国公労新聞 第1086号

●秋季年末闘争 −−9月段階からのとりくみが重要−−

全労連「全国キャラバン」を成功させよう

 国公労連は、2001年秋季年末闘争では、公務員制度改悪など、国公労働者にかけられているたたかいと、雇用拡大をはじめすべての労働者にかかわる切実な要求実現を求める運動を一体にして、小泉内閣の「聖域なき構造改革」路線と対決するとりくみに力を集中します。
 その立場から、全労連が提起する「くらしと雇用を守る全国キャラバン」(10/1〜11/21)には、国公労働者の要求も掲げて職場・地域から主体的に結集していきます。
 3年連続の賃金引き下げ阻止にむけては、政府・各省当局に対し、使用者責任の追及するたたかいが重要となっています。
 そのため、職場連判状の集約や、全国一斉職場集会の開催、要求決議の政府・総務省への集中など、職場のたたかいを背景に、9月18日には、第1次中央行動を展開し、賃下げとなる「給与法改定反対」で政府追及を強めます。

○国立病院・療養所の移譲・統廃合や独法化をゆるすな
 国立病院・療養所の移譲・統廃合、独立行政法人化に反対するたたかいでは、毎月5日を統一宣伝日とし、県庁所在地や対象施設所在地などでの宣伝行動を展開します。また、全労連キャラバンに積極的に結集し「独立行政法人化反対の国会請願署名」をひろげ、世論への働きかけを強めます。

○公務員制度「改革」 各職場段階からの当局追及の強化を
 公務員制度「改革」に関わっては、10月1日からを統一交渉強化期間とし、労働基本権の全面回復をはじめ、「天下り」禁止、「信賞必罰」の人事管理反対など、民主的な公務員制度の確立を求めて所属長交渉を強化します。
 交渉では、当局に「基本設計」の説明を求めるとともに、労働組合の要求をふまえた上部機関への上申や、推進事務局に対する「意見書」提出を迫ることとします。
 いっぽう、政府が国公労連との「誠意ある交渉・協議」を明らかにしているもとで、行革推進事務局に対するたたかいが9月段階から本格化します。12月とされる「大綱」の一方的な策定を許さず、民主的な公務員制度の確立を実現させるため、この秋がふんばりどきとなっています。全労連「全国キャラバン」を成功させよう。

2001秋季年末闘争の主な行動展開図


●たたかう運動方針を決定
 国公労連第47回定期大会終わる

 「憲法がいきる行政・司法の確立へ、いま、国民の中へ国民とともに」をメインスローガンに、国公労連第47回定期大会が8月28から30日に開催されました。
 大会では、2001年度運動方針や秋季年末闘争方針をなどすべての議案が決定されるとともに、新年度役員が選出されました。
 大会の詳細については次号で特集します。


●三宅島カンパ、総額596万円に
 
−−第2次集約分を三宅村長へ−− 

 国公労連と東京国公が呼びかけた三宅島カンパの第2次分(296万円)が、8月15日に堀口委員長から三宅村の長谷川村長に手渡されました。
 長谷川村長は「いつ島に戻れるかわからないが、みなさんの支援に心から感謝する」とのべました。 
 カンパは、昨年12月の第1次分と合わせて総額596万円が集約されました。全国の仲間のみなさん、ありがとうございました。


●9月19日は「定時退庁行動日」です。

 国公労連は、2001年9月から「不払い残業なくせ!超過勤務を減らせ!全国キャンペーン」にとりくみます。
 このキャンペーンでは、毎月第3水曜日を「定時退庁行動日」(かえろうデー)としています。
 9月19日(水)は、定時に帰りましょう。


●みんなの力で処遇改善をかちとろう

昇格基準・級別定数の改善を 10月は昇格闘争重点月間です

 秋季年末闘争の柱のひとつである昇格闘争。今年の人事院勧告で、俸給表改定が昨年につづいて見送られるもとで、昇格改善要求は、いっそう切実です。
 9〜11月にかけては級別定数の改定作業の時期にあたります。国公労連は毎年、9月下旬に「昇格改善要求書」を人事院に提出し、11月まで交渉と行動をつみあげていきます。
 同時に、各単組や職場でも「〇〇さんを〇級に!」と昇格を求めていくたたかいが重要となっています。仲間の処遇改善を全員でたたかいとっていくうえで、職場の団結力がためされます。
 今号の特集も参考に、一人ひとりの昇格について職場で話し合ってみませんか。


Q1 なぜ、昇格闘争が重要なんですか?

昇格は「第2の賃金闘争」
 私たちの賃金は、人事院勧告だけで決まるものではありません。
 個人ごとの賃金は、それぞれが具体的に何級の何号俸に格付けられるのかで決まります。したがって、その格付けをアップさせることは、それ自体が賃金改善の運動でもあります。

仕事の正当な評価で働きがいのある職場を
 同時に、働きがいともかかわって、自分が携わっている仕事の困難性や重要性を認めさせ、評価を高めるという意義を持っています。 また、私たちが将来、最終的に何級まで到達できるかは、生涯生活設計や労働のあり方にもかかわり、将来見通しをはっきりさせて意欲をもって仕事に従事するうえでも、重要な課題です。

客観的で公平な昇格基準を
 公務職場では、経験を積むことで、職務の責任と困難度が高まっていくことが一般的です。それだけに、職種や年齢・経験年数という客観的なモノサシで、公平な昇格を迫っていくことも昇格闘争の重点です。


Q2 昇格をめぐって、どのような問題点がありますか? 

 現在の級別定数状況や職務評価には、次のような問題があります。
(1)省庁間・機関間格差の存在
 本省や企画立案部門の評価を優先させ、いっぽうで実施部門や地方出先機関が低くおさえられています。第二組合を持つ職場では、所属組合による昇格差別がまかり通っています。

(2)男女格差の存在
 男女共同参画が閣議決定されましたが、昇格の男女格差はいまだ解決していません。昇任・昇格にあたって転勤などが「条件」とされてきたこともあり、女性の上位級の在級割合は低く、本省課長相当職以上ではゼロに近い状況です。
 5月に人事院は「女性国家公務員の採用・登用の拡大に関する指針」を策定しました。年内に各府省が策定する「計画」に要求を反映させ、公平な選抜をさせるためにも、男女昇格格差の実態調査など職場からのとりくみが重要です。

(3)行(二)部下数制限による昇格の抑制
 定員削減や不補充政策によって、行(二)職場は、その存立自体が危ぶまれています。実態を無視した、部下数による昇格制限という不合理は許せません。本来業務を正当に評価させるとりくみも求められています。

(4)専門職等の格付けの低さ
 課長・係長といったライン官職中心の評価が貫かれているなかで、高度の専門性や経験を要する専門職等のポストが相対的に低くとどめられています。専門職ポストの評価基準が確立していないなかで、その仕事の重要性に見合った格付けを実現していくことが重要です。

(5)枠外号俸者の増大
 行(一)7級「枠外」は本年4月時点で4739名(22・9%)に達し、実に4・4人に一人が枠外です。働きがいに直結するこのような事態を改善するため、上位級の定数改善と、俸給表の改善を一体で追及することが求められます。
 「頭うち」をただちに解消させるため、運動の強化が必要です。

Q3 問題を解決するためにはどうしたらいいですか?

 昇格の制度的改善と級別定数の拡大が重要

 問題の抜本解決のためには、「標準職務表」など昇格の制度的改善と、級別定数の拡大が不可欠です。当面は、「第2双子」に到達する前に昇格できるような定数改善が必要です。
 その上で、男女とも研修や能力発揮の機会を平等に保障することなどを通じ、一定レベル[たとえば、行(一)6級など]までは各省同一のペースで昇格できるような改善を行わせることです。そのためにも劣悪な4級、5級退職者を一掃し、「だれでも8級」退職実現にむけ、国公労連と単組が一体となったたたかいが重要です。

当局の恣意的な人事管理、許さないたたかいを
 政府がすすめる公務員制度「改革」では、昇任・昇格での差別・選別を強め、競争をあおる能力・実績主義が押しつけられようとしています。
 それだけに、当局の恣意的・主観的な人事管理を許さないたたかいは、いっそう重要になっています。公務員制度改悪に反対する運動ともかかわって、昇格闘争をいっそう強める必要があります。

ハガキ行動など職場からのとりくみを
 日頃から職場の団結を固め、所属長に対するとりくみを強めるとともに、職場からのハガキ行動や、ブロック国公規模の人事院地方事務局交渉など、10月の「昇格闘争重点月間」での、たたかいを強めていきましょう。

昇格ワンポイント解説

▼昇格ってなに?
 職務の級を同一の俸給表の上位の級に変更することです。たとえば、行(一)3級を4級にすることです。

▼昇格のための要件は?
 職務がその級に応じていること(主任・係長でなければ4級には格付けされない)、級別定数に空きがあること、級別資格基準表に定める必要経験年数または必要在級年数を有していることなどの要件があります。

▼昇格後の給与は?
 通常は対応号俸(昇格前の号俸と同じ額の号俸。なければそのすぐ上の金額の号俸)になります。たとえば、2級6号俸の対応号俸は3級3号俸となります。また、4級[行(二)の場合は2級]以上の級へ昇格する場合は、対応号俸の1号上位の号俸となり、特昇1回分の効果があります。

▼昇格は省庁でまちまち?
 各省庁で係長や補佐になるスピードや級別定数の数はまちまちで、全省庁に共通する「昇格基準」はありません。各省庁における昇格基準を明らかにさせ、級別定数を、抜本的に改善させることが昇格闘争の課題となります。

昇格号俸早見表一覧


●シリーズ 職場はいま・・・

独立行政法人・国立国語研究所

  独法労組では組合員の「数が力」、組織拡大により労働条件の改善をめざす

 私たちが何げなく毎日使っている日本語。日本人にとって日本語はなくてはならないものです。その日本語に関して科学的な調査・研究を地道に続けてきたのが、国立国語研究所(東京都北区、職員数64名)です。
 4月からの独立行政法人にあたって、仲間たちは心をひとつにしてがんばってきました。どんな苦労があったのか、職場をたずね、みなさんに話をうかがってきました。


 国立国語研究所は、日本語に関する基礎的な調査や研究を行う機関として、1948年(昭和23年)に設立されました。
 3つの研究部門を持ち、各地の方言調査、会社や学校における敬語の調査、話し言葉の分析のための基礎研究などが行われています。
 また、日本語に関する情報発信基地として、各種の研究報告書をはじめ、日本語のさまざまな情報を集めた「国語年鑑」の編集・刊行事業も重要な仕事です。
 
○調査・研究の成果はすべて評価の対象に
 国語研究所は、今年4月から独立行政法人になりました。
 独立行政法人化にともない、5年間の中期目標と、この目標を達成するための中期計画が策定されました。中期計画では、各種の報告書の刊行や事業の執行に具体的な数値目標が設けられ、それを期限内にどれだけ達成できたか、5年後に評価委員会から評価を受けることになります。
 国立国語研究所職員組合委員長の山崎誠さんは、「計画どおりに報告書が出せなかった場合は、低い評価になってしまうため、どうしてもまとめやすい研究や、かならず結果が得られる無難な研究に流れるようになりがちです。将来のため国として地道だが必要な研究が失われていくのではないか」と、中期目標による業務の問題点を指摘しました。

○言葉の「お手本」は?多様な電話での質問
 また、中期計画には、公開のフォーラムや、言葉に関する電話質問の受け付けなど、一般市民を対象とした普及活動にこれまで以上に力を入れることが盛り込まれました。
 組合の執行委員で、電話での質問を受けている塚田実知代さんは、「言葉の使い方についての『お手本』を求めてくる人が多いのですが、その言葉を使う場面や文脈によって使い方が違う場合もあり、答えは一様ではありません」と対応の難しさを語りました。

○独法化に備え執行部は7名から16名体制に
 現在、組合執行部は7名ですが、独立行政法人化に際し、就業規則・労働協約・組合規約改正などの問題に対処するため、3月から5月にかけては、異例の16人体制をとりました。組合員数は、現在31名。うち女性が19名で半数を超えており、組合員のほとんどが研究部門で働いています。
 独立行政法人化が目前にせまった今年3月には、組織拡大のために、組合への加入を呼びかけるビラを配布しました。
 ビラは、独立行政法人に移行後の労働条件の決定・向上のために労働組合の力を強くすることが不可欠であることを訴える内容です。また、組合加入を見合わせている人にも労働協定の締結のために、加入届をあわせて配布し、山崎委員長を労働者の代表者として支持してほしいとよびかけました。
 副委員長の熊谷智子さんは「労働協定の締結をめざして、一生懸命ビラを配りました。結果として、委員長を労働者の代表とする支持を過半数の職員から得ることができましたし、新たな加入者もありました」と、とりくみの成果を話してくれました。

○組織拡大のためには雰囲気作りも重要
 組合の主催で毎年開催している「新入組合員歓迎パーティー」は、手作りの料理が出たり、組合員以外の参加もあり、組合の雰囲気を広く伝える機会となっています。
 山崎委員長は、今年度の活動について、「独立行政法人への移行によって、労働条件の維持・改善のために、労働組合の役割がこれまで以上に重要になると思っています。そのため、組合掲示板等を積極的に活用して、未加入者に対して組合の活動状況を知らせていくとともに、気軽に組合に入れるような雰囲気を作りたい。」と決意を語りました。


トップページへ 国公労新聞へ