国公労新聞 第1210号

●職場と生活破壊許すな
  5.20行動スタートに、夏季闘争全力を

 国公労連は5月20日、賃下げとなる給与構造「見直し」や、総人件費抑制などの公務員攻撃に対し、人事院や政府を追及する中央行動を実施。「許すな憲法改悪!守ろう国民生活 5.20国会包囲国民大行動」が国会前や霞が関で展開され、1万人(国公労連は780人)が結集しました。緊迫した情勢のもと、夏季闘争がスタートします。

 冒頭、国公労連は「05年夏季闘争意思統一集会」を日比谷野外音楽堂で開催。小田川書記長の情勢報告を受けて全厚生、全法務、全通信、東北・関東ブロック国公から職場実態をもとにした決意表明が行われました。
 この集会を皮切りに、内閣府・財務省前要求行動、厚生労働省・人事院前要求行動、「許すな憲法改悪!守ろう生活」決起集会を展開しました。
 その後、悪政に対する怒りと切実な要求をシュプレヒコールに乗せ、国会デモ行進。さらに、国公労連としてとりくんだ憲法「改正」反対署名の11万5千筆を提出、衆参の憲法調査会委員への議員要請と、郵政民営化反対署名の提出・紹介議員獲得に向けた、国会議員要請など終日の行動を実施しました。

 ◇改憲反対と公共サービス商品化反対を国民に訴えよう

 賃金を切り下げ、定員も純減し、公務の民間開放・民営化を迫る「骨太方針2005」の決定を一月後に控え、職場と行政、生活破壊に反対する国公労働者の要求と意思を政府に突きつけることが求められています。
 そのたたかいを基盤に夏季闘争では、生活保護基準との関係も含めて攻めのたたかいとなっている最賃闘争と、賃下げとなる給与構造見直し反対を中心課題にした人勧闘争とを結合し、官民一体でとりくみをめざします。

 ◇「戦争をする国」治安国家へ転換

 「国から地方へ」のスローガンの本音は、国の借金を地方に押しつけ、地域間格差を拡大すること。「官から民へ」は、国民共同の利益=公共の利益を国益といいかえて「戦争をする国」、治安国家への転換の目的をもっています。いずれも、「この国のかたち」改革そのものです。
 給与構造見直しなどの産別課題と、構造改革反対の政治課題が結びついていることをくり返し確認し、改憲反対や公共サービス商品化反対のとりくみを夏季闘争でも重視します。



●日本経団連や各政党に要請

 国公労連は5月20日、日本経団連が提言した「さらなる行政改革の推進に向けて〜国家公務員制度改革を中心に」に対する当該組合としての意見を表明し、日本経団連に政策課題で論議を深める場の設置を要請しました。
 続いて民主党、社会民主党、新社会党、共産党(5月24日)との要請・懇談を実施。「市場化テスト」など公務の民間開放、減量化に反対と、職場や行政の現状を訴えました。



●目玉は総人件費削減
  「骨太方針2005」骨組み〜人減らしも賃下げも

 5月24日に開催された経済財政諮問会議では、「骨太方針2005」の骨格論議がおこなわれました。特に焦点になったのが、「小さくて効率的な政府をつくる」という課題での政府のとりくみ「強化」です。

 ◇人勧の扱いにも「脅し」で迫る

 具体の課題として、(1)郵政民営化などで「資金の流れを(民に)変える」、(2)市場化テストなどによって「(民に)仕事の流れを変える」、(3)公務員の総人件費削減などで「人の配置を変える」の3点が強調されています。
 この内「総人件費削減」には、民間議員が詳細な「意見」を提出し、「給与単価と定員の両面」からの削減を求め、(1)定員「純減目標」の設定、(2)地方の公務員給与の地域民間企業への準拠の徹底、(3)独法、国立大学法人等での運営費交付金の給与部分の見直し、などを迫っています。
 秋までに、「総人件費改革の基本指針」をとりまとめることも「提起」し、05年人事院勧告や「5年間10%の定員削減計画」が不十分なら、経済財政諮問会議が「(公務員人件費に)介入」するとの脅しまで盛り込んでいます。
 また、人事院勧告の取り扱いにかかわって、「財政状況も十分勘案」した取り扱い決定を政府に迫っています。1982年の「人勧凍結」前夜を彷彿させる文言です。

 ◇郵政民営化とともに反撃を

 郵政民営化に続く小泉「構造改革」の目玉は、公務員人件費削減として、「人減らしも賃下げも」という理不尽な攻撃を強める経済財政諮問会議への反撃が重要になっています。


●1人の賃下げも許さない
  〜公務員の生活破壊の給与構造改悪反対

◆本俸一律5%引き下げの暴挙

 ◇7%以上の賃下げも

 人事院による「給与構造見直し」の重要なねらいは、地域別民間賃金水準の反映にあります。そのため俸給表水準を一律に5%下げた上で、従来の調整手当を地域手当に再編し、3〜18%の6段階の支給区分で従来以上の思い切った地域間配分の見直しを行おうとしています(表1、図1参照)。




 俸給引き下げと地域手当の個々の職員への具体的影響は、やや複雑ですが、簡略化すると図2のようになり、地方に勤務する中高年齢者への影響が甚大です。
 実際には、このほかに、広域異動手当(転勤手当)の適用の有無や現在の調整手当支給水準の変動(後述するように現調整手当の支給区分がそのまま地域手当にも踏襲されるとは限らない)による賃金変動も加わり、賃下げ幅が7%以上になる職員が生ずる危険性があります。

 ◇中高年層に打撃

 俸給水準の見直しの内容は、一律5%程度の引き下げではなく、年齢段階や級・号俸の違いで大きな差が生じます。
 具体的には、30歳代半ばの職員が適用される号俸を起点にして、それより高い号俸は5%を上回る最高7%程度まで引き下げるとしています。
 他方、現行1〜2級、3級の前半号俸の俸給水準は現状維持としています。
 大幅な年齢間給与配分の見直しであり、中高年層の士気や、退職金を含めた生涯給与への影響も大きくなってしまいます。

 ◇0%地域へのしわ寄せ大の地域手当

 新設される地域手当は、事実上現在の調整手当の考え方を引き継ぐものです。ただし、次のような大きな違いがあります。
調整手当は民間賃金・物価・生計費が「特に高い」地域がその支給要件ですが、地域手当は民間賃金が「高い」地域が基本要件となります。
調整手当は全国平均=100とした民間賃金等の指標が101.5以上あることが指定地域となるための最低基準でしたが、地域手当では民賃指標が96.5以上に引き下げされます(基礎資料は「賃金センサス」)。
支給率は従来の3、6、10、12%の4段階に15、18%を加えた6段階。現在調整手当が非支給地域の一部にも拡大されます(ただし、俸給が5%程度下げられるため、6%地域に指定されても、給与はほぼ現状水準にとどまります)。
 町村を最初から排除し、市をランク付けするような手法は、結果として0%地域へのシワ寄せを大きくしてしまいます。

 ◇現支給地も危険

 地域手当は、今回新たに「賃金センサス」の特別集計(直近3年間)に基づく指標の洗い直しが行われます。その結果、現調整手当の大幅な見直しが必至です。従来の調整手当地域でもその区分や水準が保障されるわけではありません。というのは、前回の調整手当見直しでは、賃金指標が低くても(100を下回る地域も多い)暫定的に従来の手当を支給したり、「1段落とし」に留めた地域もあるからです(表2参照)。



 調整手当見直しによる「賃下げの加算」などとんでもありません。
 本来、概ね10年で見直すとした調整手当見直しのルールを無視する人事院のやり方も含め、追及強化が必要です。


 ◇広域異動手当とは?

 異動の多い職員と異動が少ない職員を給与・処遇上区別する方策として、広域異動手当を新設するとしています。転居を伴う異動者を対象に、3〜6%程度の手当で、俸給の減額分を補うというのです。
 総合職・一般職の区分や、地域限定社員、支店・工場の分社・子会社化など、民間では差別的な賃金体系を広げています。異動や仕事に着目した人事院の措置案は、形こそちがえ、このような問題の多い民間の動向に迎合するものです。

◆「実績」反映の「査定昇給」導入

 ◇現行の号俸を4分割

 これまでの特別昇給と普通昇給を廃止し、勤務成績を反映した「査定昇給」に切り替えるとしています。そのために現行の号俸を4分割するというのです。
 具体的には、職員を初任層、中間層及び管理職層に区分し、それぞれの区分毎に人事院が勤務成績に応じた昇給号俸数及び分布率を設定します(図3参照)。管理職層については、「標準」の場合昇給号俸数を4/4号俸未満に抑制するとしています。
 なお、昇給の勤務成績判定期間を1月1日から12月31日とし、昇給時期を年1回、1月1日に統一するとしています。


 勤勉手当については、「標準」の成績区分の成績率を現行の一般職員70/100から65/100に引き下げるとしています。それに伴う原資を「特に優秀」「優秀」の成績区分の分布率に振り分けるとしています(図4参照)。大部分の「標準」職員は5/100引き下げられ、少数の「特に優秀」「優秀」な職員が引き上がることになります。しかも、その分布割合の基準は、人事院が設定するとしています。


 なお、懲戒処分を受けた職員等の「標準未満」の成績区分の成績率も引き下げられようとしています。
 全職員から原資をかき集めて、一時金に差をつけることは大問題です。

 ◇勤評で給与差をつける?

 人事院は、査定昇給の導入や勤勉手当に反映する「実績」は、現行の勤務評定で「評価」するとしています。評価制度が未確立なのに、「成績主義」を強化することは容認できません。
 勤務評定に問題があるから「新しい評価」の仕組みが必要、と言っていたのは人事院です。ご都合主義と言える人事院の豹変も許せません。


◆全組合員の怒り結集を

 国公労連は、最賃闘争とも結合して、賃下げとなる「給与構造見直し」反対を中心課題に人事院勧告にむけて夏期闘争を強化します。
 人事院が狙う「給与構造見直し」は、大多数の職員が賃金引き下げとなる給与制度の見直しです。
 こうした「給与構造見直し」の具体的な内容を職場で学習し、仲間の怒りを結集してたたかいます。

 ◇全組合員の署名・ハガキ、全県集会、人事院包囲へ

 職場からの具体的な行動としては、現在とりくんでいる「給与構造見直し反対署名」に加えて、6月13日から7月10日まで、全組合員による人事院総裁宛「自筆要請署名」のとりくみを展開します。
 また、「給与構造見直し」が退職手当にも影響を及ぼすことから、退職手当水準の維持を求める「総務大臣宛ジャンボハガキ」行動を展開します。
 各県国公は6月24日から7月25日の間に「勧告期闘争意思統一集会」を開催し、その意思統一を踏まえて、ブロック国公は、6月24日を中心に人事院地方事務局への要求提出を配置するとともに、公務関連労働者や民間労働者にも呼びかけ、7月上中旬に人事院地方事務局包囲行動を実施します。

 ◇7月26日の中央行動へ最大規模の結集を

 こうした職場・地方からのたたかいを背景に、国公労連は6月24日と7月26日に中央行動を配置し交渉での追い上げをめざします。「一人の賃下げも許さない」という要求に執念をもち、たたかいを進めます。



●組織拡大で職場を変えよう!

◆非常勤職員に加入呼びかけ

 5月18日、大阪で「総がかり作戦」と銘打たれた全労連の組織拡大行動が行われ、国公労連の山ア中執と全労連オルグの浅尾氏(国公一般書記次長)が終日奮闘しました。
 国公近畿ブロックと大阪国公の計画に基づき、山ア中執は派遣社員向けのリーフ宣伝に、一方、浅尾オルグは全税関大阪支部の当局要請に同行後、全港建大阪支部主催の非常勤職員向け組合説明会に参加しました。

 ◇「組合に入り労働条件改善しよう」

 昼休みを利用した説明会には非常勤職員全員が参加。国公一般の浅尾オルグは、非常勤職員の悩みやトラブルを紹介し、「組合に入ってともに労働条件を改善しよう」と呼びかけました。山下近ブロ事務局長が職場の様子を聞くと、「(日給制なので)連休後の給料は、ちょっとつらかった」「他の職場を知りたい」「資料をしっかり読みたい」などの意見が出ました。
 午後は、単組の代表者で組織問題を率直に議論しました。大阪国労会館で行われた集約集会では「今後は、国公独自で組織拡大作戦を設定しても面白い」との感想も出され、今後の活動に弾みがつく一日となりました。
※総がかり作戦とは: 全労連加盟の単産が、未組織の職場訪問や組合説明会などにとりくむ統一行動日を設定し、総出で組織拡大に奮闘する行動。今回は、昨年11月の千葉に続いて2回目です。

◆全医労「よい医療実現」訴える〜加入者1640人突破

 【全医労発】
 全医労は3〜5月を「月間」に設定し、組織拡大にとりくみました。5月15日現在、新入職員1491人と未加入者149人をあわせ、1640人を迎え入れました。
 組合説明会では、団体交渉による要求実現、医療事故問題やサービス残業問題での組合活動、共済会加入のメリットなどを紹介し、「組合に入って、よい医療・看護を実現しよう」と訴えてきました。各支部では、歓迎会はもちろんのこと、給与明細の学習会やボウリング大会、バスツアーなども実施されました。
 引き続き、未加入者全員を対象に再度加入を呼びかけ、7月の全国大会を増勢で迎えようと奮闘しています。



トップページへ 国公労新聞へ