国公労新聞 第1141号

●有事法案を廃案にしよう

 −−「戦争をする国」づくりの悪法目白押し−−

 米・英の圧倒的な軍事力によって、イラク・フセイン政権崩壊が報じられています。しかし、略奪が横行する無政府状態や、「治安回復のめどが立たない中、市民のいら立ちが日増しに募っている」(朝日新聞)、イラク市民の人命、国土などへの破壊と被害が拡大。米英主導の「戦後復興」にも国連をはじめ世界中で批判の声があがっています。
 一方、アメリカの戦略に無批判に追随している小泉内閣は、イラク「復興支援」や北朝鮮の「脅威」を口実に、4月中にも有事法案の衆院通過を狙っています。
 与党は4月9日、衆院有事法制特別委員会で趣旨説明しましたが、その内容は、アメリカの戦争に自衛隊が参戦し、自治体や民間企業が総動員させられるという危険なものです。
 日本を「戦争をする国」にさせないため、有事法案を廃案にするたたかいの強化が求められています。

〇国家管理・統制強める個人情報保護法案
 与党は4月14日、野党との合意がないまま、個人情報保護法案の単独審議を特別委員会で強行しました。 政府案は、報道を規制の対象外としていますが、報道目的であるか否かを判断するのは主務大臣であり、報道に介入する余地を残す危険な内容です。
 野党案では「直接の行政機関から独立した第三者機関」を求めていますが、小泉首相は「行政改革の流れに反する」と拒否しました。
 全労連は4月7日、「主務大臣制度は個人情報や報道の国家管理・統制を強める、自己情報コントロール権や思想信条などセンシティブ情報の保護が不明確」と指摘し、法案の撤回を求める見解を発表しています。

〇退職手当法案が衆院総務委で可決
 国家公務員退職手当「改正」法案が4月15日、衆院総務委員会において、わずか2時間の審議で採決が行われ、与党と民主党の賛成で可決されました。
 与党は、短時間の審議で法案を成立させようと質問を放棄。野党のみの質疑が行われました。共産党の春名眞章議員は「高級官僚の特権的待遇を温存し、一般公務員に犠牲を強いる法案には反対する」などと反対討論に立ちました。
 高級官僚の高額退職手当を抜本的に見直さず、一般公務員の退職手当を改悪することは許せません。職場・地域からのたたかいが求められています。

●海事職員の処遇改善を −−国公船舶総行動を展開−−

 国公労連と船舶連絡会は4月8日、海事(船舶)職員の処遇改善を求める「国公船舶総行動」を東京都内で展開しました。
 霞が関・大手町での早朝宣伝行動に続き、人事院交渉を実施。海上での苛酷な労働・重い職責に見あった賃金、昇格など処遇の抜本改善を求め、人事院を追及しました。昼休みには人事院前行動を行い、各単組からの決意表明や決議文を採択し、団結を強めました。

〇民間船員職場の実態も
 午後の学習交流集会では、全日本海員組合・福岡眞人中執が「海上輸送の優位性・重要性」と題して講演。参加者から「民間船員職場での能力・実績給の現状は」の質問に「評価制度を強める動きはあるが、チームワークで働く船乗りの職場にはなじまないので導入させていない」と答え、参加者の共感を呼びました。
 続いて、国公労連・山瀬副委員長が「公務員制度改革をめぐる現状とたたかい」のテーマで講演。昨年11月のILO勧告を無視し、労使協議もないまま一方的に国公法等「改正」案の閣議決定を行おうとする政府・行革推進事務局に対するたたかいの重要性を強調しました。

●独立行政法人・統計センター労働組合を結成

 −−統計職組・岡田委員長職場「労働者代表」に−−
 総務省統計センターが4月1日、独立行政法人統計センターに移行したことに伴い、統計職組・統計センター支部は「独立行政法人統計センター労働組合」に、組織・名称を変更しました。
 また、同日実施した信任投票の結果「労働者代表」に、統計職組推薦の岡田敏子委員長が、1092名中782名の圧倒的多数で選出されました。それを受けて、時間外労働に関する36協定などを締結しました。
 代表選出の選出(選管)委員でもある独立行政法人・統計センター労働組合の山田葉子書記長は、次のように決意を語っています。「選挙の結果、少人数の統計職組が推薦した岡田委員長が選出され、一人ひとりの要求を大事にするとりくみの大切さを感じました。当局と協定案について折衝を行うなかで、『過半数支持』という数の力を実感しています。今後は積極的に組合加入を呼びかけ、要求実現に向けてがんばります」

●メーデー写真コンクール募集要項

1 題 材    全国各地のメーデー集会・デモでの写真
2 応募数    一人何点でも可
3 応募資格   国公労連又は県国公加盟の組合員
4 応募作品
   (1)プリント写真(白黒・カラーとも可)
   (2)デジタルカメラの写真(画素数は1280×960以上)
5 応募方法
   (1)プリント写真
 画題・写真の簡単な説明(100字程度)、住所、氏名、年齢、支部・分会名を明記した紙片を写真の裏に貼り国公労連まで送付のこと。宛先は、「メーデー写真コンクール」係
   (2)デジタルカメラの写真
 上記事項を明記した上で、メールによる送付でもかまいませんが、1MBを超えものについてはメールで送付しないでください。(圧縮してもらっても結構です)1MBを超えるものは上記事項を明記した紙片とFD、MO等で送付してください。

 E-mail:photo@kokko.or.jp 件名は「メーデー写真コンクール」
6 締め切り   5月16日(金) (消印有効)
7 審査発表
 賞は「最優秀賞」1点(図書券1万円)、「優秀賞」2点(同5000円)、「佳作」若干名(同3000円)
 審査結果は、6月1日付国公労新聞で発表します
8 その他    応募作品は返却しません。応募作品の版権は国公労連に属します

●国民犠牲の「公務員制度改革」許さない−−まもろう!雇用・くらし・いのち・平和−−
 全労連「全国キャラバン行動」を成功させよう

 5月7日から、全労連・公務労組連絡会規模で働くルールと民主的公務員制度「全国キャラバン行動」がスタートします。
 キャラバン行動では、国民犠牲の「公務員制度改革」反対を柱に、有事法制の制定阻止、労働法制の全面改悪ストップなどを掲げ、地域から「対話と共同」のとりくみを進めます。

 公務員制度「改革」関連法案は、国会提出の危険性が高まっており、6月の会期末までのたたかいが、極めて重要になっています。
 また、有事法制の制定阻止、教育基本法の改悪反対、労働法制の全面改悪ストップなどのたたかいも重要な局面をむかえます。
 国民にのみ痛みを強いる小泉「構造改革」を阻止し、雇用・くらし・いのち・平和をまもるため、全国各地でたたかいを展開するのが、全労連「全国キャラバン行動」です。

〇具体的なとりくみは
 キャラバン行動は全労連規模でとりくまれることから、県労連・地域労連などが軸となります。しかしながら、「公務員制度改革」が中心課題に据えられており、4月の準備段階から県国公・地区国公が積極的に関わっていくことが、とりくみを成功させるカギとなります。
 具体的な行動としては、(1)繁華街やターミナルでの大規模宣伝行動、(2)民間の労働組合や経済団体、民主団体などへの要請行動、(3)地方議会や自治体首長への要請行動、(4)地元国会議員への要請行動、(5)総決起集会やデモ行進、などが提起されています。

〇「構造改革」にストップを
 宣伝カーが「通過する日」に連動させ、県・地域独自の「網の目キャラバン」を配置し、6月議会に向けて、すべての自治体に対する要請行動を実施し、民主的公務員制度を求める「意見書」の採択を目指すとりくみなども必要となります。
 750万労働者との「対話と共同」を重視しながら、「公務員制度改革」など、小泉「構造改革」の流れにストップをかけるため、キャラバン行動の先頭に立って全国で奮闘しましょう。


●解説 −−公務員制度改悪、いま何が問題か 【2】−−

   職場と地域からのたたかいが大切 

 「能力等級制とは?」、国家公務員法「改正」の条文案の一部が明らかになって、いよいよ混乱しています。それもそのはずで、政府・行革推進事務局が、昨年4月に明らかにしていた「新人事制度原案2次」と、条文案の内容があまりにも違っているからです。

〇いまの制度とどこが変わるのか
 能力等級は「8等級」としていたものが、「11等級」となっています。「基本職位」という言葉が消えて「標準的な官職」に着目した「標準職務遂行能力」が等級区分の基準とされています。能力評価と業績評価を組み合わせた「新評価制度」は、条文案では「標準職務遂行能力及び職務適性の(勤務)評定」とされ、業績評価については法定しない姿勢です。いまの公務員制度とどこが変わるのか、正確に理解することは容易ではありません。

〇能力等級制は勤務条件ではない?
 4月上旬にもすべての条文案を示し、早期の閣議決定をねらった推進事務局の「スケジュール」が遅れています。その最大の理由は、能力等級制は、労働組合との交渉事項になるか否かということです。
 推進事務局は、「能力等級制度は行政運営と密接に関係」「給与法は別途決定されるから、直接の関係がない」などとして、勤務条件性を否定し、管理運営事項だから交渉対象にならない、として押し切る構えです。
 一方で、能力等級の区分けや、各等級への官職分類の基準を「内閣総理大臣(=使用者)」が決定し、個別の官職の格付け(等級への官職分類)は任命権者である各省大臣が行うとすることは、労働基本権上の問題がある、とする意見を人事院が国会でも表明しています。

〇労働組合の「骨抜き」がねらい
 能力給や評価制度をいますぐ導入することには、労働組合や人事院の抵抗があるから、制度切り替え時点は現状維持としておき、その「抵抗」のもとにある労働基本権を形骸化させる、外堀を埋めたうえで、「本格的な改革」を政府主導で進める、これが政府のねらいです。
 「改革」法案は、労働組合への「死刑宣告」にも等しい、このことをしっかり見すえたたたかいが、いま求められています。

●国公労調査時報 5月号(広告)
 (定価 450円、年間購読料 5,850円)−

○ 公務労働・国公労働運動の復権が、いま求められている
      中野 隆宣 (労働ジャーナリスト)
○ 司法制度改革の労働紛争処理に関する提言(第1次)
      日本国家公務員労働組合連合会       
○ 資料:労働訴訟手続の特則の試案/総会決議/意見書
      日本労働弁護団
○ 国公労連調査部に聞く
  −VDT作業に関する人事院の新指針のポイント−
    資料:新旧対比表

★購読に関する問い合わせは、国公労連教育宣伝部まで
 電話:03-3502-6363 e-mail:jihou@kokko.or.jp


トップページへ 国公労新聞へ