国公労新聞 第1132号

●03国民春闘スタート! −−跳ね返そう!賃下げ攻撃−−
 国民生活優先の新しい波を生み出そう        

 2003年春闘がいよいよスタートしました。小泉「構造改革」の強行が深刻な経済危機をひき起こし、官民ともの賃下げ、無法なリストラ・人減らしが吹き荒れるという、厳しい情勢下でのたたかいとなります。

 日本経団連は昨年12月に、03春闘対策の「経営労働政策委員会報告」を発表しました。その内容は、「我が国の賃金水準は先進諸国のトップレベル」論を振りかざして、競争力の維持・強化という観点から「ベースアップは論外」と主張しています。また、「定昇の凍結・見直し」を強調するとともに、勝手に春闘解体を宣言しています。
 加えて、労働分野における規制緩和を要求し、未権利・無法状態の低賃金労働者の増大を狙っています。さらに、年金、医療、介護、雇用保険の「抜本改革を断行」すると宣言し、企業の使用者負担減の一方での、労働者負担増を押しつけようとしています。「消費税率16%」をはじめ、財界が主張したことも、その延長線です。

〇春闘共闘が全国で新春宣伝行
 財界・小泉内閣の攻撃に対し、「国民総決起の春闘を築こう」と全労連や国民春闘共闘委員会は1月10日、47都道府県で出足早く新春宣伝行動に立ち上がりました。
 東京都内では主要ターミナルで宣伝行動がとりくまれました。国公労連は公務労組連絡会に結集し、総務省前での宣伝カーからの訴えとビラ配布をはじめ、東京国公の仲間とも共同した各本省庁門前で宣伝行動を展開。120人の仲間の参加で、ビラ2万枚を配布しました。

〇日本の政治・経済のゆがみを正そう
 2003年春闘は、労働者の切実な要求実現とともに、日本の政治・経済のゆがみを正す重要なたたかいです。
 いまこそ「雇用、くらし、いのち、平和」を守るため、国民生活優先の新しい波を生み出すために、政府の悪政と大企業の横暴にいどむ2003年春闘をめざして全力でたたかいましょう。


●ストップ!小泉不況
 

 【石川県国公発】
 石川県国公は1月9日、退庁時街頭宣伝で03春闘をスタートさせました。
 無駄遣いの象徴である日本一豪華な石川県庁が今年初めから郊外に移転し、金沢一の繁華街・香林坊も心なしか元気がありません。しかし、私たちは厳しい公務員攻撃に打ち勝って春闘を攻勢的にたたかいたいと元気に声をかけてビラを配りました。
 まいたビラは「ストップ!小泉不況」。20人の仲間が「今年こそ雇用・くらしの改善で景気回復を」を訴え、宣伝にとりくみました。

●連合会 −−仙台、別府」全面委託方針、具体的内容を提案できず−−

 宿泊労連は1月17日、KKR宿泊施設の合理化問題で、連合会本部と交渉を行いました。宿泊労連からは香取委員長(竹橋)、渡邉副委員長(博多)、高野書記長(仙台)をはじめ、名古屋、ひむか(宮崎)、敬天閣(鹿児島)の施設代表を含め総勢11名が参加し、連合会側は奥平参与(施設部長兼任)、飯田業務課長他2名が対応しました。
 今回は、昨年末、連合会が仙台・別府の全面委託方針を明らかにしたことを受けて行われた12月25日に続く2度目の交渉で、前回の提案内容が極めて不十分だったための仕切直しの交渉です。
 奥平参与は、経営改善検討委員会での資料(中期事業経営改善計画策定にあたって)を配付し、(1)計画策定の基本となる問題点、(2)計画策定の具体策、(3)特殊法人等整理合理化計画への対応、について説明。しかし、計画案の中に盛り込まれている仙台・別府の全面委託に対する内容には一切ふれませんでした。
 宿泊労連の高野書記長は「今回の交渉では、労働条件問題に関しては提案が一切されなかった。計画案には依然、仙台・別府の全面委託が盛り込まれている。我々は、雇用を脅かす全面委託を受け入れるわけにはいかない」と明確に表明しました。
 最後に高野書記長は、奥平参与に対し、5者連名(宮城県春闘共闘、県労連、ブロック、県国公、仙台会館労組)の要求書を提出し、現地仙台での団体交渉に応ずるよう求めました。
 今後も宿泊労連は粘り強く交渉を続行しますが、KKR仙台と別府に働く仲間の雇用と生活を守るため、職場・地域からの支援が求められています。

●小泉「構造改革」でわたしたちの生活はどうなる
  −−通常国会での悪法成立許すな−−

 1月20日に召集される第156通常国会では、2003年度予算案や有事関連法案など、労働者・国民の生活に大きな影響を与える法案が焦点となります。
 また、「大綱」に基づく公務員制度「改革」を進めるための「国家公務員法改正案」などの関連法案の提出も予定されており、くらしと労働条件を守るためにも国会闘争の強化が必要となっています。


〇13分野にわたる規制改革 −−第2次答申出される−−
 政府の総合規制改革会議は昨年12月12日、小泉首相に労働や教育・研究、医療、福祉等、運輸、農林水産業など13分野にわたる「規制改革の推進に関する第2次答申」を提出しました。「答申」は、2001年12月の第1次答申をさらに具体化したもので、「経済の活性化」を統一テーマとしています。
 公共サービス分野については、「民間でできるものは官は行わない」という考えを基本に、民間参入を積極的に推進していくことが必要とし、国や自治体の役割、責任を放棄し、「弱肉強食」の市場原理によって国民生活の破壊をいっそう推し進めるものとなっています。

▼労働法制改悪法案提出へ
 とりわけ、雇用・労働分野では、「円滑な労働移動を可能とする規制改革」「就労形態の多様化を可能とする規制改革」「新しい労働者像に応じた規制改革」をかかげ、雇用保障と労働基準をいっそう自由化し、労働者保護を骨抜きにしようとしていることは重大な問題です。
 これに呼応して、厚生労働省の労働政策審議会は、12月26日に「今後の労働条件に係る制度の在り方について」「職業紹介事業制度、労働者派遣事業制度等の改正について」の2つの「建議」を厚生労働大臣に提出しており、この「建議」に基づいて第156通常国会には労働基準法などの「労働法制」改悪関連法案が提出される予定です。
 長引く不況のなか、違法・脱法のリストラ・人減らし行為が蔓延しているなか、解雇規制の強化など「働くルール」確立が求められています。
 しかし、今回出された「建議」は「企業の解雇の自由」を原則とするなど、雇用破壊に手を貸す内容となっています。
 国公労連は、労働者の権利や雇用を脅かす「労働法制」改悪阻止の請願署名を中心にとりくみを強化していきます。

〇制度崩壊まねく年金改悪
 厚生労働省は、12月5日、「年金改革の骨格に関する方向性と論点(以下「まとめ」)」を公表しました。これまでの各方面の論議(経済財政諮問会議と厚生労働省社会保障審議会年金部会)を参考にまとめた論議のたたき台とされています。
 政府・厚生労働省は、これをもとに、2003年末に改革案をとりまとめ、2004年春には年金制度改正法案を国会に提出するとしています。
 「まとめ」では、厚生年金の保険料率の上限を法律で固定する新方式を有力案として提示しており、その試算では、最終的な保険料率を年収の20%(労使折半、現行13・58%)に固定した場合、現役世代の平均手取り年収に対する給付額水準は、現行推計の59%から2032年度には52%へとなり、実質1割以上の減となります。
 このほか、年金改革の課題として、基礎年金の国庫負担割合を2分の1に引き上げることが「不可欠」とし、その財源を間接税(消費税)とする考え方も含まれています。
 年明け早々から、財界が「消費税率16%」の主張を強めているのも軌を一にしています。

▼4月から給付額は減額される
 政府は、年金改悪の突破口として、2003年4月から、物価変動に応じて給付額を増減する「物価スライド制度」の凍結解除し、0.9〜1%の給付の減額を行おうとしています。
 国民の生活悪化・健康破壊をもたらし、ますます日本経済を冷え込ませる「年金改悪」など社会保障闘争は「構造改革」とのたたかいの「中心課題」です。

〇国民に犠牲を強いる施策など
▼年金改革の骨格に関する方向性と論点
  (2002年12月5日 厚生労働省発表)
▼13項目にわたる「規制改革の推進に関する第2次答申」
  (2002年12月12日 政府の総合規制改革会議が小泉首相に提出)
▼「医療保険制度の体系の在り方」、「診療報酬体系の見直し」について
  (2002年12月17日 厚生労働省試案)
▼2003年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度について
  (2002年12月19日 閣議了解)
▼2003年度税制改正の大綱
  (2002年12月19日 財務省発表)
▼2003年度予算政府案
  (2002年12月24日 閣議決定)

〇有事関連法案は廃案に
 与党3党は、継続審議となっている有事法制関連法案について「いかなる事態になっても通常国会で通す」と成立に異常な執念をみせています。
 2003年春闘では、イラク攻撃と有事法制反対の声を大きくし、有事関連法案を廃案に追い込むたたかいが重要となります。

〇戦後最悪、借金まみれ −−03年度予算案−−
 政府は12月24日に、2003年度予算政府案を閣議決定しました。
 その内容は、国債依存度が44・6%という戦後最悪の借金まみれのものであり、その一方で、医療保険制度の改悪など、生活破壊の政策が強化されており、国民に何らの将来展望も示していないという点で、まれにみる悪政の具体化です。
 小泉内閣は、「構造改革なくして景気回復なし」をスローガンに国民いじめの「緊縮財政」をとってきました。その結果、デフレを深刻化させ、景気後退には拍車をかけています。財政面では、巨額の税収不足、金融経済面では不良債権の累積の悪循環を招いています。
 予算案の成立は、雇用、生活、将来不安の増大させ、不良債権処理は中小企業を倒産に追い込み、失業者を増大させる結果になりかねません。

▼4月からの医療費本人3割負担阻止
 2003年予算案と社会保障との関わりでは、4月からのサラリーマン医療費の本人負担を2割から3割への引き上げを阻止するたたかいが最も重要です。
 12月11日には、医療費3割負担実施凍結、高齢者の自己負担軽減などを求め、日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本看護協会が共同声明を発表、12月24日には東京・銀座など2カ所でビラの配布も行っています。
 また、1月16日には、民主、自由、共産、社民の野党4党が負担割合を2割に据え置く内容の「健康保険法改正案」を共同提出する方向で検討に入ったとの報道もされています。
 「医療改悪の実施と社会保障の改悪に反対し充実を求める請願署名」(取り組み期間2月20日まで)に全力をあげるとともに、2月3日に開催される「許すな!3割負担、医療・年金・介護の悪法ストップ!2・3国民集会」の成功をバネに地域から国民的運動を強め、国会を包囲することが必要です。

〇大企業、資産家を優遇 −−中低所得者いじめの税制改正−−
 12月19日、財務省が「平成15年度税制改正の大綱」を発表しました。2003年度政府予算案の歳入については、この「税制改正の大綱」の内容を組み入れたものとなっています。
 その内容は、「先行減税」2兆円を含む大企業・大資産家への手厚い減税・優遇と、中小企業と中低所得者層への生活全般に及ぶ大幅な増税となっています。とくに所得税については、配偶者特別控除の「上乗せ部分」の廃止など、戦後初の本格増税となるほか、発泡酒・ワイン・たばこへの増税が盛り込まれています。
 大綱から見えてくるものは、「勝者(富めるもの)を優遇し、敗者へ負担を強める」社会作りです。
 「税の応分負担」を口実に、所得・収入に関わりなく税金をかけ、その分、大金持ちや大企業の税金を「まける」という大衆課税の総仕上げが始まっており、それだけにこの時期のたたかいが大切です。

〇平成15年度税制改正の大綱では
▼増税メニュー
 発泡酒の税額を350ml当たり10円引き上げ(2003年5月実施)
 ワインの税額を720ml当たり10円引き上げ(2003年5月実施)
 たばこ1本当たりの税額を1円(20本で20円)引き上げ(2003年7月実施)
 配偶者特別控除の原則廃止(2004年1月から)
 消費税の免税点引き下げ、簡易課税制度の対象圧縮(2004年度実施)
 外形標準課税を導入、大企業から実施(2004年度実施)
▼減税メニュー
 研究開発減税の創設(2003年1月実施)
 IT(情報技術)投資減税(2003年1月実施)
 格式譲渡益、配当課税を20%に一律化、当面5年間は10%に軽減(2003年1月一部実施)
 相続税と贈与税の一体化、生前贈与に2500万円の非課税枠創設(2003年1月実施)



〇雇用・くらし・いのち・平和の安心を求め −−2・20国民総行動に結集しよう−−
 通常国会には、「構造改革」の最後の要とも位置づけられる司法制度改革のための裁判所法等の改正法案、学問の自由を脅かす国立大学法人化法案、教育の目的を「心理と正義、平和な社会をつくる人間の育成」から「国に役立つ人づくり」に変質させようとする教育基本法の改正案、表現の自由を制約する個人情報保護法案など「この国のかたち」を変質させる重要な法案の提出も予定されています。

   □    □

 悪法の成立阻止のため、、2003年春闘では「構造改革」反対の世論を大きくしていくことが必要です。 国民春闘共闘委員会・全労連は、雇用・くらし・いのち・平和の安心を求めて、すべての労働者・国民が総決起する春闘をめざし、2月20日には第2波全国統一行動を配置しています。
 国公労連は、全労連・国民春闘共闘に固く結集し、「行政の専門家」として、小泉「構造改革」に反対する国民的な運動の一翼を担うため、2003年度予算案や通常国会に提出される悪法による「雇用、くらし、いのち」への影響、問題点を明らかにする「100万枚ビラ」の作成を進めています。
 「100万枚ビラ」を最大限活用し、地域から「国民総決起春闘」をつくりだし、悪政を推進する勢力を大きく包囲することにより、「構造改革」の流れにストップをかけましょう。

●退職手当、一律6%減へ −−引き下げを閣議決定−−

 政府は12月17日、国家公務員の退職手当の改定方針を閣議決定しました。
 その改定内容は、官民比較の結果を唯一の根拠に、実施時期を2003年10月1日以降とし、1年間の「経過措置」を設けることや、早期特例措置の「見直し」を一部幹部公務員にとどめるとしたものの、退職手当の水準を一律に6%引き下げるものです。本俸切り下げという生活破壊に上乗せする労働者いじめの決定は、断じて許せるものではありません。
 政府は、この方針に沿って、第156通常国会に所要の改正法案を提出するとしており、改悪反対のたたかいが重要となります。

●鶏口 −−企業の社会的責任−−

 東京都・国立市のマンション訴訟で、「景観権」がはじめて認められ、「高さ20メートルをこえる部分の撤去」を命ずる判決が出された。マンション販売にあたって、被告となった不動産業者は、インターネットのマンション広告で「大学通りに並ぶみどり云々」と景観の良さを強調している。作家の故山口瞳氏が「日本で一番美しい通り」と評した景観を維持するため、地元住民の努力が続けられていたことを考えれば、法律面はともかく、企業の身勝手さを感じざるをえない。
 近頃、「企業の社会的責任(CSR・コーポレート・ソシアル・レスポンシビリティ)」なる言葉が「はやり」となっている。日本では、環境省の報告書などで使用されているが、EUでは、「企業も社会の一員として社会的な様々なルールに従うべき」との含意で使われていると文献で紹介されている。営利組織としての企業も、社会的ルールを守った活動を行うことが最良の社会的還元と位置づけられている。2001年7月、EUは「企業の社会的責任の欧州枠組みを促進する」とする文書を公表しているが、それは「90年代を席巻した市場原理主義に対するヨーロッパのレスポンス(反応)の声」(世界の労働、2001年11月号)と評されている。
 具体的には、企業内部での差別や安全衛生、儲けのためだけのリストラの監視、環境、人権、企業倫理などが課題とされ、それらについてのとりくみ状況も「企業の評価」につなげていこうとしている。商品購入や企業への投資も、その「企業の評価」を参考にしようとする動きも強まっているといわれる。コスト削減のためのリストラは、一企業の利益であるかもしれないが、失業や社会的荒廃という「コスト」をともなう、そのことにも企業は社会的責任を負うべきというのである。
 巨額の内部留保をため込みながら、優遇税制をさらにもとめ、社会保障の企業負担を減らす目的で「消費税率16%」を主張し、リストラ・首切り、賃下げを「経営努力」とうそぶく日本の財界・大企業に、「企業の社会的責任」の自覚があるのだろうか。身勝手な企業活動が横行し、儲けのためだけのリストラがこの国を席巻していると怒りを感じているのは私だけか。

●ILO勧告履行を政府に迫ろう −−全労連規模で運動の強化めざす−−
 
労働基本権回復のたたかいを 

 12月25日に開催された全労連・公務員制度改革闘争本部(本部長・坂内全労連事務局長)では、歴史的・画期的なILO結社の自由委員会勧告の実施を政府に迫るたたかいが論議されました。
 勧告を「承服しがたい」とする頑な姿勢をとる日本政府を、国内外の世論で包囲するため、(1)著名人・有識者アピール、(2)地方議会での政府宛意見書採択運動、(3)対政府交渉の強化、(4)ILOへの追加情報の提供、(5)全国キャラバン行動の展開、などの順次具体化を確認しました。
 この確認もうけて、1月23、24日に開催される全労連評議員会で運動提起がおこなわれる予定となっています。
 民主的公務員制度の確立、とりわけ公務員労働者の労働基本権回復のたたかいをナショナル・センター規模で展開し、「労働基本権制約の現状維持」としている公務員制度改革「大綱」の撤回・修正を政府にせまるたたかいの強化をめざすこととなります。


〇「迷走」する政府の国公法等「改正」作業
 年末、12月28日付けの読売新聞が「公務員、能力給見送り」とする記事を掲載したのを皮切りに、1月に入って、毎日新聞、日経新聞なども同趣旨の報道をおこなっています。読売新聞の記事内容について、行革推進事務局は、「(進事務局として)取材を受けたものではない」、「大綱の見直し論議はおこなっていない」などと述べています。
 しかし、通常国会に提出が予定されている法案の中で、「公務員制度改革関連法案」は「提出を検討する法案」とされており、国会提出予定時期も「未定」の状況であることも明らかにしています。
 ILO勧告も含め、政府が進める公務員制度「改革」への批判が広がっている中、改革作業が「迷走」しはじめています。私たちの運動が、政府・行革推進事務局を追いつめていることは明らかです。

●中労委に調停申請 −−産総研当局の不誠実さ明らかに−−
 
労使関係改善への足がかり築く 

 全経済・産業技術総合研究所労組は、今年度の賃金改定交渉において、法人当局が賃金改定の根拠も示さないまま要求を拒否し、就業規則改定での賃下げを強行し、賃金交渉が決裂したことから、12月12日、中労委に調停を申請していました。
 申請内容は、(1)賃下げ及び不利益の実質遡及を行わないこと、(2)産総研独自の手当は削減しないこと、(3)法人移行時の俸給表切り替えに伴う現給保障は削減しないこと、の3点でした。また、調停を通じて、法人当局が一方的に就業規則を改定、「減額調整」を実施するという不誠実交渉についても強く訴え、労使関係改善もめざしました。
 1月16日に出された調停案は、調停申請した3項目については「(賃下げが既に強行されていることも含めた)当該法人の諸状況に鑑み、当局の回答どおりとすること」とした上で、(1)労働時間管理・超過勤務手当のあり方の改善、(2)財務諸表等経営状況・給与等人件費に係る資料の提示、(3)業績評価の給与への反映のあり方について、労使交渉を誠実に行うよう求めています。
 また、調停委員長の口頭要望として、(2)に係わって組合から要求した現員現給等の情報開示について「提示範囲、方法等の誠実な協議」と、「労使で誠実に協議し合意したものの文書確認に努める」ことを求めました。これは、3人の調停委員が一致して当局の不誠実な対応を糾したものです。
 賃下げやその遡及実施を阻止することはできませんでしたが、交渉に必要な資料さえ提示しない当局の不誠実さを明らかにし、調停内容と一体で「口頭要望」が行われたことは、今後の労使関係改善の足がかりとなるものです。

●読者のひろば

〇労働者の権利守るため団結してたたかおう 全運輸近畿航空支部神戸衛星分会の方から
 全日検神戸労組のたたかいは、大変さを改めて感じました。最近の労働者に対する弾圧は、人間性をも揺るがす許されないものです。ぜひ、労働者の権利を確保するため、一致団結してたたかいましょう。

〇子どもたちに恥ずかしくない行動を 全行管近畿地本滋賀支部の方から
 核廃絶について、我々は、本当に死に物狂いで(核兵器に)反対しているのか。
 いま、子どもたちに恥ずかしくない行動が問われていると思う。

〇日本も、もっと平和を「自慢」できれば 全労働神奈川支部川崎北職安分会の方から
 コスタリカのお話、とても感動しました。日本も、もっと平和を「自慢」できればいいのに。

●革新候補を推せん −−青森県知事選挙、平野良一さん−−

 国公労連中央執行委員会は、青森県国公の要請をうけ、青森県知事選挙(1月26日投票)に「さわやか県政をつくる県民の会」が擁立している平野良一さんの推せんを決定しました。
 平野さんは、元浪岡町長、国立療養所・岩木病院と地域医療を守る会会長も務めており、国・地方一体ですすめられている住民犠牲・大型開発優先の行政を、住民のくらしや福祉中心の行政に切りかえる立場を鮮明にしています。現在、核燃料廃棄物搬入阻止実行委員長などを歴任。
 職場・地域からの支援をお願いします。

●国公労調査時報 2月号(広告)

○特集「歴史的かつ画期的なILO勧告」と公務員の労働基本権(T)
○国公労連行政研究推進集会の記念講演

 ▽公共投資など財政から見た国の行政  日本大学商学部教授 永山 利和
 ▽雇用・地域経済問題から見た国の行政  全労連総合労働局長 寺間 誠治
○利用者・国民本位の法務行政をめざして  全法務中央執行副委員長 小渕 和幸

★購読に関する問い合わせは、国公労連教育宣伝部まで
 電話:03-3502-6363 e-mail:jihou@kokko.or.jp
 (定価 450円、年間購読料 5,850円)


●勤通大2003年受講生募集 締め切り迫る!



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