国公労新聞 第1200号

●憲法と「公共サービス商品化」反対運動を結合し、春闘の成功を
  〈第121回中央委員会〉春闘統一要求を決定

 国公労連は1月26日、第121回中央委員会を東京都内で開催しました。05春闘方針の行動補強と、平均1万2000円(3.1%)引き上げなどの春闘統一要求を満場一致で採択しました。

 冒頭、堀口士郎委員長はあいさつで、改憲をめぐる動きについてふれ、「戦争する国づくり、財界の利益追求むき出しの弱肉強食の国づくりが狙われている。憲法を国民生活に具体化する運動を進めて反撃を」と強調しました。
 つづいて、小田川義和書記長が、統一要求、05春闘をめぐる情勢と行動の補強を提案。(1)改憲策動を許さないたたかい、(2)介護保険制度改悪や定率減税廃止反対のたたかい、(3)「公共サービスの商品化反対」のとりくみ、(4)賃下げとなる給与構造「見直し」に反対する運動、などの重点課題でのとりくみ強化を訴えました。

◇「改憲反対」署名追い上げを
 具体的には、「憲法の語り部」組織運動、自らの仕事と結びつけた「改憲反対署名」の追い上げ、4月以降の、地域での共同宣伝署名運動の多彩な展開。
 「公共サービス商品化」に関っては、2月末からの郵政民営化反対キャラバンと、3月地方議会要請行動などの全県での具体化。3・4中央行動、4月20日の中央行動の成功や宣伝行動などへの全組合員参加組織、などを強調しました。また、社会保険庁の組織攻撃に対するたたかいの意思統一をおこなう「3・5シンポ」(大阪市内)の重視を訴えました。

◇ポスター貼り出し、国民に訴える
 討論では、「憲法オルグをして職場学習を強化。戦争反対、改憲阻止のポスターも作成」(全運輸)、「春闘決起の必要性を社会的に訴える『労働は商品ではない』とするポスターを張り出す」(全労働)、「建設下請けなど未組織職場への全労連要請書提出行動にとりくむ」(全建労)など、積極的な意見が出されました。

◇給与構造「見直し」反対運動を
 また、地域間、世代間、成果による格差を拡大する給与制度の導入に反対し、賃下げとなる給与構造の「見直し」を許さないため、職場・地域からのたたかい強化を意思統一。とりくみの中心となる人事院宛の「要求署名」を武器に、勧告までのたたかいを継続することを確認しました。
 最後に、「公務の民間開放反対決議」と「教育基本法改悪に反対する決議」を採択しました。



●公正判決求める署名を〈国公権利裁判 控訴審〉

 10月21日の第一審不当判決を受けて、11月2日に東京高裁に対して控訴を申し立てていた『国公権利裁判』は、4月14日に第一回弁論が行われることになりました。
 国公労連弁護団は、現在、東京高裁に対しての控訴理由書の作成を急いでいます。
 控訴審では、第一審判決が「不利益不遡及原則は民間に対して適用される法理であり、勤務条件法定主義をとっている国家公務員には適用されない」としたことは重大な問題であり、このことに対する反論を中心に組み立てることとしています。提出は2月中旬を予定しています。
 また、九州大学の吾郷真一教授と専修大学の晴山一穂教授に鑑定意見書の作成を依頼し、第一審判決の不当性を明らかにすることとしています。
 また、東京高裁に対しての「公正判決を求める署名」のとりくみも開始しました。
 目標は国公全体で10万筆です。第一回弁論に向け、全力での集約が求められています。



●ストップ!郵政民営化
  〈愛知県国公〉郵産労と共同宣伝行動を展開

【愛知国公発】
愛知国公は1月22日、憲法改悪、公務リストラ、郵政民営化に反対する街頭宣伝・署名行動を郵産労と共同で行い、愛知国公42人、郵産労東海地本13人の55人が参加しました。
 愛知国公磯貝議長と郵産労東海地本藤森委員長がそれぞれ『郵政民営化や公務の「市場化テスト」は公共サービスの破壊そのもの。憲法も9条改悪がその真の狙いだ』とマイクで訴え、寒風吹きすさぶなか、名古屋の繁華街・栄に大きく声を響かせました。



●「ご苦労さま」に心が暖かく
  〈宮城県国公〉「公共サービス商品化」反対を訴える

【宮城国公発】
宮城国公は2月2日、吹雪のなか「公共サービス商品化」反対の宣伝行動をスタートさせました。早朝と昼休みに25人の仲間が参加。
 「おはようございます」と元気にあいさつしますが、なかなかコートから手が出ません。凍えながらビラを手渡していると、受け取りざま「ご苦労さま」と声をかけられ、心がほっと暖かくなりました。
 宮城国公は、月2回の宣伝行動を5月まで配置しています。



●改憲阻止のとりくみを 歴史的節目の05春闘
  全労連第36回評議員会ひらく

 全労連の第36回評議員会が、1月27日から2日間開催されました。
 冒頭あいさつで、熊谷全労連議長は「戦後60年経って、明文改憲をめぐる歴史的攻防戦が開始されている」と述べ、05年春闘が「歴史的節目の年の春闘」であることを強調しました。

◇非正規の賃金改善など底上げを重視
 幹事会からの方針案提案を踏まえた討論では、議長あいさつに応えて、改憲反対のとりくみを職場・地域で展開する決意が口々に語られました。
 また、春闘50年の歴史の節目にふさわしく、すべての職場で確立した要求を提出し、執念を持って交渉を積み上げることや、職場の要求闘争と一体で国民生活や平和を守る国民的な要求での共同行動発展を追求するという「春闘の原点」に立ち返った運動を強調する発言も相次ぎました。
 そして、すべての労働者の賃金改善、とりわけ賃金底上げや、非正規労働者の賃金改善・均等待遇実現と最賃闘争の重視が確認されました。これらの要求実現とかかわって、トヨタをはじめとする大企業の社会的責任追及の強化も確認されています。
 基金確立も受けた組織拡大にかかわって、長野県労連がとりくんだ善光寺での労組結成をはじめ、貴重な経験も多数報告され、全労連運動への確信を深める評議員会となりました。
 国公労連からは、「全労連統一要請書」に積極的にとりくむことや、郵政民営化法案阻止を当面のとりくみの基軸に、「公共サービス商品化反対」運動強化の決意などを発言し、討論に参加しました。



●日本多国籍企業の横暴監視を〈公務インター指導部会議など〉
  〜小田川書記長がバングラディシュで呼びかける

 1月14、15日の両日、ダッカ(バングラディシュ)で、公務インターの指導部会議と「資本主義的なグローバリゼーションへの挑戦」をテーマとする国際セミナーが開催され、国公労連・小田川書記長、全労連・加藤国際部長が参加しました。
 指導部会議では、スマトラ沖地震・津波被害での「支援の必要性」が確認され、公務インターの今後の活動などについて議論が行われました。
 討論では、インドで、政府がILO87号条約を批准せず、最高裁判所もストライキ禁止を「合憲」とする不当判決を下したことへのたたかいなどが報告されました。アジア地域での労働基本権回復運動の共同の必要性を確認しあいました。
 セミナーには、バングラディシュ政府の繊維担当大臣も参加し、それぞれの立場から発言が行われました。国公労連からは、「公共サービス商品化反対キャンペーン」のとりくみを紹介し、海外に進出している日本多国籍企業の横暴監視を呼びかけました。
 大臣は、バングラディシュの輸出資源の一つに「労働力」を位置づけて発言。すべてのものを商品化するグローバル化のもとでの途上国の現実を語るものでした。



●連載 憲法のはなし(3)
  Q 基本的人権とは?

◇国民の自由と人権を守る
 基本的人権とは、「人間が生まれながらに有している権利」と広辞苑にはあります。赤ちゃんもお年寄りも、職業や出身地、性別にかかわりなく、等しく保障されなければならないものです。
 保障されるのは、すべての人間です。保障すべき役割を担うのが政府です。「人民の、人民による、人民のための政治」とされる民主主義と、基本的人権の具体化は同義です。
 「侵すことのできない永久の権利」(第11条)、「(基本的人権保持のための)国民の不断の努力」(第12条)、「個人の尊重」(第13条)の規定は、そのような基本的人権の本質を述べています。
 永久に保障される権利として、憲法は、第3章(国民の権利及び義務)で、具体的に示しています。それは、人間らしい生活に不可欠な自由と平等を確認する「自由権」、国に対して人権実現を求める「請求権」、そして政治参加とかかわる「参政権」の三つに大別されています。
 憲法は、「愛国心」という思想・信条を法で強制する「自由権」への介入を予定していません。生活保護も受けられずに餓死者が生ずるような不平等を放置する行政は想定されていません。
 ちがいを差別に転化し、力関係を背景に「自分への従属」を求める風潮があります。その是正のための発言ととりくみを奨励しているのが憲法第12条。時の政治への関与は、将来の国民に基本的人権を引き継ぐ具体的な取組として認められる「参政権」そのものです。

◇国民の義務強調の改憲
 自民党の「憲法改正大綱」では、「国家・社会の安全・健全な発展」を口実にして「個人の尊厳」さえ制約できる内容になっています。日本経団連の「(改憲の)意見書」では、「戦後の日本社会において、権利や自由に重きがおかれ過ぎた」として国民の義務を強調しています。
 改憲は基本的人権の制約を目的にした、「国民からの国に対する命令書」から「国からの国民への命令書」への書き換えなのです。




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