国公労新聞 第1150号

●マイナス勧告阻止に向け全力 −−人事院2年連続の俸給引き下げを示唆−−

 8月上旬の人事院勧告を目前に、国公労連は要求実現めざし、人事院交渉を積み上げています。7月18日には地域給研究会の「基本報告」が出されるなど、勧告をとりまく情勢は緊迫してきています。
 マイナス勧告を断じて許さず、職場・地域からの運動の強化が求められています。


 7月22日の交渉で、人事院の鈴木職員団体審議官は、官民較差について「民間給与は昨年同様厳しい。現段階では手当だけでは消化しきれない」と2年連続の俸給引き下げを示唆しました。
 一時金では、「昨年よりかなり厳しい月数削減は避けられない」と言及、また、期末と勤勉の割り振りについても問題意識を表明しました。
 それに対し、国公労連は、「昨年は比較方法変更で大きな較差が出た。人事院が本日公表した民間給与実態調査の速報結果でもベースダウンした事業所は3・6%と、賃金カットはできるだけ避けているのが実態。情勢適応というなら、こうした事実も判断材料にすべき」「官民較差による勧告だけでは、代償機関としての人事院の役割は果たせない。上げる時と下げる時では情勢適応のやり方も異なるはずだ」と追及しました。
 不利益遡及問題について、国公労連が「年間で均衡を図るという場合、一人ひとりでなく総額原資でやる方法もありうる。去年のやり方は脱法行為だ」と人事院に迫ったのに対し、人事院は、「昨年のやり方は年間均衡の一つの方法。国会の付帯決議もありいろいろな可能性を検討するが、最後は全体としての妥当性・合理性の判断が必要」との回答にとどまりました。
 3手当【調整手当異動保障、住居手当(持ち家)、通勤手当支給方法】については、「引き続き検討中」との現況を説明。また、扶養手当の削減の可能性も表明しました。

●「地域差」口実に新たな手当検討 −−地域給研究会の「基本報告」−−

 7月18日に出された「地域に勤務する公務員の給与に関する研究会」の「基本報告」については、人事院としての方向性などを人事院勧告時の「報告」でふれることを明言。
 これを受けて国公労連は、「具体的施策展開は、組合の意見を聞いたうえで行うべき」と主張しました。
 なお、国公労連は同日、「『報告』のねらいが、俸給表水準の引き下げと地域格差の反映、昇給制度の再検討、職責や業績重視などを口実にして企画立案部門の優遇と地方の切り捨てにあることは明らか」との書記長談話を発表しました。

◇◇「地域に勤務する公務員の給与に関する研究会」基本報告・主な提言(要旨)◇◇
1 公務員の給与水準を民間準拠方式により決定することは妥当であるが、民間企業における人事・組織形態の変化に応じた調査・比較方法の見直しは必要
2 現在の公務員給与の地域差は不十分、今まで以上に地域の民間給与等を反映させることが必要
3 俸給等を引き下げることも念頭に置いて、支給地域、支給割合等を基本的に見直した、調整手当にかわる新たな地域手当を導入
4 転勤により給与額が下がる場合には一定期間、逓減型の転勤手当(仮称)を支給
5 給与カーブのフラット化や昇給制度の在り方の見直し、職務に応じた処遇の徹底、ボーナスの成績査定分の拡大等が必要

●断ち切れ!賃下げ悪循環  −−全国の仲間が人事院を包囲 −−

 官民共同でマイナス勧告と「賃下げの悪循環」を阻止するため、人事院事務局所在地域を中心とする「一日総行動」や、地方公務産別規模の人事院包囲行動が各ブロックで展開され、共同が大きく広がっています。

【北海道国公発】 賃下げ・イラク派兵反対!
 7月22日、「退庁時人事院前行動」を北海道公務共闘・春闘共闘が展開し、札幌第三合同庁舎前に160名が結集。「賃下げの悪循環を断ち切ろう!」と札幌市中心街を元気にデモ行進。有事法制連絡会の集会参加者も合流し、共同の輪を広げました。

【愛知県国公発】 愛知官民500人が人事院を包囲、座り込みもがんばった!
 愛知県国公は7月15・16日、公務共闘、愛労連と共同で「人事院中部事務局包囲行動」を実施。人事院前座りこみ行動では両日とも100人を超え、15日には国公北陸地協の仲間が民間も含めて25名で駆けつけました。
 16日の昼休み決起集会とデモには官民の仲間500人で大きく人事院を包囲。全港湾、国労などの民間の仲間も駆けつけ、官庁街に「マイナス人勧は許さない」の声がこだましました。

【中国ブロック国公発】 人勧の社会的影響を訴える
 7月24日、5月のキャラバンで結成された広島公務労組連絡会が「昼休み合同庁舎包囲デモ」を実施し、300人の公務・民間労組の仲間が結集。午後からは中国ブロック国公で人事院中国事務局交渉を実施し、「人勧の社会的影響を認識せよ」などと強く訴えました。

●イラク特措法案 −−強行採決許すな−−

 全土で戦闘が続くイラクへ自衛隊を派兵し、米英の軍事占領に加担するイラク特措法案を、政府・与党は、今通常国会で成立させようとしています。
 また、政府・与党は9月の臨時国会で、テロ特措法の期間延長を狙っており、戦争する国づくりを阻止するたたかいが重要となっています。
 「イラク特措法を廃案に」の声は、労組、NGO、ジャーナリスト、研究者など全国で反対運動のうねりが大きく広がっています。イラク特措法案は廃案以外に道はありません。

●国は「減額特例措置は適法」を主張 −−国公権利裁判、第3回弁論−−

 「不利益遡及は許さない!国公権利裁判」の第3回口頭弁論が、7月17日東京地方裁判所で開かれました。当日は、札幌、仙台、名古屋、大阪など各地からの原告団9名、各ブロック国公代表者や各単組の参加者など、全体で80名を超える参加者が集まり、裁判所前での昼休み宣伝行動を行いました。
 昼休みの東京地方裁判所周辺での宣伝行動では、「ルール破りは許されない!」と原告らが訴えました。
 裁判では、被告国側は準備書面のなかで、「(不利益遡及の)本件特例措置は何ら違憲・違法ではない」「原告らの請求には理由がないから、速やかに棄却されるべき」と、全面的に争う姿勢を明確にしました。

〇国は不利益遡及を認めるのか?
 これに対し、弁護団の加藤弁護士が「国としては、公務員に対しても、判例どおり、不利益遡及は許されないと考えるのか。それとも、判例は民間を前提としているもので関係ない、立法で認められると考えるのか、明らかにされたい」と釈明を求めたところ、指定代理人は、「検討して回答する」と回答するにとどまっています。
 裁判終了後には報告集会と連続学習会(第2回)を開催し、職場からのたたかいをいっそう強化していくことを確認しました。

〇今後の予定
第4回 9月11日 午前10:30
  原告側が被告第1準備書面に  対する反論
第5回 11月6日 午前10:30
  被告第2準備書面の陳述


●最低賃金、2年連続「据え置き」−−引き上げ求める声を踏みにじる「ゼロ」答申−−

 厚生労働省の諮問機関である「中央最低賃金審議会」は7月24日、労働者の地域別最低賃金の目安について、今年度も「据え置く」と答申しました。
 現行の最低賃金では、最も高い東京の場合でも「時給708円」であり、1日8時間働いてもまともな生活ができない低水準となっています。
 当日の昼休みには、全労連などが厚生労働省前で要求行動を実施(写真右)し、最低賃金を「だれでも、どこでも時給1000円以上」の実現を強く求めました。

●核兵器廃絶で平和な未来を

【熊本県国公発】
 熊本県内での平和行進は、7月11日に鹿児島県から熊本県に入り、23日に福岡県へ引き継ぎました。
 県内全9区間での行進は、梅雨明け前で天候が心配でしたが、組合員の平和への想いが伝わったのか雨の日は少なく、歩くにはちょうどよい気候のなか、「核兵器廃絶で平和な未来を」とアピールしました。


●単組定期大会の概要

〇全医労 −−賃金職員の「雇い止め」断固阻止−−
 7月10〜12日 静岡県熱海市
 全医労(全日本国立医療労働組合)第57回定期大会は、2004年4月1日からの独立行政法人への移行という歴史的転換点を目前に控え、人減らしや「合理化」が強行されるなか、賃金職員の「雇用継承」を最重点課題とし、二交代制勤務の中止など「働くルール」を確立し、国立医療の未来を切り開くため、全国から総決起する決意を固めあいました。
○大会で選出された四役
 委員長・保木井秀雄(再)、副委員長・渡辺伸仁(再)、淀房子(再)、書記長・北川寿博(再)、書記次長・香月直之(再)

〇国共病組 −−連合会病院の再編「合理化」に反対−−
 7月13〜15日 愛知県豊橋市
 国共病組(国家公務員共済組合連合会病院労働組合)の第41回定期全国大会は、小泉内閣の医療・福祉の解体、戦争への道などの悪政を阻止するたたかいが重要であることを確認し、患者の権利を守り、国民とともに医療・介護、社会保障の充実をめざすとともに、パート職員の組織化など組織拡大のとりくみに全力をあげるとした運動方針を満場一致で決定しました。
○大会で選出された四役
 委員長・鈴木一之(再)、副委員長・中島朝和(再)、村上映子(再)、吉川はま子(再)、書記長・中島良子(再)、書記次長・鈴木好治(再)


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