国公労新聞 第1177号

●終盤国会緊迫
   年金改悪法案・有事関連法案NO!

 終盤国会(会期末6月16日)では、年金改悪法案と有事関連法案が、参議院段階に移り、政府・与党が、あくまで今国会成立をねらうなか、事態は緊迫しています。年金改悪法案をめぐっては、相次ぐ閣僚の未納・未加入にくわえて、あらたに坂口厚生労働大臣の年金未加入や、小泉首相の不明朗な厚生年金加入などの問題が噴出しています。こんな内閣が、私たちの年金給付をカットし、保険料をアップする法案を強行することなど断じて許せません。職場・地域から、宣伝・署名をさらに広げ、怒りの声を国会に集中しましょう。

●イラクで虐殺・拷問する米軍の支援なんてゴメンだ
  STOP!有事法案5.21集会に1万人

 自民・公明の与党と民主党は、5月20日の衆院本会議で、有事関連法案の採決を強行しました。その翌日の21日夜、陸・海・空・港湾労組20団体などが呼びかけた「自衛隊の即時撤退!STOP!有事法制 守ろう!平和といのち5.21大集会」が、明治公園で開かれ、1万人が参加しました。
 集会では、航空安全推進連絡会議の大野議長が、「有事関連法案は、『国民保護』の名目で、交通・運輸、土木、医療、自治体の労働者をアメリカの戦争に動員するもの。また、土地や家屋などの強制使用などを罰則付きで国民に強いることができる国民総動員法というべきもの。命を奪う戦争には協力しないという一点で力を合わせよう」と呼びかけました。
 法案の衆院通過にさいして、日本弁護士連合会の梶谷剛会長が「国・社会の根幹に関わる問題は徹底した国民的議論を尽くすという国民主権・民主主義の精神に著しく反する」という会長声明を発表するなど、批判の声が広がっています。

●共済年金
   年金改悪に連動→給付50%割れ、自動的切り下げ、連続する負担増

 ○国会審議抜きで自動的に共済年金の給付カット

 国家公務員共済組合法の一部「改正」法案が5月14日に、衆議院財務金融委員会で審議されました。この法案は厚生年金と同様に、「マクロ経済スライド」導入により、国家公務員共済年金の給付水準が今後国会審議抜きで自動的に引き下げられるなどの内容です。

 ○給付はすべての世帯で50%を割り込む

 佐々木憲昭議員(共産党)の「今回の法改正により年金の給付がどう変化するのか」との質問に対して、山本財務副大臣は、「夫40年間国家公務員、妻専業主婦で49.8%、共働きで39.1%、男性単身で38.0%、女性単身で40.4%の給付水準になる」と答弁しました。
 国共済の給付水準は厚生年金に準拠しますが、モデル世帯(夫40年間国家公務員で妻が専業主婦)でも当初から5割を割り込み、それ以外は3割、4割となり、すべての世帯で5割を割り込むことが明らかになりました。

 ○保険料負担は20%前後

 一方、保険料については、地方公務員との一元化もふまえ一定の前提で再計算すると、負担が20%前後となることが明らかになりました。
 具体的な保険料率は、従来どおり5年ごとの財政再計算で決定されますが、今後大幅な保険料引き上げが連続することになります。

 ○民主党は職域加算制度を厳しく非難

 また、佐々木議員は「公務員の年金が安心できる水準を確保するためにも、職域加算部分は維持すべき」と主張しました。
 政府側も「民間企業年金を考慮し、職務専念義務、兼業禁止、守秘義務など身分上の制約があるという公務員の特殊性を勘案したもの。公務の能率的な運営維持から制度の目的意義がある」「基礎年金に上乗せする公務員制度の一環としての共済制度」と一定の理解を示す見解を表明しました。
 しかし、2人の民主党議員は、「公務員優遇の年金制度、上乗せ制度」「なぜ維持しているのか、公務員の特殊性を考慮というが、公務員の身分は安定している。国が事業主として半分を税で負担している」と職域加算制度を厳しく非難しました。
 法案は、民主党と共産党の反対、自民、公明の賛成多数で委員会採択されました。

●最低賃金・人勧の改善を
  −−官民1000人が共同行動

 5月21日、公務労組連絡会は、全労連の「最賃デー」にリンクして中央行動にとりくみ、公務・民間の仲間1000人が参加しました。行動では、最低賃金の引き上げ、公務員賃金の改善を求めて、公務・民間が一体となった厚生労働省・人事院への要求行動とともに、寒冷地手当改悪に反対する人事院前の要求行動を展開しました。バスを借り切って上京した20名の宮城の仲間とともに“怒りの雪だるま”も参加し、人事院へ要求をぶつけました。

●「不利益遡及」の不当性を証言
  満席の大法廷で国公権利裁判第9回口頭弁論

 国公権利裁判の第9回口頭弁論が、5月20日午後1時30分から、東京地裁第103号法廷で開かれ、116名(原告44名、弁護団5名、傍聴67名)の参加で大法廷が満席となりました。
 これに先立つ宣伝行動には、台風の影響による雨天にもかかわらず、原告団44名と各単組・ブロック国公代表など約150名が参加し、公務労組連絡会・石元議長の激励に元気づけられながら、裁判への支援と支持を呼びかけました。

 ○政府・人事院の不誠実な対応を告発

 裁判では、まず小田川書記長が02年の春闘期から給与法成立までの政府・人事院の不誠実な交渉対応や12月期末手当での「減額調整=不利益遡及」の違法性、影響の大きさ、国公労働者の怒りの声などを1時間にわたり証言しました。

 ○連年の賃下げによる生活悪化を訴える

 続いて、原告の滝口さん(近畿ブロック議長・全運輸)が、子ども3人を持つ国公労働者として証言しました。5年連続の年収マイナス、2年連続の本俸削減により、食費や交際費を節約し、住宅改修を断念したなど厳しい生活の様子を訴えました。また、自ら運送業者を行政指導している立場から、不利益遡及という国の脱法行為について、「国自身がルールを破って(役所が)民間を指導できるのか」と強調しました。

 ○国公青年労働者の厳しい実態を訴える

 最後に証言した原告の金田さん(全国税)は、国公青年労働者の生活と仕事の厳しさを訴えました。また、サービス残業が蔓延する職場の実態を告発するとともに、全国税に加入した経緯を証言し、最後に裁判長に対して「日本の司法ここにあり、との判決をぜひお願いします」と発言して、法廷を湧かせました。
 裁判終了後、意思統一集会(第2回原告団会議)を開催しました。ここには全労連・熊谷議長が激励に駆けつけました。
 会議では、裁判勝利と民主的公務員制度確立に向けて、2つの団体署名「ILO勧告遵守署名」と「国公権利裁判支持署名」の目標完遂の先頭に立つことを確認しました。

 ◇権利裁判の証言台に立って 全国税・金田明幸さん(最年少の原告)

 大森先生との打合せで発言を整理して法廷に臨みました。法廷に入るまでは緊張のあまり帰りたかったのですが、マイクの前に座ったら、もうやるしかないと思い、なるべく大きな声で発言しました。滝口さんから手に『人』の字を書いて飲むといい、これは飲み過ぎても大丈夫だからと言われ、緊張がほぐれました。今回でこれまでの整理ができたので、あとは判決までしっかりたたかいます。

 ◇次回権利裁判の予定
  7月15日午後1時30分
   意見陳述(原告代表2名)及び最終弁論(結審)



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