国公労新聞 第1136号

●ストップ!イラク攻撃 −−2・14大集会に2万5000人−−

 アメリカのイラク攻撃に反対し、東京・明治公園で「平和を願う日本の良心をいま世界に2・14大集会」が開催されました。
 この集会は、作家の井上ひさしさんら文化人16人が呼びかけたもので、全国から2万5千人が結集。「イラク攻撃をやめて!戦争では何も解決しない」など色とりどりの横断幕やプラカードを持つ若者や市民団体・労働組合が幅広く参加し、平和を求める思いを一つにしました。

〇平和解決は世界の流れ、孤立深める日本政府
 2月14〜16日は、「戦争ノー」の叫びが、地球を包みました。ローマ300万人、ロンドン200万人など史上空前の78カ国で1000万人以上がデモに参加し、アメリカ・ブッシュ政権の暴走を批判しました。
 このように地球的規模で高まるイラク攻撃反対の世論に対し、日本の小泉政権はアメリカの戦争計画を後押しし、反戦を敵視する姿勢を国内外に示しています。
 2月18日の国連安全保障理事会の公開討論で日本政府は、査察継続の有効性に「疑問が生じている」と主張。イラクへの武力行使を正当化する新たな安保理決議を採択するように求めました。
 「戦争ではなく、国際法と国連憲章にもとづいて平和解決を」の主張が国際社会の大きな流れになっているにもかかわらず、米・英国を支持した日本政府は孤立を深めています。そればかりか、政府は2月21日、米国の対イラク攻撃を想定し、2003年度予算を前倒しで執行する検討をすすめています。
 国公労連は、「イラク攻撃反対」と、有事法制反対の運動を結合し、戦争する国づくりを許さないたたかいの強化を呼びかけています。


●アリバイづくりの交渉には応じない
 
国公労連が推進事務局に通告 −−一方的な労働条件変更は認めない!−− 

 国公労連は2月21日、行革推進事務局と交渉を行いました。
 この交渉は、2月7日に「あらためて中身のある提案をしたい」との回答をうけたもので、事務局は「能力等級制度の導入」「採用制度の改革」の二つの文書を提示してきました。

〇一方的な法案決定反対のたたかい強化を
 これらの文書の性格について推進事務局は、使用者を代表する立場ではなく、「内閣官房として改革を企画・立案していく立場」からのものと固執。労使交渉を尽くす姿勢を示しませんでした。
 国公労連は「労使合意なしの法案決定反対」の立場から、提案の中身に立ち入った交渉・協議はできないと通告しました。
 行革推進事務局は、3月中旬にも、国家公務員法「改正」案等の閣議決定を行う姿勢でいます。労働条件の変更を使用者が一方的に決定することは許せません。一方的な法案決定反対のたたかいは、重要な局面を迎えています。
 3月4日の中央行動の成功や、国会議員要請など、地域からの行動を強めるとともに、「一方的な労働条件変更は認めない」とする職場からの使用者追及が大切になっています。

●早朝時間外職場集会に結集しよう −−3・13全国統一行動で官民共同広げよう−−
  NTTの横暴告発し、通信労組の支援を

 国公労連は2月13日、政府と人事院に「統一要求書」を提出し、03春闘交渉をスタートさせました。
 3月12日の「回答指定日」に向け、職場での統一要求書にもとづく所属長交渉、上申行動の貫徹が求められています。そして翌13日は、民間労組がストライキを含む統一行動を設定しています。
 官民ともに強まっているリストラ攻撃や小泉内閣の悪政に、職場・地域から怒りの声をあげるたたかいが今こそ重要です。
 3月13日には「早朝時間外職場集会」を開催するとともに、12日から3日間、プレートや壁新聞、立て看板など職場から地域にアピールする「目に見えるとりくみ」を創意工夫してすすめていきます。
 同時に、大企業の社会的責任を追及し、民間労働者を激励する立場から、「NTTの横暴告発・通信産業労組支援行動」を全国いっせいに展開することで、官民一体のヤマ場を主体的につくりだすことが求められています。
 労働者・国民の生活と権利を守るため、職場・地域で共同を広げ、3・13全国統一行動を成功させましょう。

●争議支援総行動を展開
 全労連は2月14日、争議支援総行動を東京・霞が関と大手町で展開。昼休み財務省前行動には、国公労働者も駆けつけ、官民一体のたたかいとなりました。

●2・20「国民総行動」 −−多彩な行動を展開−− 悪政の「風邪」吹き飛ばす

 「2・20国民総行動」では、地域行動への結集をはじめ、県国公独自の宣伝行動、戸別ビラ配布など、全国で組合員が大いに奮闘しました。

【北海道国公発】
 退庁時、雪が降りしきるなか、札幌市内中心部においてデモ行進を実施し、道国公の150名をはじめ300名の仲間が参加しました。デモ行進後には、「イラク攻撃反対!医療改悪は凍結を!2・20総決起集会」にも結集しました。

【函館地区国公発】
 あいにくの吹雪のなか、函館地区03春闘共闘に結集し、街頭宣伝を実施。「公務員制度改悪反対」などを訴えました。

【秋田県国公発】
 県労連や地域労連に結集し、秋田駅前などで早朝・昼休みに街頭署名・宣伝行動などを展開しました。また、夕方には「労働法制改悪」についての学習会を開催しました。

【東京国公発】
 東京国公と国公労連・単組本部が霞が関において、午前8時30分から10時間におよぶロングラン宣伝行動を実施しました。
 行動にはのべ251名の仲間が参加、60名が宣伝カーから訴え、宣伝ビラ15000枚を配布するという大きなとりくみとなりました。

【福井県国公発】
 県労連では、夕方、福井市内で宣伝行動とデモ行進を実施し、北風に負けないシュプレヒコールがこだましました。県労連の行動への結集により、地域や他労組との連帯も深まりました。

【愛知県国公発】
 16地区国公のすべてが地域の行動に結集し、各単組分会の組合員が、民間や自治体の仲間とともに奮闘しました。名古屋市内の熱田地域労連では、夕方にキャンドルパレードを実施し、市民に「小泉構造改革」の不当性を訴えました。

【奈良県国公発】
 早朝は奈良県内のJR・近鉄の主要駅頭で宣伝行動を展開。昼休みには近鉄奈良駅前で「医療改悪は凍結・中止」の集会、県庁までのデモ行進など、官民一体での行動に結集しした。

【岡山県国公発】
 岡山県労会議と連帯し、県下の主要な駅頭において早朝宣伝行動を実施しました。
 また、昼休みには、岡山市内での集会とデモ行進に参加し、公務員制度改悪反対などの要求を訴えました。

【鳥取県国公発】
 寒風が吹きつけるなか、街頭宣伝、デモ行進など県労連の行動に結集。「雇用、くらし、いのち、平和をまもれ」と元気に訴えながら行進しました。

【香川県国公発】
 昼休みと退庁時に高松市内において、街頭宣伝とともにシール投票「国家公務員賃下げで浮いた750億円をどう生かす?」を実施。2時間たらずで145名が投票に応じてくれました。
 今回のとりくみは、地元のテレビ局が取材するなど、大きなアピール効果がありました。

【愛媛県国公発】
 松山市内の主要5駅頭での早朝宣伝行動に結集し、昼には、通信労組の支援行動に結集しました。
 また、県国公独自で3時間にわたる街頭宣伝行動を実施しました。

【佐賀県国公発】
 県労連・県春闘共闘に結集し、自治体要請行動や佐賀労働局への要請行動に参加し、労働法制改悪反対や全国一律最低賃金制の確立などを訴えました。

【沖縄県国公発】
 「イラク攻撃反対!新基地建設を許すな!」をスローガンに街頭での署名行動にとりくみ、ビラの配布やプラカードを掲げ、アメリカのイラク攻撃反対を強く訴えました。
 署名は全体で200筆あまりを集約しました。

●不要となったら速やかに排除!? −−労働法制「見直し」許すな−−

 政府・厚生労働省が進めている労働法制「見直し」の問題点について、全労働省労働組合(全労働)に解説していただきました。

 労働法制の見直しを進めていた厚生労働省の労働政策審議会は、労働基準法、労働者派遣法、職業安定法をそれぞれ「改正」する「法律案要綱」について「おおむね妥当」との答申を行いました(2月18日、2月21日)。
 政府・厚生労働省はこれに基づいて労働基準法等の「改正案」を今通常国会に提出する予定です。
 今回の「改正」の特徴は、企業が、必要なときに必要な能力を持った労働者(即戦力)を雇い入れ、不要となった場合には、速やかに排除できる「法的枠組み」づくりといえます。主な項目は次のとおりです。

(1)有期労働契約の期間の上限を原則1年から3年に緩和し、特例である専門職等は3年から5年にする。
 正社員(期間の定めのない労働契約)の仕事は次々と有期契約の契約社員等に置き換えられていく危険があります。3年〜5年ごとの契約更新の時には、雇い止め(解雇)や労働条件の引き下げも企業の思いのままです。一定の職種に若年定年制を導入することも事実上可能になります。

(2)派遣労働の派遣期間の上限を原則1年から3年に緩和し、専門的な業務(二六業務)は制限を廃止する。また、物の製造の業務への労働者派遣を解禁する。
 原則として臨時的・一時的な業務に限って労働者派遣を認めてきた従来の考え方を大きく変更するもので、恒常的な業務にも一気に労働者派遣が広がっていくことになり、正社員のリストラ・首切りと派遣労働者への代替が進む危険があります。また、対象業務の拡大は、派遣労働者の低賃金化に拍車をかけることになります。

(3)企画型裁量労働制導入・運用の要件を緩和する。
 裁量労働制は、いくら働いてもあらかじめ決められた時間だけ働いたとみなす制度です。長時間労働の温床となっており、過労死・過労自殺につながりかねない「働き方」を広げることとなります。しかも、違法なサービス残業を「合法化」することになりかねません。

(4)使用者の解雇権を明記し、権利濫用にあたる場合は無効とする。
 解雇自由が原則となり、権利濫用にあたるかどうかの立証責任を労働者側が負わされる危険があります。また、労働基準法に「使用者の権利」を盛り込むことで労働者保護法の性格を変質させかねません。

 こうした「改正」の方向が、不安定雇用を激増させ、労働条件を「底割れ」の状態に導くことは明らかでしょう。しかも、焦眉の課題である雇用対策の強化や長時間労働の解消にはまったく役立ちません。
 いま求められているのは、こうした労働法制の改悪を許さず、人間らしく働くルールを確立することです。(全労働 森崎書記長)

〇解雇の自由化、不安定雇用の拡大は認めない
 国公労連は、労働者いじめの悪法の成立を阻止するため、全労連・労働法制中央連絡会が提起している「労働法制改悪反対署名」のとりくみを進めています。「解雇の自由化、不安定雇用の拡大は認めない」という国民の声を署名に集約し、3月4日の中央行動に集中させ、国会に届けましょう。

●学習シリーズ 公務員と労働基本権(1)

 密室で進められている公務員制度「改革」や2002年人事院勧告での不利益遡及など、労働基本権が制約されている公務員労働者に対する攻撃が強まっています。
 そこで、「公務員と労働基本権」についてシリーズで連載します。

〇勧告は画期的
Q ILOが「歴史的・画期的」な勧告を日本政府におこなった、と報道されていますが?
 昨年11月、ILO理事会は、日本の公務員制度(公務員法)が結社の自由原則に違反しているとの「勧告」を政府に出しました。政府が進める公務員制度改革のなかで、違反事項を是正するよう求めています。

Q ILO(国際労働機関)とは何でしょう。
 ILOは、労働者と使用者、それに政府代表の三者で構成される国際機関で、175か国(2002年時点)が加盟し、日本は、戦後1951年に加盟復帰していますが、数ある条約の内46を批准(2002年時点)したにとどまっています。
 ILOはその特徴である「三者構成」のために、また労使関係を扱うという役割から、政治性が高い国連機関だといわれています。 それだけに、一度合意された内容(条約)は、国際労働基準としての高い位置づけが与えられることになります。2001年にEUが採択した「企業の社会的責任の促進」に関する文書でも、ILO条約を意味する「国際労働基準の遵守」が掲げられています。

〇勧告の意義
Q 勧告はどのような意義を持っているのでしょう?
 ILOの基本文書の一つ、「国際労働機関の目的に関する宣言」(1944年)は、「労働は商品ではない」とし、「表現及び結社の自由は不断の進歩のために欠かせない」と宣言しています。
 労働者の団結権、団体交渉権、争議権保障を具体的な内容とする結社の自由原則は、ILOの「生命線」なのです。
 そのILOが勧告で、日本政府も批准している条約(87号、98号)に照らし、@消防職員などの団結権が保障されていないことや職員団体登録制度、A非現業公務員の団体交渉権、争議権を「全面一律禁止」、B代償措置としての人事院勧告制度の不適切さ、などを「違反事項」として指摘したのです。勧告の意味は、小さくありません。

〇背を向ける日本政府
Q 勧告に対する日本政府の姿勢は?
 日本政府は、勧告に対し「承服できない」として受け入れ拒否の姿勢を示し、「労働基本権制約の現状維持」とした公務員制度「改革」を進めようとしています。憲法第98条(国際法規の遵守)に照らしても、グローバル化を主張する日本政府の主張からしても、勧告に背を向け続けることは国際社会での孤立化にほかなりません。
 ILOの「追い風」を背景に、労働基本権確立を政府に迫る好機を迎えています。

●革新候補を推せん  若山 俊六さん
  北海道知事選挙  −−3月27日告示、4月13日投票−−

 国公労連中央執行委員会は2月17日、北海道国公の要請を受け、北海道知事選挙に道労連など広範な団体で構成する「明るい革新道政をつくる会」が擁立している若山俊六さんの推薦を決定しました。
 若山さんは、現在、道教組委員長、道公務共闘副議長、道労連副議長であるとともに、「軍事費を削って、くらし・福祉・教育の充実を」北海道実行委員会副委員長、「子どもと教育・文化」道民の会副代表などをつとめ、平和、教育とあわせ、労働組合運動の先頭にたってきました。
 若山さんは、憲法をいかし、くらしをまもり、清潔・公平であたたかい道政にきりかえ、希望あふれる北海道をつくる立場で奮闘しています。
 職場、地域からの支援をお願いします。

明るい革新道政をつくる会は こちらへ
http://www.hki.co.jp/akaruikai/

●<シリーズ> 職場はいま…15  総務省統計センター
  統計データを政策と国民生活に活かしたい

 高まる失業率と冷え込む家計……。深刻な国民生活の状態は、統計データで明らかに示されます。
 国勢調査や、労働力調査、家計調査など、さまざまな統計調査の集計を行っている総務省統計センター。4月からの独立行政法人化を目前に、いま職場はどうなっているのでしょうか。

〇労働条件改善は自らの運動で!
 「先月は働いていたのに、今月は失業など厳しい現実を目にしています。データが国民生活の実態を赤裸々に映し出しているのです」と瀧本いく子さんは語ります。

▼4月の独法移行で広がる不安
 瀧本さんは統計局・統計センター職員組合統計センター支部(組合員80名)の委員長。支部執行部7名全員が女性です。
 統計センターは4月の独法移行をひかえ、いま重要な局面を迎えています。
 当局は、統計センターで働く1100名のうち、178名を統計局に異動させるなど組織改編を打ち出しました。「私たちは正確な統計を出すため努力を重ねています。組織改編で業務が円滑にいくか心配です」と統計局支部の太田美音さんは危惧します。

▼職場ニュースで組合加入呼びかけ
 統計センター当局は今なお「就業規則」を提示せず、労働条件がどうなるか職員は不安を抱えています。また、労基法適用にもとづく「過半数労働組合」の実現も急務です。センター支部は「組合に加入して自らの労働条件を勝ち取ろう」と職場ニュースを発行し、組合加入を積極的に呼びかけています。
 センター支部書記長の山田葉子さんは「子育てや介護をしている職員が多く、労働時間延長、時間休の取得ができないと家庭生活に大きな影響がでてきます。非組合員からも『労働条件は一体どうなるのでしょうか』と不安げに聞いてきます」と話します。

▼「ラッパオルグ」で訴え、いっきに署名集約
 「自らの労働条件改善は自らの運動で!」を合言葉に、昨年秋には統計労組(第2組合)と共同で「統計センターの独立行政法人移行に係る要求署名」にとりくみ、管理的職員や非常勤職員も含め、1カ月で900名分を集約しました。「休憩時間にそれぞれの職場で署名を訴える『ラッパオルグ』を展開しました。役員のみならず、一人ひとりの組合員が参加できる行動を大切にしています」と瀧本さんは笑顔で話します。
 今日の社会経済情勢の変化にともない、統計行政の社会的役割が重要になっています。家計調査を担当している山田さんは「仕事のなかで、苦しい家計の生活実態が痛いほど伝わってきます。私たちは国民生活を良くするために仕事をしています。統計結果を国の政策にぜひ反映させたいのです」と力強く語りました。

〇統計センターとは?
 総務省統計局は、国の基本的な統計調査の実施や、社会経済情勢の変化に対応した統計の整備など、各府省と連携して統計行政を行っています。統計局が実施する統計調査の大半は、法律にもとづいて実施される指定統計調査で、その結果は国の政策をはじめとして、さまざまな分野で活用されています。
 統計センターは、統計局が実施する調査の集計のほか、他の府省が実施する調査の集計も受託しています。
 総務省統計局統計センターなどで働く職員の処遇は低く、勤続30年を超えても4級のままという女性職員も多数います。


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