ストップ!年金大改悪--国民本位の行政改革めざす運動と両輪で地域の宣伝行動を強め署名のとりくみ広げよう

【「国公労新聞」第1001号98年11月1日付より】


 ●国庫負担増額求める世論と運動がカギ

 高橋こずえ
 最近、年金のことがよく新聞に出てくるわね。年金をこれからどうしようというの?
 森健太
 年金審議会(厚生大臣の諮問機関)が、10月9日に「意見書」をまとめたんだ。来年予定している年金「改定」にむけて、保険料の引き上げや、給付の抑制を国民に迫っているんだ。
 こずえ
 それは、たいへんだわ。深刻な不況の上に、消費税率のアップや医療保険の改悪で私たちの負担はズッシリ重くなっているのに、厚生省はいったい何を考えているのかしら。
 健太
 そんな、庶民の思いが「意見書」にも反映されていて、一方で改悪を迫りながら、とても一つにまとまったものとはいえないものになっているんだ。
 こずえ
 基礎年金の国庫負担割合をふやせば、年金改悪をストップできるって、国公労連のパンフにもでていたけど。
 健太
 そこを最大の争点にしていくことだね。厚生省は改悪法案づくりを急ぎ、来年の通常国会に出す予定だから、この秋の運動が大切なんだ。宣伝や署名を、職場や地域で大いに広げないとね。
 こずえ
 みんなと対話するために、職場での学習会も急いで計画しなくちゃね。

 ●年金審議会「意見書」を斬る--中央社保協副会長・公文昭夫さん
年金審議会の意見書で、重要な視点が三つある。

□容認できない総額部分
 第1の視点は総論としては、今の情勢のもとで年金制度を安定的に運営していくためにはまず、保険料値上げを軸にした国民に対する負担増と、年金額の大幅な引き下げを重点においた給付抑制、この二つはさけられないという考え方を提起している。厚生省と一体になって発表したこの意見書を絶対に容認できないというのが結論だ。

□要求を反映した主張も
 第2の視点は、各論の部分については私たちの要求とも一致する意見を削りとばすことができず、百家争鳴的な賛否両論、3論、4論併記の形で具体的に明示している。総論と各論がまったく相反するような内容で提起されているのが特徴だ。一本にまとまってない審議会の意見書をもとに、一本の改悪法案をつくる基礎にはなりえないものだ。

□積極的な活用を
 第3の視点は各論の中で、たとえば基礎年金の国庫負担割合を3分の1から2分の1に増額して将来は全額国庫負担(運動の反映である考え方を書き込むのは具合が悪いというので全て税方式という言い方にしている)など、私たちの主張が貫かれている部分まで含め、さまざまな意見が盛り込まれている。運動で大いに活用していける要素が盛り込まれた意見書であるというのが3つめの点だ。
 したがって、これら3つの視点を中心に意見書を読み、全面的に活用していく必要がある。(10月16日に行われた緊急学習決起集会での報告より)

 ●許せない!こんなひどい改悪メニュー
 (その1)厚生年金の2階部分の支給開始年齢を現行60歳から65歳に=94年の年金改悪で支給開始年齢を60歳から65歳に段階的に遅らせ、すべてに共通の基礎年金部分をなくすことに加え、今度は報酬比例部分も65歳支給にしていく。
 (その2)年金給付の賃金スライド制をやめる=前年の物価上昇率にあわせて年金額を改善する物価スライドと、5年目ごとに行われる賃金上昇率にあわせたスライド制のうち、賃金スライド制を廃止するもの。
 (その3)在職老齢年金制度を60歳代前半から後半まで拡大する=年金額を一律に20%カットの在職老齢年金(60歳をすぎて働き続ける場合の年金)を現在の60歳代前半までから、60歳代後半まで拡大するもの。
 (その4)保険料のさらなる引き上げ=94年改悪で決めた保険料の引き上げ(17.35→19.0%)の上に、さらに負担増を強いるもの。意見書では30%以内、26%程度、20%以内の3論を併記(ともに労使折半)。共済年金はそれ以上も。
 (その5)ボーナスからの保険料の算定に総報酬制を導入する=94年の改悪で、ボーナスからの特別保険料1%(労使折半)が徴収されています。今度はボーナスを含む年間総収入から保険料をとる仕組みをつくろうとするもの。

 ●私たちの3つの要求
 (1)基礎年金の国庫負担割合を3分の1から2分の1に増額し、全額国庫負担をめざすこと。
 (2)年金財政の巨額な積立金を計画的に活用し、保険料・掛け金の引き上げ、支給額切り下げを行わず、賃金スライド制を廃止しないこと。
 (3)支給開始年齢は、当面65歳への繰り延べをやめ、すべての年金について原則60歳支給とすること。


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