国公労新聞 第1084号

●3年連続賃下げの動きに怒りの声

−−炎天下のなか中央・地方一体で総決起−−

○猛暑はねのけ2日間で390人が座り込み
 国公労連は、7月31日から2日間、連日の猛暑をはねのけ、「生活改善できる賃金の引き上げ」「3年連続のマイナス勧告は許さない」などの人勧期要求実現を求め、人事院前で座り込み行動を実施、2日間で390人が参加しました。
 また、各ブロック国公も人事院地方事務局前などで要求行動を展開、全国の職場の仲間から、激励や連帯のメッセージが中央に多数寄せられ、中央・地方が一体となった行動となりました。

○全国から公務の仲間1500人が結集し中央行動、人事院に怒りぶつける
 8月1日、公務労組連絡会の第2次中央行動がとりくまれ、昼休み人事院前要求行動に全国から公務の仲間1500人(国公は1000人)が結集、これに前日から座り込んでいた仲間も合流し、「人事院の3年連続の一時金引き下げ示唆」に怒りをぶつけました。
 なお、中央行動では「公務員賃金の改善」「国民のための公務員制度確立」を求め、総務省前や行革推進事務局前において要求行動をとりくむなど多彩な行動を展開し、要求実現を強く迫りました。

○人事院交渉 −−3育児休業3年、介護休暇6ヶ月延長へ要求前進−−
 座り込む仲間のあつい激励をうけ、国公労連は7月31日、人事院勤務条件局長交渉を実施。交渉では、育児休業や介護休暇で要求の前進はあるものの、一時金の3年連続切り下げの可能性が高いことが明らかになったことから、再度交渉をおこなうよう要請しました。

○座り込み行動・参加者の声
▽公務員はがまんせず立ち上がれ! (全司法・茨城支部の方)
 公務員の賃金を上げて景気を回復させ、民間の賃金も引き上げよう。国民全体が幸福になれるように人事院も考えてほしい。私の言いたい一言は、今こそ公務労働者ががんばらなければいけないということ。「公務員はがまんしないで、立ち上がれ!国民を味方につけよう!」
▽初めての座り込み (全気象・仙台分会の方)
 座り込みは初めての体験です。2日間座り込みに参加して、とても暑かったけれど、全国の仲間の熱気を感じました。やっぱりマイナス勧告は許せません!男女ともにいきいきと働くためにも、結婚して子どもが安心して育てられる環境づくりや、看護・介護休暇なども充実してほしいですね。

○地方でも総決起 
−−人事院九州事務局前の座り込み行動に250人−−
【九州ブロック国公発】
 7月31日、公務労組九州ブロックの仲間250人で昼休み総決起集会と、九州事務局前の座り込み行動・交渉にとりくみました。突然の雷雨にも遭遇しましたが、声を大にしてシュプレをおこない、仲間の怒りをアピールしました。
【北海道国公発】
 7月31日、札幌第2合同庁舎前から出発したデモ行進は、元気よく北海道事務局前に!公務共闘としての行動がたたかう仲間の連帯を深めました。
【東北ブロック国公発】
 7月31日昼休み、160人の参加で決起集会とデモ行進を実施。午後からは80人で東北事務局前の座り込みと交渉を行い、要求実現を迫りました。


●「公務員制度改悪」反対のたたかいを軸に

書記長インタビュー  −−2001年度国公労連・運動方針案のポイント−−

 国公労連は、第47回定期大会を8月28〜30日の3日間、東京都内で開きます。21世紀最初の大会は、公務員制度改革など「構造改革」の強風が吹き荒れる中での開催です。
 長引く不況のもと、民間企業でさらに加速するリストラ「合理化」、終身雇用・年功賃金体系などの「見直し」、社会保障制度の空洞化、強まる改憲策動など、20世紀後半に積み上げられてきたこの国の「社会システム」が、いま大きく変えられようとしています。
 こうした情勢の中で、国公労連が大会に向けてどんな方針案を提起し、職場からの論議をよびかけているのか、小田川書記長にインタビューしました。


○構造改革」に反対し労働者・国民とともに
 −−完全失業率が5%に達しようとし、個人消費も連続して低下する中、職場も組合員と家族の生活もかつて経験したことのない厳しい状況です。このような時期、国公労連はどんな運動をしようとしているのでしょうか。

 小田川書記長 国公労連は、1999年12月の全国活動者会議で、一部の大企業が国際的な経済競争に勝ち残るため、雇用破壊などの「痛み」を労働者・国民に強いる「構造改革」に反対する運動を中心におくことを確認しました。
 「国民の中へ、国民とともに」をスローガンに、その実践を昨年からはじめたところです。
 今年に入って失業、賃下げなどの「痛み」に耐えている労働者・国民に、さらに過酷な「痛み」押しつける「聖域なき構造改革」を小泉内閣がすすめはじめました。
 これからの1年間はこの「構造改革」に反対する国民的な運動に、国公労働者の重点課題である公務員制度民主化の要求をかかげ、結集を強めたいと考えています。

○公務員制度改革  交渉ルールを確立し一方的改悪は許さない
 −−公務員制度「改革」の課題を中心においた運動方針案ということですが、公務員制度改革のこれまでの動きは?
 小田川 6月に出された 「基本設計」は、公務員制度改革の骨格と検討課題を「政府の共通認識」としてまとめたものとされています。
 3月の「大枠」段階では、「基本設計」後に、すぐに法案化作業に入るといわれていましたが、4月から6月に私たちが集中した運動を展開したことも反映して、12月以降に先送りさせました。
 公務員制度改革が、国公労働者の労働条件の変更をともなうにもかかわらず、使用者である政府が一方的に「改革」しようとしたことに、国際的にも批判が広まったことは大きかったと思います。また、「天下り」の自由化やT種キャリア制度を温存する「改革」内容に、マスコミの批判が強まっています。

▽公務員制度改革は公務の職場の働くルール問題
 −−公務員制度改革は公務の職場における「働くルール」の問題であると思いますが……。
 小田川 信賞必罰の人事管理というのは、結局、公務員の賃金決定の仕組みを変えて、一部の勝ち組を優遇するいっぽうで、多くの労働者の賃金を引き下げたいという思惑で検討されてます。
 各省当局が、予算の枠内で勝手に賃金を決定できる仕組みを検討しながら、労働基本権など公務員の基本的人権はより抑制しようとしていることも、そのような思惑があるからです。
 民間で吹き荒れているリストラ「合理化」の手法を公務に持ち込み、「ものいわぬ公務員づくり」をねらう「改革」は、公務職場の働くルールの「破壊」の攻撃だといえます。
 過労死が相次ぐ職場実態を改善するためには、「まともな働き方」や公務員労働者の権利保護などの働くルール確立こそ必要です。それは、リストラ「合理化」に苦しむ民間労働者とも共通する要求です。

 公務員制度改革のこれまでの流れと今後の予定
2000年12月 1日
 ▼行政改革大綱を閣議決定(2005年度までに公務員制度の抜本的改革を行うことが決まる)

2001年 3月27日
 ▼行政改革推進事務局が、公務員制度改革の「大枠」を決定

2001年 6月29日
 ▼政府・行革推進本部が、政府の共通認識として公務員制度改革の「基本設計」を決定

2001年12月(予定)
 ▼「公務員制度改革大綱(仮称)」を策定
  改革に向けた法制化等の具体的な内容、2005年度までの集中改革期間におけるスケジュール等を明らかにするとしています

▽政府との「交渉」を焦点に秋からの運動を展開
 −−秋の段階ではどのような行動を展開していくのでしょうか。
 小田川 7月26日の推進事務局との交渉で、「基本設計」全体を対象に、推進事務局と交渉・協議を行うことが確認されています。政府・推進事務局と国公労連とが直接交渉して、制度改革の内容を詰めていくことになりますが、交渉は、9月以降、本格化することになります。
 そのため、公務員制度改悪反対闘争本部のもとに、課題別のプロジェクトを設けるなど、要求づくりや事務局との交渉のための態勢を強めたいと思っています。また、職場の組合員の意見を要求や交渉に反映させるため、ホームページなどの積極的な活用を考えています。
 政府との「交渉」を優位にすすめるために、秋の段階のキャラバン行動や行政懇談会など、国民世論に訴え、共同を拡げるとりくみや、管理職層も含む職場の世論を結集する文書戦、統一的な各省当局追及など、できる限りのとりくみを集中したいと思います。
 かりに、政府が「改革」を「見切り発車」させる動きを示した場合には、実力行使も含む断固たる行動を配置することも提起しています。

○行政の「減量化」  国立病院・療養所の独法化に反対
 −−「公務員25%、行政コスト30%削減」の行政「減量化」攻撃も強まっていますが。
 小田川 小泉内閣の「聖域なき構造改革」は、国民に「痛み」を強いるものです。そのことへの国民の批判、不満の矛先をそらすため、特殊法人の整理、廃止や、地方交付税のカットなどが打ちだされています。当然のことのように、公務員たたきも強まっています。
 ですから、定員削減の強化や実施部門の独法化の動きなどが再び強まる危険性があります。
 政府の「構造改革」は、国は実施事務をになう必要はない、との立場です。
 来年の通常国会に向けて、国立病院・療養所の独法化法案の提出を目論んでいますし、国立大学の大「合理化」策も検討されています。「医療や教育を国の責任で充実を」の立場での地域からのとりくみを強化します。
 国立病院・療養所の独法化反対を柱とする行政「減量化」反対のたたかいを、運動の節目が一致している公務員制度改革のたたかいと一体で展開したいと思います。

▽独立行政法人を「減量化」の目玉とさせない
 −−独立行政法人への移行も、行政「減量化」だと思いますが、このことに関するとりくみは?
 小田川 4月1日の独立行政法人への移行にあたっては、多くの独立行政法人で目標としていた賃金制度や水準を現行どおりに維持できました。
 しかし、独立行政法人を「減量化」の目玉とさせない運動はこれからが本番です。特殊法人、公益法人改革との関係で、組織再編論議が浮上しはじめている法人も出ています。
 総額予算管理方式ともいえる運営費交付金が抑制され、労働条件に影響が出てくる危険性もありますし、研究関係では科学技術予算の重点配分との関連で、予算が減額される危険性もあります。
 独立行政法人における「合理化」攻撃に反対し、労働条件の確保、改善のとりくみをさらに強めたいと思います。その際、要求前進のためにも、組織拡大を目的意識的にすすめたいと思います。

○賃金闘争  最低賃金の引き上げがポイント
 −−2001年人事院勧告では、3年連続の年収切り下げとさえいわれ、賃金改善のたたかいも大きな「転換点」だとの指摘もありますが。
 小田川 2001年春闘は、大企業が空前の収益をあげているにもかかわらず、史上最低の賃上げ結果にとどまりました。そのような中でも、パート、アルバイトなど非正規労働者の賃上げが、一定前進したことが一つの特徴です。
 いっぽうで、NTT労組が、労働組合側から成果主義賃金導入を提案し、ベア要求をおこなわなかったことにみられるように、企業収益を確保する観点から、賃金制度の見直しが急速にすすみました。賃金格差が拡大し、雇用流動化も広がっています。
 このような状況が、公務員賃金の抑制や人事管理制度の「改革」提案につながっていることは事実です。能力・実績主義賃金制度の導入をともなう「ベアゼロ」・「賃下げ」攻撃とのたたかいが、官民とも、賃金闘争の実際上の争点になっています。
 もちろん、切実な生活改善要求をかかげてたたかうことは、正当な運動であり、それをいささかもゆるめる考えはありませんが、「大幅賃上げ」要求だけが、賃金闘争の課題ではなくなっている現実にも目を向ける必要があります。
▽賃金改善の3目標での合意を追求
 国公労連は、賃金改善要求の3目標((1)初任給改善、(2)ライフサイクルに応じた賃金水準確保、(3)経験と専門性の蓄積に応じた加算)を基本に、能力・実績主義賃金への「改革」に対峙したいと考えています。
 仕事の役割・内容で賃金が決定されるという職務給が、公務にふさわしい賃金体系だと考えるからです。
 また、生活保護の水準さえ下回る最低賃金の引き上げや初任給引き上げを社会的に迫るたたかいに結集し、公務職場での非常勤職員の賃金単価改善に、本格的にとりくみたいと思います。

○労働組合の役割は  職場の働くルールの点検と確立が必要
 −−賃金要求も前進しないし、労働組合は何をやっているのか、という声も聞こえてきますが……。
 小田川 確かに、不況の長期化に加えて、行革だ、公務員制度「改革」だ、年金改悪だと矢継ぎばやの攻撃への対応に追われ、労働運動全体が停滞しているのも事実です。
 しかし、そのような中でも、男女共同参画社会の実現にむけたとりくみや、長時間・ただ働き残業の是正をめざすとりくみ、企業の一方的な解雇の規制を求める運動などは、前進しています。
 その一つが、全労連が開始をした「働くルール確立署名」です。人間らしく働き、暮らしたい。いい仕事がしたい。それは、労働者共通の要求です。成果主義で、労働者に競争を強いるにしても、ルールは必要だという声が民間でも広がっています。
 公務の職場ではどうでしょう。休暇はとれない、サービス残業が横行している、セクハラやいじめが後を絶たない、職場の繁忙対策がとられない、家庭事情を無視した転勤が強制される、などの実態があります。
 国公労連は、「働くルール署名」のとりくみと一体で、職場での「働くルール」の点検と確立という労働運動の原点に立ち返ったとりくみを呼びかけることにしています。一人ひとりの要求をもとに、職場に労働組合の風を吹かすことが、大切だと考えるからです。

○「国民の中へ、国民とともに」  一人でも多く対話に参加を
 −−大会にむけ、全国の仲間へのコメントをお願いします。
 小田川 20年前、行革攻撃がはじまった頃に、「たこつぼ論争」というのがありました。
 行革で公務員攻撃が強まっているけれど、いずれ嵐はやむから、それまで頭をすくめ、組織の中をかためてやり過ごそう、そんな意見がありました。しかし、実際には、嵐はやむどころか、くり返し吹き荒れてきたのが事実です。
 今は、その当時とは比べようもないほど厳しく、一時の痛みに耐えれば、その先が見えるという状況ではありません。
 また、失業者が340万人をこえ、国・地方あわせた借金が666兆円にものぼっているいる中で、「公務員が労働条件の改善を求めることはわがままだ」そんな批判の前にたじろいでいる仲間もいるかもしれません。だからといって、職場にこもっていて、何か変わるのでしょうか。温室を吹き飛ばすほどの嵐が迫っているときにです。
 そんな思いもあって、一人でも二人でも、一団体でも二団体でも、対話を広げ、国公労働者の運動と要求を知ってもらう、「国民の中へ、国民とともに」の運動を提起しました。
 その運動に一人でも多くの仲間の結集を呼びかけます。そのためにも、大会にむけた方針案を一読していただき、意見を寄せてほしいと思っています。
 −−ありがとうございました。


●「小泉改革」で国民・住民サービスはどうなる?
 
愛媛労連行革闘争委が懇談会ひらく
 
公務員制度改革問題を民間の仲間とともに議論

 【愛媛県国公発】7月18日、愛媛労連内にある行革闘争委員会(県国公・各単組・自治労連・教職組などで構成)主催による、「小泉改革で国民・住民サービスはどうなるか」と題して、公務員制度改悪を考える懇談会が開催され、通信労組など民間の仲間も含め、全体で30名が参加しました。
 冒頭、主催者を代表して県労連の田福委員長から、「今回の公務員制度改悪は、小泉改革と全く同じでものであり、最大の犠牲者は国民、住民であることは明らかである。この懇談会で意見を出しあっていただき、今後の運動に生かしてほしい」とあいさつしました。
 次に、県国公事務局より、現在までの公務員制度改革に関わる経過や中身の問題点、国公労連が提起している民主的公務員制度の説明をおこない、その後、各単組から、仕事の内容の説明や状況、定員削減や公務員制度改悪により想定される行政サービスへの悪影響などを参加者に訴えました。

○公務員も自信をもってアピールを
 参加者からは、「労働局に指導に来てほしいとお願いに行っても、受付はしてくれるが、指導官が少ないという理由で、なかなか来てくれない。必要なところには増員をすべきではないか」、また、「公務員制度改革の背景や、公務員のあるべき姿、諸外国との比較などがよくわからない。その辺のアピールを自信をもってやるべきではないか」など、貴重な意見や注文が出されました。
 最後に県国公の沖上議長が、「石原行革担当大臣は外向けには、もっともなことを言っているが、改革の中身はそうはなっていない。今後も公務員制度改悪阻止に向けてご協力をお願いしたい」と懇談会のまとめをおこない、閉会しました。


●読者のひろば

今こそ民間労働者に理解求める重要な時期  全港建・名古屋港支部の方から
 公務員制度は、私たちの今後数十年の生活に関わる重大な問題と思います。いまこそ、各単産を越えた産別闘争の結束、民間労働者に理解と協力を求める重要な時期ではないかと思います。非常勤さんの苦労に報いるためにも国公労連(組合)としての真価を発揮することを強く願います。

○昼休みの絵手紙で職場がなごむ  全司法静岡・静岡分会の方から
 司法制度改革意見書の問題点など明確に示していただき、我が職場のことでもあり関心強く、アピールする記事でした。女性の仲間で昼休み絵手紙教室ごっこを始め、忙中閑あり。好評で、女性部昼食会(月例)の誕生会に絵手紙カードで祝っています。

○2年前より少ないボーナス・・・  全労働広島・竹原職安分会の方から
 夏のボーナスを手にして、総支給額をチェック。2年前より少ない。夏の休暇の予定を、当局からは1週間の連続休暇をとるように言われても、窓口には求職者があふれている。面接で何回もおとされて、すさんでいく求職者が見つめるなかボーナスを手渡されて、視線がつらかった。

○首相官邸のHPに直談判メールだす  全労働熊本・菊池署分会の方から
 増員の署名活動では飽きたらず、首相官邸のホームページに「直談判メール」を出しました。国公のみんなで大量に出せば効果があるのでは?
 手段のよしあしを言ってられないほど、職員不足が深刻な一方、今後の構造改革から大量離職者でも出れば、厚生労働省から過労死者が出て、笑いものになりそうです。

○高級官僚の不正と綱紀粛正で思うこと  文労・水沢分会の方から
 外務省官僚の機密費流用、タクシー代水増し請求など、次々に出る高級官僚のさもしい不正、その度に掲示板に出る綱紀粛正の張り紙…。どでかいジュンイチローのポスターを張るより、各省庁の建物に、どこからでも見える、どでかい「綱紀粛正中」のポスターを張った方がずーっと効果的ではないでしょうか。…無駄ですかね。


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