国公労新聞 第1194号

●公共サービス切り捨ての市場化テストNO!
  規制改革・民間開放推進会議に申し入れ

 ◇12月中旬に市場化テストとりまとめ

 内閣府は、11月19日、来年度からの実施を検討している市場化テスト(官民競争入札)のモデル事業公募に関し、企業、NPO(非営利組織)などから119件の提案があったと発表しました。提案内容は、公共職業安定所(ハローワーク)や社会保険庁の業務、河川や道路の維持管理などについて民間開放の意見があったとしています。
 これを受けて、政府の規制改革・民間開放推進会議(以下、規制改革会議と略)は、12月中旬に、市場化テストや個別事業の民間開放推進などについて、とりまとめを行おうとしています。
 こうした動きに対し、11月18日、国公労連は、公共サービスを営利企業にゆだねて商品化することに反対する立場から、規制改革会議に申し入れを行いました。
 検討状況と今後の進め方について、規制改革会議側は、「モデル事業は、経済財政諮問会議でもハローワークと社会保険に言及している。早めに来た民間提案から各府省とやりとりしている」と回答し、市場化テスト法の整備や推進体制の検討、ガイドラインの作成を進める姿勢も示しました。

 ◇経済力の差でサービス享受に格差

 国公労連側からの「資力の差により公共サービスの享受に差がつく民間開放はやめよ」との追及に対しては、「現状より良いサービスをコストを下げて提供しようとするもので、ベースの人件費、予算は国が提供する。現状より経済力の差でサービスに差がつくとは考えていない」と回答しました。

 ◇企業の撤退で継続性・安定性を破壊

 また、「企業の参入の自由があれば撤退の自由もある。安定的、継続的なサービス提供が妨げられる民間開放はやめよ」との追及には、「撤退の自由の議論はしていないが、何年かたつと再度入札が行われる。その際、必ずしも同じ企業になるとは限らない。会議では、むしろ企業が変わることがありうべきで、望ましいという議論になっている」との回答まで行いました。
 そして、「規制緩和の効果についての真摯な検証と、国民的な議論、公務労働者・労働組合との合意と納得を得ること」については、「規制を新たに設ける場合、その影響を分析し、パブリックコメントを求める手法をこの10月から試験的に各省で行っている」「規制改革会議として、各省から意見をいただいているし、今回のことも含めいろいろな形で意見をいただいて答申をし、政府として方針を決定する」と回答しています。



●非公務員化・減量化を押しつけるな
〈独立行政法人の組織・業務見直し〉総務省と推進事務局に申し入れ

 国公労連は、関係単組とともに、独立行政法人の組織・業務見直し問題で、総務省行政評価局、行政改革推進事務局に相次いで申し入れを行いました。

 ◇32法人の見直しを前倒し12月末に考え方決定

 これは、政府が、来年度に中期目標期間が終了する独立行政法人のうち、32法人の見直しを前倒しで行うとし、11月末に総務省政策評価・独立行政法人評価委員会としての方向性を示し、12月末に政府の考え方を決定しようとしていることに対応したものです。

 ◇見直しの主体は主務大臣

 独立行政法人通則法では、組織・業務見直しの主体は、各独立行政法人の行政サービス提供に責任を負っている主務大臣としており、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会は、勧告ができるに過ぎません。
 独立行政法人の組織・業務見直しでは、多くの主務省は非公務員化や法人の整理統合に反対の姿勢をとっています。

 ◇総務省・推進事務局は押しつけやめよ

 しかし、総務省等は、閣僚は内閣の一員という理由で非公務員型等を押しつけようとしています。国公労連は、非公務員化や法人の整理統合の押しつけ反対を強く申し入れました。
 国公労連の追及に対して、総務省行政評価局・福井審議官は、「主務大臣の意見の尊重という点では、毎日のように府省と議論をしている」としつつ、「各省の非公務員化反対の説明に委員の理解が得られていない」と回答、行革推進事務局・橋口調整室長は、「大臣が決定されることだ。ただ、よりよい行政サービスができるかできないかについて意見は述べる」と回答しています。
 ヤマ場を迎え、総務省等による押しつけに反対し、主務省が反対姿勢を堅持するよう徹底した追及が求められます。



●昇格改善で最終交渉
 世代間の公平確保に一定配慮

 国公労連は11月12日に、昇格課題に関わる人事院との最終交渉を実施しました。9月17日の要求提出以降、相次ぐ定員削減により厳しくなっている職場実態を反映した職務評価の引き上げ、機関間格差是正、世代間の公平確保、枠外解消、女性の昇格改善などの問題について、国公労連は改善を求めてきました。
 人事院は、「級別定数改定は、職務評価が前提であり、組織改編等によって職務内容、職責が大きく変化した場合に行うのが原則」と強調し、次のとおり重点要求について回答しました。
 枠外問題については、「昔のように昇格の遅れによるものではなく、昇格状況の改善と、1号上位昇格等の効果により、昔より早く、高い号俸、高い水準に達するようになっている。定数改定で対応すべきものとは考えていない」と、まったく対応する姿勢を示しませんでした。
 府省間の格差問題は、「人事院が適正に確保している」、機関間格差の問題は「相対的な位置づけは大きく変わっていない」、女性の格差問題は、「定数には性別による区別はなく、定数の枠内で誰を昇格させるかは各府省の運用の問題」、職種間の格差は「少数職種故に不利に取扱うことはない」などと従来回答に終始しました。
 ただ国公労連が今年度重点的に追及した世代間の公平問題については、「来年度の級別定数の設定にあたり、30歳前後の人員構成のヤマ対策として4級定数で一定配慮する。また中堅層の6〜8級定数については、世代間公平にも配慮したい」とし、要求を一定ふまえた回答を行いました。



●ストップ!公共サービスの商品化
  〈シリーズ1 社会保険庁〉

  年金改悪と一体で進む社会保険庁改革
 〈全厚生〉憲法25条が活きる社会保険行政の確立を


 ◇急テンポで進む社会保険庁改革

 社会保険庁改革は急テンポです。
 政府がすすめた04年の年金大改悪の過程で、社会保険庁改革が急加速しました。年金保険料の未納問題での小泉首相の「人生いろいろ、会社もいろいろ」とする無責任な発言もあって、国民の年金制度に対する不満・不信が沸騰。保険料の流用、随意契約、監修料問題など、社会保険庁での不祥事も表面化し、国民的な関心事、政治課題として社会保険庁改革が進みはじめています。

 ◇市場化テストのモデル事業の重点に

 政府は、7月23日、民間企業から長官を起用。8月には内閣官房長官の下に「社会保険庁の在り方に関する有識者会議」を設置し、年内に中間報告、来年夏には最終報告を行う算段です。その「有識者会議」では、独立行政法人化や民営化もねらわれています。
 また、業務問題では、年金週間での休日の年金相談実施など77項目の「緊急対応プログラム」も動いています。
 加えて、政府の規制改革・民間開放推進会議は、社会保険業務を市場化テスト(官民競争入札)のモデル事業の重点にした検討に入っています。

 ◇年金・社会保障制度の全面改悪と一体で進む

 こうした組織改革と併せ、社会保障制度の改革が動いています。
 政府は、医療、年金、介護、生活保護の一体的な見直しを進めるため、官房長官の下に「社会保障の在り方に関する懇談会」を設置しています。経済財政諮問会議も、「社会保障の総合的改革」を重点の一つに置いています。年金一元化などの制度改革と、組織改革が一体的に議論されています。

 ◇憲法25条にもとづき国の責任で拡充を

 全厚生は、このような組織、制度の改革に対し、社会保険行政は憲法25条にもとづき、国の責任で拡充することを主張しています。そして「市場化テスト」(官民競争入札)の対象として「民間開放」や、社会保険庁の「独立行政法人化」、「民営化」を行わないことを要求し、とり組みを進めています。

 ◇国民本位の改革めざしシンポジウムを準備

 05春闘にむけては、国民本位の年金制度と真の社会保険庁改革をめざし、シンポジウム(2月26日・大阪)などの準備をはじめました。
 憲法25条が生きる行政の確立をめざした地域からのとりくみと、働くルールの確保を求める職場のたたかいを一体で展開し、国民の立場にたった社会保険庁改革をめざします。(全厚生労働組合)



●「公共サービス商品化」反対で街頭宣伝
  青森県国公 うれしい誤算!?反応良好

 【青森県国公発】11月第3水曜日の全国統一宣伝行動日の17日、青森県国公は、青森市内中心部の百貨店前で、「公共サービス商品化」反対の街頭宣伝行動を実施。04春闘での年金改悪反対宣伝は、市民の反応も良好でしたが、“公務員バッシング”がマスコミなどで繰り返されるなかでの今回の課題での宣伝は非常に緊張しました。しかし、「小泉構造改革は地方切り捨て」「ビジネスチャンスの拡大だけでセーフティネットを後退させていいのか」と訴えると、以外にも!?国公労連の宣伝ビラへの反応は良好で、うれしい誤算でした。小泉構造改革で良くなったことは何もないということを市民は痛いほどわかっているのだと感じました。



●基地はいらない、守ろう憲法9条
  佐世保で04日本平和大会ひらく

 「基地はいらない、守ろう憲法9条」を掲げて2004年日本平和大会が11月20日から3日間、長崎県・佐世保市で開かれ、アメリカ、韓国、フィリピンからの海外代表含め全国から1500人が参加しました。
 日本平和大会は、基地も軍事同盟もない日本をめざして1986年以来毎年開催。米軍佐世保基地には、5つの弾薬庫と貯油所がおかれ、イラク戦争でも、弾薬・補給の拠点にされています。

 ◇米軍再編による基地強化、自衛隊の一体化は許さない

 開会総会前に、佐世保基地抗議「人間の鎖」行動が取り組まれ、平和パレードの1500人の隊列が米軍佐世保基地正面ゲートを中心に基地を取り囲みました。
 平和大会開催中に開かれていた日米首脳会議、日米防衛首脳会議では、ブッシュ政権が進める地球規模での軍事態勢再編で、在日米軍と自衛隊との一体化が重要な柱に位置づけられました。
 平和大会では、基地撤去をたたかう各地の草の根の運動が交流され、米軍再編基地強化とのたたかいを急いで全国的に大きく盛り上げることが確認されました。
 また、「憲法9条は日米同盟のさまたげ」(アーミテ―ジ米国務副長官)とする9条を中心とした改憲攻撃を許さず、世界に誇れる憲法の輝く日本をめざし、草の根から奮闘することを確認しました。



●『国公労調査時報』1月号
  「国公権利裁判」を特集

 国公労調査時報05年1月号(12月15日発行、定価500円)は、「国公権利裁判」東京地裁判決批判を特集。詭弁に満ちた東京地裁の不当判決を「国公権利裁判」弁護団が総批判。高裁段階でのたたかいに必携の一冊。通常より増ページで発行されます。
 「虚妄の成果主義」で知られる高橋伸夫氏(東大教授)の国公労連・全経済主催の学習会での講演をまとめた「日本型年功制復活のススメ―虚妄の成果主義」は、評価制度導入を急ぐ政府、人事院への痛烈な批判に。「05年度版税制改革の提言」など読みごたえのある論文に満ちています。



●読者のひろば

 ◇中越地震での復旧に力つくす全建労の仲間の姿に感心〈全労働広島の仲間〉
 本紙11月11日付の記事で感心したのは、新潟中越地震での復旧に活躍する全建労の仲間の姿。同じ国公の仲間でも他の単組が日常国民生活の中で、どのように役立つ仕事をしているのか知らないことも多いと痛感しました。国民生活に密着する公務の姿をもっと広く知らせるべきだと思いました。

 ◇本紙は活動の火種〈全司法札幌の仲間〉
 各地域での活動を知るのは、とても大切です。しかし、なかなかその機会がないのが現状です。国公労新聞は、読者に対し、広く情報を提供し、小さな活動の火種を作るものと考えています。


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