国公労新聞 第1152号

●史上最悪のマイナス勧告 −−職場の怒りを秋のたたかいへ−−

 8月8日の人事院勧告は、平均年収で163,000円(2.6%)もの賃下げ実施をもとめる史上最悪の内容でした。しかも、昨年より0.25月カットの2.15月となる12月の一時金から、不利益遡及分(平均約41,000円)を「調整減額」するという「脱法行為」もあわせて勧告しました。「賃下げのサイクル」への怒りを行動で示すことが必要です。

 勧告実施で、一般会計分だけで約2,310億円もの人件費削減になると言われています。
 賃下げの「悪魔のサイクル」が不況を一層深刻にする構図は、このことでも明らかです。
 それだけではありません。政府・財務省は、マイナス勧告を待っていたかのように、物価下落分に消費の減少分を加えた4%もの年金額の一律削減を主張しはじめました。勧告を、高齢者いじめの突破口にしようというのです。

○「給与法改定反対」で政府追及を強化
 国公労連は8日、政府・総務省に対し、「勧告に基づく給与法改定に反対」する要求書を提出しました。
 その交渉では、「組合員の切実な要求と公務員賃金の社会的影響力などから、余りにも過大な賃下げを受けいれることはできない」と主張しました。

○ただ働き残業は放置、賃下げは強行
 また、勧告の問題点として、
(1)官民逆較差1.07%は、春闘結果などの民間給与実態からしても過大
(2)「調整措置」の方法をいかに変えようと、4月に遡って賃下げをおこなうことは不利益遡及以外の何ものでもない
(3)異動保障の「見直し」にもみられる配分問題への政治介入は、労働基本権を侵害するもので、政府が毅然として対処すべき
(4)長時間過密労働や、ただ働き残業は放置し続けながら、賃下げだけを行うということでは使用者責任の放棄
との4点を指摘し、説明責任を果たさないまま、勧告の取り扱い決定をしないよう、強く申し入れました。

○政府・総務省は「勧告尊重」を強調
 政府・総務省は、不当にも「勧告尊重の基本原則は堅持」と従来の姿勢を改めて強調しました。
 そればかりか、小泉首相が早々と「勧告完全実施」に言及したとの報道も行われています。
 「人勧で労働意欲を失いそう」など、多くの怒りの声が国公労連に寄せられています。
 国公労連は、当局への要求書提出、上申行動、総務省への決議文送付など、職場の怒りの大きさを政府に示すとりくみの集中を指示しています。

●地方から怒りの緊急抗議集会

○【北海道国公発】−−勧告完全実施阻止しよう−−
 北海道国公は8月12日の人勧説明会の後、道労連・道公務共闘との共催で昼休み抗議行動を行い、約150名が参加しました。
 佐藤道国公議長は、「03年勧告は制度史上最悪のものであり、断じて受けいれられるものではない」と、いつにもまして熱い口調で訴えました。途中から雨が降り出しましたが、一人として帰る人はなく、「団結してがんばろう」と、人勧完全実施阻止を官民で確認しあいました。

○【九州ブロック国公発】−−断ち切れ!悪魔のサイクル−−
 国公九ブロは8月12日、「8・12緊急抗議集会」を福岡第一合同庁舎前にある中比恵公園で開催し、緊急にもかかわらず、約120名が結集しました。
 集会には、全労連九州ブロックの久間事務局長が駆けつけ、「官民共同のたたかいでマイナス人勧をはね返し、賃金の『悪魔のサイクル』を断ち切ろう」と激励を受けました。そして、人事院に対して抗議のシュプレヒコールを鳴り響かせました。
 集会終了後、国公九ブロ役員が人事院九州事務局に出向き、人事院へ抗議するとともに、報告でふれられた具体化にあたっては労働組合と十分な協議を行い「地域給」を導入しないことを訴える要請書を提出しました。

●核兵器も戦争もない世界を −−被爆60周年に向け「新署名」を推進−−
  原水爆禁止世界大会ひらく


 台風が接近するなか、原水爆禁止2003年世界大会は、8月3〜9日、「いまこそ核兵器も戦争もない平和な世界を」をメインスローガンに、広島・長崎で開かれました。
 国際会議(3〜5日)では、各国の代表から、核兵器廃絶が世界平和の焦眉の課題となっていることや、日本政府は反核・平和を求める世界の声に応えるべきなどの発言が相次ぎました。

○秋葉・広島市長が核兵器廃絶を訴える
 6日に行われた世界大会広島総会では、広島市の秋葉忠利市長が特別講演し、「憎しみの連鎖を断ち切り和解の道を選んだ被爆者のメッセージに耳を傾けよう。(核兵器廃絶に向け)私たち一人ひとりが強い意志を持ち、今日を新たな決意の出発点としよう」と呼びかけました。
 また、約3カ月にわたり全国で多くの仲間が参加した平和行進は、広島県国公の仲間がアンカーを務め、終結しました。

○参加者の6割が未来になう青年
 今年のメイン会場となった長崎総会(7〜9日)は、7300人の参加者で大きく盛り上がりました。参加者の約6割が青年だったことも、この運動の未来に希望の光を与えていました。
 総会では、世界各国の「ヒバクシャ」からの連帯のあいさつや、原爆症認定訴訟への支援の訴え、全国各地での活動報告などがなされました。
 そして2005年の被爆60周年に向けた新たな署名活動の提起などを、満場の拍手で採択しました。
 8日には12の分科会と、夜は青年の「ピース・ジャム」と「女性のつどい」が行われました。
 女性のつどいでは、全医労副委員長の淀房子さんが「国立病院賃金職員の雇い止めを許さないため、署名への協力を」と強く訴えました。

○国公労働者平和のつどい、全国の仲間が交流深める
 長崎県国公と国公労連は8月8日、長崎市内で「国公労働者平和のつどい」を開催し、全国から45人が参加しました。
 同日だされた03年人勧の概要が報告された後、各参加者から、世界大会の感想や、有事法制が発動されれば戦争遂行に露骨に組み込まれる職場の問題点などが率直に出されました。
 世界大会に初めて参加した青年からは「平和について、考えるだけでなく、行動することが大切だと実感した」と感想が述べられました。職場1年目の青年をはじめ若い参加者が多く、賑やかに交流を深めました。

○青年の分科会 「被爆者の心の傷を見た」、平和の大切さを討論
 青年は8月8日、初めてフィールドワーク形式による分科会に挑戦しました。
 3コースに分かれ、被爆者訪問、原爆遺構めぐり、原爆資料館見学を実施しました。
 その後、各コースの班ごとにグループ討論を行いました。
 討論では、「自分が助かるために他人を見捨てたことが未だに忘れられない、と語る被爆者の心の傷を見た」、「被爆体験を聞ける最後の世代、僕らには核の恐ろしさを伝えていく責任がある」などの意見が出されたほか、米国から参加した青年は、「平和が欲しければ拳を上げよう」と歌に込めて訴えました。
 最後に「平和な世界を青年の力でつくろう」と大きく確認し、「世界に一つだけの花」を大合唱して、分科会をしめくくりました。

●単組定期大会の概要

○全司法 −−司法制度改革と組織拡大強化を−−
 7月21〜24日 滋賀県長浜市
 全司法第60回定期大会は、賃下げの悪循環阻止、民主的公務員制度の確立、国民のための司法制度改革を支える人的・物的充実、サービス残業解消・健康維持をめざし、職場・地域で「対話と共同」を積極的に推進する方針を決定。また、「困っている人を助け、明るく楽しく元気よく」を合言葉に、組織拡大・強化の3カ年計画である「全司法ジャンプ・オペレーション計画(JOプラン)」を全支部で具体化し、増勢に転じる決意を固めあいました。

○大会で選出された四役
 委員長・布川 実(再)
 副委員長・石橋良一(再)
 坊農正章(新)
 書記長・鶴田英克(再)
 書記次長・藤原昌和(再)

●読者のひろば

○今年もマイナス勧告、早く景気良くなって  全法務鹿児島支部本局分会の方から
 今年もまたマイナス勧告で、5年連続年収減。景気が早く良くなって欲しい! 

○労働基本権の回復で団体交渉めざそう  全気象関西地本大阪分会の方から
 人勧マイナス納得いかん!人事院はすでに労働基本権制約の「代償機関」ではなくなった。労働基本権の回復で、団体交渉をめざし、民間(世論)との協力がますます重要になってきた。

○こんな仕打ち受け、もっと働けと?  全労働岩手支部久慈職安分会の方から
 怒りよりも情けなさの方が先にたって気力が失せてしまいそうです。こんなに仕打ちを受けても、もっともっと働けと言う。人事院総裁が職場に来て職員とその家族に納得のいくような説明をしてほしいものだ。

○給料は減ったけど元気だけでも一杯に  全司法福島支部白河分会の方から
 またマイナス勧告……。給料も減って、こづかいも減って、笑顔も減るのか……。元気だけでも一杯にしとこうか!


●国公労調査時報 9月号(広告)−

◆自治と自由〜評価と規制
  評価と競争的資金−科学技術政策のツールを考える
   東京大学農学部教授 小林 正彦
◆賃金闘争の現状と課題〜争点の変化を受けて
   労働運動総合研究所常任理事 金田豊
◆激動する国際物流と税関行政
   全税関中央執行副委員長 宮応 勝幸
◆国公労連第2回非常勤職員交流集会への報告
◆解説・国家公務員の長期病休者実態調査結果について
                   

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