国公労新聞 第1163号

●生活破壊を許さないたたかいへ
  すべての組合員が地域に打って出よう

  −−国公労連第118回拡大中央委員会で04春闘方針決定−−

 国公労連は、12月12・13日、第118回拡大中央委員会を開催して、04春闘方針を満場一致で決定し、「許すな!雇用・賃金・年金破壊、守ろう!平和と憲法」を合言葉に全国の職場・地域で意気高くたたかいぬく決意を固め合いました。

 拡大中央委員会の冒頭、堀口委員長があいさつに立ち、「いま、この国の進路や国民生活をめぐって、私たちは重大な歴史の岐路にたっている」と述べ、次の点を強調しました。
(1) 平和憲法を守り、その理念を暮らし、職場、行政に生かす方向と、これに逆行する方向との岐路にある。平和憲法擁護・改悪反対の運動に全力をあげよう。
(2) 小泉内閣は9日、自衛隊をイラクに派遣する基本計画を閣議決定した。これは、憲法9条を根本から踏みにじるものであり、イラク全土が戦争状態といわれるもとで、「戦闘地域には自衛隊を送らない」とするイラク特措法にも反する暴挙だ。「イラク派兵許すな、憲法9条を守れ」の運動に、全国の仲間が立ち上がろう。
(3) 政府は年金改悪と、財源確保を名目に消費税の増税を狙っている。04春闘の最重要課題である年金改悪反対闘争は、この国の予算のしくみや財政、税制のあり方を国民本位に転換するたたかいだ。
(4) 国立病院の賃金職員の雇用確保・継承を求める運動は、重要な局面を迎える。厚労省は、夜勤可能な看護師を正職員とする一方、その他の職員は賃金が大幅に低下するパート化・委託化という不当な提案を行い、管理運営事項を理由にまともな協議を行わない態度をとり続けている。このたたかいは、国公の職場に働くすべての仲間の共通の課題であり、組織改編にともなう雇用不安、労働条件の低下は断じて許さない、との立場で引き続き奮闘しよう。
(5) 「公務員制度改革」で、政府は推進事務局の体制を一新し、通常国会にむけた作業をすすめているが、その内容は労働基本権の制約を維持し「大綱」の具体化をすすめるというものであり、いっそうの運動強化が必要だ。
(6) サービス残業の解消と働くルールの確立、雇用の確保とリストラの規制など、大企業の民主的規制をはかり、大企業の社会的責任をただそう。
(7) 雇用労働者の3分の1近くになった不安定労働者層の劣悪な労働条件の改善なしには、私たちの労働条件改善もありえない。最低賃金引き上げ、底上げ要求をめざすたたかいは、私たち自身の要求であることを確認し、その立場から非常勤職員・相談員などの要求前進・組織化をめざそう。
(8) 賃下げ悪循環をストップすること。また、人事院がすすめようとしている賃金制度の見直しは、業績主義強化と全体水準の低位平準化にその狙いがあることは明らかだ。職場からの使用者責任追及を強め、地域からの共闘を広げよう。


 ○国民共同のたたかいの先頭に立とう

 討論では、「年金改悪反対署名の目標である組合員一人10筆を早期に必ず達成して、国民的世論の構築をはかる必要がある」(全通信)、「この2カ月あまりで100件を超える年金講師団活動を展開し、3000人が学習会に参加している。マスコミを通じて年金危機論≠ェふりまかれているが、政府の失政であるという本質暴露と今回の改悪内容を広く国民に知らせる必要がある。年金闘争の先頭に立ちたい」(全厚生)、「年金改悪と消費税増税に反対するたたかいを最重要課題とし、全国オルグも行い、4・15の『休暇行動』に最大結集する」(全運輸)「地域春闘討論集会では、必ず年金学習をセットで行い、年金闘争の強化をはかり、県国公独自の地域宣伝行動で県下全地域を制覇したい」(岐阜県国公)など、年金大改悪に反対する国民共同のたたかいの先頭に立つ決意をはじめとして、04春闘方針を補強する発言が多く出されました。

 ○年金闘争を軸に国民の中へ

 小田川書記長は、総括答弁で次の点を強調しました。
(1) 年金闘争を軸に国民の中へ、国民とともに≠キべての組合員の参加でたたかう04春闘を展開していくことが確認できた。
(2) 年金闘争の行動の軸は、2月25日と4月15日の全国統一行動だ。2月25日はこの日を中心とするゾーンで、全組合員参加の地域宣伝・署名行動を展開する。この行動をバネに、4月15日に向けた組合員1割の休暇動員と全組合員結集の行動展開をはかっていく。
(3) 賃下げ攻撃を阻止するため、最低賃金の引き上げ、賃金底上げの要求を全労働者のものとすることが重要だ。そして、国民包囲で大企業に社会的責任を果たさせよう。
(4) 人事院による俸給表構造の見直しは、全国すべての職場での賃下げの可能性を持つ。その突破口として寒冷地手当を先行させている。この点をふまえながら民間準拠、寒冷生計増嵩費だけでの検討は問題ありという立場から改悪反対のとりくみを進める。
(5) 国立病院の賃金職員の雇用継続を求める全国のたたかいが報告された。引き続き大学法人化の問題も含め、奮闘しよう。

 拡大中央委員会では、04春闘方針を満場一致で採択したほか、04春闘アピール、自衛隊のイラク派兵に反対する決議、賃金職員の「雇い止め方策」撤回を求める決議を確認しました。(諸決議は国公労連のホームページに掲載しています。アドレスは上記新聞奥付を参照ください。)
 来賓の全労連・西川征矢副議長、公務労組連絡会・若井雅明事務局長、日本共産党・吉井英勝衆議院議員からは、国公労連への熱い期待が寄せられました。



●平均12,000円(3.2%)引上げ提案
  −−国公労連04春闘統一要求(案)の職場討議を−−


 国公労連の「2004年春闘統一要求」は、1月31日に開催される第119回中央委員会で決定されます。平均1万2000円(3.2%)の賃上げをはじめとする春闘統一要求(案)の積極的な職場討議を呼びかけます。

 ○要求アンケートの特徴

 2004年春闘にむけてとりくんだ「生活と労働の実態に関わる要求アンケート」(5万259名分を集約)の結果では、約7割が「生活が苦しい」と回答し、昨年と同様の傾向となっています。
 また、「賃金要求額」も昨年同様、1万円がもっとも多くなっています。
 このアンケート結果をもとに、一人ひとりの賃金要求を「最大公約」し、6割以上の多数の仲間が結集できると考えられる「3分の2ライン」に着目して、本俸の「平均1万2000円(3.2%)」の賃金引き上げ要求を提起しています。
 なお、「賃金を決定する要素」についての回答は、「職務の内容や責任」(58.2%)、「生計費」(44.6%)、「年齢や勤続年数」(43.2%)の回答状況となっています。質問項目を昨年と変えていることから、単純な比較はできませんが、傾向的には昨年と変わっていません。
 また、「賃金闘争前進の課題」については、「人事院との交渉強化」(38.0%)、「公務と民間一体のたたかい」(32.6%)、「政府・当局の使用者責任追及」(29.0%)となっており、たたかい方にかかわる「意見」も、昨年と大勢は変わっていません。
 さらに、「政府に対する制度要求」では、「年金」(59.0%)、「雇用」(38.2%)、「消費税」(36.7%)となっています。「最低賃金の引き上げ」は21.8%と低い回答率にとどまっていますが、20歳代では43.8%と年金と同率の回答状況となっています。

 ○初任給重視の改善要求

 賃金体系については、初任給の改善を前提に、生計費及び経験・勤続など専門性の向上に応じた賃金水準確保にむけた配分と賃金カーブとするよう要求します。
 国公労連は、初任給重視の立場から、アンケート結果にあらわれた20歳代の要求傾向にも注目して、初任給改善要求をかかげ、高卒初任給(1―3)1万6200円(11.7%)と大卒初任給(2―2)1万4300円(8.4%)の賃上げを求めています。
 全労連は、「誰でも1万円以上の賃上げ」を掲げ、産別運動と連動して「賃下げ阻止、賃金底上げ」のたたかいを地域を軸に展開することを提起しています。
 政府は、公務員賃金の引き下げ攻撃を強め、水準のみならず手当や賃金体系にもふみこむ「民間準拠」論を強調し、とりわけ地場賃金と公務員賃金との格差反映を当面の焦点に、その「是正」を迫る攻撃をあらゆる手法で強めています。同時に、人事院は、年功賃金体系を「見直し」、能力・実績反映の賃金制度への「転換」をねらう、「俸給表構造見直し」をすすめようとしています。
 民間大企業を中心に加速している賃金体系・制度「見直し」への「準拠」をめぐる問題は、公務員賃金闘争の最大課題となっています。「公務員制度改革」ともかかわって、能力・実績反映の賃金、人事管理制度、あらたな評価制度とのたたかい強化が重要になっています。


●04年春闘統一要求(案)

1. 賃金水準改善
国公労働者の賃金を平均12,000円(3.2%)引き上げること。
2. 賃金底上げ要求
1) 高卒初任給(1-3)を155,000円に、大卒初任給(2-2)を185,000円に引き上げ、官民の初任給格差を縮小すること。
2) 選考採用者、非常勤職員の最低賃金を月額相当150,000円(時給1,000円、日給7,500円)以上に引き上げること。
また、非常勤職員の最低賃金額を設けること。
3. 賃金体系にかかわる主要な要求
1) 賃金体系について、初任給引き上げを前提に、世帯形成に伴う生計費の増大や、経験・勤続(専門性向上要素)に応じた体系を維持すること。そのことから、行政職(一)表での俸給体系の目安となる級号俸の本俸改善を以下のとおり求める。
《モデル賃金要求額》
モデル年齢 本俸引き上げ要求額 引き上げ要求率 本俸改善要求額 備考
18歳 16,200円 11.7% 155,000円 1−3
22歳 14,300円 8.4% 185,000円 2−2
35歳 10,300円 3.7% 287,900円 4−8
45歳 11,300円 3.0% 386,100円 6−14
2) 賃金原資の配分(俸給表及び諸手当)については、国公労連との協議と合意にもとづきおこなうこと。
4. 一時金要求
一時金支給月数の引き上げをはかること。勤勉手当を廃止し、期末手当に統合するとともに、役職別傾斜支給、管理職加算はやめること。
5. 給与制度の見直し
1) 賃金引き下げや能力・業績給強化につながる給与制度、俸給表構造の見直しを一方的におこなわないこと。 本俸と諸手当の配分比率や定期昇給制度の改悪をおこなわないこと。
2) 「中央と地方」及び「本府省と出先機関」の格差を拡大しないこと。 「同一労働同一賃金」の原則にもとづく全国共通の賃金制度を堅持すること。当面の課題である寒冷地手当については、「支給地域」や「支給額」の見直し・改悪を一方的におこなわないこと。
6. 評価制度
賃金への直接的な反映を目的とする人事評価制度は導入しないこと。評価制度の「試行」を一方的に強行せず、国公労連との交渉・協議を尽くすこと。
7. 働くルールにかかわる要求
1) 厚生労働省通達に準じた勤務時間管理の徹底と要員確保により、超過勤務を大幅に縮減し、ただ働き残業を根絶すること。そのための労働者代表が参加した「対策委員会」を設置すること。勤務時間管理が不十分な状況下での裁量労働制やフレックス・タイムの適用拡大などは断じておこなわないこと。
2) 男女共同参画社会の実現にむけて、各省が作成した「女性職員の採用・登用の拡大計画」に数値目標を明示させるなど実効あるものとすること。
3) 非常勤職員制度を抜本的に見直し、一般的な非常勤職員については労働基準法等に準じた「解雇規制要件」などの規定を早急に措置するとともに、均等待遇の実現をめざした諸規定の整備をはかること。
4) 育児休業期間中の所得保障の充実、共済掛金の免除、取得方法の改善など育児休業制度の見直しを進めること。
5) 再任用者は、定員の枠外とし、希望者全員の雇用や配置を可能とするなど、雇用と年金の連携を目的とする運用が可能となる改善をおこなうこと。
また、65歳定年制を検討すること。
8. 公務員制度改革「大綱」を撤回し、民主的公務員制度の確立にむけた検討をおこなうこと。ILO勧告にそって、公務員労働者の労働基本権回復にむけた交渉・協議をおこなうこと。
9. 年金掛金の引き上げ、給付額の引き下げは断じておこなわないこと。報酬比例部分、職域年金部分をあわせた公務員制度としての退職年金制度を維持すること。


●国公一般を結成

 国公労連は12月14日、東京・霞が関の本省庁等の職場に働く一般職国家公務員(正規・非正規を問わず)を当面の対象として、一人でも加入できる労働組合、国家公務員一般労働組合(略称、国公一般)を結成しました。
 結成された国公一般は、規約・運動方針にもとづき、労働条件の改善と職場・行政の民主化をめざすとりくみを、本省・霞が関の職場実態に即して展開することを運動の基本に、(1)長時間過密労働解消・ただ働き残業根絶、均等待遇実現など働くルール確立、(2)キャリア特権制度・「天下り」撤廃など民主的な職場と公務員制度の実現、(3)賃金改善、諸手当の改悪阻止、枠外解消など昇格改善、(4)非常勤職員の一方的「雇い止め」阻止、労働条件改善などを重点要求課題に掲げています。
 国公一般は、国公労連と各単組が一体で運動を推進していくために、役員も各本部役員が兼務しています。


●賃金職員の雇用を守れ!寒風のなか座り込み

 12月17〜19日、厚生労働省前で国立病院の賃金職員雇い止め阻止座り込み行動がとりくまれ、寒風にも負けず3日間でのべ750人が参加しました。



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