案」の最大の問題点です。

 ◇「小さな政府」で企業栄えて民滅ぶ

 「国際競争力の強化」は国民生活の改善に結びついていません。図表1にも見られるように、景気が回復したと言いながらその「果実」は輸出産業が受け取り、個人消費や政府支出にはほとんど影響していないからです。
 「国際競争力強化」の施策は、家計から企業に「所得を移転」させる施策です。「競争力強化」も目的に、1991年から「ゼロ金利政策」がとられましたが、この15年間に家計が受け取れなかった利息は283兆円にのぼります。一方で、企業が免除された利子は260兆円、銀行などの金融機関は95兆円も利子所得を得ているのです。
 これらの点も参考に、小泉「構造改革」のもとで「企業栄えて民滅ぶ」状況が生まれていること、「小さな政府」でそれがもっと深刻になることを、行政の実際から明らかにし、国民世論にその問題点を訴えることが、いまこそ求められています。



 ◇実施部門に集中した5%以上の純減

 ◇国民生活関連部門を狙い撃ち

 「行政改革の重点分野」として、(1)国民金融公庫、中小企業金融公庫などの統合を内容とする「政策金融改革」、(2)独立行政法人の「組織・業務の見直し」、(3)31の特別会計(図表2)の廃止・統合(一部は独立行政法人化の検討などと重複)、(4)「定員5%純減」などの総人件費改革、(5)宿舎などの国有財産の売却等、(6)公務員制度など関連制度の改革、の6点をあげています。これらの「分野」での「合理化」を集中的におこなうという「宣言」が「行政改革推進法案」の二つめの内容です。




中心は総人件費改革です。国内総生産(GDP)比での「半減目標」をかかげ、「国家公務員・地方公務員の総数の純減と給与制度の見直し」と「独立行政法人・国立大学法人等での準じた措置」を求めています。
 「国家公務員の純減」では、「5年間5%以上の純減」目標を掲げ、(1)農林水産省の統計・食料管理と北海道開発の事務の「減量」、(2)地方出先機関の統廃合・廃止(特に、公共事業担当部局や調査・統計など)、(3)職業紹介・指導、年金保険料の収納・相談、刑事施設の運営業務の民間開放(登記・特許・自動車登録事務なども同様)、(4)IT化による業務の簡素・効率化、(5)国有林野事業・国立高度専門医療センターの独法化(非公務員型、他の自立的な運営が可能な実施事務についても同様)としています(法42条〜50条)。
 ここに列挙される事務・事業は「政府が実施する必要性が減少したもの」の代表格だとし、集中的な「純減計画の具体化」を迫っているのです。
 一部の事務・事業に集中した「純減」を求めていることとの関係で、「府省横断的な配置の転換及び職員の研修を行う仕組み」と「職員の採用抑制」の措置を講ずることも明らかにしています。

 ◇定員純減と賃下げ(独法等にも強制)

 国家公務員の給与については、給与体系と官民賃金比較方法についての人事院の検討をふまえた「必要な措置」を2006年度以降、具体化するとしています。
 これらに加え、(1)独立行政法人の非公務員化、(2)独立行政法人・国立大学法人・特殊法人での「5%人件費削減」、(3)公立学校教職員をはじめとする地方公務員の「4.6%以上の純減」、(4)国に準じた地方公務員給与の「見直し」や教育職員の人材確保法の見直し、などを規定しています。国家公務員の純減と賃金引き下げを突破口に、国の「力と施策」を動員して、公務関連分野のリストラを進めようというのです。地方自治も、独法の自主的運営も、「構造改革」の前には存在していないようです。
 また、総人件費改革などとかかわる「関連制度」として、公務員制度改革にもふれ、「国家公務員の給与制度見直し」の状況もふまえた「公務員の労働基本権及び人事院勧告制度などの検討」に言及しました。「リストラとバーターでの労働基本権回復」の危険性はありますが、「労働基本権の制約現状維持」としていたこれまでの政府答弁を変更する内容です。
 さらに、出入国管理、社会保障、労働分野などでの規制改革、「市場化テスト」の本格実施、政策評価の推進、などにも言及しています。

 ◇あらたな“行革推進体制”も設置

 「行政改革」を「総合的、集中的」に実施するため、内閣総理大臣を本部長に、各府省大臣などを構成メンバーに、5年間の期間限定で設置される「行政改革推進本部」を内閣に設置することも条文に掲げています。政治主導の「行革」を印象づけるためです。

 ◇市場化テストで聖域なしの民間開放

 ◇すべての公共サービスが市場化テストの対象

 「行政改革推進法案」でも関連制度に位置づけられた「市場化テスト法案(競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案)」は、2月10日に国会に上程されています。
 法案は、図表3のように取りまとめられる「市場化テストの流れ」について、手続等をさだめるものです。ですから、内容は、極めて具体的です。



 「市場化テスト」の対象となる業務は、「国の行政機関」と独立行政法人、国立大学法人、特殊法人が実施する「公共サービス」(行政処分を除く)のすべて(代表的なものとして、施設の設置、運営や相談の業務などを例示)と、法律の特例を設けて民間企業の参入を認める「特定公共サービス」(たとえば、社会保険庁の年金収納事務や地方自治体での窓口業務など)の「二種類」が規定されています。
 「公共サービス」として「市場化テスト」の対象から除外された「行政処分をともなう事務」も、「特定公共サービス」として対象に加えることができる、という仕組みです。「市場化テスト法案」が「聖域なしの民間開放の仕組み」とされるのはこの点からです。

 ◇民間事業者等の「要望」をもとに「手続き」を開始

 「市場化テスト」は、国の行政機関等と民間事業者が競う「官民競争入札」と、民間事業者同士が競う「民間競争入札」の二種類が規定されています。実際にどちらの競争入札をおこなうのかは、内閣総理大臣が、民間事業者等からの「要望」を受け、「要望」のあった事務を所管する主務大臣との協議を経て決定する「基本方針」で確定させることになっています。民間事業者等からの「要望」に基づいて「市場化テスト」の適否を個別業務ごとに検討する、この点がこれまでの民間委託との大きな違いです。

 ◇入札参加には一定の制約が

 「基本方針」で競争入札を実施するとされた「公共サービス」ごとに、行政機関の長が入札参加者資格や落札者にもとめる「量と質」、従来の実施に要した費用などを内容とする「実施要項」を作成し、公表することになります。なお、破産開始の決定を受けている者など、入札に参加できない「欠格事項」も定められています。仮に、民間企業が「公共サービス」の実施を落札した場合、その従業員も含めて「守秘義務」が課せられ、贈収賄などとかかわる「みなし公務員」とされるなど、「公共サービス」であるがゆえの規制も規定されていますが、「欠格事項」もその一つです。
 実施要領をもとに、入札に参加する事業者は、「公共サービス」の具体的な実施体制や実施方法、入札金額などを記述して「申し込み」をおこなうことになります。その入札をもとに落札者が決定されますが、その際には、金額だけでなく「実施の質」も加味されることになっています。

 ◇公務員の雇用への影響も想定

 入札者が決定されれば、「公共サービスの実施を委託」する契約が交わされることになります。契約違反は解除の理由になり、契約に基づいて実施されているか否かは、行政機関が「監督」をおこなうことも規定されています。
 仮に、当該「公共サービス」で働いていた職員が、民間事業者に「再就職」し、契約終了後に公務に復職できた場合の退職手当の通算や、配置転換にかかわる政府の「努力義務」なども規定されました。市場化テストを「円滑に進めるための措置」だとされています。しかし、職員の雇用の保障を規定したものではなく、「市場化テスト」で職を失う職員が生ずる危険性は、まったく緩和されていません。

 ◇強力な権限持つ第三者機関を設置

 以上のような「市場化テストの流れ」の中で、内閣府に設置される「官民競争入札等監視委員会」の関与(基本計画に関わる「議」や行政機関等への勧告など)が相当箇所で規定されています。今の規制改革・民間開放推進会議のように、「官から民へ」を強制する偏った審議会となれば、「リストラ委員会」になりかねません。この点が、法案のもっとも重大な問題です。

◆全国キャラバンスタート

 全労連「もうひとつの日本」闘争本部の全国縦断キャラバン行動が、3月17日、東京を皮切りにスタートしました。「『小さな政府』を許すな!」の声を地域から広げるために、全国各地で国公の仲間が奮闘しましょう。

 

◆核兵器のない平和で公正な世界へ

 被災52年2006年3.1ビキニデー

 2月27日から3月1日にかけ、2006年3.1ビキニ・デーの諸行動が静岡で行われ、地元静岡と全国各地から1800人(国公からは63人)が参加しました。
 2月28日に開催された日本原水協全国集会では、核兵器のない平和で公正な世界の実現をめざし、アメリカ、韓国、フィリピンの海外代表をまじえて「すみやかな核兵器の廃絶のために」の署名運動をはじめ、草の根運動を発展させる実りある討論・交流が行われ、固い連帯の絆がつくられました。
 3月1日、第五福竜丸で被災した故久保山愛吉さんの墓前に向けて、遺影を掲げ、平和と核兵器廃絶を誓い1500人が平和行進しました。
 

◆〈北から南から〉

 国公労連結成30周年記念事業 スポーツ部門の全国大会日程決定

 ◇大阪 公務の行政相談は大盛況!

 【大阪国公発】大阪公務共闘は2月25日、「くらしの何でも行政相談」を開催(写真上下とも)し、相談員・宣伝隊総勢30名が結集しました。
 宣伝隊は「何でも相談」の案内と、人間らしく生活できる「もう一つの日本」を訴えるビラを風船やティッシュとともに、2000枚配布しました。
 大阪国公、自治労連、大教組の連携で窓口は多岐にわたり、46件の相談がありました。「生活保護以下の年金水準はオカシイ」「保育料が高くて子供を預けられない」「会社がつぶれたが、生活保護の申請はどうすればよいのか」他にも相続や健康問題、未払い賃金など、生活と直結した相談があり、住民からの大きな反響がありました。
 ひき続き、大量宣伝や署名とともに、直接住民との対話する運動を継続して強めます。

 ◇千葉 公務・民間が地域に出る運動

 【千葉県国公発】千葉県国公はこの間、「安全・安心で人間らしく生活のできる日本へ」を合言葉に公務と民間が対話し、地域に打って出る運動をしようと意思統一。千葉駅前での宣伝行動などを実施し、「くらし安心署名」の重要性、「安全安心な日本に」と国民にアピールしました。
 12月21日は「国でやらなければならない仕事は何か?を考えるシンポジウム」を公務・民間が共同参加で開催。的場県国公事務局長から「構造改革の中で拡大する格差や規制緩和による国民生活悪化の問題点」を中心にした基調報告や、単組からも各職場と国民のかかわりで報告され、公務の役割が再確認されました。
 いま、地方議会要請行動や全労連キャラバンに奮闘中です。千葉県だけでなく、全国の働くすべての仲間が、官民の垣根なく奮闘することで「06春闘=勝利」の方程式ができると確信しています。

 ◇元気に霞が関一周パレード

 【国公一般発】民間の春闘統一回答日に合わせて3月15日、東京国公・霞国公・国公一般などは「霞が関総行動」の一環として、昼休み霞が関一周パレードを実施しました。
 スローガンは、「長時間・過密労働を是正し、サービス残業をなくせ!」の一本。春の知らせをひしひし感じる青空の下、過去最高の350人の本省庁職員が集まりました。
 超過勤務の実態告発や、賃上げ要求の訴えが続いた後、参加者はプラカードや横断幕を持ってシュプレヒコール&アピール。若い職員も多く、主催者が励まされる行動でした。

◆退職されるみなさんへメッセージ

 社会の発展のためにご一緒に!
  〈藤田忠弘さん 国公退職連会長、国公退職者9条の会代表委員〉

 退職の時期をお迎えになったみなさん、長年にわたるご活躍本当にご苦労さまでした。心からの敬意と祝意を表します。
 これまでの緊張と重責から解放されてホッとしておられる方、この国の先行きを考えて後ろ髪を引かれる思いの方など、みなさんの思いは一様ではないと思います。共通しているのは、今後の人生を、いままでとはひと味ちがう、価値あるものとして過ごしたいという思いではないでしょうか。
 何を価値あるものとみるかも人それぞれでしょうが、少なくとも、人類社会の発展にいささかでも寄与できれば、という思いは万人共通のものではないでしょうか。
 国公退職連は、そんなことをみなさんとともに考えていきたいと思っています。

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