国公労新聞 第1146号

●全国キャラバン行動の成功をバネに対話と共同を広げよう

 国公労連は6月6日、全労連・公務労組連絡会に結集して、全国キャラバン行動の集結集会もかねた03夏期闘争第1次中央行動を実施し、行動には500名が参加しました。
 早朝、国公労連は独自の行動として、各省庁・霞が関一帯での宣伝行動、総務省前での要求行動を実施しました。つづいて、行革推進事務局前での全労連「公務員制度改革闘争本部」主催の要求行動に合流し、「政府は国際ルールを守れ! ILO勧告に基づく改革を実施せよ!」と力づよくシュプレヒコールを繰り返しました。
 その後、日比谷野外音楽堂での「悪法阻止、働くルール・民主的公務員制度確立6・6中央決起集会」に結集し、公務・民間をあわせて1000名が国会に向けてデモ行進しました。
 行動の最後には、全労連「公務員制度改革闘争本部」主催の「全国キャラバン行動集結集会」が開催され、行動の成功を確認するとともに、「関連法案」の閣議決定阻止に奮闘する決意を固めました。

●有事関連3法案の採決強行

 国民の強い反対をおしきって、自民党、公明党、保守新党の与党3党と民主党、自由党は、6月6日に衆院本会議で有事関連3法案(武力攻撃事態法案、自衛隊法改正案、安全保障会議設置法改正案)の採決を強行し、成立させました。憲法の平和原則をふみにじる歴史的な暴挙は、断じて容認できるものではありません。
 政府はさらに日本を「戦争する国」とするため、自衛隊をイラクに派遣するための新法の制定やテロ対策特別措置法の期限延長を狙っており、今後は、これらを阻止するとともに、有事法制の発動を許さない世論と運動を広げていくことが重要となっています。

●第117回拡大中央委員会 −−夏期闘争方針・人勧期要求を決定−−

 国公労連は6月5日、全労連会館において、中央委員14単組・38名、ブロック・県国公の特別中央委員など全体で130名を超える出席のもと、第117回拡大中央委員会を開き、2003年夏期闘争方針、2003年人事院勧告期要求などを決定・確認しました。
 中央委員会では、03春闘や全労連「全国キャラバン行動」を通じて「雇用、くらし、いのち、平和」を守る国民的な共同が大きく前進していることを確認しました。
 03人事院勧告に向けては、2年連続のマイナス勧告阻止を最重点に、職場・地域から共同を広げ、政府・人事院を徹底して追及していく意志を固め合いました。

●人事院勧告に向け要求書提出 −−これ以上の賃下げ・制度改悪は許さない−−

 国公労連は6月16日、「2003年人事院勧告に向けての要求書」を人事院に提出し、交渉を行いました。
 交渉の冒頭、堀口委員長が、「昨年の勧告で職員の生活は厳しくなっている。二度とマイナス勧告や不利益遡及があってはならない」として、人事院に真摯な交渉・協議を求めたのに対し、大村事務総長は「給与の水準は民間準拠がルール、配分は職員団体とも議論していきたい。ただ、状況は非常に厳しいことは承知願いたい」とコメントするにとどまりました。
 また、6月17日には、03人勧に向けて検討を開始した「調整手当の異動保障見直し」にかかわって、第1回目の交渉を実施しました。
 交渉では、異動保障の2つの性格(激変緩和と人事管理の円滑化)に着目した検討と、必要な資料を提示しての率直な意見交換を行うよう強く求めました。

●能力等級制は交渉事項でない −−現在の交渉範囲を無視する暴言−−

 国公労連は、6月16日、行政改革推進事務局と交渉を実施し、6月6日に国公労連に対して明らかにした「『国家公務員制度改革関連法案の主要論点の整理について』への質問書に対する回答」について、再質問を行いました。
 交渉では、新人事制度の柱となる「能力等級制度」と給与、任用など他の制度との関係を詳細に示すよう強く追及しましたが、「法案として示せるのは今の段階では能力等級制のみである」との回答に終始しました。
 また、推進事務局は、能力等級制の勤務条件性については、「能力等級法は、国公法第108条の5に規定されている交渉事項でない」との不当な回答を行っており、次回の交渉でも厳しく追及することとしています。

●地域から生活破壊に歯止めを −−夏期闘争をたたかうポイントQ&A−−

  03夏期闘争では、民主的公務員制度・働くルール確立をめざす「全国キャラバン行動」の成功や、春闘期のとりくみを引き継ぎ、「雇用・くらし・いのち・平和」を守るため、職場・地域からのとりくみ強化が求められています。
 国公労連は、地域からの運動の重要性について意思統一をはかり、全組合員参加で夏期闘争を成功させるため、6月中旬から1ヵ月間、全県での夏期闘争討論集会を開催します。
 今号は「討議資料」として、夏期闘争をたたかうポイントをQ&A方式で特集しました。

〇 Q1 どんな情勢のもとでたたかうのですか?
   今たたかわなければ! 生活と職場守る決意で

A 5%をこえる完全失業率は一向に改善せず、職がない若者は5人に一人。労働者全体の3割がパートや派遣労働などの非正規労働者。年々、残業時間が増加し、サービス残業や過労死は後を絶たない。中小企業の倒産、廃業も相次ぐなかで、大企業は史上空前の利益を確保し続けています。
 一方で、政治の舞台では、銀行への公的資金の投入、生命保険の予定利率の引き下げ容認、労働者派遣法のさらなる改悪、裁量労働制の拡大、国立大学の法人化などなど。株価対策=経済対策だとする政策が強行され、国民の人権を守るための制度が次々に改悪、規制緩和される状況です。

▼「イラク支援法」成立のために国会が延長
 国民の6割が反対しているなか、国会の力関係だけで有事法制が成立。引き続き、ブッシュ・小泉会談をうけ、「イラク支援法」成立のために国会が延長されました。イラクの大量破壊兵器はいまだに発見されず、なぜ、前のめりの支援策決定が必要なのか、まともな説明はないままです。

▼財源確保を口実に相次ぐ増税論
 概算要求時期をむかえ、政府の審議会が相次いで報告書を出しはじめています。共通するのは、年金の給付削減、財源確保を口実にした保険料アップや増税論が相次いでいることです。
 国民に、痛みばかりを求める「報告」が相次ぐ背景には、2ケタ台への消費税率引き上げを声高に主張する財界の存在があります。
 「構造改革」の名による国民生活破壊はもうごめん、アメリカ言いなりで国民を戦争に駆りたてるな、との声も運動も広がっています。
 03年夏期闘争は、生活と職場を守る崖っぷちのたたかい、その決意が必要な情勢です。

「骨太の方針2003」の骨格(要旨)
(1)医療への営利企業参入などの規制改革
(2)消費税率引き上げを視野に入れた税制改革
(3)規制改革とも一体の雇用・教育改革
(4)社会保障改革(年金、医療保険、介護保険など)
(5)国と地方の改革(権限・事務移譲、財源配分、
  補助金整理の「三位一体改革」)
(6)個人の国債購入拡大など金融資産の
  有効活用のための改革
(7)2002年方針を踏襲する予算制度の改革


〇 Q2 夏季闘争は何を目的にたたかうのですか?
   公務員制度改革問題と国民的課題を一体で

A 7月から8月にかけて、国公労働者の生活と労働条件に影響する二つの課題があります。一つは例年8月初旬におこなわれる人事院による給与勧告であり、もう一つが8月末に向けて進められる概算要求作業です。
 それに加えて今年は、通常国会が7月28日まで延長され、米英の占領に加担し自衛隊をイラクに派遣するための新法の制定など、憲法の平和原則蹂躙(じゅうりん)に反対し平和憲法を守るたたかいや、公務員制度改革関連法案の閣議決定・国会提出を許さないたたかいも重要な課題です。

▼政府と人事院を世論で包囲
 03年春闘結果もうけて、給与勧告に向けたたたかいでは、人件費削減が最大の経営改善策とする大企業・財界の攻撃の理不尽さを追及し、賃下げのサイクルを阻止する公務員労働者の奮闘が求められています。
 昨年の賃下げ勧告が、人勧準拠の750万労働者にとどまらない多大な影響を与えたこともふまえ、賃金改善勧告をもとめる国公労連の要求への支持と共同を地域から広げ、政府と人事院を世論で包囲するたたかいを進めます。

▼概算要求に向け運動強化を
 概算要求にかかわっては、定員削減や民間委託などの「合理化」(公務リストラ)に反対するたたかいと、給付削減と負担増という年金の大改悪や、義務教育や保育所への国の補助金削減、地方自治体への負担転嫁をもくろむ「三位一体」改革などの小泉「構造改革」の具体化に反対する国民的な運動を一体で展開することとしています。


〇 Q3 人勧に向けたたたかいをどう展開しますか?
   マイナス勧告阻止し賃金底上げを

A 国公労連は6月16日に、人事院に対して人勧期要求を提出し、03人事院勧告に向けてのたたかいを開始しました。750万労働者に直接影響する勧告の社会的影響を踏まえれば、「マイナス人勧」や5年連続の年収切り下げは断じて認められません。その立場からのたたかい強化が重要となっています。
 賃金改善では、厳しい状況下でも奮闘してベースアップを勝ち取った春闘共闘に結集する労組の妥結状況に着目し、「1000円の賃金改善」を要求します。
 体系・配分では、これまでも主張してきた「初任給周辺の底上げ」「ライフサイクルに応じた生計費確保」「経験と専門性の蓄積加算」の3点を要求し、とりわけ、公務部内の最低賃金引き上げの観点から、初任給周辺の改善を求めていきます。

▼地域間の賃金格差拡大を許すな
 地域給与問題にかかわっては、職務内容の全国的な統一性と継続性の確保などの観点から「同一労働同一賃金」の原則による全国統一の賃金制度によって支えられる必要があり、これ以上の地域間の賃金格差を拡大することに反対します。
 研究会の「基本報告」を踏まえ、人事院が給与制度改革の検討を開始することになりますが、労働組合との十分な協議を行うよう要求していきます。
 また、人事院が勧告前に検討状況を明らかにした「調整手当(異動保障)」「住居手当(持ち家)」「通勤手当」の3つの手当にかかわるたたかいも重要な局面にきています。
 「働くルール」にかかわっては、超過勤務縮減とサービス残業、メンタルヘルス対策の強化のため、労働者代表が参加した「対策委員会」の設置などを要求します。
 また、人事院が、昨年の勧告時の報告において言及した非常勤職員の「制度的検討」を具体化し、代償機関である人事院としての役割を発揮するよう求めます。
 これらの要求を実現するため、職場・地域から公務労組規模でとりくむ「賃下げ勧告反対」署名や職場連判状(ハガキ)などのとりくみを展開します。

〇 Q4 「地域からの共同」を強調するのはなぜ?
   社会保障改悪許さず来春に向け運動を大きく

A 1年以内に総選挙がおこなわれることが確実です。組合員と家族の生活、職場を守る国公労働者の要求に積極的に訴えながら、「構造改革」に反対する共同のとりくみへの結集を強めていくことが、要求前進の鍵を握っています。
 改悪は強行されましたが、医療費本人3割負担に反対するたたかいは大きく前進し、2割負担への「回復」をめざす運動として継続されています。
 公務員の賃金引き下げも口実に、03年4月から年金給付額や生活保護費が切り下げられ、来年度概算要求でも大幅な切り下げを財務省が主張しています。最低賃金についても、7月に「改定の目安」が出されようとしていますが、引き下げの危険性が高まっています。

▼国民に痛み強いる政治はごめん!
 健康保険の保険料を一時金(ボーナス)からも徴収する「総報酬制」が03年4月から導入され、平均4万円程度の負担増が動きはじめました。
 介護保険料の引き上げ、年金掛け金の引き上げ、社会保障の財源確保を口実とする消費税率の引き上げ、教育費負担増、受験戦争を強制する教育制度改悪など、国民生活犠牲の悪政が進められようとしています。
 政府は、「りそな銀行」への2兆円もの国費投入にもみられるような大企業支援や、軍事費、年間50兆円規模の公共投資などには手をつけていません。
 「国民だけに痛みを強いる政治はもうごめん」の声を夏から秋、秋から来春に向けて大きくしていかなければ、労働者と国民の生活は奈落の底に突き落とされかねません。

▼すべての国民と手をとりあって
 国公労連は、夏期闘争で、750万労働者だけではなく、年金生活者はもとより小泉「構造改革」に苦しめられている多くの人々に目を向け、共同のたたかいの前進をめざし、秋以降の運動の展望を切りひらくことを重視しています。

〇チャレンジ30の成功を  −−たたかいながら組織拡大−−
▼組織率10ポイントアップめざそう


 国公労連は6月7日、独法労組組織拡大対策会議を開催し、各独法労組から31名が参加しました。
 会議では、組織拡大の経験交流や意思統一、労働協約締結・改定、賃金闘争など各独法労組における活動の経験を交流しました。そして、国公労連の提起する「チャレンジ30」の成功に向けて、組織率を5〜10ポイントアップしようと、参加者全体で決意を固めあいました。

▼フレッシュマン歓迎★ベイクルーズ −−「タマにはババンッと!」−−

【神奈川県国公発】
 神奈川県国公は5月22日、新採歓迎企画「フレッシュマン歓迎!ベイクルーズ」を、横浜港を周遊するマリーン・シャトル船上で実施しました。2月の春闘討論集会で、面白半分に出た話が発端。CMのフレーズ「タマにはババンッと!」を掛け声にドンドン話が膨らんじゃいまして…。120名の若者達の熱気で、会場内は一気にヒートアップ!仲間と過ごした海の上の楽しい時間を過ごしました。

●敗訴者負担は弱者の切り捨て  −−司法制度改革シンポジウムを開催−−

 国公労連・全労連は、6月12日、司法総行動に引き続いて、全労連会館で「司法制度改革シンポジウム〜司法制度改革を国民の手に」を開催、約100名が参加しました。
 全労連熊谷議長の主催者あいさつに続き、日弁連大川真郎事務総長が「司法改革の立法作業」と題して記念講演を行いました。大川氏は事務総長として司法制度改革に携わってきた経験から、日弁連のとりくみを紹介するとともに、政府与党との協議におけるウラ話から今後の国会でのたたかいに向けた決意まで、興味深い話を披露されました。また、大川事務総長は、「レッテル貼りはダメ」「たたかいとは説得」と熱く語りました。
 続くシンポジウムでは、労働弁護団の鴨田哲郎弁護士が労働事件の課題と労働検討会の状況について報告し、労働裁判の改善に向けて「労働訴訟協議会」の設置や労働参審制シンポジウムの開催など、具体的運動を提案しました。齊藤園生弁護士は司法総行動事務局の立場で「敗訴者負担制度は市民や社会的弱者を裁判から締め出すもの。昼休み集会などで導入反対を訴えていく」と決意を述べました。
 国公労連小田川義和書記長は、国公労連の「労働紛争処理に関する提言(2次)」を発表し、さらに議論したうえで、司法制度改革推進本部への提出をめざすと述べました。
 また、会場からの発言では、解雇裁判や変額保険被害の裁判のたたかいの経験から民主的司法制度改革への期待が語られました。
 全労連の中山幹事からは弁護士報酬の敗訴者負担に関し、署名、要請ハガキなど5点の運動を提起、導入反対の世論を早急に作る必要性が強調されました。
 法案作業が始まり大詰めを迎えつつあるなかで、民主的司法制度をめざす決意を確認する集会となりました。

●「食」について学び楽しんだ3日間  −−国公青年交流集会in長野

 国公労連青年協は、6月6日から8日にかけて、長野県の野辺山において、「交流を通した組織強化」「食料問題から政治を学ぶ」をテーマに交流集会を開催しました(参加者は、11単組・129名)。
 初日、食の安全をテーマに講演した農民連青年部の森吉事務局長は、コンビニと手製のおにぎりを水につけ、いかにコンビニのおにぎりに油分が多く含まれているかを実証し、「普段食している物の中には、多くの添加物や残留農薬が含まれている。安全な食を選ぶことに気をつかって欲しい」と啓発しました。
 2日目は、野外活動として、酪農体験、レクリェーション、3日目には、陶芸、オルゴール作り、バードコール作りに挑戦しました。
 参加者からは、「食糧問題に危機感を覚えた」「貴重な経験ができた」「いままでの集会で一番楽しかった」などの感想が出されました。

●国立試験研究機関全国交流集会ひらく

 国公労連・学研労協(筑波研究学園都市研究機関労働組合協議会)は、6月11日、つくば市において第21回国立試験研究機関全国交流集会を開催し、135名が参加しました。
 集会では、東京大学大学院の小林正彦教授が独立行政法人の現状と独法労組の課題について記念講演を行いました。
 午後の3つの分科会では、試験研究機関の実態などについて活発な意見交換が行われました。

●第17回労働学校(北海道・東海・近畿)を開催

  北海道会場(6月14日、札幌市内)には、102名が参加。1日に4つの講義に参加者は熱心に聞き入っていました。
 近畿会場(6月13〜14日、大阪市内)には、85名が参加。憲法の大切さについて伊藤真さん(伊藤塾長)から講義を受けました。
 東海会場(6月13〜14日、豊橋市内)には、69名が参加。4つの分散会ではそれぞれ活発な討議がされました。

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 特集 小泉構造改革で破壊される社会保障
 ◆小泉構造改革で医療はどうなるのか
          全国保険医団体連合会事務局次長 中 重治
 ◆国の責任を放棄する都道府県単位の財政運営に反対
          全厚生労働組合中央執行副委員長 飯塚 勇
 ◆老後の不安を増幅する「年金改革」
          全日本年金者組合中央執行委員 久昌 以明
 ◆年金「改革」の焦点と改善報告を考える
          全厚生労働組合書記長 杉浦 公一
 ◆介護保険制度の建前と介護現場の実情
          東京地方医療労働組合連合会執行委員 中村 和司
 ◆失業期間が長期化するもとで引き下げられる給付内容
          全労働省労働組合中央執行委員 高城 慶生

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