国公労新聞 第1139号

●ブッシュはイラク攻撃やめよ −−広がる「戦争ノー」の声−−

〇有事関連法案の成立狙う自民党
 アメリカは3月20日、国際法を無視し、「国連決議なし」でのイラク武力攻撃を開始しました。開戦1週間でイラクの住宅地が爆撃され民間人が犠牲になるなど、米英軍、イラク側双方から戦死者が続出しています。
 小泉首相は、国民にまともな説明もなく、いち早くアメリカのイラク戦争への「支持」を表明しました。そればかりか、ベーカー駐日米国大使がイラク戦争後の治安維持のため自衛隊の派遣を与党3党に要請したことについて小泉首相は3月26日、「日本としてできるだけのことはやる」(朝日)と自衛隊派遣について言及しています。
 また自民党は3月26日、継続審議となっている有事法制関連三法案について、4月の第一週に審議を開始し、中旬にも衆院通過を狙う方針を出すなど、危険な動きが浮上しています。

〇ブッシュと小泉首相に強く抗議
 イラク戦争開始以降、世界と日本で怒りと抗議の声が巻きおこっています。
 国公労連は3月20日、「私たちは、平和憲法を掲げる国の行財政・司法機関で働く労働者として、アメリカによるイラクへの一方的な先制攻撃に対し強く抗議する」と、単組委員長連名で「武力行使の即時中止を要求する」抗議文を、アメリカのブッシュ大統領と小泉首相宛に提出しました。
 3月21日、陸・海・空・港湾20団体が呼びかけた「DON’T ATTACK IRAQ&STOP!有事法制3・21集会」が東京・日比谷野外音楽堂で開催され、労組・市民ら5000人が駆けつけました。集会後、手製のプラカードをかかげ、銀座まで元気にデモ行進しました。
 3月26日には、全労連などが「3・26緊急集会&デモ」を東京・芝公園で開催し、イラク攻撃中止を訴え、2500人が結集しました。
 国公労連は、全労連が提起する連日の行動に結集するとともに、3月21・24日は独自で「イラク戦争即時中止」を求める宣伝行動を東京・有楽町マリオン前、新橋駅前で展開し、都民にアピールしました。
 日本を「戦争をする国」にさせないため、職場・地域でたたかいを強めていきましょう。


●NO WAR! 愛知で3000名の人文字

【愛知県国公発】
 3月23日、愛知労連などが「ぶっとばせ大不況、いのちとくらしを守るビッグフェスタ」を開催。一般市民にも呼びかけ3000名で「NO WAR」の人文字(写真)を完成させました。愛知県国公は、民間の仲間と共同で、毎週水曜日の昼休み反戦デモ行進にとりくんで奮闘しています。

●不利益遡及を正当化する姿勢示す  −−政府、人事院が最終回答−−
 たたかいの継続強化を

 政府、人事院は3月18日、春闘段階の最終回答を行いました。その内容は、「人事院勧告制度の尊重」(政府)、「民間準拠」(人事院)とする従来回答を一歩も出ないものでした。そればかりか、「年間における官民給与の均衡」(人事院)に言及し、「不利益遡及」も当然のルールとする姿勢を示しました。
 03年春闘は、財界が「ベースアップは論外、定期昇給の凍結・見直しも」などと主張し、連合労組の多くが「ベア要求」すら行わない状況のなかで「賃金カーブ維持」が大勢を占めたばかりではなく定期昇給見直しなどの賃金制度改悪に道を開く結果となっています。
 こうした状況下での「人勧制度尊重」「民間準拠」という政府・人事院の回答は、昨年に続くマイナス勧告・不利益遡及の可能性を示唆したに等しいものです。
 一方、地域給与のあり方、超過勤務縮減・サービス残業根絶、非常勤職員の労働条件改善などの諸要求について、政府・人事院ともに勧告に向けた交渉・協議の継続を回答しました。人勧期に向けてたたかいの継続強化が求められています。

〇悪政を阻止しキャラバンの成功を
 小泉内閣は、米のイラク攻撃に追従し、社会保障改悪や庶民増税など、国民に痛みを強いる悪政を押しつけており、4月の統一地方選挙で厳しい審判を下すことが求められています。
 民主的公務員制度確立を中心課題とする全労連規模の全国キャラバン行動など、公務・民間一体で職場・地域から総決起し、春闘後半から夏期闘争へのたたかいに全力をあげましょう。

●産学官連携、光と影は −−科学技術政策シンポジウムひらく−−
 3月15日、国公労連、学研労協、全大教、日本科学者会議など6団体が主催し、シンポジウム「21世紀の科学技術政策を考える−産学官連携の光と影−」が約70名の参加で開催されました。
 最初に、大阪府立大・宮田由紀夫教授が、「アメリカの産学連携」と題して記念講演を行い、産学連携の成果を確認しつつ、「スポンサー企業との契約に縛られ研究者同士の情報交換がなくなったり、大学の研究能力の低下も懸念される」という「利益相反」など産学連携の問題点を指摘しました。
 シンポジウムでも「利益相反」問題を中心に論議がされ、文部科学省西條課長補佐は「各大学が利益相反についてポリシーを持って臨むことが必要」とし、日本科学者会議の野村常任幹事は「真剣な論議と情報公開の徹底が必要」と強調しました。
 また、学研労協の加藤前副議長は「産学官連携の功罪を見極めたバランスの取り方が大事」だとし、全大教の立山山口大教授は「産学連携や評価により、大学の活動を一面的にしてしまう」と懸念を指摘しました。
 その後、研究と社会との関わり方、基礎研究軽視につながる懸念などについて、会場発言も含め活発に討議がされ終了しました。

●学習シリーズ 公務員と労働基本権(4)
 −−労働条件は自ら参加して決定するもの−−

Q 公務員は、「国民全体の奉仕者」であり、ストライキなどの労働基本権がないのは当然、という意見がありますが。

〇公務員も労働者
 公務員も労働者である、今日、誰一人としてそのことを否定できないほど確立した考えとなっています。しかし、「労働者だけれど民間労働者と同じではない」と続けて言われ、「だから労働基本権の制約は当然」と主張されると、たじろいでしまうのも現実です。
 実は、このロジックには、ごまかしがあります。労働者である公務員も、基本的人権としての労働基本権をもともと持っている、これが原則であって、制約されることが基本ではないにもかかわらず、無条件に「制約が当然」との結論が主張されているからです。かつて、「職員は大臣の使用人」と発言した政治家がいましたが、「制約当然」の主張は、公務員の労働者性の否定でしかありません。

〇生活維持のため不可欠な権利
 憲法は、何のために労働基本権を規定したのでしょうか。使用者と労働者という関係では、圧倒的に使用者が強い立場にあります。こうした関係で、労働条件が労使一対一で決定されるならば、使用者の思いのままになることは必然です。 それを制約(規制)し、労働者が最低限の生活を維持するために、様々な弾圧・抑圧をはねのけて、団結し交渉し行動する権利を前進させてきた結果が労働基本権です。その意義は、今日も変わりませんし、公務の労使関係でも同様です。不利益遡及など、最低限のルールさえ無視した労働条件切り下げが強行される状況は、より労働基本権の重要性を自覚せざるを得ない事態です。

〇労働条件決定への参加は労働者の権利
 最低限の生活を保障する目的で人事院勧告制度がある、こんな主張もあります。自分の労働条件が知らないところで決まってしまうのでは、対等な労使関係の「代償」にはなりません。
 労働基本権は、労働条件決定のあらゆる段階に労働者が関与するために不可欠の権利としての一面も持っています。昨年11月のILO勧告が、「労働協約締結権や争議権が制約される公務員」について、「適切な代償措置」を勧告したのは、現行の人事院勧告制度では労働者の「決定への参加」が措置されていないことへの問題意識からです。
 「自らの労働条件は自ら参加して決定」(自己決定権)という人間の尊厳にも根ざした権利を実現することも、労働基本権確立の重要な目的です。

●読者のひろば

〇公務の賃金カットはデフレにつながる  全法務山口支部山口分会の方から
 最近の民間労組はとにかく雇用を守るのが第一で、それ以外はすべて使用者側の言いなりのような感じです。いまの経済状況からすれば仕方ないのでしょうが、組合員の立場の弱さが新聞報道からも伝わってきます。公務の世界も民間準拠という名目で賃金がカットされ,それに基づいて起算される民間の多くの働く人の給与が下がっていく、これもデフレスパイラルでしょう。



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