国公労新聞 第1199号

●賃下げNO!大企業の大儲けを社会に還元せよ
  雇用・賃金破壊、憲法改悪せまる日本経団連を包囲

 1月20日、全労連・国民春闘共闘は、日本経団連やトヨタ東京本社、総務省・財務省などを包囲する行動をのべ1000人の参加で展開しました

◇「郵政民営化」を阻止し公共サービス切り捨てに歯止め
 総務省前では、小泉首相が「改革の本丸」と位置づけ、「今国会の法案成立を期す」とする「郵政民営化」に反対し、国民のための公共サービスの拡充を求める要求行動にとりくみました。
 決意表明に立った国公労連・堀口委員長は、「だれでも、どこでも、安く利用できる郵便制度を企業の儲けの道具にし、国民サービスを切り捨てることは許さない。郵政民営化を阻止し、市場原理優先・国民いじめの構造改革に歯止めをかけよう」と力強く発言しました。
 昼休みには、大企業本社が建ち並ぶ丸の内オフィス街に、「大企業は社会的責任を果たせ!」「賃金の切り下げは許さないぞ!」とシュプレヒコールを響かせ、「企業通信簿チェックリスト」付ポケットティッシュを配布しながらデモ行進しました。

◇「企業通信簿運動」で大企業の社会的責任を追及
 日本経団連包囲行動では、全労連・坂内事務局長が、「トヨタの年間1兆円をはじめ、大企業は史上最高の利益を謳歌している。しかし、経団連は、労働者の首切り、賃金切り下げ、社会保障からの撤退と消費税増税を迫り、憲法9条の改悪まで提言している。世界の流れは、企業の社会的責任(CSR)の確立だ。日本でも『企業通信簿運動』を大きく展開し、大企業に社会的責任を果たさせ、すべての労働者の賃上げを05春闘で勝ち取ろう」と主催者あいさつしました。



●大増税、介護保険改悪やめよ
  増税反対、社会保障の拡充求める署名をひろげよう

 小泉内閣が、今国会でねらう定率減税の縮小や介護保険制度の改悪を許さないと、1月25日、全労連と中央社保協は、全国いっせい宣伝・署名行動にとりくみました。この行動は、生存権を規定した憲法25条にちなみ、毎月25日に全国でとりくまれています。

◇国民一人当たり5万円、4人家族で20万円の負担増
 東京・JR御茶ノ水駅前には、国公の仲間10人が参加。国公労連・岸田書記次長が、「政府は、05・06年度の2年間に、定率減税の縮小・廃止や介護保険料・利用料のアップなどで、国民一人当たり5万円、4人家族で20万円もの負担増をねらっている。一方で、定率減税と同時に実施した大企業への減税2兆7000億円、高額所得者への減税5000億円はそのまま続ける。史上空前の利益をあげている大企業には減税を続け、所得が毎年おちこんでいる庶民には大増税、こんな理不尽は許せない」と小泉内閣による7兆円もの国民負担増を厳しく批判しました。
 介護保険については、「政府は、国の負担を減らすために、介護保険料のアップや、施設の部屋代・食費の2〜3倍化、介護サービスの利用の制限など、今でも保険あって介護なし≠フ状況を一層悪化させようとしている」と訴えました。
 国公労連は05春闘で、「庶民大増税をやめ、安心できる介護制度など社会保障の拡充を求める請願署名」にとりくみます。定率減税廃止などの増税反対と介護保険改悪反対は、今国会前半の最重要課題です。署名運動の大きな推進が求められています。



●阪神・淡路大震災10年
  復興は終わっていない

【兵庫県国公発】
 1月17日、6433人の命を奪った阪神・淡路大震災から10年を迎えました。仮設住宅と災害復興公営住宅での「孤独死」が560人にのぼり、被災した家と再建した家の「二重ローン」で苦しみ自殺に追い込まれた方なども含めると、7000人を超える方が犠牲になり、10年がたったいまでも多くの被災者が生活を再建できない深刻な状況にあります。
 こうした現実を受け止め、「阪神・淡路大震災救援・復興県民会議」などがねばり強くたたかいをすすめ、被災者生活再建支援法が制定され、地方自治体レベルでは住宅本体の再建にも公的支援が行われるようになるなどの貴重な前進面もつくり出してきました。
 17日当日の早朝5時46分、神戸を見下ろす諏訪山公園で行われた追悼集会は、10年目にして初めての雨となりました。
 震災で亡くなった多くの方や、その後に亡くなった方のほとんどが「人災」と言えるだけに、行政に働く労働者として、亡くなった方たちの冥福を祈るとともに、引き続き、支援法の改善と国民に冷たい政治を変えるたたかいに全力をあげる決意を新たにしました。



●改憲阻止の共同拡大を
  公務労組連絡会 第28回臨時総会ひらく

◇たたかう05年春闘方針を決定
 公務労組連絡会は1月19日、第28回臨時総会を都内で開催し、単産・地方組織から75人が参加しました。総会では、郵政民営化反対を軸に、小泉構造改革と対決し、改憲阻止の共同拡大を重視した05年春闘方針を決定。50万を目標とする「給与構造の『見直し』に関する要求署名」のとりくみも確認しました。

◇給与構造「見直し」に関する要求署名を
 冒頭、石元議長は、「憲法や教育基本法の改悪を許さない、企業の社会的責任を果たさせる、郵政民営化・市場化テスト・三位一体改革と給与構造の見直しを許さない、ため大事な春闘。国民を味方にするとりくみを」と呼びかけました。
 若井事務局長は、「日本の進路が岐路に立つたたかいの時。構造改革と対決し、公共サービス充実を求める立場でたたかう」ことを基本に、賃金底上げ、給与構造「見直し」阻止、郵政民営化阻止、憲法・教育基本法改悪阻止を重点とする方針案を提起しました。
 討論では、国公労連と、全労働、全建労代表が発言。「給与構造の見直し」や「市場化テスト」などの公務の民間開放について、国民に内容を伝え、地域住民との共闘を進め、地域に打って出るとりくみの決意を表明しました。



●ストップ!公共サービスの商品化〈シリーズ4 独立行政法人〉
  短期成果重視の研究に−−非公務員型に移行する産総研

 独立行政法人・産業技術総合研究所(産総研)では、今年4月に「非公務員型」に移行しようとしています。公共的な研究現場の実態について、全経済産総研労組委員長の中川格さんに、寄稿いただきました。

 独立行政法人・産業技術総合研究所は、経済産業省傘下15研究所が大合併するという形で、4年前に発足しました。
 大合併で、多様な研究スタイルの分野が横並びに遇されることとなり、さまざまな問題が生まれています。
 中期計画といっても分野によって10年であったり3年であったりします。研究評価も、論文や特許の重要度は分野によって異なるため、不公平感を抱く研究者は多いです。
 産業技術に貢献する研究所ということで、産業化への貢献を強く求められるようになりましたが、そうした出口イメージが作りやすい分野と、作りにくい分野という問題もあります。

◇目先の成果を求める流れ加速
 短期的な成果を重視するように研究所の運営が大きく変わってきていることは誰もが感じるところですが、基礎研究でもコンスタントに成果を出しやすい分野は何とか対応することができても、むしろ基礎・応用を問わず、成果の出方に波のある、言い換えるならばリスクの大きな研究が一様に圧迫されています。
 これは、研究所大合併という規模のメリットを殺しかねない問題で、早急に軌道修正が求められているのではないでしょうか。
 この4月に、非公務員型に移行しますが、逆に、そうした目先の成果を求める流れが加速することが危惧されます。

◇職場内外の力でよい環境つくろう
 昔、独立行政法人構想が浮上してきた時、「首都移転構想というのがあって、それが結局つくば研究学園都市構想へと縮小していった。それを考えれば、独立行政法人構想も結局、研究機関にしわ寄せされることになるのじゃないの」と本省の人に言われて唖然としたことがあります。
 つくば移転は大反対運動を押し切って強行され、移転後は多大な不便を我慢する日々が続きました。それでも移転当時に比べればだいぶ良くなったことは間違いありません。それは、環境を少しでも良くしようという多くの人の努力の結果です。
 つくば移転の教訓に学ぶならば、今すべきことは非公務員型の独立行政法人という与えられた枠の中でも、職場内外の組織によって、少しでもよい環境を作り出すことです。それによって将来の新入職員が「さすがに産総研ですね」と喜べば一番です。



●連載 憲法のはなし(2)
  Q 「9条」ってなに?

◇憲法の特徴は恒久平和主義
 日本国憲法の特徴が、恒久平和主義を宣言し、「戦争の放棄、軍備及び交戦権を否認」した「9条」にあることは、よく知られたところです。
 そして「9条」が、国連憲章の第1の目的(「紛争の平和的手段での解決」)を受け、二度と戦争はしないという日本国民の意思の反映であることも、またよく知られています。しかし、その「9条」は、「解釈改憲」で踏みつけにされ続けてきました。

◇改憲の狙いは戦争できる国
 2004年11月の「自民党・憲法改正草案大綱(たたき台)」は、「戦争の放棄」は継承しつつ、「武力の行使」や「集団的自衛権」を容認し、「緊急事態時」における国民の権利制限にまでふみこみました。05年1月には、日本経団連も、「第9条2項」の改定を求める「意見書」を公表しています。
 日本の社会(法制度)全体を「武力行使(戦争)」をすることを前提に組み替え、自衛隊を軍隊として明文で認知し、大手を振ってアメリカと共同した戦争ができるようにしたい、改憲を主張する側は、その目的を隠しません。

◇自衛隊を「人殺しの軍隊」へ
 いま、イラクでの死者報道が連日行われています。その発端は、「テロとの戦争」を主張するアメリカが、「自衛」のための攻撃をはじめたことにあります。
 そして、日本は、04年1月、「復興支援」を名目に、自衛隊をイラクに派遣し、6月以降、アメリカ主導の多国籍軍に参加しました。
 しかし、いまは「ファルージャ制圧」のような行動はできません。その制約をはずし、自衛隊を「人殺しの軍隊」にするために、「9条改正」が主張されているのです。 




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