国公労新聞 第1073号

●公務員「改革」は行革の「総しあげ」

行革推進の公務員はNO! −−公務員制度大改悪に反対し全力を−−

 3月27日、行政改革大綱にもとづいて、公務員制度の「抜本的改革」を進めている行革推進事務局は、その「大枠」を決定しました(概要・別表)。その冒頭で「(中央省庁再編の)新たな政府で働くのは新たな公務員」と「改革の意義」を表明しているように、「大枠」による公務員制度改革は、行革「総しあげ」が目的です。
 政府のねらいを見抜き、職場から意思統一をすすめ、急速にたたかいを広げていくことが求められています。

公務員制度改革の大枠(概要)

◆公務員制度改革の基本的方向
1 公務員一人一人の意識・行動原理の改革
 (1)信賞必罰の人事制度の確立
   ・能力、業績等が的確に反映される新たな給与体系の構築
   ・能力本位で適材適所の任用の実現
   ・公正で納得性の高い新たな人事評価システムの整備
 (2)多様な人材の確保・育成・活用
   ・採用試験制度の見直し等による多様な人材の確保
   ・個々人の育成計画の作成等による多様な人材の育成・活用
 (3)適正な再就職ルールの確立
    (「天下り」問題への対応)
2 行政の組織・活動原理の改革
 (1)国家的見地からの戦略的な政策立案機能の向上
 (2)企画実施両機能の強化
   ・民間企業等との人材交流の促進
 (3)(各省の)責任ある人事管理体制の確立
   ・中央人事行政機関等の役割の転換


 いま、「国際競争力強化」を口実に、労働者保護や社会保障制度などが次々と改悪されていますが、公務員の「意識・行動」を、そのような悪政を淡々と執行するものに「改革」しようというのが「大枠」の内容です。
 具体的には、賃金制度などを変え、「信賞必罰の人事管理」を、総人件費の枠内で、各省大臣の判断で運用でき、賃金は、「能力」、「職責」、「実績」の3要素で決定すること、能力評価、業績評価を徹底することが強調されています。また、特権キャリア制度を温存したまま、「優秀な人材」を「国家戦略スタッフ」として極端な高給で抜擢することも考えられています。国民の批判が集まっている「天下り」については、各省大臣の承認に緩和するとして、「原則自由化」の逆立ち「改革」をおこなおうとしています。

〇公務員労働者すべてに労働基本権を返せ
 公務員労働者にとって、さらに大きな問題は、各省大臣が「人事管理権者」として賃金などを決定するうえで、人事院勧告制度の「廃止」を示唆しながら、労働基本権については「十分検討」にとどめていることです。
 これでは、公務員労働者の賃下げが一方的におこなわれる、信賞必罰を名目に公務員労働者のリストラがあいつぐ、といった事態すらおきかねません。
 各省大臣の人事権限を拡大するのなら、警察官などをふくむすべての公務員労働者に、労働基本権を返すことは、これまでの政府の姿勢からしても当然です。

〇4・5月を集中期間に
 国公労連は、「大枠」にもとづいて6月にも改革の「基本設計」のとりまとめをねらう政府の理不尽な攻撃にたいし、断固反対してたたかう決意を内外に明らかにしています。そのための闘争体制を確立し、4月、5月を集中期間に、署名や国会議員要請行動、大量宣伝行動などの具体化をすすめています。
 公務員制度の大改悪を、一部政治家の「選挙目当て」ですすめさせず、国民本位の行政確立とむすびつけたたたかいに、すべての国公労働者の総決起を呼びかけます。

〇行革推進事務局に申し入れ
 国公労連は3月27日、「公務員制度改革の大枠」決定にあたり、行革推進事務局へ申し入れをおこない、政治主導の公務員制度改革について反対の立場を主張しました。


●政府・人事院要求に背をむけ「従来回答」
 −−春闘期最終交渉をおこなう−−

 国公労連は3月22日、政府・人事院との、春闘期最終交渉をおこないました。「22000円(5・8%)」の賃上げなどの統一要求に対し、「人事院勧告制度をふまえ国政全般との関わりで検討」(総務省)、「労働条件決定にあたっての民間準拠を維持」(人事院)とし、従来どおりのきわめて不満な回答です。 今春闘のJCなど民間大手組合の妥結状況は、「500円玉1枚」といわれた昨年並みにとどまっています。春闘相場がこのまま推移すれば、2001年勧告で、ベアゼロや3年連続の年収切り下げすら想定されるのが、政府・人事院の回答です。 また、過酷な定員削減のもとでの長時間過密労働の是正など、緊急に求められている「働くルール」の確立要求に対しても、何ら具体的な回答はありません。

〇人事院勧告にむけたたかいの強化を
 いっぽう、政府主導で進められている公務員制度改悪には、使用者として反対せよと迫りましたが、「行革推進事務局と連携」(総務省)などとしています。 
 また、人事院は、俸給体系「見直し」や、研究会でのとりまとめを急いでいる「あらたな評価システム」の具体化作業を、勧告にむけてさらにすすめる姿勢をしめしました。3月27日に、行革推進事務局が改革の「大枠」を示したことで、これらの人事院の「見直し」は、公務員制度改悪の先導役になりかねません。
 生活悪化のもとで、切実さを増す私たちの要求に誠実に答えようとしない回答は、とうてい容認できません。人事院勧告期にむけて、たたかう体制を固め、要求前進をめざしたたたかいの強化がもとめられています。


●集会前3日連続の早朝宣伝で、早朝職場集会を成功!
 
【広島県国公発】広島地区国公は、早朝職場集会前に3日間連続で合庁前早朝宣伝を実施し、集会参加を呼びかけるビラを約1千枚配布。その結果、約400人の仲間が集まる元気な集会となりました。


●憲法改悪はゆるさない
 −−憲法調査会の論議は着々とすすんでいます−−

 2000年1月に、衆議院と参議院にそれぞれ憲法調査会が設置されました。自公保政権による国民不在の政治のかげで、5年間を目途に、議長への報告書提出にむけ、憲法改悪の準備を着々とすすめています。
 衆議院の憲法調査会は、今年3月末までに、30名の参考人から意見聴取をおこなっており、昨年9月には、憲法調査会の議員団が、わずか9日間でドイツなど欧州5か国をめぐる「駆け足視察」も実施しています。今後は、4月16日に仙台で地方公聴会が開かれる予定です。
 いっぽう、参議院では、今年3月末までに、学生20名を含め36名の参考人から意見聴取をおこない、今年1月には、憲法事情に関する実情調査として、アメリカに議員団を派遣しています。
 国内最大の発行部数を誇る読売新聞が、改憲の立場を鮮明にする論説を出したり、他の新聞でも、「改憲賛成が多数」とするアンケート結果を掲載するなど、マスコミの動きも目立っています。
 その背景には、アメリカからの「押しつけ憲法」論が影をひそめ、首相公選制のほか、環境権やプライバシー権、知る権利など本来、立法や行政により確立すべき人権を憲法に盛り込むという「21世紀新憲法論」の影響があるものと考えられます。

〇すべての職場から憲法遵守の宣言を
 国公労連は、こうした情勢をふまえ、今年も4月1日から5月3日の憲法記念日にかけて、「憲法遵守職場宣言」運動を提起しています。とりくみの内容は、(1)職場で憲法の学習、討論集会などをおこなうこと、(2)職場の総意を結集して宣言を採択すること、(3)採択した宣言を掲示したり機関紙に掲載して職場に広げること、の3点となっています。
 憲法を遵守する義務のある国家公務員として、また、憲法にもとづき行財政・司法の民主化をめざす国公労働者として、職場を基礎に「憲法遵守職場宣言」運動のとりくみをすすめましょう。


●労働条件改悪攻撃押しとどめる
 −−4月1日に57機関が独立行政法人に−−


 4月1日、特定52、非特定5、あわせて57の独立行政法人が発足します。
 国公労連は、独立行政法人の創設が決定されて以降、国民への行政サービス切りすてと労働条件の切り下げに反対するたたかいを強めてきました。
 多くの独立行政法人が、賃金など労働条件がそのまま維持されることに対し、経済産業省の産業技術総合研究所では、当局が賃金制度の改悪をねらってきました。
 当局提案は、賃金を@本俸、A寒冷地手当や調整手当まで財源とする職責手当、B特別昇給と勤勉手当、期末手当の一部を財源とする業績手当、の3要素とするというもの。
 生活給要素を切りすてることによって、生涯賃金が研究職で2400万円、行政職で1100万円も減ってしまいます。
 これに対して、職場の怒りは強く、たたかいの中で、当局は3要素の賃金という提案は撤回しないものの、生活給を大幅に復活させ、賃金の低下を基本的におしとどめました。

〇力をあわせて要求前進へ
 政治的な圧力が強い中で、当局の譲歩を勝ち取れたのは、国公労連・単組の支援を受けた、全経済(全通産)のねばり強いたたかいの成果です。他の独立行政法人でも非常勤職員雇用継続、労働時間問題を一定前進させています。
 いっぽう、業務の関係では、各独法の業務運営費に対し係数がかけられ、効率化が強制されること、常勤職員の削減が中期計画に盛り込まれている独立行政法人も相当数あることなどの問題も残されています。
 国公労連は、18日に独法賃上げ要求を提出し、実現をはかるとともに、行政サービスの低下を許さず、各単組や独立行政法人労働組合との連携をこれまで以上に強化し、運動の前進をはかります。


●全通信、結成50年むかえる  

 全通信は、3月15〜16日に、「結成50周年記念第58回臨時大会」を東京都内で開催し、2001年春闘方針や通信総合研究所の独立行政法人化にともなう規約の改正などを決定しました。 
 また、全通信結成50周年記念レセプションは、3月16日に全国の全通信組合員やOB、国公労連各単組の代表など270名の参加で盛大に開催されました。

トップページへ 国公労新聞へ