国公労新聞 第1144号

●あきらめる訳にはいかない
  有事3法案、国立大学法人法案、国家統制強化の危険な流れ阻止を

 政府は、有事3法案を6月上旬にも成立させようとしており、重大な局面を迎えています。
 衆議院段階の審議でも、この法案がアメリカの先制攻撃に自衛隊を参戦させる目的であることが明らかです。
 政府は、インド洋に派遣しているイージス艦が攻撃を受ける恐れがある場合にも、有事法案を発動することを否定していません。
 また、法案は国民の意思にかかわりなく戦争への協力を求め、土地・家屋の収用などの協力しない者に刑事罰を加えるとしています。「基本的人権は最大限尊重する」と明記するなどの修正が行われましたが、法案の危険な本質はいっさい変わっていません。
 中国の「人民日報」(5月27日付)は、「有事法制の確立によって日本が『集団的自衛権』を持ち‥‥東北アジア地域が新しい危険に直面」との懸念を表明しています。日本が「戦争をする国」に一直線に進み始めていることへの懸念です。
 戦争の歴史を繰り返さないためにも、有事3法案の廃案を求める運動強化が必要です。

〇教育・研究に介入し学問を統制
 国立大学法人法案が5月22日、衆院本会議で可決されました。
 法案は、大学設置者を法人にすることで国の財政責任を後退させる一方、各大学が独自に定めるべき学問研究などの目標を国が決め口を出すというもの。
 審議のなかで、文科大臣は大学の目標の変更命令を出すことができ、大学がそれに従わない場合は、過料を科すことができるとまで答弁しました。
 「学問の自由」を否定する教育・研究への国家の介入であり、戦前にもなかった学問の統制です。

〇労基法改悪案の「解雇自由」許すな
 労働者派遣法・職業安定法両改悪案が5月22日、衆院本会議で可決され、翌23日には労働基準法改悪案の審議が衆院厚生労働委員会で始まりました。法案では「労働者を解雇できる」との使用者による解雇権限を明記しています。労働者をモノとして扱う労働法制の改悪は許されません。
 衆議院は通過しても、あきらめる訳にはいきません。国家統制を強める危険な流れに反撃のたたかいを大きく広げましょう。


●STOP!有事法制 5・23大集会に3万人

 「有事法案を廃案にしよう」と、陸・海・空・港湾20団体、市民団体、作家の小田実さん、澤地久枝さんら著名人98人が呼びかけた「STOP!有事法制5・23大集会」が東京・明治公園で開催され、3万人の怒りと決意があふれました。

●「解雇自由・労働者使い捨て」ノー

 「STOP!首切り自由化、使い捨て 労基法・派遣法改悪阻止5・21中央決起集会」が東京都内で開かれ、4千人が結集しました。

●退職手当法を採択強行 −−国公労連が抗議の談話−−

 国家公務員の退職手当の支給水準を2003年10月1日から6%引き下げる内容の退職手当「改正」法が、5月28日の参議院本会議で、共産・社民を除く政党の賛成で可決・成立しました。
 民間準拠をよりどころに、「約束」違反ともいえる改悪が、わずかな審議で強行されたことは重大な問題です。国公労連は採決に抗議する書記長談話を出しました。

●全国キャラバンで反響続々

【新潟県国公発】 −−連合組合に共同呼びかけ−−
 福島県から引継いだ東日本キャラバンは5月20日に新潟県入りし、50自治体へ要請。政府がすすめる「公務員制度改革」の中身を伝えました。地域の労組も訪問し、連合加盟組合にも共同のたたかいを呼びかけました。昼休みには決起集会を開き、元気にデモ行進して市民にアピールしました。

【沖縄県国公発】 −−宣伝に共感!地元紙も報道−−
 最南端の沖縄では、5月19〜23日の5日間連続のキャラバン行動を展開。石垣島・宮古島など離島も含めて31自治体へ要請。「住民サービスを守るためがんばってほしい」と各自治体から激励をうけました。宣伝行動でも、市民から差し入れとカンパをいただき感激しました。
 23日には「働くルール確立を5・23決起集会」を那覇市内で開催し、労働法制の大改悪に反対する決議を採択しました。また、マスコミの取材もあり、自治体要請行動の模様が地元紙に掲載されました。

●03夏期闘争 たたかいのポイント
  −−職場・地域から「目に見える」行動を−−

 国公労連は、6月5日(木)に第117回拡大中央委員会を開催し、03年夏期闘争方針と人勧期に向けた統一要求を決定します。
 03夏期闘争では、国民に痛みを強いる「構造改革」に対するたたかいと、みずからの生活改善要求を結合させ、職場・地域からたたかいを強化することが必要となっています。
 03夏期闘争のたたかいのポイントは次のとおりです。

〇戦争する国への転換、国民いじめの悪政
 小泉内閣は、開会中の通常国会で、有事3法案、労働法制の改悪法案、国立大学法人化法案など、「雇用、くらし、いのち、平和」を脅かす悪法の成立をめざしています(1面参照)。
 また、04年の「年金改革」にむけて、秋の早い時期には政府として法案の基本的な内容が確定し、04年通常国会で「年金改革法案」を提出しようとしています。 消費税率2桁への引き上げ論議ともかかわって、公的年金制度の破壊ともいえる大攻撃を阻止するため、04年度予算の概算要求期からのとりくみが重要となります。

▼「合理化」反対のとりくみも重要
 政府の経済財政諮問会議が、6月下旬に取りまとめることとしている「経済財政運営と構造改革に関する基本方針(骨太の方針2003)」の骨格が明らかになってきています。
 (1)規制改革、(2)税制改革、(3)雇用・教育、(4)社会保障制度改革、(5)国と地方の改革、(6)金融資産を有効活用するための改革、(7)予算制度改革の7項目を「7つの宣言」として盛り込むとしており、これまでの「骨太の改革」と同様に、定員削減・総人件費抑制、組織の統廃合、民営化などを推進するものです。
 このことから、独立行政法人を含め、総人件費抑制をはじめとする「合理化」に反対するとりくみも重要です。

〇03人勧期要求 −−2年連続の賃下げは許さない−−
 03春闘での民間賃金の妥結状況は表のとおりであり、各団体の調査とも昨年を下回る厳しい状況となっています。一時金についても昨年の支給状況は前年比マイナスです。



 5月23日には中央労働委員会が、郵政産業労働組合に対して、「日本郵政公社職員の基準内賃金を、平成15年4月1日以降、1人平均7747円(2.58%)引き下げる」との調停委員長見解を発表しました。
 このような状況から、2年連続のマイナス勧告や5年連続の一時金引き下げの危険性が強まっています。また、人事院が検討を進めている世代間、地域間などの「格差適正化」の名による配分問題も重要な争点です。
 国公労連は、03人事院勧告に向け、(1)生活改善要求の切実性を基本に生活防衛の歯止め要求額を掲げる、(2)公務の最低賃金としての初任給賃金の底上げ、ライフサイクルに応じた生計費の確保、専門性の高まりや経験の蓄積をふまえた賃金確保の「賃金3目標」を基本においた賃金体系改善要求を掲げ、「賃金切り下げ・体系改悪勧告」を許さないたたかいに全力をあげることを提起しています。

▼750万労働者と「1日総行動」を
 行動では、6月16日の週に「賃金水準を平均1000円引き上げること」などを柱とする要求書をすべての所属長・任命権者に提出し、公務労組連絡会規模での「公務員賃金の改善を求める署名」は「750万労働者」はもとより、民間労組や民主団体にも呼びかけるなど、地域からの運動を従来以上に重視しています。
 独立行政法人においても、これらの行動にあわせて、要求書の提出や署名のとりくみを進めていくことが必要となります。
 中央行動は、6月6日(第1次中央行動)、7月9日(第2次中央行動)、7月31日(第3次中央行動)に配置し、7月31日を最大規模(3000名)として、県国公規模での上京団を組織し、人事院を包囲することとしています。
 また、「750万労働者」との共同のとりくみでは、県国公規模で訪問・要請行動を展開するとともに、7月14日から18日を集中期間として、人事院事務局所在地域を中心に「750万労働者」とも共同で「一日総行動」を提起しています。
 これらのとりくみと一体で、深刻な長時間過密労働の是正、サービス残業の根絶や非常勤職員の均等待遇実現など、公務職場の働くルールの前進をめざしたとりくみを強めます。

〇公務員制度改革 −−「交渉・協議」なしで閣議決定の動き−−
 公務員制度改革「関連法案」の閣議決定・国会提出をめぐって、緊迫した情勢を迎えています。
 5月16日の内閣委員会において石原行革担当大臣は、「(今国会への)法案提出の方針には変更ないことを関係4閣僚(行革担当、総務、厚生労働の各大臣と官房長官)で確認した」と答弁するなど、依然として政府は今国会への「公務員制度改革」関連法案の提出に執念を燃やしています。

▼改革後の全体像、全く不透明なまま
 法案の内容にかかわっては、労働組合に対してのみならず、各府省当局に対してさえ、労働基本権制約の「代償措置」に関する具体的な条文は未だ提示されていません。給与法や政令、人事院規則などの下位法令についても、その概要は一切示されていません。現状からの変化もふくめた改革後の制度の全体像が全く不透明なまま、国家公務員法の枠組みのなかで政府に「自由」な制度設計を委任するに等しい改革の進め方です。
 このような状況のなか国公労連は、政府・行革推進事務局に対し、閣議決定を強行せず、ILO勧告もふまえた労使協議を求める「要求電」を集中させるとともに、各省当局への追及を強めることとしています。
 引き続き、ILO勧告に沿った公務員制度改革を求めるとともに、労働組合との十分な「交渉・協議」を行わないままでの「国家公務員法改革」関連法案の閣議決定を阻止するため、短期間で集中したとりくみが重要となっています。


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〇敗訴者負担は一般市民を裁判から閉め出すもの
 小泉首相を本部長とする司法制度改革推進本部では、改革に向けて検討がされています。
 そのなかで現在、「弁護士報酬の敗訴者負担制度」の導入が検討されていますが、全労連や日弁連からは、「この制度が導入されれば、一般市民を裁判から閉め出すこととなる」との反対意見が出されています。
 国公労連では、日弁連が作成した「弁護士報酬の敗訴者負担!?Q&A」を各級機関に配布し、職場での学習と深めるとともに、「敗訴者負担に反対する団体・個人署名」(6月9日集約)のとりくみを進めています。
 パンフレットは日弁連のホームページにも掲載されています。
      

●第17回労働学校 −−学んだことを活動に生かそう−−

 国公労連第17回労働学校は、5月から6月にかけて全国8ブロックで開催されます。このうち、九州ブロックでは、5月16〜17日に福岡市において、122名の参加により開催されました。
 今年の労働学校では、小泉「構造改革」など労働者を取り巻く情勢や、当面の課題である民主的な公務員制度の確立をめざす国公労連のたたかいについて認識と理解を深めることとが重要となります。
 また分散会では、他の単組の職場実態、問題などについて、交流・意見交換を行うこととしています。
 労働者・国民に対する攻撃が厳しいなか、学習の重要性は高まっています。要求に確信を持つため、労働学校へ参加しましょう。

●第37回行(二)労働者全国集会

 日 時 2003年6月18日13:30〜19日12:00
 場 所 南青山会館
      東京都港区南青山5−7−10
       電話 03−3406−1365
 集会では、公務員制度改革など行(二)労働者を取り巻く情勢について確認するとともに、これまでのたたかいの経験や成果を踏まえ、今後のたたかいの確信を深めます。
 また、それぞれの職場実態についての十分な交流を図ります。


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