国公労新聞 第1112号

●有事3法案、医療改悪法案、個人情報保護法案、郵政公社化関連4法案
  国民いじめの悪法阻止しよう

 政府・与党は、6月19日が会期ぎれになる通常国会を延長し、あくまでも有事3法案、医療改悪法案、郵政公社化関連4法案、個人情報保護法案などの悪法の成立を狙っています。

 5月31日の福田官房長官の「非核三原則」見直し発言に続き、防衛庁が「組織ぐるみ」で情報公開請求者の身元調査リストを作成していたことが明らかになるなど、国会は混乱しており、会期延長の幅については、流動的です。
 唯一の被爆国である我が国の政府首脳が「非核三原則」見直しに言及したことは、憲法を踏みにじる暴挙です。
 核兵器保有を是認する発言を行う背景には、有事法制の国会提出に見られる小泉政権の「タカ派」的姿勢があり、危険な小泉内閣の退陣を迫る運動を強めることが重要となっています。
 4万人が結集した「ストップ!有事法制5・24大集会」に続いて、5月29日には全労連、連合、全労協、航空労組連絡会が有事3法案や医療改悪法案の廃案を求めて、1000人以上で国会前に座り込むなど、組織の枠を越えた共同のとりくみが、小泉内閣を追い込んできています。

〇全国のたたかいが小泉内閣を包囲
 「青年5人が有事法制反対署名行動に飛び入り参加」(静岡・浜松地区国公)、「金沢市内の繁華街で有事法制反対の退庁時宣伝」(石川県国公)、「神戸の陸・海・空・港湾17団体が有事法制反対の一点で共同学習決起集会」(兵庫県国公)、「有事立法廃案を求め平和行進・緊急デモ」(北海道国公)、「青年組合員が有事法制反対の新聞投書」(全通信九州支部)など全国各地から悪法阻止のうねりが大きくなっています。
 後半国会は大きなヤマ場を迎えています。6月13日には日比谷野外音楽堂で「医療改悪・有事法制を許さない中央集会」、16日は、代々木公園で「STOP!有事法制 6・16全国大集会」が、また、各県においても集会や宣伝行動などが計画されており、これらのとりくみを成功させ、国民いじめの小泉内閣を全国から包囲しましょう。

〇STOP!有事法制 6・16全国大集会

 日 時 6月16日(日)
     開会 13:00 閉会 14:15
 場 所 代々木公園B地区(イベント広場)
      地下鉄千代田線「明治神宮前駅」
      JR「原宿駅」
 よびかけ団体
     陸・海・空・港湾20労組
     平和をつくり出す宗教者ネット
     平和を実現するキリスト者ネット
 ※ 終了後4コースに分かれてデモ行進が予定されています。


●ルール無視−−「公務員賃金を引き下げる」−−竹中経済財政担当大臣が発言

 5月26日、テレビ番組で竹中経済財政担当大臣は、「公務員給与を一部カットすることも含めて、歳出削減を本気でやる」と述べ、さらに、人事院勧告制度の「見直し」にも言及しました。28日には、小泉首相も「あらゆる歳出を見直すからそういうの(公務員賃金カット)も検討していく一つの課題」と述べています。
 これらの発言は、経済・財政「構造改革」の一環として、「政策的」な立場から公務員賃金の引き下げが検討されていることを明らかにしたもので、政府が賃金引き下げの「悪魔のサイクル」を主導する姿勢を示すものです。
 また、財政制度等審議会(財務省の諮問機関)は6月3日、2003年度予算編成の基本的考え方(「建議」)を塩川財務大臣に提出しました。
 建議は、小泉内閣が掲げる「改革断行予算」継続の方向であり、年金額のマイナス改定や、雇用保険制度の「自発的失業者」への給付縮減など、国民生活関連予算に大ナタを振るう内容です。公務員給与についても、「退職手当も含め総人件費の抑制」を求めるものとなっています。
 竹中経済財政担当大臣の発言や「建議」などは、一部大企業の生き残りのための「経済活性化」政策をごり押しし、国民いじめの悪政を強行するための「露払い」として「公務員賃金カット」を行うという方向性も見えてきます。
 小泉内閣の無責任な「賃下げ」発言を断じて許さず、4年連続の賃下げ阻止、生活できる賃上げ実現のため、人勧期のとりくみに全力をあげましょう。

●人事院−−懲戒処分指針の一部改正を通知

 人事院は、5月28日、各府省などに対し「懲戒処分の指針について」の一部改正通知を発出しました。
 今回の改正は、近年、飲酒運転などの悪質・危険な運転行為に対する社会一般の見方がより厳しくなっていること、飲酒運転などに係る罰則等が強化されたことを踏まえ、これらの行為に対する懲戒処分がより一層厳正に行われるよう、指針となる交通事故・交通法規違反関係の標準例を改正することとしたものです。
 具体的には、飲酒運転及び飲酒運転での交通事故の標準例を酒酔い運転の場合と酒気帯び運転の場合に細分するとともに、それらの標準的な処分量定を左表のとおり現行より重く設定することとしています。

〇主な改正内容

 ▽酒酔い運転で死亡又は重篤な傷害を負わせた職員
    免職・停職 → 免職
 ▽酒酔い運転で傷害を負わせた職員
    停職・減給 → 免職・停職(事故後の措置義務違反は免職)
 ▽酒気帯び運転で死亡又は重篤な傷害を負わせた職員
    免職・停職 → 免職・停職(事故後の措置義務違反は免職)
 ▽酒気帯び運転で傷害を負わせた職員
    停職・減給 → 免職・停職・減給(事故後の措置義務違反は免職・停職)
 ▽酒酔い運転をした職員
    減給・戒告 → 免職・停職・減給
            (物の損壊に係る事故後の措置義務違反は免職・停職)
 ▽酒気帯び運転をした職員
    減給・戒告 → 停職・減給・戒告
            (物の損壊に係る事故後の措置義務違反は停職・減給)


●みつめよういのち! 築こう平和! 生かそう憲法!
 職場に家庭に男女平等参画を!
 高松で第32回国公女性交流集会ひらく

 5月24・25日、第32回国公女性交流集会が、香川県高松市において、15単組・41県国公から471人の参加でひらかれました。好天にも恵まれ、現地実行委員会と四国ブロック国公の協力で、十分に交流を深め合うことができた集会となりました。

 国公労連小田川書記長のあいさつ、堤四国ブロック国公議長と千葉現地実行委員長の歓迎あいさつで全体会がスタート。
 伍女性協議長の基調報告のあと、経済産業省の「採用・登用計画」策定へのとりくみが全経済の仲間から、国立香川小児病院と善通寺養護学校を守る会の活動について同会の事務局次長から、非常勤職員の働く権利をまもるたたかいの報告が全厚生の仲間から、それぞれの職場・地域でのとりくみがいきいきと報告されました。
 2日目の全体会では、アピールと有事法制に反対する決議を採択し、「人間らしく働ける職場と、憲法が生きる平和な21世紀を実現しよう」と呼びかけました。
 最後に、憲法前文が書かれた「うちわ」を振りながら単組・県国公の参加者を紹介。来年の再会を誓いあって集会の幕を閉じました。

〇記念講演 寺島 萬里子さん
  −−いのち輝け、人権回復をめざして−−

 寺島萬里子さんは、ハンセン病の療養所・栗生楽泉園にカメラを肩に4年あまり通い、そこで出会った在園者を撮り続けました。
 講演では、スライドを使いながら、明るさと強さとユーモアさえ持った元患者さんたちの生きいきとした姿が映し出され、参加者はいのちと人権の大切さを深く心に刻みました。

〇分科会 −−大いに語り交流しました−−
 集会2日目は8つの分科会に分かれ交流。人気が高かったのは「身近な食を考える」分科会でした。
 また、フィールドワークでは、豊島の産業廃棄物問題を考えました。

〇アトラクション −−阿波人形浄瑠璃−−
 「傾城阿波の鳴門(巡礼歌の段)」が演じられ、まるで生きているような人形の動きに見入っていました。

〇参加者の声
▼集会に参加して、国公女性の力強さを感じました。支部に帰ってからの活動に活かしたいと思います。また参加したいです。(全通信)
▼女性交流集会は初めての参加です。フィールドワークで豊島へ行きましたが、自然は一度壊してしまうと元に戻すためには、多くの時間とお金がかかることを実感しました。(全厚生)

〇四国の裏方さん
  全医労四国地協の谷脇美鈴さん、全医労善通寺支部の黒川秀子さん
 谷脇さんは、現地実行委員会の教育宣伝部として「交流集会ニュース」の発行などを担当。集会の直前では、バタバタしたこともありましたが、なんとか成功して良かったと語りました。
 また、単組を越えた交流は「今後の活動によい勉強となりました」と言いながら、最後の片づけをしていました。

●労働者の権利救済システムの実現を
 国公労連が司法制度改革シンポジウムひらく

 国公労連は5月24日、東京・霞が関の東京弁護士会館で司法制度改革シンポジウムを開催し、127人が参加しました。
 シンポジウムは、司法制度改革推進本部の「改革」具体化作業が進んでいる状況を踏まえ、「労働者の権利を守る司法制度改革を考える」をテーマに開催されました。国公労連堀口委員長があいさつ、日弁連本林会長のメッセージが紹介された後、国公労連から問題提起。その後、4人のシンポジストにより、議論を深めました。
 日本労働弁護団幹事長の井上幸夫弁護士は、労働裁判の現状について、「仮処分申請でも本訴でも労働者に不当に重い立証責任を負わせることが横行している」と批判しました。
 全労働・森崎巌書記長は、個別労使紛争処理に関わる全労働の考え方を説明したうえで、「権利侵害が行われていても、労働者のほとんどは泣き寝入りだ。裁判機能を強化させないとADRは拡充しない」と問題提起しました。
 全司法・井上博道副委員長は、「時間と費用がかかりすぎる現状を変えなければ、労働者の頼りになる裁判にはならない。また、小さな司法ではなく大きな司法にする必要がある」と指摘しました。
 司法制度改革推進本部労働検討会メンバーの鵜飼良昭弁護士は、「権利救済システムとして、労働参審制の実現は急務。労働運動の責任は重い」と強調しました。
 また、建交労鉄道本部、全税関東京支部、全司法大阪支部、全労連の代表がそれぞれの立場で司法制度改革について発言しました。
 最後に全司法奥田委員長がまとめを行い、民主的司法制度改革を進める国民的運動に結集していくことを確認し、終了しました。


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