国公労新聞 第1180号

●マイナス勧告阻止
  最低賃金引き上げ−人事院前と厚労省前で官民一体−

 6月22日、今年の最低賃金の目安額を議論する中央最低賃金審議会の開催に合わせ、全労連・国民春闘共闘は、「最低賃金凍結・マイナス勧告は許さない!第2次最賃デー」を実施しました。公務労組連絡会は、「最賃デー」を大きく成功させるとともに、寒冷地手当改悪阻止、政府の「骨太方針2004」による国民犠牲の予算策定反対、国民のための行財政確立などを求めて第3次中央行動を行い、国公労連もこれに結集しました。台風一過で今年一番の猛暑のなか、全体で1000人(国公の仲間600人)が行動に参加しました。

 ○寒冷地手当の支給地域切り捨てやめよ!

 10時からは厚労省前の怒りのハンストに呼応し、人事院前で、「寒冷地手当の改悪阻止」「ブロック別賃金の導入反対」の要求を掲げて座り込み行動を16時まで行いました。公務労組は11時から地方代表による「寒冷地手当改悪反対」の要請行動を、国公労連は13時からブロック代表による連鎖交渉を3回(北海道、東北・北陸、関東・東海・近畿・中国)に分けて実施しました。昼休みには、人事院前・厚労省前で官民一体の要求行動、13時からは、人事院前をメインに「寒冷地手当改悪反対」の要求行動を行い、人事院に対し、支給地域大幅削減の提示への怒りをぶつけました。

 ○「ブロック別賃金」導入反対で内閣府に個人請願

 14時からは、総務省と財務省の二手に分かれて要求行動を実施。その後、国公労連の独自行動として、小泉首相の「ブロック別給与」発言に抗議し、「ルール無視の公務員給与への言及と、ブロック別給与の導入は行わないこと」との首相あて個人請願行動を、内閣府に対して行いました。
 請願行動に先立ち主催者を代表して、国公労連・山瀬副委員長が「このような政府首脳の発言をめぐる抗議行動は、梶山官房長官の『給与ベア凍結発言』で1997年の春と夏に、当時の総理府に対してとりくんで以来だ。徹底的に追及しよう」と怒りを込めてあいさつしました。行動説明の後、一人ひとりが内閣府の担当者に、抗議の訴えをしながら、200枚以上の請願書を整然と提出しました。
 請願行動と並行して、同様の主旨で経済財政諮問会議とも交渉を行い、政府が人事院に「地域における国家公務員給与の在り方」の検討と具体的措置の早急なとりまとめを「要請」する一方で、小泉首相自らがその具体的措置として、「ブロック別給与制度」の導入検討を内閣官房などに指示したとマスコミで報道されていることに抗議し、首相発言の撤回をせまりました。

●ILO勧告遵守 自民・公明の反対で請願不採択
  「国公権利裁判」支持署名の目標達成を

 04春闘段階から全労連規模でとりくまれ、国公労連もその目標達成に全力をあげてきた「ILO勧告にそった民主的公務員制度の確立を求める請願署名(ILO勧告遵守団体署名)」は、衆・参両院の全国会議員に要請した結果、すべての議員が紹介議員になってくれた共産党をはじめ全体で86名の紹介議員を獲得しました。
 そして、第159通常国会の最終日(6月16日)に衆・参両院の内閣委員会理事会でその取り扱いが審議されましたが、自民党と公明党の反対で請願は「不採択」になりました。
 団体署名の集約数は、全体で約1万1000団体となり、うち国公労連分は4609団体になりました。
 「ILO勧告遵守団体署名」は、請願が「不採択」となったものの、民主的公務員制度の確立を求める運動はこれからが本番です。その意味で、労働基本権(とりわけ労働協約締結権)制約の不当性と「減額調整(=不利益遡及)」の脱法行為性を問う「不利益遡及は許さない!国公権利裁判」の支持署名(2万団体目標、7月15日最終提出)の目標達成は、たたかいにはずみをつけるためにも重要です。

●参院選挙特集4〈ちひろ&健太TALK〉
  年金改悪を強行した自・公政治に審判を

健太 年金改悪法が成立したけど、どの世論調査でも8割近くの国民が「やり直し」を求めているね。
ちひろ 年金問題が、今度の参議院選挙(7月11日投票)の一番大きな争点にもなっているわ。
健太 自民党と公明党が「年金100年安心プラン」って大宣伝してたのにね。
ちひろ その中身は、年金の保険料はアップするけど「上限がある」、年金給付はダウンするけど現役世代の平均収入の「50%を確保」するというもの。この「二枚看板」があるから「100年安心」だと言ってたのよ。
健太 民主党も、自民党、公明党といっしょになって、衆院通過を前提に、「年金一元化」などに向けた協議機関設置と将来の消費税増税に道を開く「三党合意」をして、年金改悪法案を衆院通過させちゃった。
ちひろ ところが、「二枚看板」がウソとゴマカシだったことが参議院の審議でバレちゃうし、閣僚の年金未納・未加入問題は次々と出るし、小泉首相にいたっては、勤務実態がない会社から給料をもらい、厚生年金にも入ってたことを追及されて、「人生いろいろ」と開き直った。『朝日新聞』も社説で「国民の年金不信、政治不信が沸騰するなかで…世間離れしたその感覚に眉をひそめた」と書いたほどだわ。
健太 それで、国民世論の7割が「年金改悪法案の成立に反対」を表明したのに、参議院で野党の審議も打ち切って強行採決した。
ちひろ まだ後があって、強行採決の5日後、厚生労働省から03年の「合計特殊出生率」(一人の女性が生涯に産む子どもの平均数)が過去最低の1.29と発表されたの。強行した年金改悪法は、出生率が03年で1.32、もっとも低くなるとしてた07年でも1.30台という前提で将来の年金給付と保険料を試算して、2050年には、1.39まで回復するというシナリオだったのよ。
健太 とくに、今回の法案は、少子化を給付水準に直結させる「マクロ経済スライド」を導入したから、出生率は重要なポイントなんだよね。
ちひろ 政府は、年金改悪法の成立(6月5日)前の5月24日に、出生率がわかっていたのに、隠していたことを認めたわ。
健太 基礎的なデータさえ隠して採決を強行したこと自体、政府・与党のおごりで、許せないよ。
ちひろ 政治不信で選挙に関心ないなんて言ってられないわ。選挙で厳しい審判を下そうね。

 ★年金「改革」法の中身が国民はよくわからないようだが、私もわからないんだから当然だ。わかっても、わからなくても、私を支持するなら、痛みに耐えて耐えて耐え抜いていただきたい。そうすれば痛みに慣れます。勤務実態がないのに会社から給料をもらい、厚生年金にまで入っていたことをとやかく言う人がいるが、“人生いろいろ、会社もいろいろ、社員もいろいろ”です。年金の未納、未納と騒ぎすぎる。私たちはお金をもらうのには慣れているが、支払うのには慣れていないんだ。【国公労連第38回行(二)集会〉“来賓”の「小泉首相」=ザ・ニュースペーパーの松下アキラさんのあいさつより】

●第38回行(二)労働者全国集会ひらく

 国公労連は、6月15・16日の2日間にわたり、第38回行(二)労働者全国集会を都内で開催、10単組、97名が参加しました。
 集会は、堀口委員長のあいさつ、岸田書記次長の基調報告のあと、各単組から、行(二)職種の処遇改善のとりくみなどについての報告がなされました。
 続いての、ザ・ニュースペーパーのコントでは、小泉首相に扮した松下アキラさんが、「(年金は)中身がわからないと不安でしょうが、わかったらもっと不安になる」、「(多国籍軍派遣で)『憲法の枠内』というのは、憲法の『枠がない』ということだ」などと小泉首相そっくりの口調で時事問題を風刺し、参加者の爆笑を誘いました。
 2日目は、職種ごとに5つの分散会で、各職場の仕事の実態や昇格の状況などについて意見交流を行いました。参加者からは「他省庁の実態がよくわかった。自分の職場の状況が客観的に把握できた」などの意見が寄せられ、交流が深まりました。
 集会後、岸田書記次長を責任者に人事院交渉を実施し、15名の交渉団は、「部下数要件の撤廃や付加業務のカウントによる昇格の抜本改善」、「希望者全員の再任用」などを求めました。人事院側は職員福祉局の宮本参事官が対応し、「部下数要件の撤廃は困難」などとしつつも、「官民比較職種から行政職(二)をはずすことを検討、付加業務については人事院にあげてほしい」と回答しました。
 定員削減や不補充政策の影響等で年々減員している行(二)職種ですが、また来年の再会を誓い合いました。


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