国公労新聞 第1188号

●推進事務局がルール破り 国公法「改正」法案を法制局と協議
労働基本権無視の改悪やめよ

  行革推進事務局が、「公務員制度改革」の全体像を示さないまま、内閣法制局と法令協議を行うなど、04年中の法案提出をねらった動きが強まっています。国公労連は、「民主的公務員制度の確立」「公共サービス商品化反対」「給与制度改悪反対」をかかげ、9月28日、秋年闘争第1次中央行動を展開するなど運動を強めています。職場・地域からのたたかいを強化するため、それぞれの課題をみてみましょう。
 
 ○〈公務員制度〉
  労働基本権の回復を求める団体署名に全力


 国公労連が、9月22日に行った行革推進事務局との交渉では、推進事務局が9月19、20日の休日に内閣法制局との協議をしていたことが判明し、紛糾しました。
 国公労連の追及に推進事務局は、「誤解を与えるようなことをしたとすれば遺憾」とし、あらためて「(公務員制度改革の)全体像を示した上での交渉・協議」を確約しました。
 しかし、国家公務員法「改正」法案の04年中の国会提出を「義務づけ」られている推進事務局が、能力等級制や評価制度の勤務条件性を否定したまま、法案の閣議決定を強行する危険性は少なくありません。
 「公務員制度改革」にかかわって、財務省など5省が、「天下り規制の緩和」などを求める文書を内閣官房に提出するという動きが表面化しました。マスコミも、「公務員制度――これが改革案ですか」(『朝日新聞』9月6日付)など、批判的な社説を掲載しはじめています。
 このような動きに危機感を抱く推進事務局が、反動的に強行姿勢を強めている状況です。それだけに、労働組合の正念場のたたかいが必要になっています。
 スタートさせた労働基本権回復を求める団体署名を短期間で成功させ、職場集会での決議文の採択・送付や当局交渉強化など、秋闘方針の全面的な実践に全力をあげましょう。

 ○〈公共サービス商品化〉
  民間丸投げ許さない国民共同を


 次年度予算編成作業と併行して、「骨太方針2004」の具体化作業が動いています。
 9月10日の閣議では、郵政公社を07年4月に民営化する基本方針が閣議決定されました。前日9日の規制改革・民間開放推進会議は、民間開放の「重点的検討項目」として、「ハローワークの民間開放促進」、「社会保険の民間開放促進」、「自動車検査制度の抜本的見直し」など14項目を列記しました。
 9月22日に開催された「独立行政法人に関する有識者会議」(政府・行政改革推進本部)では、「予算(運営費交付金)の削減」、「(研究対象、業務等が重複している独法の)統廃合」、「民営化や非公務員化」などが議論されています。この有識者会議の論議もふまえ、05年度に中期目標期間が満了する56法人の「見直し」方向が11月下旬に決定される状況です。
 「公共サービスの商品化」やリストラ「合理化」に反対するとりくみの強化が求められています。国民世論への働きかけを強め、当局の使用者責任を追及するとりくみを産別一体で強めます。国公労連は、04秋闘で、第1、第3水曜日の宣伝行動や、11月を集中期間に設定した要請行動、行政相談活動など多様なとりくみを提起しています。

 ○〈給与制度「見直し」〉
  学習会を出発点に地域共闘づくり


 9月9日、衆議院総務委員会で、04年人事院勧告の審査が行われました。この中で、政府・人事院は、寒冷地手当改悪について、民間支給実態を口実に、納税者である国民の理解を勧告の理由にあげる答弁をくり返しました。
 審査では、給与報告(給与構造「見直し」報告)についても集中的な質疑が行われました。その中で、「(給与構造「見直し」とかかわる評価制度導入については)職員団体と協議する手続きをしっかり踏んでいきたい」、「(大企業と中小企業の格差が地域間格差に表れているとの点について)突っ込んだ検討はしていない。関係者と鋭意検討」、「(給与構造「見直し」の)地域経済への影響は当然にある」などの答弁を人事院が行っています。
 これらの答弁も手がかりに、地域間格差の拡大や実績反映の給与制度強化をねらう給与構造「見直し」について、徹底した交渉協議を人事院にせまるたたかいと態勢づくりが必要です。当面、10月、11月を集中期間に呼びかけている県国公段階での「学習会」の成功を出発点にした地域共闘づくりが急がれています。

●国民過半数署名の推進を
  憲法改悪反対共同センター発足

 憲法改悪反対の運動を全国各地で前進させようと、全労連や全国商工団体連合会など6団体が結成を呼びかけた「憲法改悪反対共同センター」が、9月16日に発足しました。
 共同センターは、作家の大江健三郎さんらが発足させた「九条の会」の呼びかけに賛同し、網の目学習・宣伝行動や「国民過半数署名」のとりくみを推進・交流します。

●底上げ要求を運動の中心に
  青年協 第30回総会を開催


 国公労連青年協は9月11日から12日の2日間、静岡県・伊東市内で第30回定期総会を開催しました。11単組8県国公から、延べ95名が参加し、04年度運動方針や役員体制を確立しました。
 討論では、各組織の経験交流が行われるなかで、「新規採用者の意識の変化や、民間企業の総人件費抑制で『まだまし』論があり、怒りの結集が必要」(熊本県国公)、「初任給減や、1級では賃下げ幅の倍以上が賃下げされた03人勧で、新採の賃金要求が強まっている」(広島県国公)、「業務内容や人間関係に加えて、相談窓口がなくメンタル問題で悩む青年が多い」(全建労)などに議論が集中しました。
 今総会では、(1)国公青年交流集会を2月11日から13日に山形県で開催すること、(2)初任給や最低賃金などの「底上げ」要求を中心にとりくんでいくこと、(3)長時間労働是正など働き方の改善を求めていくこと、が確認・決定されました。

●いきいきと働く職場に
  女性協 第30回総会を開催

 9月25・26日、国公労連女性協第30回総会が14単組、3ブロック、18県国公の参加で開催されました。
 厳しい職場実態を克服する知恵を出し合い、力を合わせてたたかう04年度運動方針を決定しました。
 討議では、延べ26名から、職場で働くルールがないがしろにされ、健康破壊が進行している状況や、基本組織への女性の参画の問題など多岐にわたる発言がありました。
 処遇は、多くの職場で改善はされているものの、管理職への登用には課題が残されています。
 この1年、憲法を職場で語り、中心課題の育児を行う職員に対する施策をよりよいものにするために、職場全体で働き方、意識を含めて理解を深めること、健康を守るために婦人科ガン検診などの充実が必要であることも強調されました。
 また、他の職場の状況を知り横のつながりを深めることや、女性協の組織の大切さ、労働組合の果たす役割の大きさなども発言を通して確認されました。

●昇格闘争の前進を 10〜11月は強化期間

 ○人事院に要求書を提出

 国公労連は9月17日、人事院に「2005年度昇格改善要求書」を提出。昇格闘争を開始しました。
 要求書提出に際し、国公労連は、(1)定員削減が強まり、制度「改革」が相次ぐ下で組合員の処遇改善要求が高まっている、(2)給与の地域間格差拡大や「本府省手当」への人事院の言及などが、組合員の機関間格差への批判を高めている、ことなどを強調。要求に沿った級別定数改善を求めました。
 10月15日の女性・青年の人事院前行動、20日の中央行動、25日からの10日間に当局交渉や人事院への要求決議を集中することなど、国公労連は職場からの昇格闘争強化を呼びかけています。

 ○定数改定や昇格基準は交渉事項

 公務員制度「改革」や「給与構造の基本的見直し」などで、能力・実績主義が強調されています。だからこそ、差別・選別に反対する昇格闘争の強化が重要です。
 2001年11月20日の参院総務委員会で中島人事院総裁(当時)は「級別定数は勤務条件」と答弁しています(下記)。また、「行政措置の要求」(国公法第86条に基づき職員が、人事院に労働条件改善の措置を求めること)の対象には、「昇任・昇格の基準に関する事項」を含めています。
 労働組合が、級別定数改善や、昇格の基準の明確化を当局に迫ることは、現行制度でも、交渉権の範囲内です。
 労働条件に直接影響する事項はすべて交渉の対象、その当然のことを確認する意味でも、昇格闘争の強化が求められています。

 ※2001年11月20日・参議院総務委員会議事録(抄)
 ○宮本岳志議員(日本共産党) 「この級別定数というのは勤務条件に当たるのか」
 ●政府特別補佐人・中島忠能人事院総裁 「勤務条件ですね」

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