国公労新聞 第1227号

◆つくろう!もうひとつの日本

 「安心・平等・平和」 06春闘新春宣伝

 全労連は、「みんなでつくろう、もうひとつの日本―働く仲間が元気の出る社会を」をスローガンに、06春闘をたたかうとしています。12月7日に発足した全労連「もうひとつの日本闘争本部」の事務局も、新年から本格稼働しました。
 全労連と純中立懇でつくる国民春闘は1月6日朝、06春闘勝利に向けた新春宣伝を全国一斉に実施しました。

 ◇「小さな政府」は責任放棄
   民間と公務一体で総反撃〈大阪〉

 【大阪国公発】大阪労連は1月6日、「新春一斉宣伝行動」を府下50カ所以上で展開。大阪国公はその運動に結集し、淀屋橋・天満橋・谷町4丁目の3カ所で早朝宣伝行動を行いました。
 この日、大阪も厳しい寒波に襲われました。行動に参加した22名の仲間は、かじかむ手で新年のあいさつとともに、小泉政権の「小さな政府」の正体を暴露するビラを出勤する市民に1枚ずつ手渡しました。
 マイクを握った全気象の宮崎さんは「公務の使命は、差別をせずに、安全・安心、いのちと財産を守ること。憲法に保障された人権の実現にこそある。『小さな政府』は、国の責任を投げ捨てることだ」と訴えました。

 ◇大判ビラや行政相談、自治体請願とりくむ

 大阪労連では、民間と公務の仲間が一体となった運動で「小さな政府」に反撃するため、「公務リストラ闘争本部」を立ち上げています。多くの労働者・市民に「小さな政府」はくらしのリストラであることを広げるために、大判ビラやタウンミーティング、くらしの「なんでも行政相談」自治体請願などのとりくみをすすめていきます。
 大阪国公は、「四の五のいう前に、宣伝あるのみ」と意志固めをしています。公務労働者の役割を発揮し、ひき続き国公労連の基本方針である「二つの責任、ひとつの任務」を実践します。

 ◇福祉・医療・教育切り捨てノー
  「コンパクト道庁」反対を訴える

 【北海道国公発】北海道国公は1月6日、気温マイナス6度のなか、新春宣伝行動を道庁前で実施しました。
 高橋知事は11月24日、道議会に「官から民への流れを加速」「コンパクト道庁を構築」する道庁改革を提案。その内容は、道職員給与の10%削減や、大企業のビジネスチャンスのための「公務・公共サービス」を切り捨て、教育や医療には自己負担を徹底、「儲けの邪魔」になる規制はとり払う、という手法です。
 弱肉強食の寒々とした「競争社会」か、人々が支えあって生きる「協力社会」か…。「この国と北海道のかたち」を一緒になって考え、平和で安心・安全な、人に優しい社会の実現をめざして、北の国から声を上げようと訴えました。


◆「小さな政府」反対の大闘争へ

 「もうひとつの日本」闘争本部、専従体制スタート

 全労連「もうひとつの日本」闘争本部は、「安全・安心破壊、格差拡大、地方切り捨て」の3点をキーワードに、全国的・統一的な運動を展開するとしています。

◇国公労連から専従 川村中執を派遣

  1月11日、第2回事務局会議を開催し、当面の行動成功に向けたとりくみを確認し、事務局専従体制をスタートさせました。
 専従は、副本部長の西川征矢氏(全労連)、常駐事務局の、川村好伸氏(国公労連)、山口毅氏(自治労連)、新堰義昭氏(全教)です。
 闘争本部の事務局は、全労連会館4階に置かれることになりました。

◇シンポ、宣伝物など多彩な企画を準備

 1月26日の「国民の安心と耐震強度偽装事件」シンポジウムの開催、全戸配布チラシの作成、宣伝グッズ、「国民懇談会」の準備など、国民的な運動に発展させるための多彩な企画が次々と準備されています。
 また、「小さな政府」による国民犠牲を許さない世論をつくるために、06春闘では「全国縦断キャラバン行動」を3月中旬〜4月14日にとりくみます。なお、2月中下旬の「地域総行動ゾーン」を念頭に、「網の目キャラバン行動」を、各県労連がとりくむよう呼びかけています。


◆「小さな政府」=公務員削減狙う政府「行革重要方針」

  12月24日、政府は「行政改革の重要方針」(図表1)を閣議決定しました。この閣議決定をもとに、国の事務事業の削減の「お目付役」=「行政減量・効率化有識者会議」が設置し、3月までには「行政改革推進法案(仮称)」を国会に提出し、公務員削減や公務員賃金抑制を「確実なもの」にしようとしています。また、通常国会に「市場化テスト法案」を提出するとしています。
 「小さな政府」=公務員削減という「嘘とごまかし」を明らかにし、「小さな政府」が大きな国民負担や弱肉強食の格差社会につながっていることを世論に訴えるとりくみは、まったなしの状況です。

 

◆「歳出削減」口実に5%純減

 ◇国の財政負担軽減が目的

 「重要方針」は、(1)中小企業金融公庫や国民生活金融公庫などの政府系金融機関を再編、統合や、公共事業関連の五つの特別会計の統合などのように、郵政民営化による財政投融資の変化も反映しつつ、国の財政支出の抑制につなげようとするもの、(2)総人件費削減や市場化テストなどの民間開放、社会保険庁「改革」など、人減らし・リストラ「合理化」を内容とするもの、(3)推進体制の整備などのように、行政改革を進める仕組みに関するもの、(4)その他(国有財産売却など)に大別されます(特別会計改革で独立行政法人化が強調されているような重なりはあります)。
 たとえば、労働保険特会の見直しにかかわって「失業給付における国庫負担の廃止」に言及し、国民年金特会では事務費に保険料をあてる「恒久措置」を打ち出すなど、「重要方針」では社会保障関連での国の歳出削減の思惑が随所に見受けられるのも特徴です。 

◇「重要方針」の中心に国家公務員5%純減

 国家公務員での具体化を突破口に、地方公務員や独法など公的部門全体の人減らし、賃下げを強行しようというのが「総人件費削減の実行計画」です。計画の各府省の具体化は、06年6月頃までにおこなうとし、今回は、その大枠を明らかにしています。
 (1)郵政公社を除く国家公務員(68.7万人)について、「5年間で5%純減」する、(2)5%の内の1.5%は毎年の定員査定で、3.5%は地方支分部局の見直しや市場化テストなどの「事務事業の削減」でおこなう、(3)独立行政法人などでは「5年間5%以上の人件費削減」のため運営費交付金などを抑制する、としています。また地方公務員についても大幅な純減を求めています(図表2)。
 人減らしだけでは人件費削減が「達成できない」として、公務員賃金の水準引き下げを迫り、そのために官民比較方法の「見直し」を人事院に要請しています。

◇06年度から人減らしを具体化

 国と地方の公務員の人件費総額は約37兆円(約400万人)です。政府の経済財政諮問会議では、この人件費総額を対GDP比で半減させることも議論されました。
 これらの議論経過も受けておこなわれた06年度定員査定では、「1455人(0.44%)の純減」を強行しました。定員査定では、(1)治安(刑務所、入管など)で1819人増、(2)徴税強化で1030人増などが重視される一方で、地方支分部局(地方出先機関)や社会保険庁などの公共サービス実施部門での削減が従来以上に大きくなっています。
 なお、マスコミ報道などによれば、06年1月12日時点で、「4.6%以上の純減」計画を15の道府県が年度内に策定しようとしています。その中では、一般行政職の30%削減(北海道)、教員などを含む総定員の11%削減(和歌山)など、「人減らし競争」ともいえる動きも明らかになっています。その点では、地方からの共同行動がとても大切になっています。

◆市場化テストは5%純減の手段

◇市場化テスト法案を06年通常国会に提出

 法案の骨子や、「市場化テスト」の対象業務の具体化などは、「規制改革・民間開放の推進に関する第2次答申」で言及されています(図表3)。
 「市場化テスト」や民間委託などの民業開放で、公共サービスの実施を民間企業に切り売りし、公務員の純減につなげることが、当面のねらいです。
 たとえば、「市場化テスト」の本格実施を改革の一環に置いている社会保険庁では、国民年金保険料の収納業務の市場化テストで、「正規職員800〜900名の純減」(06年度以降7年間の合計)が見込まれています。

◇見逃せない雇用問題

 「市場化テスト」などの民間開放や地方支分部局の統廃合などにより「5%純減」を達成するという「実行計画」では、職員の広域配転や他府省への「転籍(配置転換)」などが具体の問題として論議されはじめています。 

◇社保庁改革で選別採用の圧力

 また、社会保険庁改革では、分割して設立される「公法人(政管健保業務)」や「あらたな行政機関(年金業務)」への採用を「選別」するよう自民党が圧力をかけています(図表4)。
 法のルールを無視し、労働者の犠牲をともなうリストラには、「国鉄の二の舞は許さない」との重大な決意をもち、国公労連の組織をあげてたたかう「意志固め」も必要になっています。





◆国民新党の亀井久興幹事長(衆院議員)語る

 「小さな政府」でなく国民生活守る行政が必要

 国民新党(綿貫民輔代表)の亀井久興幹事長(衆議院議員)と、郵産労・自治労連・全教・国公労連の各書記長が、昨年12月7日、「小さな政府」をめぐっての懇談をおこないました。懇談での亀井幹事長の発言要旨を紹介します。(※発言要旨は郵産労教宣部がまとめたものです) 

◇国民にとって必要な仕事は「官」が

 亀井久興幹事長 国民が行政に望んでいるのは決して「小さな政府」ではない。「官から民へ」というが、国民生活を守るために必要な仕事はある。採算が合わないが、国民にとって必要な仕事は「官」がやらなければならない。したがって、「官」と「民」との役割分担を明確にすることが重要なのに、その整理をしないで掛け声だけでやっているのが小泉政治だ。 

◇財務省・米国主導の「勝ち組」のための小泉政治

 小泉政治は、財務省とアメリカがえがく流れに乗っているだけ。国と地方の関係で、いまのやり方を押し進めていけば、不採算地域はいらないということになる。
 経済効率中心で国の政治をやってはならない。どのような国をつくり、どのような国民生活を実現しようとするのかという一つの国家ビジョンを明らかにし、それを実現するために経済が必要なのに、その順序がまったく逆だ。
 「勝ち組・負け組」の峻別社会、アメリカ社会がいい社会だと竹中さんは思っている。アメリカ社会が本当にいい社会かというと、アメリカの所得の9割以上を1%の人が持っているのがアメリカ社会。勝ち組の人にとってはこんなによい社会はない。そういう国のまねを日本はしてはならない。 

◇弱肉強食でなく共生社会を

 2001年の経済財政運営に関する基本方針、いわゆる骨太方針をまとめた時に、経済財政の方針なのに国土政策に触れ、「均衡ある国づくりは間違い」で、その理念を変えなければならないという。
 私は、橋本内閣の時に国土庁長官をやり、新しい21世紀の国土のグランドデザインを決めた責任者。
 私の言った均衡ある国づくりとは、全国どこでも同じにするというのではなく、これだけ広い国土をもっと満遍なく偏らずにバランスよく使いましょうということで、自然と共生しながら住みやすい地域社会を作り、地域文化が根づく社会だ。
 小さな政府を押し進めるのではなく、日本の伝統・文化を大切にし、弱肉強食ではなく共生の理念を大事にしたあたたかい社会が大切だ。



◆「国公岐阜・9条の会」誕生

 48人が呼びかけ「意思表示」する

 昨年の12月23日、「国公岐阜・9条の会」が発足しました。
 岐阜県内の国家公務員とその退職者48人が「呼びかけ人」になり、代表世話人には岐阜大学(憲法学)の近藤真氏、事務局長には大森徹治氏(全建労)が確認されました。今後、地域の「九条の会」などと連帯・交流を深めることとしています。「国公岐阜・9条の会」事務局長・大森徹治氏からの投稿を紹介します。

 大雪の降りしきる12月23日。「戦争する国」にしようとする改憲の動きに危機感を持ち、組合員、管理職や退職者など県内で働く国公の仲間が岐阜市内に駆けつけました。
 私たちは、職場・地域で憲法を生かし、平和で豊かな国民生活を実現していくために、「この思いを一人でひそかに持つだけではなく、しっかりと意思表示をしなければいけない」「同じように思っている人たちと手を組んで、さらに広め、深めなければならない」と考え、「国公岐阜・九条の会」を発足させました。
 今年は日本国憲法が公布されてから60年にあたります。
 この時期に、大江健三郎さんら9人が呼びかけ人となって立ち上げた「九条の会」に歩調を合わせた組織を、また一つ増やすことができたことは本当に意義のあることだと思います。 

◇憲法尊重擁護義務を確認して

 私たち国家公務員は、憲法尊重擁護の義務(憲法99条)を負っています。それは、私たちが国民全体の奉仕者であることの裏付けでもあります。
 つまり、憲法とは「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうに(憲法前文)」するために国民自らが定めたものであり、国民が政府の過ちを止めることができるようにした日本の最高法規なのです。
 平和学を教える北欧出身のヨハン・ガルトゥング博士は、戦争がないことは消極的な平和であり、あらゆる暴力をなくすことが積極的な平和である、と唱えています。この積極的な平和こそ日本国憲法の理念ではないでしょうか。
 人々を傷つけない。この世界の人々に誇れる日本国憲法。その憲法を守ることは日本国民としての生きざまにかかわることです。
 みなさん、ともに手をつなぎ、職場・県国公「9条の会」を広げましょう。

◆「憲法を守れ」の大きなうねりを

 勤通大「憲法特別コース」を受講しよう

  通信制の学校である勤労者通信大学は、2月から「憲法特別コース」を開講します。
 これは日本国憲法の先駆性、改憲のねらい、憲法をいかす国づくりなどを、テキストとテスト添削で体系的に学ぶものです。全国の職場に多くの「語り部」をつくり、「憲法を守れ!」の大きなうねりをつくることを目的にしています。
 国公労連は、「憲法特別コース」受講者1000人を目標に、多くの組合員の受講を呼びかけています。 

◇全職場に呼びかけ10分会・47人が受講〈全運輸北海支部執行委員長〉

 私は8月6日生まれ! あらためて労働組合を通じて、平和の尊さを伝えていきたいと思っています。
 いま日本は、世界有数の軍事費を使い、「国際貢献」という名の下で戦争の道に進もうとしています。そのなかで唯一の歯止めである憲法9条を、「改正」しようとしているのです。
 全運輸北海支部は、分会長会議で「恒久の平和を祈念し、基本的人権を侵すことのできない永久の権利」を保障している日本国憲法をあらためて学習するために、全職場で勤通大の「憲法特別コース」を受講しようと提案しました。その結果、北海支部だけで10分会・47人の受講となりました。
 今後は、受講者以外の組合員も含めた「憲法学習会」を積極的に開催し、支部全体で確信を持って、改憲反対運動を展開していきます。 

◇憲法改悪反対の運動につなげよう〈全法務近畿地本書記長〉

 みなさん!憲法が大変危ない状況になっています。
 自民党が昨年11月に発表した「新憲法草案」は、単なる現行憲法「改正」ではなく、日本を「戦争をする国・弱肉強食の競争国家」にしようとする内容です。このまま憲法「改正」を許してしまえば、この国の形が大きく変わってしまいます。
 今こそ、憲法のことを学び、改憲の狙いがどこにあるのかを知る必要があるのではないでしょうか。
 現在、私たち全法務近畿地本内では、勤労者通信大学「憲法特別コース」を15名の仲間が受講する予定にしています。ともに学習し、「憲法改悪反対」の運動につなげていきましょう


◆読者のひろば

  ◇厳しいときこそ笑顔で元気に!(全法務長崎支部の仲間から)
 定数の削減、給与の改悪、公務の民間開放など、将来に対する不安はたくさんありますが、こういう厳しいときこそ、笑顔で元気いっぱい、自分の職務にとりくむ決意を固めています。

 ◇ニュースで憲法意識アンケートを実施(全厚生神戸支部の仲間から)
 明石地区国公の事務局長をしていますが、次回、ニュースで「組合員の憲法意識」についての、アンケートを実施する予定です。
 99名の組合員のすべの方から回答をいただけるようにがんばりたいと思います。
 なお、回答者には、「平和憲法」の携帯クリーナー進呈予定!

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