国公労新聞 第1099号

●第154通常国会開会  −−小泉内閣の「悪政」ストップ!−−
 
公務員制度改革基本法案提出の動きも

 第154通常国会が1月21日に招集され、第2次補正予算に関する財政演説を皮切りに本格的な論戦が展開されています。
 小泉内閣は、今国会を「改革始動国会」として、国民を戦争に総動員する有事法制、健保本人3割など国民負担を拡大する医療保険制度の大改悪、消費税増税を含む「税制改革」、雇用を一層破壊する「解雇基準」、憲法改悪のための「国民投票法」などを強行しようとしています。
 また、国立病院・療養所の独立行政法人個別法案の提出が予定されており、「公務員制度改革基本法案(仮称)」の提出の動きにも注視する必要があります。

〇金権・腐敗の実態、徹底した真相究明を
 公共事業を食い物にする金権・腐敗問題も今国会の大きな焦点の一つです。公共事業口利き疑惑に対して、関係した秘書、元秘書、そして政治家の証人喚問も含め、国会が徹底した真相究明のための努力をはかるべきです。
 2002年度予算政府案は、小泉「構造改革」の痛みを国民に押しつける一方で、従来型公共事業を引きつづき推進するとともに、軍事費を「聖域扱い」するものとなっています。
 小泉内閣の下で、内政でも、外交でも、政治腐敗の問題でも自民党の悪政の暴走が起こっています。この暴走にストップをかける国民世論を巻き起こすことが必要です。
 悪法の成立を許さず、国民本位の予算に組み替えさせるため、国民総ぐるみのたたかいに結集しましょう。

●「大綱」撤回 再協議せよ  −−推進事務局に申し入れ−−

 国公労連は、1月23日、政府・行革推進事務局に対して、申入書を提出、交渉を行いました。
 交渉では、堀口委員長が、「我々の要求に対して『大綱』はほとんど応えていない。労働基本権問題については、議論が全くないままに『現行制約を維持』とするなど労使の交渉・協議が不十分である」とした上で、改めて「大綱」の撤回、交渉・協議の仕切り直しを強く主張しました。
 個別制度の内容検討や国家公務員法などの「改正」作業については、引きつづき推進事務局が行うことから、労働基本権制約との関係について推進事務局は、「十分に留意しつつ代わる措置をきちんと検討する必要がある」という認識を示しました。
 また、今後の交渉・協議については、「内容が大切であり、範囲は限定しない。制度が円滑実施できるよう、労働組合との話し合いは重要。誠実に交渉・協議をすすめていく」と回答しました。

●残業代はキチンと払われていますか
 2月は「不払い残業根絶・働くルール確立強化月間」です

 職場では、本省庁や公共事業官庁をはじめとして、慢性的な長時間労働が蔓延しています。
 霞国公がとりくんだ「霞ヶ関に働く国家公務員に対する残業実態アンケート」では、回答者の7人に1人が過労死ラインの100時間を超え、8割以上の人が「不払いが存在する」と答えています。
 厚生労働省は2001年4月に、「労働時間の適正な把握」に関する通達で、使用者の労働時間管理責任を明確にしましたが、国の職場は制度のはざまで放置されたままになっています。
 労働時間短縮・不払い根絶を率先して行うべき国の職場がこのような実態では、民間企業が法律を守るとはとうてい思えません。
 国公労連は2002春闘で、この異常な働き方を告発し、政府・当局に改善を具体的に迫るとりくみを強化します。
 具体的には、2月を「不払い残業根絶・働くルール確立強化月間」とし、「労働時間チェックシート」で1ヶ月間の労働時間を記録します。
 自らの労働時間や不払い残業の実態を正確に把握するとともに、改めて働き方を見つめ直すことが重要です。
 過労死や病気に至る職場の実態を少しでも改善するため、公務の職場にも働くルールを確立するためにも、多くの仲間が参加することを呼びかけます。

●NTT山口支店前でビラ配布
 

 【山口県国公発】1月11日、国民春闘共闘、全労連の呼びかけにより全国各地で「ニューイヤー宣伝行動」がとりくまれました。
 山口県内では、4地域労連が早朝宣伝を実施、県国公の仲間も結集しました。
 山口地域では、NTT山口支店前において、NTT11万人「合理化」反対で、通信労組の仲間とともにNTT労働者にビラの配布し、ともにたたかおうと呼びかけました。

●真の男女平等参画の実現を
人事院 「女性職員の採用・登用拡大計画」概要

〇「指針」に基づき「計画」を策定
 1月11日、人事院は、「『(各府省の)女性職員の採用・登用拡大計画』(以下「計画」)の概要」を明らかにしました。これは、昨年5月に人事院が示した「女性国家公務員の採用・登用の拡大に関する指針」に基づき、各府省が2005年度までの計画を策定したことを受けたものです。
 「計画」には、@現状と分析、A採用の拡大、B登用の拡大、C勤務環境の整備、D推進体制、が盛りこまれ、全省庁と全特定独立行政法人が策定しています。個別の「計画」を人事院は明らかにしておらず、府省段階で、「計画」の開示を求めることや、単組と国公労連が協力して比較・検討を行っていくことが必要になっています。

〇採用・登用拡大目標で各府省の姿勢が反映
 「概要」では、各府省のとりくみ目標などの違いも表れています。たとえば、「採用の拡大」では、T・U・V種の採用試験別に目標を設定している府省と、試験採用者全体を一括りにしているところがあります。また、単に「増加につとめる」が9機関ある一方で、「試験合格者に対する女性の割合を上回るように努める」(6機関)、「5年間を通算して〇〇%を上回るように努める」(5機関)などの具体的な目標を明らかにしているものもあります。全国に分散しているのか本省中心なのかという組織実態や、仕事の内容などを抜きにした一律の評価はできませんが、女性の採用・登用拡大に積極的か否かを示すものであることは明らかです。
 登用について、「数値目標」を明らかにしているのは4機関であり、より消極的な姿勢が示されています。また、「配置にあたって男女で偏りがないよう配慮」(29機関)、「研修への積極的な参加」(23機関)など、具体的なとりくみ例も表れています。異動や研修を登用の「条件」とする人事管理が強まる危険性も内在しており、職場段階での監視が求められています。

〇「絵に描いた餅」にさせないために
 4月の人事異動期で、「計画」の実効性が検証されることになります。「絵に描いた餅」となるのか、「男女共同参画」の実現に向けた確実な一歩を踏みだすのかは、職場のとりくみにもかかっています。
 各当局に、「計画」を明らかにさせるとともに、労働組合としての定期的な検証と当局追及が重要になっています。

●育児休業制度改正  −−1歳から3歳未満に引き上げ−−
 4月実施に向け周知させる運動を

 −−小学校就学前の子のある職員の超過勤務は年150時間まで−−

 一般職国家公務員の育児休業制度が改正され、育児休業及び部分休業の対象となる子の年齢が、1歳から3歳未満に引き上げられました。今年の4月1日から施行されます(表1参照)。

[表1] 超過勤務は年150時間まで
 育児休業制度で改正された主な内容(2002年4月1日より)
◆育児休業及び部分休業の対象となる子の年齢を3歳未満に引き上げる。
◆代替要員の確保措置として、育児休業をした職員の業務を処理するため、臨時的任用の他、任期付採用をすることができる。


〇男性職員の育休を積極的に推進
 昨年12月7日に人事院は「育児休業制度等の周知、男性の育児休業等の取得促進等について(通知)」(表2参照)を発出しました。男性、女性ともに育児休業がとれるにもかかわらず、育児休業取得者の99%が女性職員となっている現状のなかで、男性職員の育児休業等の取得を積極的に推進することが目的です。
 また、小学校就学前の子のある職員が請求した場合、深夜勤務をさせてはならないとし、超過勤務は月24時間、年150時間の上限規制が明記されました(1月1日施行)。

[表2] 育児休業制度等の周知、男性の育児休業等の取得促進等について(通知)〈抜粋〉
@男性職員の育児休業等の取得促進
◇配偶者が就労していなくても、配偶者の産前6週間前から産後8週間までの間、子の養育のため育児休業をすることができる。
◇夫婦が子の養育のため交互に育児休業をすることができる。
A育児休業職員の代替要員の確保
B職務復帰が円滑に行われるように、育休中に業務に関する情報の提供、復職直後の研修を実施する。
C取得しやすい職場環境の整備を図る。


〇延長された期間、手当金は不支給
 一方、延長された期間の育児休業手当金は支給されません。共済掛金の免除も、当該の子が1歳になるまでとなっています。育児休業を取得する若い世代にとっては、経済的に厳しい選択を迫られる内容となっています。
 また代替要員の確保についても、困難が予想される資格職種に対しては改善されていません。

〇働くルール確立と一体でとりくみを
 男女がともに、職業生活と家庭生活を両立させていくためにも、長時間・過密労働を改善させ、働くルールを確立することが重要です。
 真の男女平等を実現する足がかりとして、改正された育児休業制度を職場で周知徹底し、定着させる運動が必要です。

●オフィスのそばの保育園 −−かすみがせき保育室−−

文部科学省共済組合が民間会社に委託    進む保育の規制緩和と「公設民営化」 

 東京・霞が関にある文部科学省内に昨年10月、「かすみがせき保育室」が誕生しました。
 この保育園は、文部科学省共済組合の福祉事業として実施しているもので、運営は民間会社(株式会社コテイ)に委託しています。現在、0〜3歳児まで20人の子どもたちが通園し、90人の入園希望者が待機しているといいます。
 保育時間は午前8時30分から午後10時まで。霞が関の長時間過密労働も反映しているようです。
 8時間以内の時間を基本保育時間(0歳児で保育費は月額4万9千円)とし、それ以外の時間は延長保育(1時間あたり600円)となります。「一時保育」も実施しており(0歳児で1時間1200円)、定員は10人。子どもを連れて出張に来て1週間利用した職員も。
 給食は、専門業者に委託しています。また、虎の門病院と提携して、突発的な病気に備えています。
 かすみがせき保育室に働く保育士の女性は、「今は1歳位の園児が多いですね。夜10時までは3人預かっています。職員は8人で、3人ずつ交代で回しています」と話します。

〇広がる多様な働き方、問われる子育て支援
 コスト重視が避けられない民間委託。公的部門を切り捨てる保育の規制緩和など、「公設民営化」のかすみがせき保育室には、様々な意見があることは事実です。
 また、共済組合の福祉事業としての当否、長時間労働を前提とせざるを得ない経営状況など、根本的な問題もあります。一方で、公務職場での多様な働き方が広がっているなかで、子育て支援の一つのあり方であることも否定できません。あらためて考えさせられた取材でした。【国公労連・阿部、中田】

●<連載> 憲法を考える  No.3
 国民の医療を奪う攻撃許さない
    −−日本医療労働組合連合会  平和対策委員会事務局長 木口 栄

 いま医療職場の長時間・過密労働は、患者・国民と医療労働者に大きな痛みをもたらしています。
 社会的問題となっている医療事故の要因の一つに人手不足、業務の多忙化があります。また、医療労働者の9割以上が疲労感を訴えています(2002年春闘アンケート中間集計結果)。誰もが安全・安心できる医療のためには、こうした職場実態の改善が急務となっています。

 しかし小泉内閣は、「医療給付の見直し」と「保険料の見直し」を大きな柱とする「医療改悪」を行おうとしています。その中身は患者・国民の負担増と医療経営・医療労働へのしわ寄せ、変質につながるものです。給付の見直しでは、「各制度を通じて7割を基本に給付の統一」を図ろうとしています。
 医療の市場化・営利化が進めば、医療経営のコスト削減=医療労働者の労働条件の低下や非正規雇用の拡大へとつながる危険性があります。
 日本国憲法第25条1項は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とし、2項では「国は、すべての生活部門について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と、国民のいのちと暮らしにかかわる国の責任を明記しています。このことからすれば、今回の小泉「医療改悪」は、憲法違反の暴挙と言わざるを得ません。

〇戦争に動員された看護婦、ベッドも40%が軍用に
 「医療改悪」がアメリカの戦争に協力する国づくりとあわせて行われていることも重大な問題です。
 かつての日中戦争から第2次世界大戦まで、動員された看護婦は、約2万6千人、延べ10万人に達し、1千人が戦死しました。また、1942年のベッド総数4万5千のうち40%が軍用で、44年にはわずか150床しかない状態となりました。このように戦争は国民の医療を奪い去ってしまうのです。

〇国民的なたたかいで医療改悪阻止しよう
 医療改悪を許さない、国民的なたたかいが大きく広がっています。医療関係団体の署名は300万を超え、日本医師会や日本歯科医師会の署名も含めると1200万を突破し、各地で大規模な集会が行われています。
 日本医労連は、今春闘でこの運動をさらに広げ、小泉内閣の「構造改革」が国民犠牲の「痛み」であることを世論にし、医療改悪法案を廃案に追い込むために全力を上げる決意です。

   

●[鶏口] −−国民としての選択が問われる春闘−−

 1月21日、第154通常国会が召集された。
 6月19日までの150日間の国会には、2002年度予算案や医療保険制度改悪法案などとともに、国立病院・療養所の独立行政法人個別法案なども提出が予定され、「公務員制度改革基本法案(仮称)」提出の動きもある。「有事法制」提出も確実な状況にあり、国民としての選択が待ったなしで問われる国会である。
 年末の青木建設倒産の際、小泉首相は「構造改革が順調に進んでいる現れ」とのべた。年をあけ、2兆円をこえる債務を抱え経営困難に陥っているダイエーについて、「大きすぎてつぶせない」という声が政府筋からも聞こえ、間接的な公的資金投入とも言える銀行の債権放棄の動きすらある。中小企業や地場金融は容赦なく切り捨てながら、大企業や大銀行には手厚い保護策を講じる、それが「小泉構造改革」の本質である。
 そして、「構造改革」の矛先は、医療制度など国民のいのち・くらしを支える制度にも向けられている。このような「構造改革」の先にある社会は、強者はより豊かに、弱者はより貧しくという弱肉強食のものでしかない。しかし、各種の世論調査をみる限り、それが、多くの国民の願いとは一致していない。

 先日、ある県の春闘討論集会で次のような話を聞いた。宣伝行動の際、老婆が「なぜ小泉首相の悪口を言うのか」と詰め寄ってきたが、医療制度改悪の中味を説明したら「そんな悪いことをしているとは知らなかった」と言って納得したというのである。「構造改革」の中味が知られておらず、「構造改革」と小泉首相が結びついていない。「小泉構造改革ノー」の世論と運動をねばり強く広げ、「国民総ぐるみの春闘」のうねりを作り出す労働組合の奮闘が、2002年春闘の最大の運動課題であると、あらためて決意した。

●地域レポート 2

 国民に痛みを強いる小泉「構造改革」に対し、全国でさまざまなたたかいが展開されています。
 今回は、福岡県での官民一体となったとりくみについて、レポートをいただきました。


〇福岡県 −−小泉「改革」へのがまんも限界、「国民総ぐるみ」でたたかう
 【福岡県国公発】大企業の空前の大規模リストラ、小泉「改革」断行によって、大倒産・大失業時代が到来しようとしています。雇用・失業問題の解決は切実な社会問題です。
 福岡県内の完全失業者数は14万5千人、完全失業率5.8%と、雇用・失業状況はますます悪化しており、極めて深刻な事態にあることは明白です。
 しかし、小泉首相が打ち出す「改革」は「公務員制度改革」「医療制度改悪」「不良債権の早期最終処理」など、労働者・国民に“激痛”を強いるものばかりです。もう、労働者はがまんも泣き寝入りもできないところまで追いつめられています。
 いまこそ、小泉内閣と大企業に対し、「国民総ぐるみ」のたたかいが求められています。

▼賃金・雇用破壊やめよ、国民のいのち守れ
 福岡県国公は福岡県民春闘共闘連絡会とともに、1月11日に福岡県内14カ所で新春宣伝行動を実施しました。当日は早朝から公務と民間の仲間80人が集まり、「財界と大企業は、賃金・雇用破壊をやめよ」と市民に強く訴えながら、身勝手な解雇を規制する「働くルール」を確立しようと呼びかけました。
 また、健康保険本人の3割負担は医療破壊を招くことは必至であり、「もう病院に行けない」「医療大改悪をやめさせ、国民のいのちを守ろう」と訴えました。朝の忙しいときにもかかわらず、ビラの受け取りは非常に良く、用意した6000枚のビラは瞬く間になくなりました。
 福岡県国公は2002年春闘で「雇用、くらし、いのち」の3つを重点課題に位置づけ、官民一体のたたかいに全力をあげてがんばります。

●住宅再建には公的支援を −−阪神・淡路大震災「7周年メモリアル」−−

 1月17日、阪神・淡路大震災7周年のメモリアルデーを迎えました。
 神戸市内を一望する諏訪山公園で行われた早朝追悼集会には、300名が集まり、震災発生の午前5時46分に黙祷の後、山梨から駆けつけたボランティアの僧侶集団の読経のなか、厳かに献花が行われました。
 午後は、場所を移して第2回「被災地サミット」in神戸が行われ、有珠山、三宅島、東海、鳥取の被災地からのとりくみが報告されました。「私有財産は補償しない」という冷たい国の姿勢のもとで、鳥取県の住宅再建資金の給付制度を全国に広めていく重要性が確認されました。
 シンポジウムでは、国連の社会権規約委員会が、被災者に冷たい日本政府を厳しく勧告したことについて、その意義を宣伝し、政府に責任ある対応を迫って行くことの必要性が議論されました。住宅再建に対する公的支援制度を実現するため、全国へ共同を呼びかけるアピールを採択し集会を終えました。

トップページへ 国公労新聞へ