国公労新聞 第1074号

公務員制度改悪阻止 50万国会請願署名、300万ビラ配布を展開

 国民世論ひろげ改悪をストップ −第1回闘争本部で今後のとりくみを確認−

 国公労連は、政府・行革推進事務局が3月27日に公務員制度改革の「大枠」を決定し、6月中に改革の「基本設計」をとりまとめるという早いテンポで動いているなか、この攻撃にたちむかうため「公務員制度改悪反対闘争本部」を設置しました。
 4月4日の第1回闘争本部会議では、中央省庁再編などの行政組織「改革」の「仕上げ」として位置づけられる公務員制度改悪を許さないため、国民のなかに打って出るとりくみを、5月から、集中的に展開することを確認しました。

 「大枠」では、公務員の意識・行動原理の改革につなげる人事管理(信賞必罰による人事管理制度の確立など)と、人事管理組織の改革(国家戦略スタッフ群の創設、各省大臣を人事管理権者とし人事院の役割を転換)の2つの柱での改革をめざすとしています。
 4月5日、政府は、「大枠」にもとづく具体策を検討するため、各省担当者による連絡会を設置し、「基本設計」策定を急いでいます。
 人事管理の改革の内容は、現在の給与法を廃止し、「職能、職責、実績」の3要素で賃金を決定する制度、それを可能にする評価システムの整備などです。そして、級別定数の査定など人事院の関与を廃止し、各省大臣が、「総人件費の枠内」で独自に賃金が決められる仕組みも考えられています。
 例えば、民間企業から「高賃金」で多数の人を企画立案部門に採用するために、実施部門の公務員労働者の賃金を切り下げるため、その口実として信賞必罰がつかわれる、などといったことも想定されます。
 労働条件を切り下げる人事管理、国民の目よりも「上司の目」を気にする公務員では、まともな行政運営はできません。まともな行政のためには、何よりも安心して働ける労働条件が必要なのです。また、各省大臣が、勝手に賃金を決めることができる仕組みにするのであれば、憲法が保障する労働基本権を公務員労働者に回復することは当然です。
 人事管理組織の改革は、国民がねがう改革の方向を真っ向から否定するものです。国家戦略スタッフ群は、官僚と政治家のゆ着を深めることは確実です。官民交流の弾力化や、天下り「自由化」は、国際競争力強化を口実に、リストラ支援策など、大企業が求める施策を官と民が協力してすすめる仕組みづくりです。



 ○行革闘争の経験を生かし、職場・地域からとりくみを強めよう
 国公労連は、今回の改革の問題点を国民的に明らかにして、政府・自民党を世論で包囲するとりくみを、職場・地域から緊急に強めます。
 具体的は、50万筆をめざす「公正・効率の公務員制度改革をもとめる国会請願署名」、300万ビラ大量宣伝行動などを中心に、(1)県労連傘下や公務関連労働者をはじめとする労働組合や民主団体に「総当たり」の要請行動、(2)各県連鎖での学習決起集会(シンポジウム)、街頭宣伝行動などの配置、マスコミ、政党、地元選出国会議員要請など、これまでの行革闘争の経験を生かした「打って出るとりくみ」を5月段階に集中して実施すること、(3)公務員制度改悪を許さない立場で、使用者責任を徹底して追及すること、などのとりくみ強化を呼びかけています。
 今回の公務員制度改悪は、公務員労働者の働き方、働きがいを根本から改悪する危険性をもっています。公務労組連絡会規模の署名や大量宣伝などが準備され、全労連が「対策委員会」の設置を検討するなど、たたかう体勢が着々と整いつつあります。
 国公労働者が、公務員制度改悪反対のたたかいの先頭にたち、全国で奮闘しましょう。

●署名の素案(要旨)
公正・効率の公務員制度改革をもとめる国会請願署名
 −国民のための行政サービス提供には、公務の働くルールが必要です−

【署名項目の概要】
○国民のいのちとくらしを支える行政サービスをいつでもどこでも提供するためにも、安定した勤務条件(働くルール)の確立を求めます。
 法に従った行政サービスより「上司の目」を気にする公務員づくりと、労働条件の切り下げの結果にしかならない信賞必罰の人事管理には反対です。
○官僚の再就職あっせん(天下り)の禁止、公正な採用の仕組みなどを厳しく法で定め、「政財官」ゆ着をなくし、公務員の政治的中立性を高める改革を求めます。
 「全体の奉仕者」としての公務員の政治的中立性をおかす「天下りの自由化」、「規制なしの官民人材交流」、「国家戦略スタッフ群」の創設などはやめ法律による厳格な規制と、各省から独立した機関による監視を強化すべきです。
○公務員労働者に、働くルール、労働基本権の回復を求めます。
 各省毎に賃金を決めることは、人事院勧告制度の形骸化にほかなりません。

●当面の闘争日程
 4月18日
  全国一斉職場集会
 5月1日からの1ヶ月間で
  ・50万筆をめざす「公正・効率の公務員 制度改革をもとめる国会請願署名」
  ・300万枚の大量宣伝行動
 5月25日
  国会請願署名第1次集約
 6月8日
  中央行動、国会請願署名1次提出
  国会議員要請行動
 6月末 
  署名最終集約
  各省毎に賃金を決めることは、人事院勧告制度の形骸化にほかなりません。

●国公労連のホームページに「公務員制度改悪」反対のページを作成。今後、内容の充実を図っていきます。
 http://www.kokko-net.org/kokkororen/koumu.htm


●評価を賃金などに反映し「効率化」めざす
人事院「能力、実績等の評価・活用に関する研究会」報告だす

 3月30日、人事院の「能力、実績等の評価・活用に関する研究会」(座長・笹島芳雄明治学院大学教授)は、検討結果をとりまとめ報告しました。
 報告書では、民間企業が「個々の従業員の能力を最大限活用する努力」につとめていることを「別世界の出来事」とみてはならないとし、「行政効率を高め、効果的かつ効率的な公務組織」と、それを支える「人材育成」のために、公務にも能力や、実績を「的確」に反映するシステムが必要としています。
 そして、現行の勤務評定が「十分活用」されていないとして、(1)職員の仕事の実績を把握するための「実績評価」(2)職務遂行能力を把握するための「能力評価」(3)役職段階の昇任等に際しておこなう「総合評価」を、あらたな評価手法として提示しています。また、評価技能の向上にむけた「評価システム研修」、職員からの「苦情相談」の整備も求めています。



▼新人事評価システム5つの特徴
1 現行の勤務評定制度に替え、能力評価、実績評価を2つの柱とし、これらをベースに多様な人材を活用するための総合評価、評価の実施を支える評価システム研修及び苦情相談の5つを構成要素とするトータルなシステムとして構築
2 評価結果の処遇への反映のみならず、効率的な業務運営の確保と職員の育成のベースとして活用することを重視
3 本人評価、上司との面談など職員参加を評価プロセスに新たに導入
4 業務目標の設定、求められる行動の抽出・設定など評価基準を明示し、透明性を確保
5 職務遂行上顕れた能力や職務遂行の成果など、職務に関する要素のみに着目。性格に関する評定等を廃止。

○競争的な人事管理は民間でも見直しの動き
 報告書は、公務の特性である集団的な執務体制を否定し、個人に「自主的」に目標を設けさせ、その達成度による評価を、賃金・昇進・配置などに結びつけることで、「効率的な行政運営」をめざそうというものです。
 成果のみを従業員にせまる競争的な人事管理は、モラル低下や、目先の結果のみを追い求める仕事の仕方、上司の目のみを気にすることでの活力低下などの弊害がではじめていることから、民間企業でも見直しの動きがでています。そのような失敗の検証もせずに、行革が求める行政減量化に追従して、処遇の格差を拡大することは、公務員労働者にとっても、国民にとっても百害しかありません。
○国公労連が人事院に緊急申し入れ
 そのような立場から国公労連は、4月3日、人事院に緊急の申し入れをおこない、報告書を批判するとともに、報告を絶対視した制度検討はおこなわず、労働組合との十分な協議を尽くすよう求めました。


●独法化で職場・教育・研究はどうなる?
 九大教職組・県国公などがシンポジウム

 
【福岡県国公発】福岡県国公は3月16日、九州大学キャンパスで「独立行政法人化でどうなる職場、教育、研究・・」をテーマに、九大教職組、九州私大教連との共催で、国立大学の独法化問題について初めてのシンポジウムを開催しました。シンポには、80名の仲間が参加しました。
 はじめに、九大教職組の出水書記長から、国立大学の独法化をめぐる情勢を中心に、学内の独法化を先取りした動きや、強行された場合におこる問題点が報告され、私大教連の森書記長は、私立大学の現状や独法化がもたらす影響、高等教育のあり方と大学の存在意義について報告。国公労連の津田中央執行委員からは、国立研究機関を中心とする4月の独法移行にむけた作業の実状と、組合としてのとりくみについて報告がありました。
 参加者を交えたディスカッションでは、独法移行を間近に控えた職場の現状報告や、独法化にかかわる質問も数多く出され、組合員の関心の高さが明らかになりました。また、九州大学の仲間からは、私立大学や国公の仲間とも共闘して、もっと外に出て独法化の問題を訴えるべきとの積極的な意見もだされました。
○組織拡大課題とあわせ共同のとりくみめざす
 今回のシンポは、文部科学省の「調査検討会議」がこの7月にも中間まとめを発表する段階を迎えていることから、職員の関心を高め、組合への結集と外へ向けての運動方向を見いだそうと企画しました。今後は、5千名余の九州大学職員全員に訴えていきます。
 福岡県国公は、組織の強化拡大の課題と合わせ、県内の国立大学3労組との共同のとりくみを引き続き発展させたいと考えています。 また、5月26日には、もうひとまわり大きな、県公務共闘規模でのシンポジウムも計画しています。


●中労委労働者委員 熊谷金道氏を排除し連合が独占
 ILO提訴などで政府の責任徹底追及へ

 4月1日、政府・厚生労働省は、特定独立行政法人制度の発足により、2名増員された中央労働委員会労働者委員に、連合推薦の景山実氏(元全農林副委員長)、阿部安吉氏(元全林野委員長)を選任し、熊谷金道全労連副議長を排除しました。この偏向任命に対し、国公労連は、4日、厚生労働省に強く抗議し、撤回と再検討を強く求めました。
 特定独法職員に対する争議権制約の「代償措置」として、中労委の強制仲裁制度が設けられています。また、不当労働行為救済は中労委だけでとりあつかわれます。労働者委員が連合系独占では、中労委の機能を十全に発揮できないおそれがあります。旧労働省がかつて通達でしめしたナショナルセンターの系統別組織状況に配慮した選任を求める趣旨は、より厳格に運用されて当然です。組合員数で見ても、連合系と国公労連とでは、ほぼ拮抗しており、中立系組合もほとんどが熊谷氏を推せんしました。熊谷氏を排除する理由はどこにもどこにもありません。
 政府は、偏向選任の批判には、「行政裁量」論でかわしてきました。しかし、行政裁量には合理的な法的制約がされなければなりません。政府の行革会議ですら、最終報告で「行政が公正な政策判断を保つためには、その意思決定を透明かつ明確な責任の所在の元に行うことが不可欠」としています。政府・厚生労働省は、選任が恣意的でないというなら、委員選任の基準や選考経過を明らかにする義務があります。 国公労連は、選任経過の公開、選任手続きのやり直しをもとめ、全労連、労働委員会民主化対策会議に結集し、4月18日の厚生労働省前行動、国会質問やILOへの提訴などで、徹底して追及します。また、中央労働委員会が、ナショナルセンターの別なくすべての独立行政法人職員・組合の利益を守る役割を果たすよう、ねばり強くたたかいをすすめていきます。


●労働条件改善もとめ、気持ちひとつに
 −KKRホテル熱海労働組合を結成−
 経営危機の不安のりこえ、若い仲間が立ちあがる


【宿泊労連発】3月22日、宿泊労連に6番目の新しい組合が誕生しました。KKRホテル熱海労働組合です。 国家公務員共済組合連合会(以下連合会と略)は、宿泊事業全体の長期借入金が750億円にのぼることを理由に、事業の廃止も含めた大幅な合理化攻撃を強めています。 
 そもそも、赤字を生み出したのは、連合会の天下り体質と放漫経営、過剰な設備投資が原因ですが、KKRホテル熱海でも、施設の閉鎖や売却のうわさがくり返し流れ、職員は生活に不安を感じていました。 
 そんななか、昨年暮れ、熱海に働く仲間から「なんとか労働組合を結成したい」と宿泊労連に相談の電話がはいりました。「休暇がなかなか取れず、残業手当もきちんと払われていない。経営が赤字でサービス業だから、休日出勤やサービス残業は当たり前だとあきらめていた」といいます。

○勤務終わってかけつけ大会で熱心な討論
 さっそく、結成準備会の仲間5人に「労働組合づくりの基礎知識」を郵送し学習してもらい、疑問に対してはその都度電話で説明して理解してもらいました。なんとしても、運営審議会で施設閉鎖が議題にのぼる前に組合を結成しようと、気持ちをひとつに慎重に準備をすすめました。
 3月22日、勤務の終わる夜9時過ぎに若い仲間が次々と集まり、熱海労働組合の結成大会を開催しました。規約・要求書などの議案採択、役員選出、静岡県国公と地域労連の加盟についても承認されました。大会の討論で参加者から「労働組合を結成してなにか不利な事はありませんでしたか」という率直な意見がでました。私は「多くのプラスはあったが、マイナスと感じられることはほとんどなかった」と話すと、深くうなずいてくれました。
 KKRホテル熱海労組は誕生したばかりですが、職場の労働条件を自らの手で変え、自由にものが言える環境ができた時には「労働組合っていいな」と思えることでしょう。国公労連のみなさん、ぜひ、うまれたてのKKRホテル熱海労働組合の仲間に、がんばれのエールをおくってください。(記・高野書記長) 


●連合会は赤字の責任を労働者に押しつけるな!
国共病組・宿泊労連が中央行動を展開 

 3月28日、国共病組と宿泊労連は、連合会の運営審議会へむけて中央行動をとりくみました。
 昼休みの宣伝行動では2種類・1500枚のビラを配布。その後連合会前「決起集会」を開催し、北海道から宮崎まで約50名が参加しました。「連合会は赤字の責任を職員に押しつけるな」のシュプレヒコールで8人の運営審議会傍聴団を送り出し、「合理化」を許さずたたかう決意をかためあいました。


●21世紀を核のない希望ある世界に  

−−平和行進にあなたの一歩を−−

 新世紀の核廃絶実現をめざして、国民平和大行進が、5月6日に東京・夢の島をスタートします。
 今年、44回目を迎える平和行進は、47都道府県を通る12幹線コースを行進し、新しい世紀に、核廃絶をもとめる人々が誰でも参加できる草の根行動として、全国津々浦々からの結集を訴えています。
 また、核兵器廃絶を現実のものとするため、日本原水協が提起する「核兵器のない世界のために日本政府に責任ある行動を求める」団体・個人署名を平和行進と並行してすすめることとしています。 
 国公労連は、全12コースに通し行進旗を出します。全国に職場をもつ国公労連の仲間が、平和のための一歩をしるしましょう。


●第31回国公女性交流集会に参加しよう! 申込み受付中!
 −−つくろう豊かな21世紀働く私たちの手で−−

○と き 5月25日(金)14:00〜26日(土)12:30
○ところ 長野県更級郡上山田町温泉
     上山田文化会館(全体会・分科会)
◎記念講演 「世界から見た日本 女性の生き方・働き方」
 講師・木村愛子さん
日本女子大学教授、国際人間環境研究所所長、(財)日本ILO協会評議員
 ▼専攻分野は、ILOの国際労働基準を中心とした、女性労働法制の国際比較研究。「現代労働法講座(共著)」「ILOにおける男女労働者の平等と保護」など論文多数。
◎アトラクション インデイアンハープ
 演奏者・倉沢信子さん
 16世紀頃、ヨーロッパから伝えられたハープが原型。現在も南米各地で演奏され、独特の音楽性と音色がすてきです。
◎分科会など
1 女性の美しさと健康を考える
2 自分らしく、ステキに生きる
3 職場・家庭のジェンダーを考える
4 行革で私たちの職場はいま
5 働く女性と子育て
6 話し合おう教育の悩み
7 労働組合と女性部【職場で楽しく女性部活動】
8 身近な「食」を考える
★ フィールドワーク【松代・大本営地下壕跡の見学】
◎林檎グラッセ、ジャム、信州味噌、そば茶、七味、醤油など、集会成功にむけて、物販活動も始まっています。ご協力お願いします!

●メーデー写真コンクール募集要項
 ◆題材 全国各地のメーデー集会での写真
 ◆応募数 一人何点でも可
 ◆応募作品 白黒・カラーとも可で、プリントサイズは問いません。(デジタルカメラ使用も可・ただし、1枚あたり1MBを超えるものはメールで送付しないでください)
 ◆応募資格 国公労連および県国公加盟の組合員
 ◆応募方法 画題、住所、氏名、年齢、支部・分会名を明記した紙片を写真の裏に貼って、国公労連まで送付してください(メールの場合も上記事項を明記)
 ◆締め切り 5月18日(金)消印有効
 ◆審査発表 賞は「最優秀賞」1名(図書券1万円)、「優秀賞」2名(同5千円)、「佳作」若干名(同3千円)で、6月1日付国公労新聞で審査結果を発表します
 ◆その他 応募作品は返却しません。作品の版権は国公労連に属します


●愛知国公ホームページを作成
 愛知国公は、3月12日にホームページを開設しました。県国公単独のホームページは全国はじめてです。インターネットで、愛知国公の活動をのぞいてみては!
 アドレス  http://www.i-chubu.ne.jp/ kokkou/
      


●シリーズ職場はいま・・・
 国民本位の港湾建設はみずからの手で
 −−新しい職場で全港建の仲間が奮闘−−
 

 中央省庁の再編にともなって、旧運輸省の港湾建設局は、全国5ブロックから8ブロックに分割され、旧建設省の地方建設局と統合した国土交通省地方整備局の「港湾空港部」として、新たなスタートを切りました。
 新たな「港湾空港部」で働く全港建の仲間たちは、国民本位の公共事業をめざして、ひきつづき各地で奮闘しています。
 そこで今号は、新たに2支部を結成し、活動をつづける全港建の香川県内の職場を取材しました。

○省庁再編で多忙をきわめた職場
 この1月から、神戸に本局を置く「第三港湾建設局」が分割され、新たに「四国地方整備局港湾空港部」が高松に設置されました。
 港湾空港部では、四国4県の港湾や空港の整備計画や予算の策定などを行っています。
 職場は旧地方建設局とは別の建物にあり、82名の職員は、そのほとんどが年末に高松に引っ越してきました。分割されたからといって職員は増えたわけではなく、新しい組織が発足した直後の1月から3月は、中央省庁再編にともなうさまざまな業務上の調整が必要なうえに、2000年度補正予算への対応、2001年度の事業計画や予算の策定の時期などが重なり、職場は多忙をきわめました。

○高松港の安全と人命・財産をまもって
 高松港や高松空港などの整備を担当するのが、職員数23名の高松港湾空港工事事務所です。瀬戸大橋の開通で、岡山との連絡船は廃止されましたが、離島を結ぶ定期航路は数多く、高松港は住民の生活にかかせない大切な港です。
 高松港をより利用しやすくするための整備や、高潮災害などから人命や財産を守るため、景観にも配慮した海岸の改修をすすめています。

○海の環境の守り手「わしゅう」
 いっぽう、国際航路である備讃瀬戸航路の開発保全と、海面のゴミや油を回収する海洋環境整備事業も、港湾建設行政の重要な仕事です。
 坂出(さかいで)港のすぐそばには、職員数12名の高松港湾空港工事事務所坂出港事務所があり、海面清掃兼油回収船「わしゅう」が配備されています。
 海にただようゴミや油は、船舶の安全な航行に支障をおよぼすだけでなく、環境悪化を招きます。「わしゅう」は、全長29・5メートル、総トン数195トンで、木片類、ビニール類、発砲スチロール、空き缶、海草類などの浮遊物を回収し、その量は年間平均すると、10トントラックにして約173台分にもなります。・ 高松市内にあるもう一つの職場が、高松港湾空港技術調査事務所で、港湾や空港を整備するにあたり、技術開発や調査・設計などを行っています。
 この職場も、8ブロックに分割されたことにより新たにできた職場です。職員はみんな、高松市役所に近い民間の貸しビルの事務所に転勤してきたばかりです。今後はよりいっそう、地域住民に密着した技術開発や調査・設計が期待されています。

○労働組合の団結で要求を実現
 再編後の忙しさのなかで、全港建の仲間の奮闘により、1月15日には、四国本局支部(組合員63名)と高松技術調査支部(組合員14名)が結成されました。
 四国本局支部の「初代委員長」である西田光昭さんは、「結成にむけて11月から準備会で論議を重ねてきました。また、1月4日の出勤時には、高松港支部の仲間が、庁舎前で歓迎のビラを配布してくれるなどの協力にも感謝しています。新しい支部なので、気持ちを新たにたたかいを進めていきます」と決意を語ります。
 四国本局支部では、さっそく「職場要求アンケート」を実施。組合員の8割から出された要求をとりまとめ要求書を提出しました。その結果、トイレの換気扇をはじめとした物品要求が実現するなど、早くも団結の力を発揮しています。

○みずからの運動で職場をまもる 
 いま、全港建では、全国で「海洋環境整備事業の体制拡充・職員による直営運航の確立」のため、地方議会請願行動にとりくんでいます。
 緊急性を要する油の回収など、採算のとれない海洋環境整備事業は、民間での実施にはなじみません。そもそも海の環境を守ることは国の役割です。97年のロシアタンカーによる石油流出事故では、日本海側に回収船が配備されていないことが大問題となりました。
 この運動のなかで高松港支部では、香川県内の海に面した19の地方議会・自治体に対して、要請行動にとりくみ、3月末までに、9自治体で意見書の採択を勝ちとりました。
 高松港支部の宮崎貴司委員長は、「海洋環境整備事業に対する国民の支持を実感しています。みずからの職場は、みずからの運動で守るためにも、高松港支部が先頭に立ち、6月議会にむけて、積極的にとりくんでいきたい」と運動の手ごたえを語りました。

○高松地区協を結成、活動はより活発に
 これらの全港建3支部が共通する活動を追求するため、2月16日に全港建高松地区協議会を立ち上げました。3月23日には、高松市内の街頭で生公連署名(公共事業の生活・環境重視への転換と建設産業の民主化を求める請願署名)行動がとりくまれました。  高松地区協の事務局長となった大西秀樹さんは、「香川県内の組合員が増えたので、春闘の諸行動をはじめ、県国公活動への結集が強まりました。安全で使いやすい港湾・空港を国民にきちんと提供するためには、国が直接工事を監督するのは当然で、業務委託の導入には反対です」と、街頭宣伝で国民本位の港湾整備・建設の重要性を力強く訴える姿に、新しい組織のなかにできた、新しい組合のエネルギーを感じました。


●革新候補を推せん  名古屋市長選挙 「うのていを」さん  

  4月8日告示 4月22日投票 
 国公労連中央執行委員会は4月9日、愛知県国公の要請をうけ、名古屋市長選挙に愛知県労連など多くの民主団体などで構成する「革新市政の会」と政策協定を結んだ「市民自治・名古屋の会」の「うのていを」さんの推せんを決定しました。
 うのさんは、愛知万博、中部新空港、徳山ダムなどの大型公共事業を優先する自民党中心の市政から、住民の暮らしをまもる市政への転換をめざして奮闘しています。
 市民・労働者が主人公の新しい民主市政への転換をかちとるため、全国からの支援を呼びかけます。

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