国公労新聞 第1088号

私の要求アンケート特集号

●生活と労働の実態を話しあい、くらしと労働条件をまもろう


 「完全失業率が5%超える」、「3年連続の賃下げ勧告」、「聖域なき構造改革」など、賃金・雇用をめぐって衝撃ともいえる事態が相次いでいます。「どうたたかえば攻撃を押し返せるのか」と全労連でも論議がはじまっています。
 みんなが要求をだしあい、その要求前進のためにどうしたらいいのか生活と労働の実態を率直に「話しあう」ことが運動の出発点であり、今こそ大切です。紹介している仲間の声なども参考にして、アンケートに記入する前に、あなたや家族の生活実態をふりかえってみませんか。

○痛みに耐える国民に追いうち、小泉流「聖域なき構造改革」

 バブル経済崩壊後の状況を「失われた10年」として、利潤拡大を追求する財界・政府の攻撃が強まっています。倒産・失業の増加、不況を理由とした賃下げなど労働者と国民の生活を直撃し、過労自殺も後をたちません。
 一国の経済力をはかる指標である国内総生産(GDP)の6割を占める個人消費を拡大させるのが不況克服の最大の決め手であるにもかかわらず、国民の購買力を低下させる悪政が横行しています。
 小泉内閣の「聖域なき構造改革」は、痛みに耐えている国民全体に追いうちをかける医療費の本人3割負担、健康保険料の引き上げ、消費税率引き上げの検討など、家計を直撃する改悪が目白押しです。
 しかも、小泉首相は、9月25日の日米首脳会談で、米軍の軍事報復作戦への協力という形で、自衛隊をはじめて戦闘時に海外派遣すると公言しました。憲法の平和原則を踏みにじる「有事体制」に「この国のかたち」を転換しようとする危険な動きです。

▼労働組合の原点にたち一致する要求で共同を
 いま、「リストラ」と称する賃金・雇用破壊が進行し、それに歩調をあわせて、悪政を遂行する公務員づくりを狙う公務員制度「改革」攻撃も強まっています。国の仕組みも社会の仕組みも大きく変えられようとしているこのような時期だからこそ、労働運動の原点に立ち返った取り組みが大切なのではないでしょうか。
 くらしと労働条件を守るため要求で団結し、一致する要求での共同を追求する、その第一歩が要求アンケートです。

○職場の仲間に聞いてみました

▼子どもがほしい・・・でも家族的責任果たせるかな?
 浅賀 秀一さん
 国土交通省中部地方整備局港湾空港部、海域環境・海岸課の技官。家族は、派遣職員の妻と2人暮らし。現在、全港建青年部長。名古屋市在住の26歳。
◆生活費
 食費が出費の2割を占めます。一時金の切り下げで年収は約10万円カット。妻の収入はわずかなので、僕の収入でやりくりしています。子どもが生まれることを想定し、今から生活を切り詰めてわずかながら貯金をしています。
◆仕事について
 環境にかかわる分野なので、国民の利益を意識しながら働いています。いま、業務委託の動きがでており、営利優先の民間業者で国民本位の行政ができるのだろうかと不安を感じています。
◆働き方について
 残業は恒常的です。月100時間を超えて残業している仲間もいて、長時間残業をなくすためにも人員を増やしてほしいです。僕自身、仕事と青年部活動で帰宅が遅く、夫婦の会話がほとんどない日も。疲れているから休日はゴロゴロ。こんな生活じゃ子どもができても家族的責任を果たせるでしょうか。
◆公務員制度改革について
 競争をあおり上司の顔色ばかりうかがう公務員づくりには反対です。公平な処遇でみんなが納得できる仕事をするためにも、この時期に評価について世代を越えた職場での議論が必要だと思います。 

▼民間も公務もそれぞれ苦労・・・みんながしあわせになってほしい
 柴田 美智子さん
 青森地方法務局供託課に勤務。現在、中学1年生の娘と両親と同居。青森市在住の36歳。
◆将来の不安
 進学にかかわる教育費や、親の介護問題について不安を感じます。安定した賃金がほしいのはもちろんですが、子育てや母の病院通いの経験から、福祉・医療・介護など、もっと社会保障を充実してほしいですね。
◆働き方について
 定時退庁日(水曜)以外は月20〜30時間くらい残業しています。人員不足と過密労働で、妊婦や家族的責任がある人は精神的に辛い思いをしながら働いています。今こそ、子どもの看護休暇などの制度の確立と、男女ともに働き方を見つめ直すべきではないでしょうか。
 私がいる供託課では、最近給与差押えによる供託が増加しており、不況で苦しむ国民の姿に胸がつまります。公務も民間もそれぞれの苦労を抱えている人たちがいます。賃金や労働条件など全体の底上げをしなければ、みんなが幸せになれないと思います。
◆春闘にむけて思うこと
 最近、県国公に関心をもっています。自分たちの職場の問題とともに、単組の枠を越えて交流し励ましあって、元気に働いていけたらいいなと思います。


●国公労働者はどのような状況におかれているのでしょうか
 
 ○2002年春闘 春闘解体攻撃をはね返えそう

 2002年の賃金闘争も現行の人事院勧告制度の下でのたたかいになります。@春闘期(2〜5月)、人勧期(6〜8月上旬)、閣議決定期(8月下旬〜9月)、賃金確定期(10〜11月)というサイクルで展開することになります。
 人事院は、毎年4月分の官民賃金を比較して勧告することもあって、民間の春闘結果は、国公労働者の賃金水準に直接影響しています。
 また、政府がすすめる公務員制度「改革」でも、公務員賃金の基本的な水準については、「情勢適応の原則の下、生計費、民間における賃金水準を勘案して決定する」としています。公務員の賃金水準が、納税者たる国民の理解や、民間の賃金動向と無関係に決定できるものではないという考えに立っているからです。
 これらのことからして、財界・大企業の春闘解体攻撃をはね返し、賃上げ・生活改善要求の実現をめざす春闘に、国公労働者が積極的に結集する意義があるのです。

▼加速する財界・大企業の労働者攻撃
 財界・大企業は、経済のグローバル化による国際競争力強化のためには高コスト体制の是正が必要であるとの口実で、雇用・賃金破壊による総額人件費抑制・削減攻撃を強めています。 総務省の労働力調査によれば、日本の完全失業率は、94年までは1〜2%台で推移してきましたが、2001年7月にはついに過去最悪の5.0%、330万人となっています(図1)。
 こうした状況を「追い風」に賃金引き下げや不安定雇用の拡大、サービス残業の強要など、「働くルール」破りが横行しているのです。

図1 完全失業者・率(総務省調査)

▼賃金上昇率は3年連続でマイナス
 日本労働研究機構(厚生労働省所管の特殊法人)が賃金構造基本統計調査をもとに算出した「2000年のラスパイレス賃金指数」では、98年以降3年連続で、賃金上昇率がマイナスとなる厳しい結果となっています(図2)。
 また、2001年春闘結果では、加重平均6,328円、2.01%(厚生労働省)の低水準に止まりました。このような状況を反映し、人事院の「職種別民間給与実態調査(民調)」でもベースアップを実施した事業所は、一般の従業員で52・3%というなっています。

図2 ラスパイレス賃金指数上昇率(日本労働研究機構(JIL)作成)

▼能力・成果主義は結果として賃下げに
 大企業を中心に成果(業績)主義賃金の導入・拡大が急速にすすめられています。賃金は、能力と成果(業績)で決定すべきものとし、評定者の評価によって賃金が上下するシステムで、個々の労働者に「努力すれば報われる」という期待をもたせ、組織の活性化を図ると宣伝しています。 しかし実際は、年齢とポスト(仕事)が賃金決定の重要な要素とする年功賃金を壊し、総額人件費を抑制・削減する明確な意図を持って導入されています。
 このシステムは、労働者間に際限のない競争を煽るとともに、評価・査定による個別管理で賃金を決定することにより、労働者を分断し、労働者が団結して賃金決定を使用者に迫ることを困難にするものです。結果として賃金引き下げの要因となっています。

▼人勧は750万人の賃金に直接影響
 民間労働者に対する攻撃は、人事院の機械的な「民間準拠」によって3年連続の賃金引き下げ勧告に反映しています。人事院勧告は、地方公務員をはじめ恩給受給者、公益法人や福祉関係施設などにはたらく多くの労働者に影響を及ぼし、直接的には750万人の賃下げを「決定」することになります(表1)。
 公務員賃金のもつ社会的性格や影響力の大きさを改めて確認し、公務員制度「改革」のたたかいとも一体で春闘期、人勧期、閣議決定期それぞれの時期に、「対話と共同」を広げていくことが重要となっています。

表1 人事院勧告の影響を受ける「750万人」の内訳
 ○公務員制度「改革」−−基本設計のねらいと問題点は
行政改革推進本部が6月29日に決定した公務員制度改革の「基本設計」の概略を眺めてみましょう。

▼新たな人事管理システムの確立
 役職段階ごとの「能力基準」に応じた「能力等級制度」を導入し(図3)、能力評価を通じて、給与や任用を決定し、能力本位の人事管理を実現するとしています。
 この「職務能力遂行基準」に照らした評価と目標管理を組みあわせたものが、新たな評価制度といわれるものです。仕事の専門性や困難性に着目した賃金でなく、能力と業績で一人ひとりの賃金を決定しようというのです(図4)。

図3 能力等級の体系(8等級とした場合のイメージ)


図4 能力給のイメージ

  
▼人材の計画的育成、能力開発の推進
 能力評価による競争を前提に、職員一人ひとりに人材育成コースを明らかにし、主体的な能力開発を推進するとし、男女共同参画の観点から女性の採用・登用の拡大もいっています。
 家庭責任を放棄した働き方も、本人の「選択」だというのです。

▼多様な人材の確保
 人物本位で採用できるように、T種筆記試験合格者を増やすとしています。また、民間企業からの人材の確保や公募性の活用もいっています。
 当局の都合の良い人を必要な時に確保する、民間型の採用をすすめようというのです。

▼適正な退職管理、再就職のルール確立
 これまでの人事院による事前承認から、大臣の直接承認や、退職手当制度の見直しをいっています。

▼超過勤務の縮減などによる勤務環境の整備
 恒常的な超過勤務が業務遂行や職員の健康に重大な影響があるとして、最重要課題の一つとして業務の徹底した見直しなどにとりくむとしていますが、最も重要な人的措置にはふれておらず、勤務時間の弾力化がねらわれています。

▼政府全体としての適切な人事・組織マネジメントの実現
 人事院の役割を見直し、各府省の人事管理権限を拡大するとしています。しかし、人事院の権限縮小と同時に検討すべき労働基本権については具体策を出していません。

 以上が主な柱となっています。全体をみると、民間の人事管理の変化をストレートに公務に持ち込み、短期の成果を職員に迫る人事制度で、「もの言わぬ公務員づくり」がねらわれています。

○能力・成果主義や評価制度で、職場はどのように変わるのか
 「基本設計」にみられる能力・業績主義など賃金制度の改革方向に対し、団結と連帯強化の立場からどう反撃すべきか、「土台」となる人事評価制度の問題とともに、率直で掘り下げた議論をすすめたいものです。

▼「能力・業績主義」と公務員の特性
 最近、官民ともに、「年功主義」はすべてだめで、「能力・業績主義」の徹底こそが、時代の流れだという論調がめだちます。
 しかし、公務の人材育成の基本が行政実務の経験や、先輩から後輩への知識と技能の伝達を通じた、行政内部での長期活用型の人材養成であり、このやり方は今後も変えようがありません。年齢や勤続年数に応じて知識や能力も高まり、職務も高度化し、賃金も上がり続けるのは、むしろ当然です。
 また、「基本設計」のめざす能力等級制度を柱とする「能力主義的」な人事システムと「能力の実証」に基づく厳正な任用手続きという「成績主義」(メリット・システム)の原則との関連はあいまいです。
 さらに、全体の奉仕者としての公務員の特性を考えると、民間企業並みに個人の成果や業績を「評価」することなど至難の業です。公務員の仕事は、国民の基本的人権の実現と深くかかわり、チームワークを発揮しながら、行政・司法の継続性・安定性・統一性をふまえ、法令に基づき、中立の立場で、公平なサービス提供に努めなければなりません。
 各自の「官職」に期待されている業務内容を十分遂行することはもちろん、政治的中立や私企業からの隔離、職務専念義務など厳しい服務規律が求められます。
 こうした、公務員の特性や公務員制度の原則を軽視する「制度改革」は、行政をゆがめ、職員の意欲や士気にも影響をあたえ、行政の効率からみても問題があります。

▼「職務給」の運用改善で公平な賃金を
 この公務員の特性を考えると、そのなかに短期的な「成果」や「業績」の評価を持ち込み、いま以上の賃金格差を拡大し、職員を互いにライバル関係におくような賃金制度では問題です。これでは、労働者の労働条件改善をめざす集団的なたたかいが困難にされ、労働者の団結は分断されてしまいます。
 それに対し、「職務給」制度は、「人」ではなく「仕事」で賃金が決まる仕組みであり、「職務」が同一なら基本的に賃金も同一で(同一労働・同一賃金)、本来、性や学歴、採用試験区分による差別は許されません。また、賃金水準の安定性があり、職務の高まりに応じて基本的に全生涯を通じて右上がりの昇給カーブが描けます。
 長期的視点に立った人材育成、サービスや業務の継続性・統一性、人権への最大限配慮の必要性、サービスの「量」だけでなく「質」の面や、人間的対応がより重視される公務労働の性格とも考え合わせるなら、一般公務員層にとってどちらの賃金がふさわしいかは、おのずと明らかです。
 公務員労働者が安心して働け、長い職業生活のなかで、人間的な労働条件のもとで「良い仕事」や「意味ある仕事」を求めることができるのは、どちらの制度でしょうか。

▼評価制度の検討とめざすべき方向
 人事評価制度でもっとも重要なことは、そもそも何のために評価するのかという、目的や活用方法です。  新たな評価制度によって、従来の給与・人事制度のメリット(公務員の集団能力の発揮やチームワークの維持、先輩から後輩への知識・技能の円滑な継承等)が活かされるのかどうか、職員の能力や意欲の向上、能率的な公務運営に本当に役立つものかどうかも大事です。
 そう考えると、評価結果は能力育成とか適正配置、労使のコミュニケーション手段として活用し、それを短絡的に賃金や、処遇に反映させるべきではありません。
 評価制度を検討するというなら、職員参加による差別のない公平処遇や能力育成につながる公務にふさわしい制度確立を求めるべきです。
 国公労連は、この観点で評価制度に関する「討議素案」を定期大会に提起しました(表2)。これも一つの素材に、職場で大いに議論してみてはどうでしょうか。

表2 公務にふさわしい差別のない公平処遇、
職員参加、育成重視型の評価制度のイメージ

●賃金闘争の3目標(@初任給水準の引き上げ、Aライフサイクルに応じた生計費確保、B熟練と専門性の高まりの正当な評価)実現のため、業績給や個別管理強化の方向には反対。
●国民の立場に立ったサービスの向上や人材育成・能力開発、あらゆる雇用・賃金差別の解消に向けた、評価制度の確立→現行勤務評定制度は廃止。
●公務員制度の社会的影響力を踏まえた公平性、納得性、職員参加などで全国的なガイドラインたりうる評価制度。
●評価項目や評価の観点など重要事項決定に職員参加型の手続きを保障させる。
●制度設計・運用の両面での労働組合の関与ルールを保障させる。
●評定結果の「分布制限」と「相対評価」は避け、「絶対評価」を貫かせる→無用な競争排除と職員の協力関係の維持。
●評価結果の本人開示を前提とした制度設計と評定記録文書の作成(本人の署名欄の設定など)。
●評価制度を差別の手段にさせず、あらゆる雇用上の差別是正の手段として活用する原則を明確にさせる。
●能力評価は、長期雇用を前提にした公務の人材育成方式にふさわしく、公務での実務経験の蓄積を重視させる。
●民主的で公平な運用に向けた評価者訓練の充実・強化と、それに向けての組合の意見反映を保障させる。
●評価にかかわる「苦情処理システム」を各省庁および全省庁レベルで確立。それぞれに職員代表の参加を求める→全省庁レベルの第三者機関には評価制度の民主的で公平な運用を監視する機能を付与。


(注)「人事評価システム検討に関する討議素案」(国公労連第47回定期大会討議資料)の要点を整理したもの

●独立行政法人労組の春闘
 国公産別統一のたたかいを −−アンケートに要求を反映しよう−−

 独立行政法人労組の賃上げ闘争は、国公労連の産業別統一闘争に結集して、すすめることが大切です。
 その理由は、第1に、独立行政法人の賃金改善費は非現業一般職が基準にされていること、第2に、賃金水準は、独立行政法人通則法で、給与法適用職員の給与を考慮することが求められていること、第3に、非現業一般職との人事交流も予定されていることなどから、組合の側にも、賃金闘争を独立行政法人単独でなく、非現業と一体ですすめるという合意があること、第4に、各法人理事会が「人勧準拠」の姿勢を明確にしており、これを乗りこえるためにも統一したたたかいが重要だからです。

▼統一賃金要求で交渉
 具体的には、国公労連の統一賃金要求(要求額と率)をかかげて、法人理事会との交渉に臨み、回答を迫ることになります。
 独立行政法人が発足してから間もないこと、4現業の例から考えても、賃金引き上げなど、労働条件をめぐる紛争の解決ルールの確立には、まだまだ時間がかかります。こうした現状から、当面、2002年度賃金の確定と配分の交渉は、一般職非現業の人事院勧告を待っておこなうことも念頭においた運動を展開します。

▼協約締結・改定のとりくみを重視
 今年の秋季年末闘争では、第1に、独立行政法人労組が置かれている状況と、そのなかでの賃金闘争について十分な討議、意思統一を図るとともに、要求アンケートに結集して統一要求への反映を図ります。
 なお、賃金以外の労働条件については、労働条件移行の暫定協約や就業規則で定められており、本協約を締結するという課題が残されています。
 また、4月以降に締結された労使関係に関する諸協約も有効期間を1年としている場合、来年3月には期限が切れることから、来春闘では、3月をヤマ場として、協約締結・改定の取り組みをすすめる必要があります。国公労連発行の「権利ハンドブック(仮称)」などを活用し、この秋に協約改定闘争の準備をすすめていきます。

●職場・地域から国民春闘に結集し「働くルール」確立を
 

▼リストラ解雇の規制を
 まじめに働いても解雇される・・・そんな空前のリストラ計画がNTTの11万人削減をはじめ大企業で相次いでいます。
 企業の自分勝手な大リストラ解雇を厳しく規制するなど、くらしと雇用をまもる「働くルール」の確立が今ほど求められている時はありません。

▼不安定雇用労働者と連帯し賃金底上げを
 就業が不規則で失業問題と隣り合わせの存在である不安定雇用労働者の現状はどうでしょうか。
 正社員が減る一方で、パート・派遣など不安定雇用労働者が増加し、全就業者の27.2%にまで達しています(図1)。
 しかも、労働組合と無縁なこともあって、劣悪な賃金と労働条件にさらされている実態です。280円の牛丼、65円の半額ハンバーガーなど異常なまでの低価格競争も、その背景には人件費の切りつめがあります。
 人間らしく働き、生活するための最低賃金制度の確立や、賃金底上げ要求を重視した地域春闘は、低賃金構造に歯止めをかけるたたかいです。

図5 増大する非正規雇用労働者


▼全国の仲間の力で労働条件改善へ
 働く仲間の権利を守るために、たたかう労働組合が奮闘しています。
 白木屋など全国に店舗をもつ居酒屋業界最大手「モンテローザ」に働く若い女性が労働組合を結成し、3年間の争議の結果、未払い残業代38億円を支払わせる勝利和解が9月6日、成立しました。争議を通じて、アルバイトの労働条件も改善されています。
 これらは、働いている仲間たちに「一人じゃないよ、がまんしないでがんばろう」と訴え、全労連に結集して全国でねばり強くたたかった成果です。

▼公務の「働くルール」確立をめざそう
 公務の「働くルール」も深刻です。
 定員削減のもとで増加する非常勤労働者の組織化と、労働条件の改善にむけ、常勤・非常勤の枠をこえた運動を追求する必要があります。また、深刻な長時間・過密労働をなくす職場からの取り組みは、待ったなしの課題です。不払い残業の根絶も含めた働くルール確立・チェック運動を強めることが重要です。

▼民間と手をつなぎ要求を実現させよう
 公務と民間も、すべての働く仲間が手をつなぎ、春闘期にたたかいを集中させることは、私たちの要求を実現させる大きな力になります。
 職場の現状を出発点にしてアンケートにもとづく積極的な自らの要求をかかげ、職場・地域から国民春闘を成功させましょう。
   

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