国公労新聞 第1198号

●05春闘スタート
  新春宣伝を全国で展開

 1月7日、全労連・国民春闘共闘は、05春闘のスタートを切る新春宣伝行動を全国で展開し、「財界の賃下げ攻撃は許さない」「大企業は社会的責任を果たせ」と訴えました。東京では、国公の仲間が霞が関周辺の宣伝を担当し、1万4000枚のビラを配布するとともに、スマトラ沖地震被災者の救援カンパを訴えました。

◇3日連続の新春宣伝〈高知県国公〉
【高知県国公発】
 高知では、全国より一足早い1月6日の早朝宣伝行動を皮切りに、7日には、県国公独自で公共サービス商品化反対・憲法改悪阻止の宣伝行動を実施(写真上)。さらに8日には、「こうち9条の会」と共同で宣伝にとりくみ、05春闘を3日連続の新春宣伝行動でスタートさせました。

◇熊本県国公3カ所で早朝宣伝〈熊本県国公〉
【熊本県国公発】
 1月7日に、県庁前、市役所前、NTT前の3カ所で早朝宣伝にとりくみました。同時に、1月22日に実施する県国公主催の行政相談の宣伝ビラも配布しました。

◇反応良好、ビラなくなる〈広島県国公〉
【広島県国公発】
 1月7日の宣伝は、広島そごうと県庁前で大企業の社会的責任追及を中心に訴えました。寒い中でしたが反応良好で、予定よりも早くビラがなくなりました。



●「新行革大綱」の具体化NO!
  地方議会要請、国民共同広げよう

 政府は、04年12月24日、「今後の行政改革の方針(新行革大綱)」を閣議決定しました。
 「新行革大綱」では、「平成17年度からの5年間に10%(3万3000人)以上の削減」を打ち出しています。この数値目標とかかわって、地方出先機関の統廃合等が強調され、「市場化テスト」などのあらたな「民間開放施策」具体化が宣言され、IT化、事務事業のアウトソーシングなどを内容とする「行政効率化」が決定されています。
 「官から民」へのアウトソーシングは、国の機関とされる独立行政法人や特殊法人などでも同様です。「平成17年度に中期目標が終了する32法人」の内、14法人の統合、2法人の廃止、研究・教育関連法人の非公務員化などが決定されています。また、事業の廃止や縮小、運営費交付金の見直しなども課題とされ、「安上がりのサービス提供」が迫られています。
 公務員制度改革については、「大綱」の具体化作業の先送りを決定しました。たたかいの一定の到達点です。しかし、現行制度下での「評価制度の試行(当面本省庁対象)」などに限定することを決定し、同時に、「地域における国家公務員給与の在り方見直し」を確認するなど、総人件費抑制の強化は強く打ち出しています。
 「新行革大綱」で政府は、歳出削減の主要な柱として人減らしや行政サービス民営化・民間化を短期間に集中実施することを宣言しました。これに対するマスコミ等の反応は、10人に一人の国家公務員を減らすことで全国一律の行政サービスの提供が困難になるなど「行政の変質、後退」を指摘し、「新行革大綱」を批判するものはありません。
 それだけに、「官から民へ」の陰の部分を国民的に訴え、国の行政責任を問う「公共サービス商品化反対キャンペーン」を本格化し、宣伝行動や地方議会陳情などの春闘方針具体化が重要です。



●大増税狙う政府予算案
  年収700万円世帯=定率減税縮小等で年4.9万円の負担増

 04年12月24日、政府は05年度予算案を決定しました。国民に新たに2兆円の負担増を強いる家計と日本経済を悪化させる大増税路線です。
 最大の負担増となるのが定率減税の半減。年収700万円の世帯(サラリーマンと専業主婦の妻、子ども2人)では年間4万1000円の負担増になります(下表参照。その他の増税分の合計で年4万9000円負担増=ニッセイ基礎研究所試算)。与党の05年度税制「改正」大綱は06年度の定率減税廃止の方向を打ち出しており、来年度以降、負担増はこの倍になる可能性が高いと言えます。



 すでに国会で決まり、05、06年度の2年間で実施される税控除廃止などの負担増が3兆円(下表参照)、政府が今後2年間で狙う負担増が4兆円、合計7兆円もの負担増は、史上最悪といわれた97年の橋本内閣の9兆円負担増に迫るものです。


 97年当時は、家計所得が年間5、6兆円規模で伸び続けていましたが、現在はここ数年来、数兆円規模で減り続けています。こんなときに7兆円もの負担増を国民に強いれば、どうなるか。「定率減税の廃止が、景気の腰折れにつながる」(石川島播磨重工業・伊藤社長)という声が財界からも出ています。
 1月21日から始まる通常国会前半では、このような大増税計画をストップさせるたたかいが重要になっています。



●時間単位で看護休暇取得 今年1月から実施
  仕事と家庭の両立支援で前進

 12月16日に人事院は、国公労連との交渉で休暇制度改善などの両立支援策について、2005年1月から実施することを回答しました。

◇男性の育児参加休暇を新設
 男性の育児への参加を促すための特別休暇の新設、子の看護休暇の時間単位取得が可能となるなど、これまでに国公労連が求めてきた要求が前進しています。
 国公労連は、04秋闘において、人事院が04勧告の「報告」で勤務環境の整備として推進するとしていた、仕事と家庭の両立支援策の実現を求め、直筆ハガキ行動や交渉を配置してきました。
 人事院総裁あてに寄せられた直筆ハガキは2万5000枚を超え、それを背景に行った交渉では、具体的な制度改善を求めるとともに、制度の実効をあげるための人事院の努力を求めました。
 なお、育児・看護を行う職員への早出・遅出勤務の適用については、各府省での規程整備が必要となることから、4月1日からの実施となっています。
 育児部分休業の拡充など法律事項にかかわるものについて検討となっており、引き続き、制度の拡充などを求めていくこととします。

◇職場での環境整備が重要
 同時に、拡充された休暇の取得をはじめ、制度の実効を上げるための職場での環境整備が重要です。
 人事院からの指導・周知の徹底を求めることはもちろんですが、職場における権利意識の向上を図ることも必要となります。



●6%支給は運動の貴重な到達点
  中部国際空港の調整手当で最終回答

 昨年末の12月17日に人事院は、国公労連との交渉で、2005年2月に開港する中部国際空港に勤務する職員にかかわる調整手当問題について、異動保障をともなわない「成田空港方式」による6%の調整手当の支給、経過措置として開港時に名古屋空港から異動したすべての職員を対象に、年1%ずつ支給割合を逓減するなどの最終回答を行いました。
 この回答は、要求に照らせば満足できるものではありません。しかし、要求に否定的な姿勢をみせていた人事院を、根気強いとりくみで変えさせてきました。「給与構造見直し」に人事院が着手し、調整手当に対する攻撃が厳しい状況の中での成果であり、たたかいの貴重な到達点であることは間違いありません。

◇職場と地域で粘り強く反撃
 国公労連は、2003年11月に要求書を提出し、東海ブロック・愛知県国公参加の交渉をふくめ、6回にわたる交渉を実施してきました。
 中部国際空港は、現在の名古屋空港の、ほぼすべての機能が移転するものです。人事院は当初、移転先の常滑市が非支給地であることを理由に、現行10%の調整手当維持はもとより、手当の支給そのものが難しいとする姿勢を見せていました。職場からの当局交渉の強化が当局を動かし、地域からのたたかいもあって、人事院を追い込むこととなりました。



●スマトラ沖地震救援カンパに協力を

 昨年12月26日、スマトラ沖で発生した地震と津波による死者数は現在18万人を超え、衛生状態の悪化に伴う伝染病の蔓延で、さらに数万人の第2次被害が懸念されています。国公労連は、全労連の呼びかけに応え、被災したアジアの労働者・国民に最大限の連帯と援助のために、スマトラ沖地震・津波カンパにとりくみます。
 集約したカンパ金は、別記口座に送金して下さい。なお、単組で一括集約する時は単組本部の指示に従ってください。

救援カンパ専用口座
 中央労働金庫新橋支店(店番289) (普)1037844
 口座名 「国公労連」 ※最終期限は3月末



●連載 憲法のはなし(1)

 今号から7回にわたって、疑問に答える形式で「連載・憲法のはなし」をスタートします。 憲法学習や、「憲法の語り部」組織運動、「改憲反対署名」推進のために、職場での活用をお願いします。

Q なぜ国公労連は「憲法」を重視するのですか?

 国公労連は、04年8月の定期大会で「あらゆる課題に優先」して改憲反対の運動を強めることを確認しています。なぜでしょう。
◇公務員も国民の一人として
 「憲法問題は政治課題」という意見があります。
 国公労連は、「この国のかたち」を示し、基本的人権を国民に保障する憲法の問題は、「現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託された」基本的人権の本質(憲法第97条)に則って、一人ひとりが国民として、意見の表明や選択をすべき課題だと考えています。
 公務員だからといって行動や意見表明が規制されてよい問題ではありません。中間のない改憲か憲法擁護かの二者択一の問題なのです。
◇要求実現のため改憲反対運動を
 「労働組合は組合員の要求実現だけを」という意見もあります。
 憲法は、あらゆる法律の基礎です。公共サービスの内容や範囲、労働者に保障されるべき労働条件の基準(憲法第27条)の具体化を国に求めています。
 国公労連は、「国民のための行財政司法の確立」と「組合員と家族の暮らしを守る」ことを運動の二つの柱にしています。いま戦争をする国に変え、国民に平等なサービスを提供することより競争条件の整備を国の役割とする改革が進められています。その動きは、狙われている憲法「改正」の内容と一致します。
 「国民のためのよい仕事をしたい」、「公務員バッシングはもうごめん」。仲間の切実な要求の実現を真剣にめざすことと、改憲反対の運動強化は一体、国公労連はそう考えています。




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