国公労新聞 第1229号

◆「流れ」変える「攻め」のたたかいに

 国公労連第1次中央行動に650人

 昨年12月に閣議決定された「5年間5%公務員純減」などの「行政改革の重要方針」を土台にした「行政改革推進法案」や「市場化テスト法案」が国会に提出されようとする中で、国公労連は、公共サービスの商品化・後退を許さず組合員と家族の暮らしを守る2.10中央行動を展開。全国から650名が参加しました。

 「総人件費削減」などに反対する行革推進事務局前行動には、全労連各単産の仲間も組合旗を持って連帯参加。全労連の坂内事務局長は「小泉構造改革への国民批判が強まっている。安心・安全を求める『もうひとつの日本』をめざす運動を広げよう」と訴えました。
 人事院への要求行動では「賃下げ攻撃で地域経済が冷え込んでいる。今春闘で民間と共同を強める」(東北ブロック)など決意が出されました。 

◇キャラバン行動など組織の総力を

 続いて、「許すな!公共サービス商品化・怒りの大集会」を日比谷公会堂で開催。堀口委員長は、社会保険庁改革にふれ、「公務員全体に対する攻撃だ」と強調。小田川書記長は基調報告で「『流れ』を変える条件は広がっている。地域総行動、地方議会要請行動、全国キャラバン行動などに、組織の総力をあげ『小さな政府』反対の世論を広げよう」と呼びかけました。
 国会デモのあと、全国会議員に要請行動を展開。並行し、行革推進事務局、規制改革・民間開放推進会議、経済財政諮問会議、財務省、総務省、人事院へ要請・交渉を実施。独法労組の春闘決起の集会も行いました。


◆山口県国公 地域に打って出て確信に

「くらし安心署名」基軸に運動

 【山口県国公発】山口県国公は、政府による公務員攻撃、国民分断攻撃を跳ね返すため、地域に打って出る必要性を意思統一。署名、宣伝行動などで奮闘しています。
 「くらし安心署名」では、高教組や農協労、自治労連など県労連加盟組合を訪問し、署名への協力を訴えました。さらに、国や地方の公務員住宅へのビラ配布を実施。県国公幹事会の度に、署名を点検しています。2月だけで1600筆を越える署名が続々と寄せられ、仲間に大きな確信が生まれています。
 地方議会要請行動では、都市部の議会全会派を訪問。紹介議員の獲得、請願の提出と採択に向けて連絡調整中です。2月28日には林議長、小林事務局長を先頭に県議会各会派への要請行動を計画。意見書採択を訴えます。
 また、「憲法を守る共同センター」の作成した「憲法九条をまもろう」ポスターを300枚購入し、一人でも多くの組合員とその周りの人にポスターを見てもらおうと配布しています。
 山口県国公は、「くらし安心署名」を基軸に大きく構えて運動することが、組合員を励まし、世論を広げると確信しています。


◆統一要求書を提出

総人件費削減反対を強調

  国公労連は2月14日、政府と人事院に対し、「06年統一要求」「全労連統一要請書」を提出し、本格的な06春闘交渉がスタートしました。
 堀口委員長は、総人件費削減策に関して反対を表明し、「公務員労働者の権利や働くルールをないがしろにするもの。労働基本権確立こそ必要」と強調し、十分な交渉・協議を求めました。これを皮切りに、3月のヤマ場にむけて交渉を積み上げ、要求の前進をめざします。


◆許すな医療改悪・大増税

 2.9国民集会に1万4000人

 「許すな医療改悪・大増税!2.9国民集会」が2月9日、さいたまスーパーアリーナで開かれ、1万4000人が参加しました。
 集会は、医団連、中央社保協、全労連が主催。医団連代表委員で保団連会長の住江憲勇氏は主催者あいさつで、「医療大改悪、庶民大増税、憲法改悪、公務員削減を許せば、国民生活は壊滅する。圧倒的多数の個人、団体がもう一つの日本のあり方を求めて大団結することが大事」と訴えました。
 各地からの報告では、患者、医師、看護師、地方代表、業者、労働者など8人が、実態や運動の広がりを発言。集会アピールを拍手で確認しました。


◆男女ともに働きやすい職場へ

 「ディーセント・ワーク」という言葉を聞いたことがありますか。ILO(国際労働機関)が提唱しており、「まともな人間らしい労働」などと訳されています。「子どもに教育を受けさせ、家族を扶養することができ、30〜35年ぐらい働いたら、老後の生活を営めるだけの年金などがもらえるような労働のこと」という説明をする人もいます。
 「男女とも人間らしくはたらき、子育ても共同」で等々、男女平等の社会や職場づくりも、「ディーセント・ワーク」の具体化の一つです。
 「子育ては自己責任」という考え方や、「滅私奉公の働き方」とは対極にある「ディーセント・ワーク」を男女とも働きやすい職場づくりの立場から考えてみました。

◆男女共同参画社会めざす動き

◇次世代育成を可能とする社会の形成を

 昨年末、「2020年度までに、指導的地位に女性が占める割合が30%程度」との目標を確認する「男女共同参画基本計画」(第2次)が、男女共同参画会議から答申されました。
 「計画」は、男女共同参画を推進するためのポイントとして、(1)目標を掲げて、企業などでの積極的なとりくみを促す、(2)雇用分野における実質的な男女の均等をめざす、(3)次世代育成を可能とする社会の形成、などを掲げ、意識面での広報や啓発の重要性を強調しています。 

◇人事院も「採用・登用指針」を改定

 同時期に人事院は、「女性国家公務員の採用・登用の拡大に関する指針」を改定しました。この「指針」は、「『積極的改善措置』(数値目標等)により、女性国家公務員の採用・登用の拡大を図り、男女間の格差を計画的に解消」していくとしています。
 人事院は、「指針」改定とあわせた「採用試験の合格者に占める女性の割合の目標」を明らかにし、採用試験の合格者に占める女性の割合を、2010年度までに、「1種試験事務系区分30%」、「2種行政区分40%」をめざすとしました。各府省には、「指針」をふまえた「女性職員の採用・登用計画」の改定(06年度実施)が求められています。 

◇男女雇用機会均等法の改定も

 開会中の国会には、20年ぶりの男女雇用機会均等法「改正」法案が提出されることになっています。同法案は、先の「指針」など公務員制度にも大きな影響を与えてきました。ですから、法案でも論議されている「間接差別禁止」の内容などは、公務にも直接的に影響する内容です(ちなみに、12月27日に厚生労働省の審議会が明らかにしている「3点の間接差別禁止事項」の一つは、「昇進における転勤経験要件」です)。 

◇少子高齢化対策も労働条件課題

 05年4月1日に、次世代育成支援法が施行されました。この法律は、少子化対策の観点から、企業などに「次世代育成支援の環境整備」を求めたものです。各府省なども、この法律での「事業主」とされ、「行動計画」の策定が義務づけられました。
 最も早く、法施行前の04年4月に「育児に親しむ職員プログラム(職員みんなで支え合う育児)」を策定したのが厚生労働省です。
 プログラムでは、育児関連などの制度の周知を前提に、「子育てアドバイザー」「職場優先の環境の是正」、「父親の5日間以上の連続休暇を取得しやすい環境づくり」、「男性の育児休業の取得推進」、「(超勤縮減のために)『育児(19時)に帰ろうマイホーム』の具体化」などなど、まばゆいばかりの言葉≠ェ並んでいます。
 同様の「行動計画」は、各府省も策定し、その具体化を職員と社会に「公約」しています。 

◆公務の勤務時間めぐる動向 

◇共同参画実現へ長時間労働の是正を

 公務職場での男女共同参画実現の障害は、「長距離通勤、長時間過密労働、(転居をともなう)長距離転勤」の「三つの長」といわれます。育児や介護など家庭的責任をおう労働者にとって、この「三つの長」は、働き続けることができるかどうかの深刻な問題です。
 「三つの長」の一つ、長時間労働とかかわる公務の勤務時間問題が動き始めています。 

◇05年人事院報告では勤務時間の多様化が課題に

 人事院は、2005年8月の「公務員人事管理に関する報告」で、勤務時間管理の徹底とともに、勤務時間の弾力化・多様化の施策推進を表明しました。
 具体的には、(1)育児・介護をおこなう職員が常勤職員のまま短時間勤務することを認める「短時間勤務制」の導入(早期に成案・別途意見の申出)、(2)修学等の能力開発や社会貢献等の活動のため「自発的休業制度」の導入を検討、(3)勤務時間の弾力的な運用のため、基準・モデルを示し、勤務時間の割振り基準の法的整備を検討(別途意見の申出)、「事業場外労働のみなし労働時間制」相当の仕組みを検討、などがあげられています。 

◇当面の制度化課題は「短時間勤務制」

 「報告」は、「育児・介護のための短時間勤務制」のように、職員の選択の幅を広げる内容と、一般職員に関する「勤務時間の弾力的運用」のように、労働強化につながり、労働時間管理の自己責任化となる可能性を持つ内容と、「清濁あわせた」報告内容です。
 確認が必要なことは、「画一的、硬直的な勤務時間」から、育児・介護などに限定しているとはいえ、「生活との調和」を図る「個人の選択」の余地を拡大しようとしていることです。その点での当面する運動課題は、「短時間勤務制」の実現です。 

◆「両立支援制度」を活用しよう 

◇男女ともに進んできた「両立支援制度」

 「男女雇用機会均等法」(1985年)の成立以降、配偶者出産休暇の新設(85年)、育児休業法の施行(92年)、介護休暇の新設(94年)など、仕事と家庭責任の両立をめざす制度整備が図られてきました。
 最近でも、「次世代育成支援対策推進法」や「少子化社会対策基本法」が03年に公布されたことを受けて、育児をおこなう職員の仕事と育児の両立のための対策が強化されています。 

◇「両立支援制度」の内容

 現時点における仕事と家庭生活との両立支援制度を整理したものが表1です。
 内容は、「出産」に関するもの、「育児」に関するもの、「介護」に関するもの、「看護」に関するもの、と大きく四つに区分できます。
 出産に関しては、本人に対する「産前・産後休暇」だけでなく、男性職員に対する「配偶者出産休暇」が設けられています。
 育児に関しては、「育児休業」、「保育時間」、「男性職員の育児参加休暇」の他、「早出・遅出勤務」、「深夜勤務・超過勤務制限」が、介護に関しては、「介護休暇」の他、育児と同様に「早出・遅出勤務」、「深夜勤務・超過勤務制限」が、また、看護に関しては、「看護休暇」が設けられています。


 

◇実際は女性職員に家庭責任が集中

 制度には男女の区別はありませんが、取得の実態はとなると、家庭責任が女性職員に集中しているのが現実です。たとえば、育児休業の取得状況では、女性職員92.2%に対して、男性職員0・5%という「さみしい」状況です。
 いくら制度ができても、「眠った権利」では、ディーセント・ワークは実現しません。男女共同参画社会の実現や少子化対策が政策課題にもなっている今だからこそ、それを追い風にした職場のとりくみが必要です。そのとりくみの中核は「今ある制度の活用」です。 

◇「先を走る民間企業」からも学んで

 「大学生が選んだ就職先企業2006」で、「理系・女子」の人気ナンバーワンは資生堂です。同社は、CSR(企業の社会的責任)のとりくみでも、先行企業といわれています。
 「お客」、「取引先」、「株主」、「従業員」、「社会」とともにある企業をめざすとする同社の「行動規範」には、「私たちは、職場のすべての人たちが生きいきと働けるように、互いを思いやり、それぞれの考え方や立場を尊重します」と明記されています。その具体化として、表2のような育児・介護支援制度を具体化しています。

 

◇両立へとりくみ強化を

 仕事と育児・介護の両立をはかるためのとりくみ強化が求められている今、先行する民間企業にも学んだとりくみが大切になっています。
 そのとりくみは、公務を見る「国民の目」を変える一つの契機になるでしょう。


◆運動で攻撃跳ね返そう

 公務員の政治活動の自由を考える集会ひらく

 「公務員の政治活動の自由を考える2.3集会」(主催=全労連、国公労連、自治労連、全教)が2月3日、東京都内で開催され、280人が参加しました。
 開会あいさつに立った全労連の熊谷金道議長は「『戦争する国』づくりがすすめられるもとで、憲法改悪策動や公務員攻撃が強まっている。公務員労働者の権利確立のたたかいを今こそ強化しよう」と述べました。
 続いて、立命館大学法科大学院の大久保史郎教授が記念講演。「公務員の政治活動を刑事罰で禁止しているのは世界のなかで日本だけ。日本では、公務員だから政治的権利は制限されても仕方ないとの錯覚がある。個人としてしっかりとした政治的見解をもつ公務員こそ、国民のために仕事ができる」と主張し、「公務員のあるべき姿、政治的権利と自由の重要性を議論してほしい」と問題提起しました。
 特別報告として、「国公法弾圧堀越事件」の石崎和彦主任弁護人が、相次ぐ言論弾圧事件も含め、公安警察が戦前の特高警察の役割を発揮する危険性を指摘しました。  

◇労働基本権回復の運動とも一体で

 次に、国公労連、自治労連、全教が決意表明を行いました。国公労連の小田川義和書記長は、「いまの社会保険庁『解体』にともない職員『整理解雇』を迫る動きもある。政治活動が制限されるもとでは、公務員は自らの雇用も労働条件も守れない。労働基本権回復とも一体で、裁判の勝利、公務員の政治的自由の拡大のとりくみと『小さな政府』に反対する運動と結合して、たたかう」と述べました。
 最後に、国公法弾圧事件をたたかっている原告が「3月中の結審に向けて全力でたたかう」(堀越明男さん)、「3月24日が初公判なのでご支援をお願いします」(宇治橋眞一さん)と訴え、激励の拍手で奮闘を誓いました。


◆国公労連、受講者1000人突破!

「憲法特別コース」随時受付ています

 通信制の学校である勤労者通信大学は、2月から「憲法特別コース」を開講しました。国公労連は、2月22日現在で1045人が受講を申し込んでいます。

 目標達成した単組は、全法務126人、全運輸169人、全建労116人、全港建115人、全司法102人、全通信39人です。全港建は非常勤職員が積極的に受講しています。地方別では、北海道86人、大阪72人、香川71人、福岡70人、兵庫67人となっています。
 お互いに励まし合いながら、集団受講を企画する県国公も続々と動き始めています。大阪国公は3月2日、兵庫県国公は3月9日に「憲法特別コース」開講式を予定。各単組・地区国公からの積極的な参加を呼びかけています。
 「9条の会」づくりとあわせた学習運動が広がっています。「憲法特別コース」の申し込みは、随時受付けており、単組・県国公の各級機関で、自ら立てた目標達成のため、受講者組織が引き続き求められています。


◆国公労連青年協 06春闘 拡大代表委員会

初任給改善と定員増を

  国公労連青年協は2月4日から2日間、東京都内で2005年度拡大代表委員会を開催し、9単組2県国公から、延べ43名が参加しました。
 討論では、「いまの状況で賃上げできなければ今後はできない。最近の新採は賃上げ経験がなく、賃金に対する不満は高い」(全運輸)、「東京でOBや現職が集まり司法9条の会を結成」(全司法)、「公務員はいい給与で休みが多いと誤解している民間の人が多く、実態を知らせなければ」(全港建)、「横のつながりを青年自身でつくり、県国公青年協結成に向けて奮闘する」(沖縄)など発言が出されました。
 06春闘勝利に向け、(1)初任給改善と定員増を勝ちとる、(2)最低限の生活の切り捨て許さず、雇用不安改善を、(3)憲法改悪反対のとりくみ、を三本柱に運動をすすめていくことを決定しました。


◆国公労連女性協 06春闘 拡大代表委員会

地域から安心・安全守る運動を

 女性協06春闘拡大代表委員会は、2月4日〜5日、14単組3ブロック21県国公、52名の参加で開催しました。
 昨年10月末に人事院が提案した「勤務時間の見直し」にかかわって多くの意見が出され、全国から人事院に「生の声」を伝えることを確認し合いました。各単組の支部女性部が休部・廃部になり、運動面でも問題が出ている、女性も新人に組合加入の働きかけが必要、国公労連が提起したクォーター制について単組で議論されているのか、などの意見も出されました。
 いま、公務員の総人件費削減、「公共サービスの商品化」が進められ、働き方はますます厳しくなっていますが、憲法を改悪させないたたかいとあわせて、職場で一人ひとりが、学習と運動を強め、「小さな政府」に反対し、国民の権利、安心・安全を守る運動を地域の仲間と広げることを確認しました。


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